吉田篤弘のレビュー一覧

  • 圏外へ
    説明のしようがない作品w。

    でもその世界観はさすがで、あらゆるものが魅力的。語る側と語られる側。

    そして言葉のあやふやさというか、言葉を分解して考えるこの発想力。「雲を呑む」。たしか、架空とは「空に架かるモノ」つまり虹であり雲であるといったのも作者ではなかったか。

    広辞苑の第7版が出るこのタイ...続きを読む
  • 台所のラジオ
    短編集。どの話が一番面白いか?を考えながら読んでいた。同じラジオ番組を聞いてる人でも境遇はまちまち。いろんな人たちが登場する小説を読み、たまたま駅のホームに立ってる人、同じ定食屋にいる人が、どんな人生を抱えてるのか?を自身の日常生活でふと考えるようになった。異なる視点を持たせてくれる変な小説でした。
  • 圏外へ
     物語論を小説にした作品。物語をどう始めどう終わらせるか、人称はどうするか、登場人物たちはどこで生き、はたして生き続けるのかどうか、言葉が生み出す微妙なニュアンスをどう考えるか、などなど。カタリテである主人公の生み出す虚構が作家の現実と混ざりあいながら進む物語論はどう終結するのかが気になる、最後まで...続きを読む
  • ソラシド
    かつて奏でられた音を求める物書きの話。
    読後に、文章で読んだ光景が自分の記憶だったように錯覚する、そんな一冊。
    音と当時の空気を閉じ込めた一枚のレコードは、耳にした人に影響を与え、文章として記述され、読み手は音を求める。
    なんて穏やかで、心地良いループだろう。
  • ソラシド
    「新潮」の連載でちょいちょい読んでいたのだが、
    これは一冊の本の方が楽しめた。

    相変わらずの心地よい空気感のある作品。
    ただ、「ソラシド」という名前しかわからないミュージシャンを探し求める、とゆーストーリー上、
    ちょっとミステリーチックでもあり、いい意味でずっと緊張感、みたいなものが作品を通してあ...続きを読む
  • ソラシド
    もう まだるっこしいなぁ
    と 思うか
    いいねぇ このまったり感
    と 思えるか

    もちろん 後者になれる人は
    独特の浮遊感が
    なかなか たまりませんでしょうねぇ

    小説の筋というよりは
    そこに描かれている雰囲気を楽しむ
    そこが
    この 小説を楽しむコツでしょうか

    それにしても
    表紙の レコード は
    ...続きを読む
  • ソラシド
    吉田さん独特のストーリーのテンポが大好き。いろいろと都合よく収束していくのでファンタジーだと割り切って読んでいる部分もあるけれど、こんな素敵なことがおこったらいいなって思える。一緒に「ソラシド」を探しているうちに、自分も遠い昔の何かを探してみたくなった。
  • ソラシド
    耳元で心地いい音楽を聴いた後のような、すごく素敵な気持ちで読み終えた本でした。
    全体的に落ち着いたトーンで、コーヒーの茶色から始まり、ニューヨークのグレイ、冬の吐息の白、と浮かび上がるシーンが美しくて、なんとも言えない不思議な世界に迷い込んだようです。

    過去と現在、現実と空想が入り混じった世界は、...続きを読む
  • ソラシド
    にやりとする。こころにくい文章に。
    トークイベントの話を思い出しつつ読む。行って良かったなぁ。。

    もう一回読み返したら、散りばめられたいろいろにもっと気付ける気がして。
  • 圏外へ
    「ふたたび」の『圏外へ』
    文庫本では初めましての『圏外へ』。
    そうだ、そうだ、そうだったと確かめるような読書になった。
    一度通っただけじゃ覚えられない道をもう一度確認しながら通るような。
    そもそも一度で覚えられなかったのは、歩きながらきょろきょろし、通り過ぎた家のポストとかすれ違った人の髪型とか(す...続きを読む
  • 圏外へ
    最初は、異次元に迷いこんだような感覚。そのうち、カタリテと一緒に、物語論とでもいうべき壮大な旅をしている気持ちになる。
    カタリテに生み出されながら、カタリテを育て、ときにはその背中を押してくれる愛すべき物語の登場人物たち。そして、彼らが発する言葉たち。
    どんなものにも「役割」と「詩」がある…円田さん...続きを読む
  • 圏外へ
    現実のことなのかお話の中のことなのか、誰が誰なのか、どこの世界の話なんだか、何がなんだかわからなくなってくるのだけど、この方独特の文章がわたしは大好きで、その世界に浸かっているだけで幸せを感じるんだよねぇ。今回も、楽しかった。
  • 圏外へ
    書いていてスゴク楽しかっただろうなぁ。この物語を書いているうちは、楽しくってしかたなかったろうなぁ。でもその反面、辛かったろうなぁ・・・と想像してしまいます。夢と現実と妄想が入り乱れ、創作に行き詰ると、登場人物たちが勝手気ままに語り出したり、語り手自身がいつの間にか表舞台に出てきてしまったり、ストー...続きを読む
  • 78(ナナハチ)
    秋の夜に相応しいゆったり落ち着いた連作短編集。
    78回転の古いレコードに関する物語がキーになっているものの、舞台や時代は大きく変化して、捉えどころがないにもかかわらず、何故か惹かれてしまう。この独特の雰囲気をうまく表現できないのがもどかしいです。
  • 78(ナナハチ)
    前半から後半の半ばまでのけだるいような空気がさいごにむかってぐいぐいひきずるような力に変わっていって、さいごのさいごにきらりと収束するんだけどそれどもまだどこかに伸びていくのではないかとおもわせる。居心地はいい本。
  • 78(ナナハチ)
    「78回転のレコード」にまつわるお話がいくつもあって、
    それらが後々つながっているところが面白かったです。
  • 78(ナナハチ)
    ちょっと風変わりなタイトルですが、〝78(ナナハチ)〟とはレコードの回転数のこと。蓄音機でないと聴くことのできないSPレコードの回転数が78なのだそうです。その78回転のレコードにまつわるいくつもの味わい深い物語が、時を越え、場所を変え、くっついたり離れたりしながら、いつしかひとつの流れにたゆたうよ...続きを読む
  • 78(ナナハチ)
    吉田さんサイコーっす。
    クラフトエヴィング商會さんたちの作る世界は失われたモノとかどこかへ行ってしまったモノに溢れていて当て所ない郷愁があってすごく素敵。
    そして中身の短編小説の重なり具合が素敵すぎです。
  • 78(ナナハチ)
     最近注目している作家さん。ひさしぶりに文庫が出たよう。過去と現在とごちゃごちゃになっちゃう時があるけど、やっぱこの作家さんおもしろーい
  • 78(ナナハチ)
    物語の始め、どうも景色が見え過ぎる気がしたのです。ピントがキチッと合って、人も世相もくっきり見える。ちょっと戸惑う。吉田さんの本を読む時のいつものテンポではなく、前へ前へと進もうとし過ぎる感じでした。
    それが後半になると、いつもの吉田さんです。ピントが合わないのではなく、狙ってソフトフォーカスにした...続きを読む