吉田篤弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに小説を読み終わって、涙が流れた。
吉田篤弘さんの作品を読むのは多分これで3作目。
装幀に惹かれて直感的に手にとったが、間違ってなかった。
あぁこの感じ、やっぱりエモいなぁと思いながら読み進めた。
昔の在りし日の描写は読んでいて楽しかった。
ライターの仕事をしている主人公は、ある日仕事の依頼を引き受ける。
「冬の音楽」というタイトルのアンソロジーを作るので、聴いていた音楽を紹介してください、と。
26年前、1986年に活動していた音楽デュオ「ソラシド」
今にも破れそうな古びたチラシにその名前を見つけ、導かれるように彼女達のことを探していく物語。
確かに存在していたもの―――
そんな言葉が心の中に残る。
例えばレコード、昔祖母の家にあったなぁと思い出した。
そっとレコード盤に針を落とす。
プツプツと特有のノイズからの始まり。
今では画面をタッチするだけで簡単に音楽を聴くことができて、とても便利だけれど…
ミステリー要素も少しあり、少しずつ主人公の手記と現実が交差していく。
切なさや寂しさが入り混じる中に、静かで温かみを感じる物語でした。 -
Posted by ブクログ
4人の会話が面白くて楽しくて、ほかの作品でもまたこの4人でやってほしいです!
作家さんならではの、「この先はこう進むのでは?」「いや、まだこれだけページがあるから私ならこういう展開にしますね」などの予想を聞けたのも面白かったです。
それだけでなく、みなさん結構ふざけていて「名前が覚えられない!」とあだ名をつけたりツッコミを入れたりしながら話しているのがすごく良かったです。
作家さんたちの対談というと、もっと堅苦しいものを想像していたけど、そんなことはなくて友達同士で本についてあれこれ話しているような楽しさがありました。
「罪と罰」はハードルが高い作品というイメージがあって今まで読もうと思ったこともなかったけど、4人の話を聞いているうちにどんな作品なのか気になって読んでみたくなりました。
読まないのにみんなであれこれ想像して語ることで、こんなに「読む」ことを楽しめるんだなと思いました。
読書って、実際に本を読み終わることだけじゃなくて、読んでいる途中に考えたり、人と語り合ったり、読み終わったあとにまた思い出したりすることまで含めて「読む」なのかもしれないな、と感じました。
岸本佐知子さんが、4年越しにみんなでまた罪と罰の話になったとき、みんなだいぶ記憶が薄れてるところも、私もあんなに感銘を受けたのにほとんど内容覚えてない!ということがあるので、私の記憶力と頭の悪さかと思ってたけど、作家さんたちもあるんや!と安心しました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ前半がエッセイ、後半が小説という、最高に贅沢な構成の一冊!
全体的に静かで優しく、でも哲学的な深みがあり、吉田さんらしい魅力がぎゅっと詰まった作品だった。
特に、「舞台袖」という言葉の使い方。
光の当たるメインステージの物語の傍らでは、常に人知れず別の物語が広がっている。それを想像することで、物語は永遠に終わらない、という考え方がとても素敵だった。
この視点は小説だけでなく、芸術や人の人生そのものにも当てはまるなぁとも感じた。
好きな作家のエッセイを読むと、その人の考え方に触れて自分の感性が豊かになる。
そんなことを改めて実感させてくれた、何度も読み返したくなる大切な一冊に出会えました。 -
Posted by ブクログ
過去の自分を認識して受け止めて、前に進めさせてくれる物語。
吉田篤弘さんの本は2冊目。電球交換士で心を奪われ、他のも読んでみたくなった。
結果、ものすごく良かった!個人的に良い本というのは情景や人物が勝手に思い浮かぶ本。頭の中で映像のように動き、その成行きに目を奪われる。
そして読み終わったあとに少し現実の世界がどこか変わったような感覚になる。
まさにそんな印象を受けた本だった。
あとがきに書いてあったが、実は本書は3部作のうちラストらしい。これだけで十分面白かったのに…!
これは他の2冊も読まなければ。
はぁ。久しぶりにいい読書をした。 -
Posted by ブクログ
どの短編も時間は、ほぼ午前一時の出来事。
深夜に起きる出来事は、いつもの吉田篤弘さんの世界だなと思い、楽しみながらの読書でした。
タクシー会社〈ブラックバード〉の松井が乗せたミツキの探し物から、どんどん人が繋がっていきました。
読者の私が好きなのは、古道具屋〈イバラギ〉の店主。品物の名前の付け方で、物の見方が変わるというのが面白かったです。
あとがきによると、連作短編のようでいて、実は吉田さんの頭のなかにある10冊の本が交差点のように交わったもの、だそうです。読めば読むほど全体が繋がってきて、最後にはいい方向に皆が向かっている感じがしてきました。
日常から離れて、この本の世界に入り込むとなんだかほっとしました。言葉ひとつひとつが、どこまでも掘り下げていけて、物語も永遠に続く感じがします。吉田さんの本の魅力はそんなところにある気がします。
『おやすみ、東京』。この本は、昼間の喧騒から離れた静かな深夜に読むと、すうーっと世界に入り込めて楽しめる、そんな本でした。
〈目次〉
びわ泥棒
午前四時の迷子
十八の鍵
ハムエッグ定食
落花生とカメレオン
ベランダの蝙蝠
羽根の降る夜
ふたつの月
星のない夜
青い階段
星は見ている
最後のひとかけら
あとがき
連作短編の交差点