【感想・ネタバレ】増補改訂 加藤周一を読むのレビュー

あらすじ

書く・読む・語ることを中心に営まれた90年近い生涯。「詩人の魂」と「科学者の方法」により紡がれてきた著作の全軌跡を展望する。

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Posted by ブクログ

編集者として加藤周一に親しく接し、立命館大学の加藤周一現代思想研究センターのセンター長を務めた著者が、加藤の生涯と思想について解説している本です。

本書は、加藤の著作を年代順に収録した『加藤周一自選集』全10巻(岩波書店)の「解説」として書かれた文章をまとめ、増補したもので、多方面にわたる加藤の仕事が手際よく整理されています。また、「私は「政治」を好まない」とくり返し語った加藤が、「戦後」の終わりが語られる状況のなかで危機感を強め、時代の流れに抗するための行動へと踏み込んでいった経緯についても、著者自身の視点からの考察がおこなわれています。

一方で西洋と日本の文化についての独創的な見解を語りつつ、他方で同時代の政治や社会に対して積極的に発言をおこなってきた加藤周一という思想家の全体像を把握することは容易ではありませんが、本書は加藤を理解するための手がかりとして有益だと思います。

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2025年06月18日

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