吉田篤弘の一覧
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ユーザーレビュー
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「短編連作集の交差点のような物語」と作者あとがきにあるように、すべてが緩やかにつながっていて、目を閉じると真夜中の静かな東京が浮かんでくるような物語でした。
すてきな物語を描く作者さんに出会えてよかった。
Posted by ブクログ
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新刊「鯨オーケストラ」への期待感を高めたく流星シネマに続き再読。相変わらず素敵な世界観、そしてあとがきの「鯨オーケストラでお会いしましょう」で期待感を高めるには充分でした。
Posted by ブクログ
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吉田さんのつむぐ物語は、やはり好きだなぁと思う。
それぞれのおはなしに共通するあることに気づいて、あっとする。
あとがきを読んでまたあっと思う。
その、あっとするのは大きな衝撃ではなく、ささやかな、ほっとするような、あっ。
Posted by ブクログ
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吉田篤弘さんの作品を読むのはまだ3作目なのだけど、
いつも始めの1行が素晴らしい。
「この世界は、いつでも冬に向かっている。」
グッと引き込まれて、まだどのような内容かも分からない私を、ストンとその世界に着地させてくれる。
クラフトエヴィング商會としての装幀も、吉田さんのイラストも可愛らしくて、創造
...続きを読む力が掻き立てられる。
それに読み始めて直ぐ、他の作品に繋がる欠片を見つけた。
「それからはスープのことばかり…」の街や空気感…。
「天使も怪物も…」の未来予測、鯨、作家、眠り…。
そしてどちらにもあった映画上映シーン。
きっと吉田さんの中には別の世界が存在していて、そこはどこか懐かしく、ちょっぴり私達の住む現実とは違っているけれど、
魅力的な人々が毎日を営み暮らしている。
彼らの暮らす世界は、遠いようで実はすぐ傍なのかもしれない。
吉田さんは…というより「太郎君」は、世界はいつでも冬に向かっており、我々一人一人もまた冬に向かいつづけていると言う。
いま、自分が四つの季節のどのあたりまで来ているかは分からないけれど、神様がそのように世界をつくったからと。
唐突だが、私は暗渠という言葉をNHKのブラタモリで知った。
かつては川だったが、今は水面が見えないように蓋をされた水路だ。
本作では暗渠が最も重要なキーワードだ。
暗渠がイメージ出来れば、『「むかし」や「かつて」はそう簡単には消滅しない』で、『「いま」と隣り合わせ』で『息づいている』との作者のメッセージをしっかり受け取ることができる。
暗渠がまだ川だった頃、迷い込んできた鯨がいたと椋本さんが話し始める。
人々の生活区域に鯨が入り込むエピソードは「天使も怪物も…」でも語られた。
鯨オーケストラも「天使も怪物も…」のエピソードと響き合う。
2023年2月28日に角川から吉田さんの単行本「鯨オーケストラ」も発刊されるらしい。
そうやって象徴的な何かを作品の共通事項としながら、世界観と時間軸が少しずつずれたストーリーを、吉田さんは紡ぎ続けているのかな。
切り取り方、時間軸、キャストを変えながら、吉田さんは変わらぬメッセージを私達に送り続けてくれている。
全ての吉田作品が音叉のように響きあっているように感じて、不思議な思いだ。
吉田さんが作品に散りばめている欠片は、まだまだ沢山ある。
吉田さんお馴染みの懐かしい街並みや欠片達に導かれ、私もその世界に入り込んでゆく。
それがとても心地いい。
鯨塚の云われも、流星新聞の由来も、コウモリ傘が降ってきた日に帰ってくるミユキさんも、其々のエピソードが素敵で、
それらも吉田篤弘ファンとしてうっとりするところ。
それから、他の吉田作品みられるスープやパンのように、
私達がその言葉を聞いたときに思い浮かべる、共通の温かさや匂いやホッとする美味しさを、
小説の中に上手に織り込むのも魅力のひとつ。
今回はオキナワステーキでありバイカルカレーであった。
同様に吉田さんは天気や季節が持つ、私達の共通のイメージを取り込むのも巧みだ。
2章で初めて語り手である太郎君のフルネームも明かされる。
2章以降も吉田さんの作り出す不思議で素敵なエピソードが続くけれど、紹介し出すとキリがない。
うっかり落としてしまったメアリーの「ア」、「ひろげたシーツが風に飛ばされないよう、要所要所に置かれた、重しのようなものだった」というアルフレッドの「ア」など。
太郎君の思いとして『自分の手で土の中から「おとぎ話」のかけらを見つけ出すのは、骨そのものが見つかるだけでなく、より深い奥行きをもった神話に指先で触れる思いだった』との文章があるのだけど、
これって、素敵なエピソードをご自身の中から見つけ出した時の、吉田さんご本人の感覚なのではないかと思った。
そしてアルフレッドの言葉として、
「小さなかけらを拾い集めて、大きな輪郭を見つけ出すこと」
カナさんの台詞として、
「だって、たいていのものはかけらなのよ。分かりにくいだけでね、すべてが何かの一部なの」
と続く。
小説1つ分の心地良さは、読み終えても暫く私の中に留まってくれる。
その余韻が去ったあと、また新たな1冊を手にしたくなってしまうのだ。
Posted by ブクログ
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螺旋プロジェクト 未来編。
面白かった。登場人物が次々に出てきて、パラレルに、小出しに物語が進む。読みにくいなあと思いつつも、読み進めてしまえるあたりが秀逸。
伊坂さんが何かの本のあとがきで「風呂敷を目いっぱい広げて、それをどう閉じるかが大変だけど醍醐味」みたいなことを言っていた。この作品を読みな
...続きを読むがらこのことを思い出して、風呂敷どこまで広げるんだろう?と思いながら読んだ。最終節で一気に種明かしされるのが爽快でもあるが、ここから逆算して各論を作り込み過ぎてるかなという気もした。エンディングは螺旋プロジェクト全体をまとめないと、という予定調和に縛られちゃってる気もするし。
小説家になりたいと漠然と思ってた時期があった。本読みだって自負はあったし、文章を書くこともできる方だと思ってた。でも大した努力もしなかったし、日々の出来事やその時の環境に流されて今の職業に至ってる。技術系ではあるけど、物書きのお仕事ではある。
で、この物語の中身自体が、未来のことを予測して役者?にその通りに演じさせる黒幕・裏方がいて仕掛けがあって・・・。これって、小説家ってまさにこうした作業をやってんだよね、たぶん。小説家ってプロだよな、と思わされた本でした。
Posted by ブクログ
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