鷲巣力のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレここ数十年で、日本人の消費生活を大きく変えたのが、コンビニ、自販機、そして宅配便なのだという。
確かに私が子どもの頃、家の近所にコンビニはなかったし、宅配便はもちろんなかった。
自販機はあったけれど、これほどの数も種類もなかった。
今では当たり前だというのに。
そのうちの宅配便。
江戸時代、荷物や手紙を運んでくれるのは飛脚だった。(民営)
それが明治時代に郵政事業が国の事業となり、全国一律の金額で配達してくれるとはいえ、ポストや郵便局まで持ちこまなければならないし、サービスとしては明治に作られた法律から逸脱することなく、時代に合わないものとなっていた。
そこに切り込んでいったのがヤマトだ。 -
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編集者として加藤周一に親しく接し、立命館大学の加藤周一現代思想研究センターのセンター長を務めた著者が、加藤の生涯と思想について解説している本です。
本書は、加藤の著作を年代順に収録した『加藤周一自選集』全10巻(岩波書店)の「解説」として書かれた文章をまとめ、増補したもので、多方面にわたる加藤の仕事が手際よく整理されています。また、「私は「政治」を好まない」とくり返し語った加藤が、「戦後」の終わりが語られる状況のなかで危機感を強め、時代の流れに抗するための行動へと踏み込んでいった経緯についても、著者自身の視点からの考察がおこなわれています。
一方で西洋と日本の文化についての独創的な見解を語 -
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戦後民主主義を代表する二人の思想家の、おおよそ太平洋戦争の敗戦を迎えるまでのあゆみをたどっている本です。
学生時代の丸山が、長谷川如是閑の講演を聞きにいった際に特高に捕まり、理不尽な取り調べを受けたことはよく知られています。加藤もまた、戦争へと突き進んでいった国の行く末に憂いをいだいており、非合理的な必勝の信念を説く同級生をやり込めたエピソードが『羊の歌』正・続(岩波新書)で語られています。こうした体験をもつ二人の戦前および戦中のすがたを追っているということもあり、いきおい自立した精神の持ち主が「暗い時代」をどのように生き延びたのかという観点からの記述になってしまうのは、しかたがないことなの -
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日本が世界に誇るべき企業として、「製造業」で「ホンダ」「ソニー」があるとすれば、「サービス業」においては「宅急便」の「ヤマト」があると思っていたが、本書の明治以来の「宅配便」の歴史を読むと、その変転と企業の勃興は実に興味深いと思えた。
明治初期の「飛脚便から宅配便まで」の歴史。「宅配便が変えた日本人の暮らし」の考察。「『官』と『ヤマト』の戦い」等を読むと、まさに時代と事業の変転を見る思いがした。
本書の焦点が、「官」とリーデングカンパニーである「ヤマト」の戦いにあること、そして「ヤマト」が「官」との戦いに勝利しつつ企業規模と事業規模を拡大し、新たな市場を開拓したことは間違いがないのだろう -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
日本人の暮らしを変えたコンビニ、自販機、宅配便。
このなかで、民間宅配便業は、明治の「飛脚」以来百三十年間、常に官立組織の風下に立たされてきた。
とりわけ、今日の「宅急便」を実現させるまでにヤマト運輸が監督官庁と繰り広げた闘いは長期に渡った。
現在、民営化を控えた「郵政公社」が、民業に対抗し、宅配便事業を着々と進めている。
国際資本の参入や、新事業の展開など諸問題を抱えた宅配便の未来は。
[ 目次 ]
第1章 宅配便とは何か(「宅配便」とは何か;宅配便はどのように運ばれるのか ほか)
第2章 宅配便が変えた日本人の暮らし(宅配便利用の風景;拡大する通信販売と産地直送 ほか)
第 -
Posted by ブクログ
あるときサークルKに行くとクロネコの宅急便をとりあつかわなくなっていた。ぼくはその時、直感的に、これはきっと郵便局(総務省)の攻勢だと感じた。当時まだ郵政は民営化されていなかった。本書にはクロネコのヤマトとお上の「抗争」が生き生きと詳しく書かれている。家庭の小荷物をあつかったヤマトの宅急便は当時、大口しか扱わなかった運送業界の常識を破るものであったし、それを全国に届けることも当時は常識をはずれたものであった。ヤマトはお上に対しそれをねばり強く要求した。それに対するお上の態度はほおっておくというものだった。そんなとき、これまでなら民は泣きねいりをするのが常識だったが、ヤマトはそれを不作為の行為