吉田篤弘のレビュー一覧

  • ガリヴァーの帽子
    ものすごく、大人のファンタジー。
    すごくファンタジー過ぎてふわふわとすり抜けてしまい、心に残りにくい。

    私に遊び心が足りないのか。
    大好きな吉田氏がまた一歩、歩みを進めてしまったのか。

    全体の2割ほどしか楽しめず、歯痒い気分。

    ただ、文体や描写、巧みさは相変わらず魅力的。

    10年後に読み返し...続きを読む
  • 台所のラジオ
    このフワッとした雰囲気がたまらなく心地良い。
    流れるラジオと美味しいもの。
    この本を読んでいる間は、心なしか時間がゆっくり過ぎていくような気がする。
    穏やかでちょっと不思議な物語が12篇。
    各話の余韻に浸りながら、そのまま眠りにつきたいと思った。
    シュロの休息が一番好きだな。
  • 流星シネマ
    海から流れ着いた鯨の亡骸が眠る<鯨塚>を臨むガケ下の町に暮らす青年とその周囲の人々を巡る喪失と再生の物語。著者の持ち味である静けさとノスタルジー、そして作品を包み込む穏やかなトーンが心地良く、雨の日にもってこいの読書だった。難点を挙げるなら、今作は全編が主人公の一人称視点で、登場人物が多い割には個々...続きを読む
  • 78(ナナハチ)
    賑やかで朗らかなイメージの「ローリング・シェイキング&ジングル」の曲、聴いてみたいなぁ。静かに穏やかに、読めました。
    七重の塔の末の妹と靴屋さんのお話も可愛くて好きでした。
    吉田篤弘さんのお話も、絶妙に無国籍感があって良いです。日本っぽいところも外国っぽいところもある。
  • おやすみ、東京
    東京って、住んだことはないけれど忙しい街というイメージ。けれど、夜だけはゆったりとした時間が流れている、そんな本でした。でも、タイトルはおやすみだけど、眠らない街だよなぁ
  • ガリヴァーの帽子
    「ガリヴァー旅行記」、ラピュタと同じ章で日本も訪れてる…この短編集で初めて知りました。ラピュタは日本より東にあるらしい。
    「イヤリング」と「ものすごく手のふるえるギャルソンの話」が好き。
    「かくかく、しかじか」は柳家喬太郎さんの「時そば」の有名な枕と同じ香りがしました。コロッケそばのやつでコロッケが...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことのない四人が、断片的な情報を手がかりに、その内容についての憶測を語りあった本です。最後に、四人がじっさいに『罪と罰』を読み、その感想について話しあっています。

    「教養の崩壊」が論じられるようになって久しく、本書のタイトルを目にしたときには、教養主義の逆張りの...続きを読む
  • ソラシド
    「意見は言葉に出来るけど、思いは言葉にならないよね」とは登場人物のセリフ

    忘れ物を取り戻しに行くかそのままそっとしておくかは人それぞれだけれど、無かったことにはしたくないね

    というモチーフを感じた。

    それはそうとソラシド(作中に登場するユニット)の曲を聴いてみたい。自分の中のソラシドを見つける...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    読まない、というか…部分読みしつつ、推理する。
    新しい読書会みたいなもの、かな?

    4人の想像が当たったり当たらなかったりで面白い!この本が楽しかったのと、『罪と罰』を読むか読まないかという問題は別なので…私はきっと読まないと思う。やはり本編は陰鬱とした面倒くさい類のロシア文学なのだろうなぁという予...続きを読む
  • 流星シネマ
    都会のヘリのガケ下の町。流星新聞という地方紙を発行するアルフレッドの手伝いをしている太郎。太郎自体は平凡でどこにでもいそうな癖のない人なのに、彼を取り巻く人たちは癖が強い。かつて鯨がたどり着いた。御伽噺のような歴史は、太郎の心にも残っているし、地元の人の心にも残っている。それは事件であったり、ロマン...続きを読む
  • 流星シネマ
    過去、現在、未来が混沌の中にゆらめいていて、それぞれの断片が物語が進むにつれて、形作られていく。

    表現が詩的で、意味が拾いきれない部分もあったけれど、登場人物たちの言葉がすてきで、何か大きなものに身を任せる心地よさを感じた。
  • 『罪と罰』を読まない
    文庫本を随分前に買って積読してあった「罪と罰」。しかしなかなか重い腰が上がらず、後回しになっていたが、今回「『罪と罰』を読まない」を読んで少し読む気になってきました。いつかきっと。。。
  • 変愛小説集 日本作家編
    川上弘美さんの、愛した人の骨の話が、秀逸だった。自分には、強烈な作品もあったが、面白い企画だと思う。
  • 78(ナナハチ)
    78回転レコードから着想された短編が、さりげない共通点で繋がり合い、ひとつの物語となっている。

    浮世離れした雰囲気ではあるが、描かれる人の思いは素直で共感できる。
    どの短編でも明確な答えや教訓めいた結末は描かれず、まるで音楽の終わりを憂い寂しがるように、次のレコードに針が落とされ、新たな物語が静か...続きを読む
  • ソラシド
    レコードを蒐集することだけにすべてを費やしている主人公は、1960年代にごく一部で話題になっていた女性デュオ、ソラシドの現在を追うことになる。主人公には、親子ほどに歳の離れた異母妹がおり、二人で探し始める。
    音楽の話かと思いきや、二つの家族の絆の話だった。とても個性的な家族だが、読後は優しい気持ちに...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    『罪と罰』を読んだことのない4人の作家や翻訳家による『罪と罰』を(少量のヒントをもとに)「読まずに読む」読書会の記録。
    とても面白い試みだと思ったが、『罪と罰』の最初のページと最後のページの訳文だけ見るといったルールが不徹底で、また、ちょっと内輪のりが過ぎる感はあった。
    だが、『罪と罰」を同じく読ん...続きを読む
  • 奇妙な星のおかしな街で
    落ち着いた夜に読むといい本。エッセイ。 デザインとかが素敵な本。言葉を慎重に選んでいるかただなと感じました。
  • 奇妙な星のおかしな街で
    久々にエッセイ読んだ。

    日々の、何気なく見過ごしていたり思い過ごしていることに気づき、言葉で表現している。

    まさしく“見えない”ものを言葉にしてくれている。

    なんとなく、あぁ私もそんなこと思ったことあるな、と改めて感じること部分も割とあった。
  • 台所のラジオ
    不思議な短編集だった。
    どこか懐かしくて、穏やかな時間の流れを感じる話。後半は掴みどころのない話が多かった印象。アリスのお話が好み。
  • ソラシド
    何冊か読んで、この著者の空気感が好きだと思ったのでこの本も読んでみました。
    でも今までで一番「おじさんが書いている」という感じが伝わってきてちょっと辛かった。
    あと私は音楽好きなのですが、出てくる音楽は全然わからなかった・・・
    音楽の趣味が合えば、すごくテンションが上がる話なんだろうな。