吉田篤弘のレビュー一覧
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万年筆のインクを集めている。
昨今、たくさんのメーカー(や個人)がご当地インクやコンセプトインクなど、とにかく数えきれないほど出しており、まさに百花繚乱の状態だ。
中でも人気はやはり青系インクなようで、たぶんバリエーションは一番多いのではないか。
水のように澄んだライトブルーから、夜の底のように深い深く、星さえ見えない日のブルーブラックまで。くすんだ青、煌めくラメの混ざった青。
この世に青いインクはどれだけの数あるのだろうか(これを書いている今も新たな「青」が誕生しているかもしれない)。
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この世で一番美しい「青いインク」の物語、そのはじまり。
「月とコーヒー」で書かれてい -
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「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続くお話。
文庫になるのを待っていたはずが、そこから5か月経ってようやく手にした。
河口にある町のローカルラジオ局で深夜の番組を担当している曽我くん。彼のおしゃべりと同じく、静かでおだやかでゆっくりと進む話の佇まいが良い。
ある日ラジオで、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、とある美術館で出会った一枚の絵の中に写真で見たあなたによく人がいた、と葉書が届く。
そこから話は動き出し、『「アキヤマ君――ではないんですよね?」』『クラリネットを吹ける人、探しています。』『ソガ君、ひさしぶり。』…、ページをめくるたびにいちいちびっくりしてじ -
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ねじりドーナツのような旅が終わり、オリオは少し大人になったように思いました。
この巻で、一気にココノツのことが気に入ってしまいました。彼女が抱えているものが知れたからだと思います。髪型が個性的で、イラストもとてもかわいいのです。
電球交換士のトビラさんは、またまたいいところで登場してくれました。
ベルダさんの死因は、トカイ刑事が知らせてくれました。〈六番目の青いブルー〉が作られた理由、21番まである唄の謎には、アリアドネの真っ赤なリンゴに導かれるように、オリオと叔父さんとココノツがたどりつきました。
人生とは、引き継いでいくこと
引き継ぐとは、その人の思いと自分の思いがひとつになること -
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引き続き14歳のオリオと叔父さんとオリオにだけ声が聞こえるココノツとの旅が、描かれていました。個性的な人達と出会いながら、〈六番目のブルー〉のインクの手がかりが、つかめてきました。〈五番目のブルー〉こそが1番だと思うハルカ、もしくはカナタの時計で不思議な力が働き···という感じで終わってしまいました。
21番まである唄が手がかりとなり、世界で1番美しいブルーを作ることができるのか?
〈いつのまにか〉が、果たして味方なってくれるのか?
これからどうなるんだろうと、またワクワクしてきました。
今回もたくさんの個性的な登場人物が楽しませてくれました。そして、「それでも世界は回っている」ことの -
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落ち着いた深い紺色の表紙で、少し小ぶりなせいか、手にしっくりくる感じの本です。
〈奇妙な惑星〉という名の博物館で、その保管室のベルダさんの助手として働く14歳のオリオさん。ベルダさんが使っていた〈六番目のブルー〉のインクを求めて、叔父さんとの旅が始まったところまでの物語でした。
マリオが淹れたコーヒーを飲みながら、この物語を読んでいる自分を想像をしてみたり。私にとっては、大好きな吉田さんの世界に浸った癒しの読書となりました。
さりげなく『電球交換士の憂鬱』のトビラさんが、登場していました。それだけでも、とても嬉しくて、先に読んでおいてよかったなと思いました。
トカイ刑事、オスカー商會の -
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やっぱり、ジャン叔父さんの探している唄と、オリオの探す〈六番目のブルー〉は繋がっていた。
そしてこの第3巻では、旅に同行していなかったココノツが大活躍する。
本を初めて開いた時、結末を迎える第3巻のスピンが何故赤色なのかなーと思っていたけれど、きっとカナタさんが落とした林檎の赤色だ。
ミランダさんの長~い唄にも、ちゃんと林檎が登場していたことを、ココノツがつきとめる。
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いいかい、みんな。
本当の深い青を知りたいのなら、
そのかたわらに、
本当の真っ赤な林檎を並べてみることだ。
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〈六番目のブルー〉を求める旅は、悲しみを受け入れ、この世からいなくなってしまった人たちへ想いを馳せる時間 -
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『流星シネマ』、『屋根裏のチェリー』に続く3つ目の物語。
主人公は、町のローカルFM局で深夜の番組を担当する曽我哲生。
これは、彼が17歳の頃、古びた映画館〈銀星座〉で働いていた多々さんに描いてもらった絵が導く、奇跡のような出会いの物語です。
巡り巡ってたどり着いた場所は、イトウミユキさんが営むロールキャベツが美味しいお店〈キッチンあおい〉。
そして、彼女の傍らにいたのはサユリさん。
サユリさんに連れて行かれたチョコレート工場。
〈流星新聞〉の羽深太郎…。
懐かしさがこみ上げてくるとともに、3つの物語が一つに合わさって、壮大な物語になっていきます。
大きなもの、(例えば鯨)に飲み込まれるよ