吉田篤弘のレビュー一覧

  • おやすみ、東京
    深夜の人々のささやかな交わりが描かれる12話のストーリーからなる連作短編集

    連作短編とされてはいるけど、短編としてオチがなかったり、後半はそれぞれの繋がりが明らかになっていって一つの物語になる
    なので、果たして連作短編と言えるかは疑問

    映画会社で「調達屋」をしているミツキ
    タクシー「ブラックバー...続きを読む
  • 流星シネマ
    鯨の眠る町。
    この世界は、いつでも冬に向かっている。
    と始まるが、人生の四季と重ねつつ
    静けさと暖かさを感じる作品でした。
  • 天使も怪物も眠る夜
    螺旋プロジェクト(私の中で)最後の作品。

    今まで読んだ他の7作品よりも、海と山の対立が前面には出ておらず、途中まで螺旋プロジェクトということを忘れそうになるほどだった。しかし終盤に行くほどその仕掛け(?)が分かり、これまでの7作品が紡いできた最終着地点として感慨深い作品となった。
    登場人物が多く、...続きを読む
  • 鯨オーケストラ
    吉田篤弘作品、読んだつもりになっていたけど、実はこれが初めてだった。
    「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に連なる物語だと読んだ後に知り、順番に読めば良かったとちょっと後悔。
    でも、もちろんこの作品だけを読んでも十分に楽しめる。

    読みやすくサラサラと入っていく感じの文章は心地よく、何のストレスもなく...続きを読む
  • 天使も怪物も眠る夜
    #螺旋プロジェクト
    21世紀末 眠れない人々
    科学が進みすぎた世界でも海と山の争いは続くのか
    予知に導かれる演者たち
    眠り姫を目覚めさせる王子は誰か
    運命のクライマックス
  • おやすみ、東京
    タイトルにもあるように、夜に読みたくなる本です。いろいろな人が繋がっており、落ち着いた雰囲気の物語でした。
  • 鯨オーケストラ
     本作は、『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く物語ですが、単独でも吉田篤弘さんの世界観を楽しめます。順に読むと、確かにより広く深く堪能できると思います。

     読み始めてすぐに、「あ〜吉田篤弘さんだなぁ」と、静かな世界に没入できます。本の静寂の中に、筆者のつぶやきにも似たいくつもの声が、紙の上から...続きを読む
  • 鯨オーケストラ
    鯨でここまでお話が繋がるとは。

    モカシンの作品を見てみたいと、おもわず検索してしまいました(笑)
    もちろん、想像の中でも十分にこの作品の世界が広がりました。

    いろいろな偶然が人や歴史を繋げている、不思議なようで人生ってそんなものなんだろうって前向きな気持ちになりました。
  • 流星シネマ
    「屋根裏のチェリー」を買おうと思っていたが、その前の話があると分かり、こちらから読むことにした。
    都会のへりの窪んだところにあるガケ下の町で、「流星新聞」を発行する手伝いをしている太郎君と、その周りの人たちの話。

    自分が創刊した「流星新聞」を太郎君に託して故郷に帰ったアルフレッド。
    「メアリー・ポ...続きを読む
  • 天使も怪物も眠る夜
    「螺旋」プロジェクトの4冊目。
    語られる時代としては一番後ろになり、皆さんのレビューを見ると最後に読むほうが良いように書いてあったが、読み始めたものはしょうがない。

    2095年、四半世紀前に建てられた壁で街を東西に分断されている東京が舞台。
    そこは不眠の都と化し、睡眠ビジネスが隆盛を誇っているとい...続きを読む
  • 屋根裏のチェリー
    アパートの屋根裏部屋で一人暮らすサユリは人見知りで、人とうまく話すことができない。
    元オーケストラのオーボエ奏者で、彼女の所属していた、がけ下の町のはずれにあったアマチュア楽団〈鯨オーケストラ〉はすでに解散していた。
    サユリの頭の中に現れて、時々話しかけてくる小さな彼女の名前はチェリーという。

    ...続きを読む
  • おやすみ、東京
    しんとしていて、少しひんやりしたような、夜の風を感じられる。
    食堂とバーと古道具屋と撮影所と電話相談室と映画館に灯がともり、それぞれの人生が近づいたり離れたりする。
    自分の街のどこかにも、きっと『交差点』があるんだろうな。夜の空を見上げたくなる一冊だった。
  • 流星シネマ
    久々の吉田篤弘さんのお話。どこを切りとっても吉田メロディが流れています。
    ちなみに私の古い知り合いのオーボエ担当が「オカさん」だったので、すっごいシンパシーが生まれました。続編にあたるお話はそのオカさんがメインのようなので楽しみです。
  • 流星シネマ
    雨が似合う物語だった。
    物語を貫くところに水の流れがあり、流れる水のように登場人物たちに淀みがなかった。
    文章は詩的だけど難解な言い回しなどはなく、優しく流れる舟のような物語にどんどんと運ばれていく。

    個人的には登場人物たちも魅力的だが、アクがなさすぎるのが物足りなくも感じた。清らかな小川の中にも...続きを読む
  • 流星シネマ
    吉田篤弘さんの本3冊目。
    どれも、ゆっくりと何気ない物語が進む、
    本の中にも書かれてたけど、
    現実が物語の続きなのか、
    身近なところで起きてる出来事なのか、
    錯覚しそうになる、身近に感じる、優しい雰囲気。
    (世界はいつでも冬に向かっている)
    冬のひとときの読書にぴったりです。


    鯨の伝説が残る街で...続きを読む
  • 屋根裏のチェリー
    本作の1行目は、まるで「流星シネマ」の1行目に続く文章のように始まる。
    「そして、冬はある日、何の予告もなしに終わってしまう。」

    「屋根裏のチェリー」は「流星シネマ」と響き合う作品だ。
    なので、「流星シネマ」から読むことをお薦めしたい。
    この物語はガケ上の街に暮らすサユリが主人公で、「流星シネマ...続きを読む
  • 天使も怪物も眠る夜
    吉田篤弘作品によく見る、たくさんのキャラクターが出てきてそれぞれが複雑に絡み合っていくお話。
    というといつも通りなのだが、今作どうもキャラクターが多すぎるのとしかけが多すぎるのと、切り替わりが多すぎて途中でついていけなくなりがちだった。休憩を挟みながら読んでいると特にそれが起きる。

    しかも「螺旋プ...続きを読む
  • おやすみ、東京
    何かすごいことがおこるわけじゃないけど、人の縁ってどこかで繋がってるもの。
    ものすごく面白いわけじゃないけど、深夜の落ち着いた少し寂しくもある雰囲気のお話。
    コークハイ飲みたくなる!
  • 屋根裏のチェリー
    文章が好き ◯
    作品全体の雰囲気が好き ◯
    内容結末に納得がいった ◯
    また読みたい ◯
    その他

    連作を途中から読むことは滅多にしないのだけれど、なぜか「読みたい」が勝ってしまった。

    アパートの屋根裏でひっそり一人暮らしをするサユリの物語。
    本作は『流星シネマ』の続編ですが、こちらから読んで...続きを読む
  • 流星シネマ
     何気ない日常を淡々と綴った小説です。町の喧騒や雑踏からかけ離れ、会話のテンポややり取りも余計な感情が削ぎ落とされた印象なのですが、不思議なことにずっと読んでいたくなる魅力があるのです。これが吉田篤弘さん特有の世界でしょうか。
     主人公・太郎の視点で描かれる日々は、優しさと静けさ、寂しさと哀しさが同...続きを読む