小説・文芸 - 新潮社作品一覧

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  • 操縦不能
    4.2
    北朝鮮からの亡命者を乗せたワシントン行き002便は、大雪のため遅れて離陸した。その直後、機長二人が倒れ、コクピットには副操縦士の江波だけが残された。そして墜落の危機が訪れる。速度と高度を示す計器がなぜか狂いはじめたのだ。万策尽きた江波に、救いの女神が現れる。元訓練生の岡本望美が、地上のシミュレーターで“一緒に飛ぶ”というのだ。最も危険な夜間飛行が、いま始まる。
  • 漱石と日本の近代(上)(新潮選書)
    5.0
    「自意識は強いのに他者との関係に自信が持てない」――漱石文学の主人公たちは皆、早く生まれすぎた“現代人”だったのかもしれない。『それから』まで主要な前期六作品を取り上げ、「漱石的主人公の誕生」という新たな解釈をもとに物語の奥に込められたテーマを浮き彫りにしていく。時代を超えて通じる閉塞感と可能性を読む。
  • 漱石の孫
    -
    百年前、祖父・夏目漱石がヨーロッパ文化と格闘していた下宿。その部屋を訪れた時、僕は予想しなかった感動に襲われた――。日本を代表する作家の直系として生を享けた著者は、如何にして、その運命を受け入れるようになったのか。ロンドンで祖父の足跡を辿りながら、愛するマンガへの眼差しを重ね合わせつつ、漱石を、音楽家だった父・純一を、そして、自分自身を語ってゆく。

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  • 漱石を知っていますか(新潮文庫)
    4.0
    『吾輩は猫である』は長くて歪だ。『坊っちゃん』は俗っぽいし、『門』は暗くてわかりにくい。『こころ』には女性軽視の傾向が……。実は難点ばかり!? の夏目漱石が、日本で百年以上も読み継がれている人気の秘密とは? 代表的13作品を例に、その創作技法から文章術、作者の心理、作品の完成度までを阿刀田節全開で平易に解説。スラスラ読めて明日から語れる、目からウロコの超入門書。(解説・石原千秋)
  • 葬送 第一部(上)
    4.0
    1~4巻583~704円 (税込)
    ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。

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  • 葬送の仕事師たち(新潮文庫)
    4.0
    誰にでも、いつかは必ずやってくる人生の終わり。旅立ちの手助けを生業とする人たちがいる。葬儀社社員、湯灌師、納棺師、復元師、エンバーマー、火葬場職員……。なぜこの職業を選んだのか。どんな思いを抱いて働いているのか。忘れられない経験とは。著者は、「死」と向き合うプロたちの言葉に耳を傾け、葬送の現場を見て歩く。光があたることのなかった仕事を描破した感動のルポルタージュ。
  • 左右田に悪役は似合わない
    3.5
    1巻1,870円 (税込)
    左右田始、職業俳優。ベテランだがその名を知る人は少ない。しかし脇役だからこそ見えてくることがある。低予算ドラマ撮影、子役オーディション、映画のレッドカーペットイベント……様々な現場で生じる謎を左右田は人知れずに解決していく。エンタメ業界の「あるある」もふんだんに交えながら描く、ライトミステリー。
  • 双頭の鷲(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻1,738円 (税込)
    時は、中世。イングランドとの百年戦争で、劣勢に陥るフランスに登場したベルトラン・デュ・ゲクラン。このブルターニュ産の貧乏貴族、口を開けば乱暴粗野なことばかり。だが幼き日より、喧嘩が滅法強いベルトラン、見事な用兵で敵を撃破する。神は、武骨なその男に軍事の大才を与えたもうた! 鉄人チャンドスは戦慄し、好敵手グライーは闘志を燃やす――。歴史小説の新たなる傑作。 ※当電子版は新潮文庫版『双頭の鷲』上下巻をまとめた合本版です。
  • 双頭の鷲(上)(新潮文庫)
    完結
    4.2
    全2巻869円 (税込)
    時は、中世。イングランドとの百年戦争で、劣勢に陥るフランスに登場したベルトラン・デュ・ゲクラン。このブルターニュ産の貧乏貴族、口を開けば乱暴粗野なことばかり。だが幼き日より、喧嘩が滅法強いベルトラン、見事な用兵で敵を撃破する。神は、武骨なその男に軍事の大才を与えたもうた! 鉄人チャンドスは戦慄し、好敵手グライーは闘志を燃やす――。歴史小説の新たなる傑作。
  • 遭難者
    -
    1巻495円 (税込)
    真冬の海で遭難したヨットマンの蘇生感覚を描く「遭難者」。政治家の豪邸に火を放った右翼青年の人生の軌跡を追う「ある行為者の回想」、公人としてその生を全うしようとした男の初恋を描く「公人」のほか、「きょうだい」「パティという娼婦」の全5編を収録する。鮮烈な描写で人間の深層に迫る、珠玉の中編小説集。
  • 蒼氷・神々の岩壁
    3.7
    鋭いアイゼンの爪もよせつけない蒼氷に覆われる厳冬期、石が水平に飛ぶ台風シーズン――富士山頂の苛烈な自然を背景に、若い気象観測所員の厳しい生活と、友情と愛と死を描いて息づまる迫力をよぶ長編「蒼氷」。ヒマラヤを夢み、岩と氷壁に青春を賭けた天才クライマーが、登攀不能といわれた谷川岳衝立岩を征服するまでの闘志と情熱の半生を描く実録小説「神々の岩壁」。他に2編併録。

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  • 走馬燈―その人たちの人生 ―
    -
    日本人として初めてエルサレムを訪れたペドロ岐部、贋の大使として渡欧し、ローマ法王に謁見した支倉常長、そして多くの名もない殉教者たち――日本にはキリスト教の伝統はないと信じられながら、実際は四百年にわたる栄光と苦難の歴史が秘められている。日本人でありながらイエスと関わり、劇的な運命をたどった人々を、そのゆかりの地に赴いて回想した異色のエッセー。

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  • 総力捜査(新潮文庫)
    3.8
    捜査二課から異動してきた“刑事の中の刑事”上河内博人警部が相棒に指名したのは、なんと“内勤のプロ”柴崎警務課長代理だった(「秒差の本命」)。坂元真紀署長は、管内に移ってきた武闘派暴力団事務所を排除するため、総力体制を組む。対策を練り、調査を進めるうちに、柴崎たちの想像を遥かに超えた真実が浮上する(表題作)。警察小説の醍醐味、その全てを詰めこんだ、会心の連作ミステリ。
  • 祖国とは国語
    3.9
    国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は、論理を育み、情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。国際派の数学者だからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提出する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原家の知的な風景を軽快に描く「いじわるにも程がある」、出生地満州への老母との感動的な旅を描く「満州再訪記」を収録。
  • 祖国の選択―あの戦争の果て、日本と中国の狭間で―(新潮文庫)
    -
    「中国では七回も売られたんだ」終戦は新たな苦難の始まりだった。肉親と逸(はぐ)れ、大陸に取り残されてしまった日本人は、運命の分かれ道で重い選択を強いられた。戦時下の満州や戦後の中国を彼らはどのように生き延び、帰国を果たしたのか。元戦争孤児の父をもつ著者は、人生の終着駅に向かう六人の体験を丹念に聞き取り、紡いでゆく。戦争体験者のいなくなる時代に残すべき貴重な証言の記録。
  • そして殺人者は野に放たれる
    4.1
    無罪判決。その時、殺人者はニヤリと笑った――「テレビがうるさい」と近隣の5人を滅多刺しにした男が、泥酔し見知らぬ主婦を背後から殺傷した通り魔が、罪に問われず社会に戻ってくる!! 「心神喪失者の行為は罰しない」という法の下に――。ある殺人者は「やられたほうが悪い。自分は被害者」と開き直り、ある殺人者は「死んだ人間は運命だと思って諦めたほうがいい」と口にする……こうして彼らは、何度も何度も野に解き放たれる! 日本の無法ぶりを暴いた渾身の衝撃作。

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  • 塑する思考
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    ニッカ・ピュアモルト、明治おいしい牛乳、ロッテ・キシリトールガム、NHK Eテレ「デザインあ」のデザイナーは、ごく日常と接点を持つデザインを通じて、思い、感じ、考えた――。「分からせたがる」愚と「分からなさの魅力」について。あえてデザインしないのも、みごとなデザインであることについて。そして、デザイン・マインドとは気遣う心そのものであり、英語だ道徳だと騒ぐ前に、デザイン教育こそ、について……。
  • 卒業
    4.3
    1巻737円 (税込)
    「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが――。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。著者の新たなる原点。
  • 其の一日―近代日本偉人伝―
    -
    伊藤博文、大隈重信、福沢諭吉、下田歌子、近衛文麿、犬養毅、明治天皇――近代日本の礎を築いた二十四人の偉人たち。その人生が特別な輝きを放った一瞬があった。明治維新、日露戦争、五・一五事件など日本を変えた「其の一日」を鮮やかに切り取る著者渾身の傑作歴史評伝。若き日本という国の栄光と挫折がそこにはあった。
  • その対応では会社が傾く―プロが教える危機管理教室―(新潮新書)
    -
    情報流出、クレーム、身内の犯罪、デマ――。いざ危機に直面して、取るべき対応をネット検索するのは大間違い。株価や評判が吹き飛んだ失敗事例ばかりだからだ。必要なのは、危機管理の「四つのステップ」と素早い決定だとコンサルタントは語る。「楽観役、悲観役を置いて未来予測」「相手の怒りを吸い取る話術」「社員同士の不倫を見抜くには」「怪文書を読むポイント」――ゼミ形式で学ぶ、組織ディフェンスの〝強化書〟。
  • その名もエスペランサ
    3.5
    1巻1,496円 (税込)
    本郷苑子29歳、黒縁めがね、生マジメ、独り暮らし、日課は通い猫のエサやり。前の職場で受難、三ヶ月ぶりの新たな派遣先は……英文事務のはずが、作業服で部品係とトラブル処理班も兼務、しかもチャラ男に仙人、いびりの鬼がいた。こんなエンジン工場から「希望」は生まれるのか? 大注目『片桐酒店の副業』の新鋭の傑作長篇。
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    4.3
    2017年、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事が世界を変えた。映画界で権力を誇る有名プロデューサーが、女優や従業員らに性的虐待を行ってきた衝撃の事実。報道の背景には、二人の記者による被害者への丹念な取材や加害者側との駆け引きがあった。その日を境に、女性たちは声を上げ始めた――。#MeToo運動を拡げたピュリッツァー賞受賞記事の内幕を描く調査報道ノンフィクション。
  • その橋まで(上)
    -
    1~2巻715~770円 (税込)
    殺人犯として刑に服し、17年ぶりで娑婆に出てきた名本登。仮釈放を許され、自由の身になったとはいえ、彼は厳重な保護観察を受けなければならず、どんな微罪でも犯せば最後、たちまち刑務所に逆戻りだった。地道な木工職人として社会復帰の道を踏み出した彼には、しかし、ひょっとした成り行きから、婦女暴行殺人の容疑がかけられる……。犯罪者の更生の苦しみを描く問題作。
  • その日東京駅五時二十五分発
    3.8
    ぼくは何も考えてない。ぼくは、何も何もできない。頑張って、モールス信号を覚えたって、まだ、空は燃えている――。終戦の日の朝、19歳のぼくは東京から故郷・広島へ向かう。通信兵としての任務は戦場の過酷さからは程遠く、故郷の悲劇からも断絶され、ただ虚しく時代に流されて生きるばかりだった。淡々と、だがありありと「あの戦争」が蘇る。広島出身の著者が挑んだ入魂の物語。
  • その街の今は
    3.8
    ここが昔どんなんやったか、知りたいねん――。28歳の歌ちゃんは、勤めていた会社が倒産し、カフェでバイトをしている。初めて参加したのに最低最悪だった合コンの帰り道、年下の良太郎と出くわした。二人は時々会って、大阪の古い写真を一緒に見たりするようになり――。過ぎ去った時間やささやかな日常を包みこみ、姿を変えていく大阪の街。今を生きる若者の日々を描く、温かな物語。
  • そのマンション、終の住処でいいですか?(新潮文庫)
    3.4
    有名建築家による一等地の中古マンション。誰もがうらやむその家はしかし、とんでもない欠陥住宅だった! 上手くいくはずの改修工事は新旧住民の様々な思惑が絡み合い、混沌の様相を呈していく。デザイナーズマンションに人生を振り回された人々の胸中にあるのは、幸福か、絶望か、見栄か、プライドか。誰もが身につまされる、終の住処を巡る大騒動。『おっぱいマンション改修争議』改題。
  • 祖父・小金井良精の記(上)
    5.0
    1~2巻770~814円 (税込)
    森鴎外、野口英世、北里柴三郎……。小金井良精の人生は、華々しい交友と真摯な研究に彩られていた――。良精は幕末の安政5年、越後長岡藩士の家に生まれる。数え15歳で東大医学部の前身に入学。その後、ドイツ留学やヨーロッパ視察を経験し、日本の解剖学の草創期を築いた。私生活では、最初の妻と死別後、鴎外の妹・喜美子と再婚し、二男二女を授かる。星新一が愛した祖父の生涯を見つめ、精緻に描いた軌跡。
  • 背いて故郷
    3.3
    第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。だが成瀬は当直中に殺されてしまう。撮影済みのフィルムを奪われて。禁忌に触れてしまったとでもいうのか? 柏木は北の大地を餓狼の如き切実さで駆けめぐった。ただ真相に迫りたかったのだ。彼の前に立ちはだかるのは〈国家〉、そして――。日本推理作家協会賞受賞作。
  • そもそも つながりに気付くと未来が見える―Everything is connected to everything else.―
    4.0
    直に教えた生徒二十数万人、受験英語界のカリスマは「雑談」も凄かった。教え子たちを虜にした、伝説の話術をあなたに! 「私」ってなに? というアイデンティティの問題から、肥満も伝染する話、うんちの行方、果ては最新の脳科学が明かす身体感覚の驚異まで。古今東西を股に掛け、縦横無尽に展開する知的好奇心の坩堝。
  • 空から降ってきた男―アフリカ「奴隷社会」の悲劇―
    4.5
    ロンドン郊外の住宅地の路上で、ひとりの黒人青年がB777から墜落し息絶えていた。彼の持ち物はわずかな現金と携帯電話だけ。ジュネーブ、ケープタウン、アンゴラ、モザンビーク──SIMカードに残されたデータを頼りに事件の謎を追い、真相に迫るなかで見えてきたのは、現代の奴隷社会と言うべき過酷な現実だった。
  • ソラシド
    3.8
    1巻1,496円 (税込)
    むかし写真誌のレイアウター、今は文筆業のおれは、ふと手にした古い雑誌の記事に惹きつけられる。その二人組は愛してやまないアルバムと一番好きな曲が自分と一致し、片割れはかつてのおれと同じくダブル・ベース弾きだった。彼女たち=ソラシドの断片を掻き集め、おれは紡いでゆく――。クラフト・エヴィング商會の物語作者が描く、失われたものの小説。
  • 空の怪物アグイー
    3.9
    60年安保以後、その大きな影響下に書かれた“現代の恐怖”にかかわる一連の作品を収める。「個人的な体験」と同一の設定のもとにそれとは全く逆の結末を導き出し、共通のテーマをめぐる著者の文学的格闘をうかがわせる『空の怪物アグイー』ほか、「万延元年のフットボール」につながる『ブラジル風のポルトガル語』、核時代の苦いユーモア『アトミック・エイジの守護神』など7編。
  • 空を切り裂いた
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    徴兵されながらも戦争を生き抜き、戦後、文壇の寵児としてもてはやされた孤高の作家・堀永彩雲。しかしその後半生は、絶望と狂気に彩られていた。昭和四九年に享年五〇で自害した作家の作品は、世間からは忘れ去られたが、一部で狂乱の読者を生み育んだ。そして今、彩雲の子らは真の目覚めを迎え、世紀末日本で覚醒する!
  • それから(新潮文庫)
    NEW
    4.2
    長井代助は三十にもなって定職も持たず、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮している。実生活に根を持たない思索家の代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻三千代との再会により、妙な運命に巻き込まれていく……。破局を予想しながらもそれにむかわなければいられない愛を通して明治知識人の悲劇を描く、『三四郎』に続く三部作の第二作。(解説・柄谷行人)
  • それでも俺は、妻としたい(新潮文庫)
    2.9
    1巻693円 (税込)
    同棲から始まった結婚。あの頃はチカと毎晩抱き合っていた――。40歳を迎えたのにいまだに売れない脚本家の俺。家事や息子の保育園への送り迎えをこなしているのに、働きに出ている妻にゴミ扱いされ、セックスは「ヤダ」の一言で拒否される始末。だが俺はチカの巨乳に触れたいのだ。いじましい欲望。ちっぽけなプライド。そして、愛。男と女を笑いの渦に叩き込んだ傑作夫婦小説(ほぼ実録)。(解説・北上次郎)
  • それでも母親になるべきですか
    3.0
    かつて当たり前の存在だった「子のない女性」は、いつから「解決すべき問題」になったのか。産業革命や戦争、不景気、宗教、環境問題、医療などが、いかに女性の人生を翻弄し、その選択を変化させてきたかを描き出す。社会が突き付ける選択の裏にある女性たちの語られざる思いに迫り、現代の常識から女性を解き放つ一冊。
  • それでも僕は東大に合格したかった
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    高校1年のあの日、ある教師の一言でずっと落ちこぼれだった僕は途轍もない挑戦を強いられた。「自分を変えたければ、東大を目指してみろ」。結局2浪、3度目の受験を終えた時、その教師がまた想定外のことを言い出して……。偏差値35のド底辺から合格発表を迎えるまで、『東大読書』シリーズで知られる著者の原点の物語。
  • それは秘密の(新潮文庫)
    3.5
    美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、なぜ二人は俺に会いに来るのか? なぜこんなに友人の母親が気になるのか? 隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か? どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか? なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか? なぜ、なぜ……。愛とも恋とも言えない、不思議な感情――。心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録。
  • ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン
    4.2
    その否定的対話によって、既存の社会体制、道徳、宗教を盲信する保守的な人々から糾弾され、不当な死刑に処せられたソークラテースが、法廷で自己の所信を力強く表明する『ソークラテースの弁明』、脱獄のすすめを退け、国法を守って平常心のまま死を迎える彼が、法と正義について弟子と対話する『クリトーン』、毒薬をあおって刑死する彼の最期を語る『パイドーン』を収録する。
  • 象牛
    3.5
    1巻1,925円 (税込)
    自分を弄んだ男性教師を追ってたどり着いたインド・ガンジス河岸の聖地。傷心の女子大生は、ここでも「象牛」なる謎の存在に翻弄される。果たして彼女はこの懊悩から解脱できるのか――表題作の他、大阪「比ラカ駄(ひらかた)」を流れる淀川河岸を舞台に、恋に似た短く激しい熱情を描く「星曝し」を収める、芥川賞受賞後初の作品集。※「ラ」は手偏に「羅」、「カ」は「加」の下に「可」
  • 憎悪の依頼
    3.5
    私の殺人犯罪の原因は、川倉甚太郎との金銭貸借ということになっている。――金銭のもつれから友人を殺害した男が刑の確定後に、秘められた動機を語る表題作。女性が失踪し、カメラだけが北海道でみつかった。死体は発見されず、容疑者の新進画家には堅牢なアリバイがある。巧みなトリックを生かした「すずらん」など、多彩な魅力溢れる全10編を収録した傑作短編集。

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  • 臓器農場
    4.0
    1巻1,023円 (税込)
    新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」──。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か? 真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手……。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。
  • 象工場のハッピーエンド(新潮文庫)
    3.9
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 春が来るとジョン・アプダイクを思い出す。ジョン・アプダイクを読むと1968年の春を思い出す。ほんのちょっとしたことなのだけど、われわれの人生や世界観はそのような「ほんのちょっとしたこと」で支えられているんじゃないか、という気がする……。都会的なセンチメンタリズムに充ちた13の短編と、カラフルなイラストが奏でる素敵なハーモニー。語り下ろし対談も収録した新編集版。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 雑司ヶ谷R.I.P.(新潮文庫)
    4.2
    “雑司ヶ谷の妖怪”こと、泰幸会教祖・大河内泰が死んだ。享年102。葬儀に参列するため中国から帰国した俺を待っていたのは、ババアが書き残した謎の遺書。教祖のイスと莫大な財産は俺の父親に譲るというが、親父ならとっくに死んでいる。ババアの魂胆は何か? 初代教祖の戦前戦後の過去と、二代目就任をめぐる抗争劇の現代が交錯する、衝撃の問題作「雑司ヶ谷」シリーズ第二弾。
  • 象の皮膚
    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    肌を見られたくない、でもこの苦しみを知って欲しい。五十嵐凜、非正規書店員6年目。アトピーの痒みにも変な客にも負けず、今日も私は心を自動販売機にして働く。そこに起こった東日本大震災。本を求める人々。彼女はそのとき、人間の本性を目撃する。現役書店員が描く、圧倒的リアリティで各紙絶賛の話題作。
  • 増補改訂 日本ミステリー事典
    1.0
    江戸川乱歩ってどんな人? 浅見光彦の嫌いなものとは? ジュヴナイル作家古神陸の正体は? ページを繰るたび、これまで知らなかった日本ミステリーの謎が次々と解き明かされる。基礎知識から初公開情報まで、信頼すべきデータ満載で、第1回本格ミステリ大賞を評論・研究部門で受賞したファン必携の1冊が、最新の情報を加えた増補改訂版として登場。全810項目に、受賞一覧、主要文献一覧も掲載。総索引数、10,358。検索機能も充実、関連項目を次々閲覧できる、ミステリー・ファン待望の電子出版。
  • 賊将
    3.6
    幕末には〔人斬り半次郎〕と恐れられ、維新後はわが国最初の陸軍少将となり、最後は西郷隆盛をかついで西南戦争に散った快男児・桐野利秋を描いた表題作。10年に及ぶ戦乱に何らの力も発揮出来ない将軍・足利義政の苦悩を刻んだ直木賞候補作の中編「応仁の乱」。表と裏の顔を兼ね備えた人間という生き物のおかしみを捉えた「秘図」など6編。直木賞受賞直前の力作を集めた短編集。
  • 続・誰も知らない「3つの殺人」――まだあった!「第4、第5の殺人計画」
    -
    死刑判決囚・後藤良次が、獄中から告白した闇に埋もれた3つの殺人事件。この前代未聞の告発に、ついに警察が捜査に乗り出した。しかし後藤の証言は更に続く。首謀者の犯罪はこれだけにとどまらず、第4、第5の殺人計画があったというのである。取材の結果、なんとこの殺人計画のターゲットの一人が不信な死を遂げていた――。「新潮45」2005年12月号の特大スクープ続編を電子化。

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  • 俗物図鑑(新潮文庫)
    3.9
    評論家だけの風変りな“梁山泊”プロダクション出現――盗聴、横領、出歯亀、放火などタブーとされる芸ばかりに秀でている彼ら俗物センセイは、一躍、マスコミの寵児にのし上がる。しかし、彼らの奔放な活躍ぶりは、次第に世間の良識という怪物の反撃に合い、両者の壮烈な戦いが開始された……。人間の隠された悪への欲望と破壊衝動を、豊かなパロディ精神と言葉の遊びで描き出す長編小説。 ※当電子版には文庫版掲載のカットは収録しておりません。ご了承ください。
  • 大尉の娘
    -
    暴徒のため父母を惨殺されたマリーは、相思の将校グリニョーフに危難を救われるが、のちに嫌疑をかけられシベリア流刑に処せられた愛人の赦免を求め、ペテルブルクに行き女王に決死の嘆願をする。エカテリーナ二世の治世に起ったプガチョーフの反乱を背景とし、歴史小説と家庭小説が巧みに融合した、19世紀ロシア・リアリズム文学の先駆的作品であり、プーシキン芸術の最高峰と言われる。
  • 太鼓たたいて笛ふいて
    4.3
    戦前、中国や南方の戦線に従軍し、「兵隊さんが好きです」と記して戦意高揚に尽した林芙美子は、敗色濃厚になると「キレイに敗けるしかない」と公言し、たちまち非国民扱いされてしまう。国家が求める「物語」に躍らされた芙美子は、戦後、戦争の実相を知り、戦争に打ちのめされた普通の日本人の悲しみを、ただひたすら書きつづけた――。『放浪記』で知られる作家の後半生をたどる評伝戯曲。
  • タイタス・アンドロニカス
    -
    ローマの帝位継承権を争う前皇帝の息子兄弟。そこにゴート人との戦いに勝利したタイタス・アンドロニカスが凱旋帰国し、市民の圧倒的支持により皇帝に推薦されるが…。男たちの野望に、愛情・復讐心・親子愛が入り乱れたとき、残虐のかぎりが尽くされる…。シェイクスピアの作品では異色の惨劇。
  • 対談 真犯人はそこにいる
    -
    「遺族の人は、どこかで何かを言いたい気持ちがあると思う」(清水)、「事件は社会の奥深くにある闇に根を張っているものです」(石井)――。「北関東連続幼女誘拐殺人事件」を追い『殺人犯はそこにいる』を著したジャーナリストと、貧困、医療、戦争などをテーマに旺盛な執筆活動を続ける作家。桶川ストーカー、尼崎連続変死、マレーシア麻薬密輸、そして足利事件……、自ら歩き回った事件取材の裏側とは? 現場の息吹が伝わる、社会派対談。
  • 対談 「政治家・石原慎太郎」を大嫌いな人のための「作家・石原慎太郎」入門
    -
    行動原理は「やりたいことをやる」。映画監督、劇場の重役、そして政治家も、慎太郎には退屈しのぎ!? 読まず嫌いも多い「作家・石原慎太郎」の才能を深く敬愛し、作品を読み込んできた二人が、その魅力から人間性までを語りつくす。新たな「石原慎太郎」像を提示する、刺激的な対談。
  • 太平洋戦争日記(一)
    -
    真珠湾攻撃、文学者愛国大会、シンガポール陥落、「得能物語」出版、ガダルカナル戦、山本司令長官戦死、学徒戦時動員法――昭和を代表する文学者である伊藤整が、大学ノート18冊にわたって記した日記である。本書は著者の没後、昭和58年に刊行された。第一巻には、昭和16年12月1日から昭和18年6月30日までの日記が収められている。
  • 大変だァ
    -
    腑甲斐ない男どもの多い中に、塙剛太氏は男だ。家では〈風呂。メシ。寝る。〉の三語で万事を済ませる関白亭主。ところが娘の友達の軟弱な男子学生を鍛えようとした闇鍋会で、放射能を浴び性転換を起した鶏を食べてしまったから、さあ大変。言葉優しく胸は少女のようにふくらみ始め……。男性の女性化、女性上位、学園紛争など、現代の世相をアイロニカルに諷刺した痛快ユーモア小説。

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  • TIMELESS(新潮文庫)
    3.5
    うみは、ひとを好きになれない。アミは、好きなひとと子供をつくるのがこわい。お互い恋愛感情をもたず、交配の約束だけして結婚した。やがてうみが妊娠するとアミは去り、父親不在のまま息子のアオは17歳になった――。高校の教室、修学旅行の広島、江姫を弔う六本木、鰯売りの声が響く銀座カルティエ。人びとが結びつき織り成した時間の地層が、今生を生きる心の縁(よすが)となる、圧巻の長編。(解説・江國香織)
  • 太陽系の謎を解く―惑星たちの新しい履歴書―(新潮選書)
    4.3
    水星の極地で1兆トンの氷が観測され、金星では海の痕跡が見つかった。土星の衛星からは美しい間欠泉が噴き出し、冥王星にはハート型の窒素の氷河が……。探査機ボイジャーの打ち上げから45年。次々と明らかになってきた、まったく新しい「太陽系」の姿とは――。NHKの人気番組に最新の知見を加えて描く宇宙研究の現在地。
  • 太陽・惑星(新潮文庫)
    4.0
    太陽は毎日輝いている。そりゃそうだ。けど、輝き果てた後には何が残るのか? 金か、それともカネかーー。新宿の安ホテルで、アフリカの赤ちゃん工場で、パリの蚤の市で、インドの湖畔で、我ら人類は飽くなき欲望をスパークさせ、挙げ句の果てに太陽による錬金術が完成。ついには不老不死が実現する。バンザーイ!……なのかどうかはあなたが決める。異能の芥川賞作家の伝説的デビュー作。(解説・町田康)
  • たかが江川されど江川
    4.0
    人は「たかが野球」と言うかも知れない、だが僕にとっては「されど野球」だった――。かくも騒がれたあの「空白の一日」とは何だったのか。ユニークな父のこと、今も記憶に残るマウンドでの一球、そしてわが家族のこと……。不世出の投手江川卓が、その半生、短くも波瀾に満ちた九年のプロ野球生活を、華やかなスポットライトの届かなかった部分まで余すところなく語る。
  • 高島易断を創った男
    3.0
    高島嘉右衛門、現在でも流行りの「易」の元祖である。しかしそれだけではない、初めてガス灯を点し、横浜・高島町の生みの親、日本の実業の基礎を築いた一大事業家としても知られた存在であった。また大隈重信や陸奥宗光、木戸孝允らとも親交が深く、特に伊藤博文とは昵懇の間柄。日清、日露戦争や経済政策など、実は、伊藤の政策の多くは嘉右衛門の占った易で決められていた――。知られざる快男児の数奇な物語。

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  • 鷹姫さま―お鳥見女房―(新潮文庫)
    4.2
    女だてらに鷹狩りに行きたがり「鷹姫さま」と呼ばれる気性の烈しい娘と嫡男久太郎との縁談、次女君江のひそやかな恋。子らの成長と行く末を、珠世は情愛深く見守る。また、鷹狩りを司り、幕府隠密の任務もあるお鳥見役の主も、過酷な勤めを終えて帰ってきた。妻として深い痛みを抱えた夫を気づかう――珠世の才智に心温まる、シリーズ文庫第三弾。
  • 高みの見物
    -
    海外放浪癖があり、“高級”ゴキブリを自称するわたしは、南洋漁業調査船に潜伏しているうち、なまけ者の船医、目玉医者の奇妙な言動に興味をそそられ、帰国する彼についてゆくことにした。彼の友人でヘチマのような顔をしたケチの食いしん坊、SF四文作家氏の家庭にも触手を伸ばしたわたしは、両家を往復しつつ、複雑怪奇な人間世界の“高みの見物”と洒落れこんだ……。
  • 宝島
    3.8
    死んだ老海賊の遺留品から「宝島」の地図を手に入れた少年ジム・ホーキンズは、医者のリヴジー先生や一本足の船乗りシルヴァーらと財宝を探しに孤島に向けて出帆した。ところが海賊どもの反乱が勃発。敵は十九名、ジムの味方は六名。息を呑む銃撃戦、恐怖の単独行の果て、ついにジムは宝のありかにたどり着くが……。読み継がれてきた不朽の冒険物語が鮮やかな新訳で待望の刊行。
  • 宅配便130年戦争
    3.3
    日本人の暮らしを変えたコンビニ、自販機、宅配便。このなかで、民間宅配便業は、明治の「飛脚」以来百三十年間、常に官立組織の風下に立たされてきた。とりわけ、今日の「宅急便」を実現させるまでにヤマト運輸が監督官庁と繰り広げた闘いは長期に渡った。現在、民営化を控えた「郵政公社」が、民業に対抗し、宅配便事業を着々と進めている。国際資本の参入や、新事業の展開など諸問題を抱えた宅配便の未来は?

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  • 他者という病(新潮文庫)
    3.5
    原因不明の難病で入院中、三度も死にかけた私。さらに薬の副作用で人格まで変容し、自分を見失ってしまう。やがて仕事もなくし、鬱状態に陥り、ついに自殺未遂を起こすまでに……。激動の渦中に文章をつづり、当時の自分を客観的な目で振り返って考えた、「生」とは、「言葉」とは、そして「私」とは。極限体験に際した人間の脆さを凝視し、思いがけない強さを発見する、特異で壮絶な魂の手記。
  • 多甚古村
    -
    1巻275円 (税込)
    甲田巡査の駐在日記の形で、南国の海辺の村、多甚古村に起った喧嘩、醜聞、泥棒、騒擾など、庶民の実生活が軽妙に描かれ、これに対するに、苦労人で平和を愛する甲田巡査の思いやりある暖かい心情を配置して、井伏文学独特の、山あり川ありといった人生縮図を展開させる。平俗の言葉を使って文体の気品、格調は高く、庶民を描きつつ庶民に溺れぬきびしさを持つ、代表的長編小説。
  • 尋ね人
    4.2
    五十年前に突然姿を消した恋人を探してほしい。末期ガンの母・美月からそう懇願された。将来を誓いあった東北大生だったという。東京で恋に破れ、故郷函館でひっそり暮らしていた李恵は母の願いに応え、男の行方を捜し始める。史上最大級の海難事故・洞爺丸遭難が、人びとの運命に打ち込んだ楔(くさび)とは。現代と過去、母娘の恋が交錯する。『海猫』『余命』を越えた、恋愛小説の最高峰。
  • 誰そ彼れ心中
    3.2
    夫の様子がなんだかおかしい。不審に思い始める妻に、従者の若者が、主の変化を問いかける。奇妙な振るまいの裏には何があるのか。この家にはなにか秘密があるらしい……。絶えず誰かに監視されているような婚家での生活に耐えつつ夫の謎を探るうちに、若い妻は思いもかけず本物の恋を知る――サスペンスフルな展開と、凛とした女の恋心に心揺さぶられる、新感覚の時代ミステリー。

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  • たそがれ清兵衛
    3.8
    下城の太鼓が鳴ると、いそいそと家路を急ぐ、人呼んで「たそがれ清兵衛」。領内を二分する抗争をよそに、病弱な妻とひっそり暮らしてはきたものの、お家の一大事とあっては、秘めた剣が黙っちゃいない。表題作のほか、「ごますり甚内」「ど忘れ万六」「だんまり弥助」「日和見与次郎」等、その風体性格ゆえに、ふだんは侮られがちな侍たちの意外な活躍を描く、痛快で情味あふれる異色連作全八編。
  • 戦いの肖像
    5.0
    欧州グランプリ・レース制覇で、栄光を勝ちとった水島哲夫は、不測の事故で引退したのち、マスコミや世間から消息を絶った。数年後、水島は一サラリーマンとなるが、その裏には恐るべき野望が隠されていた。緻密な計算の下に、現金輸送車、悪徳資本家からダイア研磨工場、米軍空母へと展開する大奪取作戦。その最終目標は何か……? 巨大なスケールで描く、長編アクション小説。
  • 戦う操縦士
    3.3
    僕は多くのことを考える。万一生きていたら、今夜を待って、とくと考えてみよう。ただ、生きているかどうか……。第二次大戦中、敗走するフランス軍に、一飛行士として従軍した作家サン=テグジュペリ。明日、ドイツ軍が侵入するであろう、祖国の一寒村にたたずんで、死を目前にした極限状況にあって綴られた、生の根源と人間の勇気に果敢に迫り、深く追究する思考。
  • 叩く
    3.7
    1巻1,870円 (税込)
    空き巣に入った家で目を覚ました男。仲間は金と共に姿を消し、住人には顔を見られてしまった! いまや足枷となったその家で男は、不遇な過去を振り払うために包丁を握り――さえない男の煩悶をリアルに描く表題作の他、訳も分からず妻に去られた夫や、海に消えた父を待つ娘など、様々な「隣の人生」を鋭く浮き彫りにする。
  • タダイマトビラ
    3.9
    母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか? 「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語。
  • ただしくないひと、桜井さん(新潮文庫)
    3.6
    悪いと思いながら少女は母を蹴る。性欲のまま早熟な体を安売りする。死病に冒された女は夫ではない男に身を任せ、夫は当てつけのように女を買う。貞淑な祖母は孫を見捨て、清らかなはずの女は「一番愛している」からと悦楽に溺れていく。口には出せないたくさんの秘密。それは他人の痛みに手を差し伸べる“桜井さん”の中にもあった。R-18文学賞読者賞作を含む、日常への裏切りに満ちた連作集。(解説・彩瀬まる)
  • 立ち盡す明日
    4.0
    1巻330円 (税込)
    一流銀行の調査部員・佐室孝策の家に、妻・聡子の従妹・由希子が同居することになり、ふとした出来事から、由希子は孝策に愛を感じ始める。それは、稚い愛ではあったが、十分に、家庭崩壊の危機をはらむものであった――。知識人の胸の奥に巣くう虚無と孤独の心と、それらゆえの愛の挫折とを、明晰かつ抒情的な文体で描きあげた、『されどわれらが日々――』に続く長編第二作。
  • 辰巳八景(新潮文庫)
    4.0
    手をつないだわけでもない。好き合っていたのかもわからない。それでも祝言を挙げると知ったあの時、涙がどうしても止まらなかった……。遠い日の思い人と再会する女性の迷いと喜びを描く「やぐら下の夕照」。売れない戯作者がボロ雪駄の縁で一世一代の恋をする「石場の暮雪」。江戸深川の素朴な泣き笑いを、温かで懐かしい筆が八つの物語に写し取る。著者の独擅場、人情の時代短編集!(解説・縄田一男)
  • 縦糸横糸
    3.5
    酒鬼薔薇聖斗、和歌山カレー事件、オウム真理教、新潟少女監禁事件、自殺者の増加、引きこもり──日本人の生活は豊かに、快適になったが、〈心〉はその変化に対応できず、多くの問題が生じてしまった。効率を追い、結論のみを急ぐ現代社会は、育児や教育には不向きだ。欲望を満たしても幸せにはなれない。ではどうすればいいのか。〈心〉の専門家から、困難な時代を生きる私たちへの提言。
  • 蓼喰う虫
    -
    全てにおいて完璧だと思って結婚した女なのに、なぜ妻という立場になると、欲情しなくなるのだろう……。セックスレスが原因で不和に陥った一組の夫婦。夫は勝手気儘に娼婦を漁り、片や妻は夫公認の間男の元へと足繁く通う日々を送る。関係はもはや破綻しているのに、子供のことを考えると離婚に踏み切れない。夫婦を夫婦たらしめるものは一体何か。著者の私生活を反映した問題作。

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  • 田辺聖子の恋する文学―一葉、晶子、芙美子―
    4.5
    貧しさにあえぎながらも、一途に恋心を守り抜いた樋口一葉。燃えるような愛憎を作品に注ぎ込んだ与謝野晶子。〈俳人〉と〈主婦〉、二つの己に引き裂かれた杉田久女……。女性の地位が低かった時代、明治生まれの作家たちは創作への情熱と、愛や生活の狭間でもがき続けていた――。恋愛小説の名手がたおやかに語る、五人の女性文学者の作品と生涯とは。『続 田辺聖子の古典まんだら』改題。
  • 田辺聖子の古典まんだら(上)
    4.0
    1~2巻1,232円 (税込)
    女でも男と対等の生活をしたいという夢を描いた『とりかへばや物語』。女手だからこそ子を失った悲しみを綴ることのできた紀貫之。おませな少女の会話をリアルに描いた『浮世床』。『古事記』『万葉集』から『枕草子』『平家物語』『徒然草』、さらに江戸文学まで、古典をこよなく愛する田辺聖子が、その魅力を縦横無尽に語る。

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  • 谷崎潤一郎を知っていますか―愛と美の巨人を読む―
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    悪の中に息づく美、常識外れの愛と葛藤、滅びゆく典雅への哀惜――。深い見識と大胆気ままな筆致をあわせ持ち、ユニークな文学世界を確立した文豪の主要作品を、名人技でわかりやすく解説。基本的な知識教養を授けると共にさらなる興味をも呼び起こす、大人気の古典入門シリーズ! 作品評価が一目でわかる六角グラフ付き。
  • 谷間の百合
    4.1
    充たされない結婚生活を送るモルソフ伯爵夫人の心に忍びこむ純真な青年フェリックスの存在。彼女は凄じい内心の葛藤に悩むが……。
  • 旅のつばくろ(新潮文庫) 電子オリジナル版
    3.7
    つばめのように自由に、気ままにこの日本を歩いてみたい――。世界を歩き尽くしてきた著者の、はじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。それから歳も経験も重ねた今、同じ土地を歩き、変わりゆくこの国のかたちを見て何を思ったか。本州「北の端」龍飛崎、太宰治の生家を訪ねた五所川原、宮沢賢治の足跡を追った花巻、美景広がる軽井沢や兼六園などを歩いて綴った、追憶の旅エッセイ。〈電子オリジナル版〉は沢木耕太郎撮影の写真が収録されています。
  • たべたいの(新潮新書)
    4.1
    生ハムは、ピザやパスタにトッピングされ、オーブンに入れられてもまだ「生」なのか。ラブホテルで頼むピザのサイズはSMLどれが正解なのか。賞味期限切れの牛乳はいつまで「チャレンジ」できるのか。謎めく才女の脳裏に食を巡る疑問、懸念、記憶の数々が渦巻き続ける。自分の納豆の食べ方は普通ではないのか。イメージDVDにつきものの魚肉ソーセージとはどうつきあうべきか。「食べ物」が壇蜜を語り出す――。
  • 食べる女―決定版―(新潮文庫)
    3.8
    おいしいものを食べているときと、いとしいセックスをしているとき、女は一番幸せになれる。台所で立ったまま生玉子かけごはんをすする自由。深夜のラーメン屋で相席になった男とのラブアフェア。恋人の裏切りを知った後に食べるチーズの官能。逝ってしまった大切な人たちを想いつつ縁先で傾ける日本酒と肴。味覚と心を研ぎ澄まし、人生の酸いも甘いも楽しむ女たちを祝福する、美味なる短編集。
  • 食べると死ぬ花
    3.8
    1巻1,870円 (税込)
    最愛のひとり息子を失った桜子は、カウンセラーの久根からふしぎな壺を与えられる。三つの約束さえ守れば、息子が帰ってくるというが……。「もう本当に最悪でした、もちろん褒め言葉」「吐きそうなくらい嫌な話」連載時から話題沸騰! デビュー作でネット民を震撼させたホラー界の気鋭が描く、血と涙で彩られる美しき地獄。
  • 魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―(新潮文庫)
    4.1
    未曾有の災害で愛する者に突然死なれ、絶望の淵に立たされた人々の心を救ったのは、奇跡としかいいようのない体験だった。布団に入ってきた夫を「抱いてあげればよかった」と悔いる妻。階上の息子の足音を聞く母。死亡届を書いている時に兄からメールを受け取った妹。それは夢だったのか、幻なのか――。再会を願う痛切な声と奇跡を丹念に拾い集めた感動のドキュメンタリー、待望の文庫化。
  • 魂の邂逅―石牟礼道子と渡辺京二―
    4.0
    唯一無二の世界文学と高く評価される『苦海浄土』をはじめ、詩歌、物語、歴史小説、随筆、新作能とおびただしい作品を書き続けた作家、石牟礼道子。地方の文芸誌編集者として出会い、道子の執筆を支えながら水俣闘争に身を投じた渡辺京二。その半世紀に亘る共闘と愛を、秘められた日記や書簡、発言から跡づける。
  • 玉椿物語
    -
    近江の名門の家柄に生れながら、北辺の小国、若狭の武田元明に嫁いだ京極竜は、白玉椿にも比すべき匂うような美貌の持主であった。元明との生活は幸せだったが、しかし、群雄にはさまれた武田家の衰運はおおうべくもなく、ついには居城も領国も失った夫に従い、敵国の越前へ流浪する身となる……。若狭武田が亡び、一乗谷が落城する干戈騒乱の世に、愛といくさの怒濤を描く雄編。
  • 玉電松原物語
    3.5
    幼少期を過ごしたかつての世田谷では、チンチン電車が走り、牧場には牛が群れ、神社は奉納相撲で盛り上がる。そして駅前の商店街には、様々な人びとがいた。自らを育んだ街と文化を卓越した記憶力で再構築し、令和が喪ったものを鮮やかに甦らせる。昭和カルチャーの申し子たる著者の、集大成とも言うべきラストメッセージ。
  • 玉虫と十一の掌篇小説
    3.9
    男はもうここに戻ってくることはないだろうと女は思った――。三年間、食事をともにした男との永遠の別離を描く「食卓」他、恋によって炙り出される男と女の孤独が、かなしさとせつなさを孕んでゆらめく十一篇。短篇よりも短い「掌篇小説」には、小さく切り取られているがゆえの微妙な宇宙が息づき、無限の時間へと読む者を誘う。長篇よりもいっそう濃密な闇と静謐な光を湛えた作品集。
  • たまゆら(新潮文庫)
    3.9
    人の世と山との境界に、夫の伊久男とひっそり暮らす老女、日名子。雪の朝、その家を十八歳の真帆子が訪れた。愛する少年が、人を殺めて山に消えたのだという。彼を捜す真帆子に付き添い、老夫婦は恐ろしい山に分け入ることに。日名子もまた、爛れるほどの愛が引き起こしたある罪を、そこに隠していたのだ──。山という異界で交錯する二つの愛を見つめた物語。島清恋愛文学賞受賞。
  • タモリ論
    3.5
    タモリの本当の“凄さ”って何だろう。なぜ三十年以上も毎日生放送の司会を超然と続けられたのか。サングラスの奥に隠された孤独や絶望とは――。デビュー作でその愛を告白した小説家が、秘蔵の「タモリうんちく」を駆使して、この男の狂気と神髄に迫る。出生や私生活にまつわる伝説、私的「笑っていいとも!」名場面、ビートたけしや明石家さんまとの比較等、読めばあなたの“タモリ観”が一変する、革命的芸人論!
  • 樽とタタン(新潮文庫)
    3.7
    今から三十年以上前、小学校帰りに通った喫茶店。店の隅にはコーヒー豆の大樽があり、そこがわたしの特等席だった。常連客は、樽に座るわたしに「タタン」とあだ名を付けた老小説家、歌舞伎役者の卵、謎の生物学者に無口な学生とクセ者揃い。学校が苦手で友達もいなかった少女時代、大人に混ざって聞いた話には沢山の“本当”と“噓”があって……懐かしさと温かな驚きに包まれる喫茶店物語。(解説・平松洋子)
  • タワーリング
    3.5
    1巻1,320円 (税込)
    「我々は、ウインドシア六本木をビルジャックした!」。ビル会社社長を人質にとり、最上階に立てこもる犯人。地上で手をこまねく警察を前に、17階のオフィスにいた船津康介はある奇策を思いつくが……。最先端技術を極めた都市の要塞と、どんな時代も変わらぬ人々の「思い」が交差する、どんでん返し満載の城攻めサスペンス。

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  • 短歌と俳句の五十番勝負(新潮文庫)
    3.8
    荒木経惟、北村薫、谷川俊太郎、壇蜜、又吉直樹、中江有里、柳家喬太郎……。作家、詩人はもちろん、写真家、女優、タレント、芸人から、出版社社長、編集者、書店員、牧師、小学生まで。様々な職業の五十人から寄せられたお題で、歌人穂村弘と俳人堀本裕樹が真っ向勝負! 気鋭の二人は多彩なお題をどう詠むか。それぞれの短歌と俳句を自由に読み解く愉しみを綴るエッセイを各編に収録。(解説・壇蜜)
  • 短歌のレシピ
    4.1
    短歌の上達に早道や抜け道はないが、陥りやすい“落とし穴”を知っていれば、無駄な回り道はせずにすむ。そして“素材”(=伝えたい思い)の持ち味を生かすために、さまざまな“道具”を持ち、“調理法”を知っておくことが大切だ。「味覚に訴えてみよう」「理屈は引っこめよう」「季節の変わり目をとらえよう」――。現代を代表する歌人が投稿作品の添削を通して伝授する、日本語表現と人生を豊かにする三十二のレシピ!
  • 丹下左膳(一)
    -
    名奉行大岡越前守が治安を預かる大江戸。神変夢想流大試合の一夜、不慮の災いから所有主の許を離れた大小二口の妖刀――分ければ災いたちまち下り屍山血河を築き、互いに慕いあって夜毎に啜り泣くという宿業の乾雲丸、坤竜丸。大は怪剣士丹下左膳の、小は諏訪栄三郎の手に渡り、それを狙って諸国の剣客、美女、妖婦らが卍となって血の雨降らす……。
  • 丹後 殺人迷路
    2.8
    深夜、十津川警部の電話が鳴った。妻を殺し最近出所した男からだった。死んだはずの妻を見たという。同日、電話の男が殺され、現場に次の殺人を予告する血文字〈文殊に聞け!〉が残されていた。十津川は丹後に急ぐが、予告通り男が射殺され、凶器の指紋から、ライフルのオリンピック選手が浮上する。だが、彼は昨年焼身自殺していた……。死者が絡む奇怪な予告殺人を描く長編ミステリー。

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