衝撃でした。本は「読んで楽しむ」ものだと思っていましたが、「読まずに楽しむ」こともできるなんて……!
ドストエフスキーの世界的な名作、『罪と罰』を読まない人生を歩んできた作家4人が集結。
本書前半では、『罪と罰』にまつわる4人の断片的な知識と、ランダムに選んだ数ページ分の本文だけで、物語の展開を
...続きを読む好き勝手に推理します。
そして後半に差し掛かるところで、ついに4人は生まれて初めて『罪と罰』を読む!!本書後半では実際に読んだ感想と、前半で語った見当はずれな推測や各自のびっくりポイントをおもしろおかしく語り合って笑い転げている、なんとも内輪間満載な一冊です。
そんなものが本になるんだ……文春さん思い切ったね、と今でも少し思いますが、議論にのめりこむ4人を外から眺めているうちに、自然とドスト(エフスキー)やラスコ(ーリニコフ)への愛着がわいてしまうので不思議なものです。
また、4人とも「書く」仕事をしているだけあって、前半の推察がぶっ飛んでます。「しをんさんだったらここで2人殺る?」「この小説のタイトル、もしかしたら最初は『老婆殺人事件』だったのかも」などなど……気づけば私も4人と一緒に笑い転げていました。
そして何を隠そう、私自身も『罪と罰』を読んでいないのです……!
私は『罪と罰』を読まずに本書を読みました。後半はネタバレのオンパレードでしたが、それまで4人のあれやこれやの推察を読んでいたので、そのまま最後まで楽しんで読めました。せっかくなので、本編にも挑戦してみようかと。
『罪と罰』を読んでない方は読みたくなる、読んだ方ももう一度読みたくなること間違いなし。そんな見方もあるのか!という驚きと発見を与えてくれる、良書です。