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Posted by ブクログ
「笑いについて知るものは賢者だが、笑いについて語るものは馬鹿だ」
「タモリとお笑いへの思いを一冊にまとめる。そのためなら、僕は喜んで、馬鹿になろうと思います」
(「はじめに」より)
ここまで言い切る著者があえて、タモリについて、お笑いについて語る一書。
よくぞここまで書き抜いた。
著者の当事者に対する距離感と、愛の深さから生まれる論考の数々に目からウロコが落ちまくる。
昭和から平成を駆け抜けた究極の長寿番組「笑っていいとも!」の真骨頂について。
「私も、あなたの数多くの作品のひとつです」--恩師・赤塚不二夫の葬儀での伝説の弔辞。
「世界のキタノ」ビートたけしの原点は、無名の青年時代の師匠・深見千三郎。
プロレスラーに例えれば「華麗なる盗人」(古舘伊知郎)と呼ばれたハルク・ホーガンだ。
憧れを自分の中に取り込み、昇華させていったから。
「さんまさんはよく言っていた。俺はひとを笑わせるために生きてきた」ーーどんなに悲しみ背負っていても笑いを作り続けた明石家さんまは、プロレスラーでいえば武藤敬司。
それは、どんなに強くても総合格闘技には行かなかった。
著者はこの本を読み感動した女性から告白され、結婚にまで至ったという(エッセイ集「大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた」より)。
まさに、人生の節目に「いいとも」があり、「タモリ」がいた。
だが、その人生を節目をたぐり寄せたのは著者自身の力だ。
「人間のすることで、他の動物にはできないことがふたつあります。それは、笑うことと、祈ることです」(「おわりに」より)
批判されることを覚悟で、愛するものを語り抜いた、著者の覚悟が素晴らしい。
渾身の一書。
Posted by ブクログ
タモリや同時代の芸人についてのウンチク本ともいえるが、読者である自分の人生と重ね合わせると、タモリが30年以上「いいとも」をやってきたことの偉業さを気づかせてくれる。また、その偉業を成し遂げるために必要だった、ある意味、世間や人生に対する諦観を30数年の中で身に着けていったということか。振り返れば自分はたった20年にすぎないが同じような感覚でいたのではないかとも感じた。それでも淡々と続けていける心性が必要なのだろう。そういう意味では60歳を目前として、今後の生き方にわずかなりとも影響を与えてくれた。「マンネリズムのすすめ」ということか。偉大なるマンネリズムの中で、ところどころキラリと輝く星のような楽しみ・成果を残したりもしながら、マンネリズムから逸脱することなく、ゆるい傾斜をそうきつくも感じずに上っていく、それはウォーキングのように、肉体も維持しながら、人生を豊かに生きていく優れた方法論でもあるだろう。タモリ本でそれを知ることの、世の面白さでもある。
Posted by ブクログ
これまでなぜか語られることがなかった芸人タモリを新鋭の異才作家・樋口毅宏が著すとなり、出版前からかなり話題になっていた本。タモリって、30年間もいいともに出続けながら西川きよしのような刻苦勉励さは微塵も感じず、脱力感は所ジョージ同様でありながら、ライフスタイルを切り売りをせず、たけし同様大学中退のインテリでありながら政治について黙して語らず。博覧強記でありながら上岡龍太郎的な理屈分析を芸風にはせず、もちろんクイズ番組にも一切出ず、本も出さない。とは言え、ストイックな堅苦しさも醸さないし、お笑いの大御所よろしく、自分の番組に可愛がってるタレントを遇することもない。そう、どの鋳型にもはまらない得体の知れない狂気さを実は孕んでいるんではないかと著者は見る。お笑いBig3のたけし・さんまとの比較も交えながらサングラスの奥に潜む芸人タモリの真髄に迫った好著。オススメ!
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