吉田篤弘のレビュー一覧

  • 天使も怪物も眠る夜

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    時代設定や登場人物の多さから、かなり難解な一冊でしたが、ラストで気持ち良いほど全てのパーツがはまっていき、読後感は最高でした。著者ならではの不思議な空気感もあって、ファンタジー色はとても強め。万人受けではないかもしれませんが、時間をかけてゆっくり物語に浸りたい方には是非読んで頂きたいです。

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    2024年12月04日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    岸本佐知子さんの編んだ書き下ろしアンソロジー、タイトルに惹かれてまず読んだ津島佑子の短編「ニューヨーク、ニューヨーク」が素晴らしかった。読みながら、読み終わってから、幾つものことを思った。
    「ニューヨークのことなら、なんでもわたしに聞いて。それがトヨ子の口癖だった、という」冒頭のセンテンスを読んで、わたしも数年前の夏に数冊の本を読むことで行ったことのない「ニューヨークのことはもう分かった」と嘯いたことを思い出す。そこには彼女がニューヨークを思うのと同じように個人的で特別な理由があったのだけど。
    その後に元夫と息子がこの世にいない彼女について語り合うことで明らかになり“発見”される、今まで知り得

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    2024年11月13日
  • それでも世界は回っている 2

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    叔父さんの人間らしさが好き。
    自分の中に、目を背けたいものがあるときマシンガンのように喋っちゃうとことかとても共感した。
    ラストが一気に謎すぎて、これは3巻読まないとと思った。ハルカとカナタさんと目覚まし時計。

    大人になっていくってことは、子供の頃大事にしていたものがひとつひとつなくなっていくということ

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    2024年10月25日
  • 鯨オーケストラ

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    偶然似た人と出会い、結果人違い。でもそれが縁を作る。ここに著者のこだわりを感じる。なぜか?理由はミユキさんの言葉=「人と別れるのは自分で決められるけど、誰かと出会うのは自分で決められないのよ。つくづく、そう思う。だから、人生は面白いんだって」重みのある人生論。でもほのぼのとしてていい。

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    2024年09月26日
  • 電球交換士の憂鬱

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    十文字扉は世界で唯一の電球交換士。メイド・イン・ホンコンの36時間仕様の腕時計をして、仕事をしている。たったひとりで、ただ電球を替える。なんかいいなあと思った。

    なぞなぞのような話や盗難事件の真相にせまったり、自分と瓜二つの人の存在を利用してみたり。いろんなことがあったが、物語は淡々と進んでいった。

    そのなかで、食べ物(ベーコン、カレーライス、玉子サンド)が、読むだけでとても美味しそうな感じが伝わってきた。街の様子を頭のなかで思い描くのも楽しかった。

    電球交換士の憂鬱なことは、あることでほぼ解決した。「人は不死身になれなくて憂鬱になるのかと思っていましたが、人を憂鬱から解放して幸福にする

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    2024年09月22日
  • 電球交換士の憂鬱

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    不死身にはなりたくたいですね。
    ヒトは命の時間が限られているから、老いることがてまきるから、色んな事や物が美しいと思えたり、感動できるんだと思いました。

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    2024年09月21日
  • 『罪と罰』を読まない

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    〈読まずに読む〉とは
    「文字を読む」と「先を読む」の組み合わせ。
    この興味深い読書会を覗き見できるのが本書であり、笑いたい時にぴったりな本だと私は思っています。
    登場人物に勝手にニックネームを付けちゃったり、各々が持ち合わせた情報から推理しつつ皆さん好き放題言ってて(特に三浦しをんさん)、電車では読めないレベルで笑えます。
    読後の読書会の模様も描かれているので「罪と罰」のネタバレありですが、読んだことのない「罪と罰」を読んでみたくなります。
    「本は読まなくても読める」
    「読む前から“読む”は始まっている」
    「小説は、『読み終わったら終わり』ではない」
    という言葉が素敵だなと思いました。

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    2024年09月15日
  • おやすみ、東京

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    掴みどころのない不思議な人たちの夜の話。タクシー運転手の松井さんが運ぶ奇妙な繋がり。不思議だけど怖くは無い、心地よい夜が描かれている。

    どこかふわふわとしていて、まるで夢みたいで、朝になったら忘れてしまいそうな物語

    偶然が重なってそれぞれが願う所へたどり着こうとする過程が愛おしい。ほんとうに偶然なのかはわからないけど。

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    2024年09月14日
  • 台所のラジオ

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    題名通り、台所とラジオをベースに展開される12本の物語。

    私たちが生きる世界の話なのか、はたまた別の世界で紡がれている話なのかは分からないけど、全ての物語が緩い糸で繋がっている

    それぞれの物語の結について書かれることは無く、起承転で終わっている。すっきりしないと捉える人も居るだろうが、結に向かっていくエネルギーを読者に残したまま終わるのが今までにない形で面白い

    作者の後書き「天使の声が聴こえてくるラジオ」もオチがちゃんとあってなるほどなという感想

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    2024年09月13日
  • おやすみ、東京

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    短編なのに長編。
    読み終わると、登場する全ての人の生きる営みが、一気に蘇ってくる。
    再読するたびに、友人が元気で過ごしているという便りをもらうような感覚が生まれそう。


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    2024年09月04日
  • 鯨オーケストラ

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    さて、3部作の最後の主人公は、川に流されて子どものときに亡くなったアキヤマくんならぬ、曽我さんである。

    三部作の第1作『流星シネマ』は「すべてのことは死に向かっている」で始まるのだけど、この第3作の最後では、サユリさんと曽我さんが合奏を始めるシーンで終わる。クラシックのサユリさんと、ジャズの曽我さんという「まったく違う道を歩いてきた二人だからこそ、そんな二人が音を合わせることで、わたしたちがまだ知らない、あたらしい音楽を作り出せるような気がするんです」。
    そして、「真っ白な空間に、はじまりの合図の『ラ』の響きが鳴り渡った。」という希望に満ちた文章で幕を閉じるのだ。
    まったく異なる人間が結婚し

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    2024年08月18日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    螺旋プロで小生初、吉田篤弘さん。未来の話ですが、ストーリもよく練られて、前向きかつ軽快で虜になりました。現代版の星新一さんのような印象です。他の著作にもトライしたいです。

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    2024年08月12日
  • 鯨オーケストラ

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    一度行ってみたいと思わせてくれる町で、偶然か必然なのか不思議なことが重なって…
    新しいことを始めてみようかな~

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    2024年08月05日
  • それでも世界は回っている 1

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    吉田篤弘さんの作品を読むと何故か『デジタルデトックス』をしたくなる。ラジオが聞きたくなる。
    現実世界とは違う世界がとても心地良い。

    六番目のブルー、どんな色なんだろう。

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    2024年08月04日
  • 鯨オーケストラ

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    ネタバレ

    多々さんの言葉で、
    感動することに「戸惑いを覚える」
    「だって、むやみに心を動かされたくないときだってあるでしょう?」

    に、まさにそれだと思いました。
    感動作と銘打つ作品に少し身構えでしまう私は捻くれているのだろうか?そんなに心を揺さぶられたいものだろうか?それはそんなに絶賛されるものだろうか?思っていましたが、まさか私の心に共鳴するような言葉がでてくるなんて思わなくて虚をつかれました。

    多々さんの言葉を借りると、むやみに「感電」しなくて良いのがこの方の本で、だから毛布に包まれるような安心感で手にとってしまうのだなと得心がいきました。
    ああ、だから心地いいんだな。

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    2024年07月31日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    昔途中まで読んだ小説BOCの吉田さんの作品
    個人的には1984年味が少しあったりで面白かった
    羽深と田所がすき、あの掴みどころのない感じが
    ちなみに間違えて2冊買ってしまったのはここだけの話

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    2024年07月22日
  • おやすみ、東京

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    なんてお洒落な。みんなが眠りにつく深夜の街。静かな夜の街に、それぞれの人生のストーリー。その小さなストーリーが交差点のように、交じり合って、重なり合って、すれ違って。それぞれのささやかな出会いを、夜空の星になって、上から静かに眺めているような、そんな感覚を味わって、とても柔らかい気持ちになった。

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    2024年07月17日
  • ガリヴァーの帽子

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    ネタバレ

    吉田篤弘さんの短編が読んでみたくて、手に取りました。
    かなり趣向が変わってる話もあり、読んでいてワクワクしました。
    「イヤリング」は、何でも相談所が、本人達に内緒である男女のキューピッドになっているとわかった時には、こちらまでにやけました。
    ものすごく手の震えるギャルソンの話は、緊張し過ぎて失敗することは、本気でその物事に取り組めているって事だということが謳われていて、勇気がもらえました。
    ゴセンシは、シャンパンの泡たちが蒸発するまでの気持ちの話で、こんな話読んだことありません笑

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    2024年06月27日
  • 鯨オーケストラ

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    タイトルに惹かれて初めて読んだ作家さんですが、なにか優しい気持ちになりました

    3部作の3作目なのか…
    初めから読んでみましょうかね

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    2024年06月01日
  • それでも世界は回っている 3

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    「ロングセラー『月とコーヒー』から派生した〈インク三部作〉堂々完結!」と帯に書かれて、このシリーズも終わるのかと、少しセンチメンタルな気持ちになりました。

    一時期、吉田篤弘さんの著作品に没頭して読んだ時期がありました。

    こう表現するのは語弊があるかもしれませんが、私にとって著者の作品は、「星の王子さま」や「銀河鉄道の夜」そして傾向が外れますが「デミアン」を読んだ頃の自分に帰らせてくれる感があるのです。(自分の読書歴の狭さも感じますが)そして著者の書かれている文章にとても共感してしまうことが多いことも、いつも驚きです。

    人と人は、考えや思いが違うから争うんじゃないんだよ。同じことを考えて、

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    2024年05月20日