吉田篤弘のレビュー一覧

  • 流星シネマ

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    吉田篤弘さんの本は、急がずゆっくりじっくり読み進めたい。
    どことなく御伽噺のような、でも現実を生きている主人公たちの、味わい深い物語。

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    2025年01月03日
  • 台所のラジオ

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    台所のラジオ
    流れてくる流行歌
    落ち着いたアナウンサーの
    楽しげなおしゃべり
    ラジオを思うと
    母を思い出す
    ラジオを聴きながらひとときも
    手を休ませず働いていた
    干渉することを好まず
    ただただ見守っていてくれた母
    母も今は、記憶という機能を失い
    ラジオをつけ手を動かすことはせず
    ひたすらテレビに話しかけて過ごしている
    ラジオが消えた日
    母の記憶も消えたのかもしれない

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    2024年12月29日
  • それでも世界は回っている 1

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    始めて読む作家さん。
    読みやすくて、すーっと文章が入ってくる。そして、あーそうだなぁ~って大切な言葉もすーっと入ってくる!

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    2024年12月10日
  • ソラシド

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    キーワードは、1986年。大量のレコード、そしてソラシドという女性デュオ。
    ゆるゆると時間が流れているような感覚。
    後半60ページくらいから、今までのことがつながり出す感じ。読んでいて、印象的なフレーズがいくつもあり、思わず書き留めた。
    レコードは、確かに子供の頃聴いていた。あのノイズが入るざらつく感じ、よく覚えている。

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    2024年12月06日
  • おやすみ、東京

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    午前1時から始まる12個のおはなし。
    人と人の繋がりって不思議だなあと思った。深夜の青い空気って、なんであんなに不思議な気持ちになるんだろう。
    もう一回、忘れた頃に読みたいな。

    夜中に読むと誰かに会いたくなる、誰かと繋がりたくなる本でした。

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    2024年11月04日
  • それでも世界は回っている 1

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    万年筆のインクを集めている。
    昨今、たくさんのメーカー(や個人)がご当地インクやコンセプトインクなど、とにかく数えきれないほど出しており、まさに百花繚乱の状態だ。

    中でも人気はやはり青系インクなようで、たぶんバリエーションは一番多いのではないか。
    水のように澄んだライトブルーから、夜の底のように深い深く、星さえ見えない日のブルーブラックまで。くすんだ青、煌めくラメの混ざった青。
    この世に青いインクはどれだけの数あるのだろうか(これを書いている今も新たな「青」が誕生しているかもしれない)。

    ******

    この世で一番美しい「青いインク」の物語、そのはじまり。

    「月とコーヒー」で書かれてい

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    2024年11月03日
  • 台所のラジオ

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    台所に置かれたラジオが紡ぎ出す、かわいらしい物語。

    久しぶりに吉田篤弘さんの短編を読みました。
    彼の持ち味である一見繋がっていなさそうでどこか繋がりを感じずにはいられない短編たち。

    フィクションなのに我々の現実世界でも起きていたりして、とか想像が膨らんで楽しいです。
    だって素敵じゃないですか。
    自分のほんの一言や振る舞いが転じて、誰かの人生の数行を動かしていたら。

    とにかく心落ち着いて、また戻ってきたくなるこたつみたいな本。どれだけ間が空いてもまた読み返したいです。
    篤弘さん素敵な本をありがとう!

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    2024年11月01日
  • 奇妙な星のおかしな街で

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    三浦しをんは人生において驚くほどなんら支障のない作品ってのもあるけってたけど、だからと言ってエッセイ読めばに支障が出るようなエッセイはきついだろう。ゆるゆると生きるエッセイはまた格別です。

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    2024年11月01日
  • 鯨オーケストラ

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    当然と云われても仕方ないことだけど、三部作は通して読んだほうがよい。とても綺麗な繋がり方を味わうことが出来た。鯨の骨格がひとつひとつ組まれていって、まるで目の前で完成したさまを目撃したよう。

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    2024年10月27日
  • 鯨オーケストラ

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    「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続くお話。
    文庫になるのを待っていたはずが、そこから5か月経ってようやく手にした。

    河口にある町のローカルラジオ局で深夜の番組を担当している曽我くん。彼のおしゃべりと同じく、静かでおだやかでゆっくりと進む話の佇まいが良い。
    ある日ラジオで、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、とある美術館で出会った一枚の絵の中に写真で見たあなたによく人がいた、と葉書が届く。
    そこから話は動き出し、『「アキヤマ君――ではないんですよね?」』『クラリネットを吹ける人、探しています。』『ソガ君、ひさしぶり。』…、ページをめくるたびにいちいちびっくりしてじ

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    2024年10月27日
  • それでも世界は回っている 1

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    最近疲れて本読めないなぁと思っていたところ、この本に出会い、面白くて読みやすくて読み終えることができました。休息が大事、寄り道も大事、という言葉に励まされました。明日からも頑張れそうです。私が何をしようが、世界は回り続けているのだから。続きも読みます。

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    2024年10月26日
  • 鯨オーケストラ

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    ネタバレ

    「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」とちゃんとつながって、震えた。落ち着いた雰囲気がずっと流れてるんだけど、確かな物語の歩みがあってぐいぐい引き込まれて心地いい。「過去を取り戻すのではなく、今をつくっていく」、そんな未来を感じさせる結末だった。

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    2024年10月22日
  • それでも世界は回っている 1

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    文章から優しさが感じられて、はっとする言葉や寄り添ってくれる言葉に安心感を抱きながら読むことができた。ストーリー展開もわかりやすくて、続きが気になる。
    館長の言葉がとても心に残った。この先より良く人生を歩んでいくためには休養が必要で、そうして私が一息、あるいは長い旅に出てから戻っても世界は何ひとつ変わらずに回りつづけている。世界が回りつづけているからといって、私まで回りつづける必要はないんだと、そう思ったら少し気持ちが楽になった。
    寝る前とか、コーヒーを飲みながらゆっくり読みたい本。

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    2024年10月16日
  • それでも世界は回っている 3

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    ねじりドーナツのような旅が終わり、オリオは少し大人になったように思いました。

    この巻で、一気にココノツのことが気に入ってしまいました。彼女が抱えているものが知れたからだと思います。髪型が個性的で、イラストもとてもかわいいのです。

    電球交換士のトビラさんは、またまたいいところで登場してくれました。

    ベルダさんの死因は、トカイ刑事が知らせてくれました。〈六番目の青いブルー〉が作られた理由、21番まである唄の謎には、アリアドネの真っ赤なリンゴに導かれるように、オリオと叔父さんとココノツがたどりつきました。

    人生とは、引き継いでいくこと
    引き継ぐとは、その人の思いと自分の思いがひとつになること

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    2024年10月13日
  • それでも世界は回っている 2

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    引き続き14歳のオリオと叔父さんとオリオにだけ声が聞こえるココノツとの旅が、描かれていました。個性的な人達と出会いながら、〈六番目のブルー〉のインクの手がかりが、つかめてきました。〈五番目のブルー〉こそが1番だと思うハルカ、もしくはカナタの時計で不思議な力が働き···という感じで終わってしまいました。

    21番まである唄が手がかりとなり、世界で1番美しいブルーを作ることができるのか?

    〈いつのまにか〉が、果たして味方なってくれるのか?

    これからどうなるんだろうと、またワクワクしてきました。

    今回もたくさんの個性的な登場人物が楽しませてくれました。そして、「それでも世界は回っている」ことの

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    2024年10月10日
  • それでも世界は回っている 1

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    落ち着いた深い紺色の表紙で、少し小ぶりなせいか、手にしっくりくる感じの本です。

    〈奇妙な惑星〉という名の博物館で、その保管室のベルダさんの助手として働く14歳のオリオさん。ベルダさんが使っていた〈六番目のブルー〉のインクを求めて、叔父さんとの旅が始まったところまでの物語でした。

    マリオが淹れたコーヒーを飲みながら、この物語を読んでいる自分を想像をしてみたり。私にとっては、大好きな吉田さんの世界に浸った癒しの読書となりました。

    さりげなく『電球交換士の憂鬱』のトビラさんが、登場していました。それだけでも、とても嬉しくて、先に読んでおいてよかったなと思いました。

    トカイ刑事、オスカー商會の

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    2024年10月11日
  • それでも世界は回っている 3

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    やっぱり、ジャン叔父さんの探している唄と、オリオの探す〈六番目のブルー〉は繋がっていた。
    そしてこの第3巻では、旅に同行していなかったココノツが大活躍する。

    本を初めて開いた時、結末を迎える第3巻のスピンが何故赤色なのかなーと思っていたけれど、きっとカナタさんが落とした林檎の赤色だ。
    ミランダさんの長~い唄にも、ちゃんと林檎が登場していたことを、ココノツがつきとめる。


    いいかい、みんな。
    本当の深い青を知りたいのなら、
    そのかたわらに、
    本当の真っ赤な林檎を並べてみることだ。


    〈六番目のブルー〉を求める旅は、悲しみを受け入れ、この世からいなくなってしまった人たちへ想いを馳せる時間

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    2024年09月28日
  • 『罪と罰』を読まない

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    私が『罪と罰』を未読であること、そして岸本佐知子さんがメンバーの1人ということで、読み始めた。そしたら、メンバー4人であれこれ未読のまま推理した挙句、やっぱり一度読みますかーという話に。じゃあ、私も読むかと。
    断然、読んだ後の読書会の方が面白い!一緒になって、それ、私も思った!とか、なるほどねーそういう解釈もありか、とか。
    『罪と罰』もういっぺん読み返したらもっといろんな発見があって楽しめるかも、と思っちゃった(でも、きっと読まない 笑)。

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    2024年08月22日
  • 鯨オーケストラ

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    『流星シネマ』、『屋根裏のチェリー』に続く3つ目の物語。

    主人公は、町のローカルFM局で深夜の番組を担当する曽我哲生。
    これは、彼が17歳の頃、古びた映画館〈銀星座〉で働いていた多々さんに描いてもらった絵が導く、奇跡のような出会いの物語です。

    巡り巡ってたどり着いた場所は、イトウミユキさんが営むロールキャベツが美味しいお店〈キッチンあおい〉。
    そして、彼女の傍らにいたのはサユリさん。
    サユリさんに連れて行かれたチョコレート工場。
    〈流星新聞〉の羽深太郎…。
    懐かしさがこみ上げてくるとともに、3つの物語が一つに合わさって、壮大な物語になっていきます。
    大きなもの、(例えば鯨)に飲み込まれるよ

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    2024年08月13日
  • 屋根裏のチェリー

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    なんと、びっくり。流星シネマと語り手が代わる。太郎さんからオーボエ奏者のサユリさんへ。チェリーっていうのは彼女の頭の中にしか存在しない、レモン・ソーダの空き瓶と同じくらいの大きさの、妖精みたいな存在。

    何ページだったか忘れたけど、「~を鑑みる」という表記があって、「~に鑑みる」だよね、文筆家ですらまた違えるんだと思うと同時に、校正甘いね、と思った。角川春樹事務所さん、がんばってください。

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    2024年08月07日