ここ数十年で、日本人の消費生活を大きく変えたのが、コンビニ、自販機、そして宅配便なのだという。
確かに私が子どもの頃、家の近所にコンビニはなかったし、宅配便はもちろんなかった。
自販機はあったけれど、これほどの数も種類もなかった。
今では当たり前だというのに。
そのうちの宅配便。
江戸時代、荷物や
...続きを読む手紙を運んでくれるのは飛脚だった。(民営)
それが明治時代に郵政事業が国の事業となり、全国一律の金額で配達してくれるとはいえ、ポストや郵便局まで持ちこまなければならないし、サービスとしては明治に作られた法律から逸脱することなく、時代に合わないものとなっていた。
そこに切り込んでいったのがヤマトだ。
事業申請しても放置したまま認可しようとしない郵政省に、公開質問状を出したり、司法に訴えたり。
世論を味方に少しずつ事業拡大しようとするヤマト。
それに対して法律を盾に、大和の言い分を認めない郵政省。
しかし、世の趨勢がそれを認めないことに気がつくと、今度はヤマトの牙城を切り崩しにかかる。
官の権力を振りかざしてみたり、大きく値下げをしてみたり。
10年ほど前の本なので、本当に明治維新から130年もの官と民で戦っていたんだということがわかる。
法令を遵守するのが官の根幹とはいえ、利用者の利便よりも法令順守というのは本末転倒にしかならない。
国家公務員として忸怩たる思いをかみしめながら読みました。