吉田篤弘のレビュー一覧

  • 流星シネマ

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    「屋根裏のチェリー」を買おうと思っていたが、その前の話があると分かり、こちらから読むことにした。
    都会のへりの窪んだところにあるガケ下の町で、「流星新聞」を発行する手伝いをしている太郎君と、その周りの人たちの話。

    自分が創刊した「流星新聞」を太郎君に託して故郷に帰ったアルフレッド。
    「メアリー・ポピンズ」を愛読しジュリー・アンドリュースにあこがれるミユキさん。
    編集室に置いてあるピアノを弾きに来るバジ君。
    詩集屋を営む“煙草をくわえた女神”カナさん。
    幼馴染で〈オキナワ・ステーキ〉の店主・ゴー君と、流し目が素敵な看板娘のハルミさん。
    個性的なコーヒーとカレーのお店〈バイカル〉の店主・椋本さん

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    2023年03月19日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    「1」を読み終わった後に娘に手渡しておいたら、あっという間に読み終わり「2」も先取りされ、早く「3」を持ってこいと要求してくるほど。
    いや、だからまだ出てないんだって。。。

    ということで、小学生高学年から楽しめる幻想旅物語、『それでも世界は回っている』の第2巻。
    ”6番目のブルー"を探してエクストラへ向かうはずが、いつの間にか唄のメロディーを求めてリリボイに向かうことに。
    ”人生っていうのは「いつの間にか」をめぐる戦いなんだ”とのことなので、それもまた必然。

    それにしても登場人物が多い。
    それほど長くない章立ての中、ほぼ1章に1人のペースで出てくる。
    吉田さん自身のイラストを毎回

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    2023年03月04日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    「螺旋」プロジェクトの4冊目。
    語られる時代としては一番後ろになり、皆さんのレビューを見ると最後に読むほうが良いように書いてあったが、読み始めたものはしょうがない。

    2095年、四半世紀前に建てられた壁で街を東西に分断されている東京が舞台。
    そこは不眠の都と化し、睡眠ビジネスが隆盛を誇っているという設定のもと、巻頭に紹介されているだけでも25名+1匹、色んな人物が登場し、それぞれの周辺が描かれていく。
    睡眠コンサルタントに勤め覚醒タブレットの開発を命じられたシュウが〈いばら姫〉の物語の謎を追うパート、〈眠り姫の寝台〉という本を巡ってシュウの姉で探偵のナツメと小説家のマユズミが動き回るパート、

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    2023年03月02日
  • 屋根裏のチェリー

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    アパートの屋根裏部屋で一人暮らすサユリは人見知りで、人とうまく話すことができない。
    元オーケストラのオーボエ奏者で、彼女の所属していた、がけ下の町のはずれにあったアマチュア楽団〈鯨オーケストラ〉はすでに解散していた。
    サユリの頭の中に現れて、時々話しかけてくる小さな彼女の名前はチェリーという。

    レモン・ソーダやハンバーガーやササミカツ定食などおいしい食べ物が登場し、物語全体が居心地良く優しい雰囲気がします。

    私の住む町で身近におこった、先日の淀川の迷いクジラの出来事を思い出し、『流星シネマ』のことが即頭に浮かびました。
    小説も侮れないなと、嬉しさがこみ上げてきました。

    個性的で、懐かしい

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    2023年01月29日
  • 流星シネマ

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    久々の吉田篤弘さんのお話。どこを切りとっても吉田メロディが流れています。
    ちなみに私の古い知り合いのオーボエ担当が「オカさん」だったので、すっごいシンパシーが生まれました。続編にあたるお話はそのオカさんがメインのようなので楽しみです。

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    2023年01月23日
  • 流星シネマ

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    雨が似合う物語だった。
    物語を貫くところに水の流れがあり、流れる水のように登場人物たちに淀みがなかった。
    文章は詩的だけど難解な言い回しなどはなく、優しく流れる舟のような物語にどんどんと運ばれていく。

    個人的には登場人物たちも魅力的だが、アクがなさすぎるのが物足りなくも感じた。清らかな小川の中にもほどよく汚れがあった方が、物語として味わいが深くなるのではないだろうか。

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    2023年01月18日
  • 流星シネマ

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    ネタバレ

    吉田篤弘さんの本3冊目。
    どれも、ゆっくりと何気ない物語が進む、
    本の中にも書かれてたけど、
    現実が物語の続きなのか、
    身近なところで起きてる出来事なのか、
    錯覚しそうになる、身近に感じる、優しい雰囲気。
    (世界はいつでも冬に向かっている)
    冬のひとときの読書にぴったりです。


    鯨の伝説が残る街で流星新聞を発行している主人公。
    幼少期の出来事が、街のさまざまな人物を通して、
    クライマックスの流星シネマに通ずる。
    じんわり感動しました。


    矛盾と仲良くならなきゃ人生おもしろくない
    だったかな、いい台詞です。

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    2023年01月16日
  • それでも世界は回っている 1

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     つらいことがあっても、ただ回り続けてくれる世界。それは素敵な世界。一方で、自分の意志をもって自分の時間を生きなければ意識せぬうちにも世界は回り、時間が無くなっていく。これもまた世界。

     
    p24世界が回りつづける限り、次から次へと死がめぐってきて、次から次へと新しい命がめぐってくる。

    p40「いなくなるっていうのは、そういうことなんだな。毎日、繰り返してきたことが、急に消えてなくなるってことだ」

    p124「そうじゃなくて、時間はお前なんだ。いいか?お前がそこにいて、そうして生きているから、お前の時間が流れる」

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    2023年01月06日
  • 屋根裏のチェリー

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    本作の1行目は、まるで「流星シネマ」の1行目に続く文章のように始まる。
    「そして、冬はある日、何の予告もなしに終わってしまう。」

    「屋根裏のチェリー」は「流星シネマ」と響き合う作品だ。
    なので、「流星シネマ」から読むことをお薦めしたい。
    この物語はガケ上の街に暮らすサユリが主人公で、「流星シネマ」と同じ時間軸を別角度から描いている。
    その為、2作品を読むことで、双方の物語の厚みが増す。
    とあるシーンに登場していなかった人物が、その間に誰と何をしていたか?が明かされたりする。
    それから現実にも起こりうる事だが、対面で会話をしていても、言葉を発した者と言葉を受け取った者とで、印象が違ったり、心

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    2022年12月24日
  • 屋根裏のチェリー

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    文章が好き ◯
    作品全体の雰囲気が好き ◯
    内容結末に納得がいった ◯
    また読みたい ◯
    その他

    連作を途中から読むことは滅多にしないのだけれど、なぜか「読みたい」が勝ってしまった。

    アパートの屋根裏でひっそり一人暮らしをするサユリの物語。
    本作は『流星シネマ』の続編ですが、こちらから読んでも大丈夫、みたいです。

    物語がリンクしているところもあれば、本作が前作よりも先に進んでいるところもあるそうです。
    なので、前作を読んで自分なりの答え合わせをするのが楽しみ。
    答え合わせをして「大丈夫」だったかどうか検証しよう。

    吉田篤弘さんの作品は全てを語り尽くす感がなく、その余韻が好きだったり

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    2022年12月05日
  • それでも世界は回っている 2

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    幻のインク"六番目のブルー"を探すオリオ君とジャン叔父さんの旅。
    様々な人と出会い、その考えに触れるオリオ君。
    オリオ君と一緒に旅をして、吉田篤弘さん独特の幻想的で不思議な世界観を味わうような感覚が心地良い。
    旅はまだ途中。オリオ君の旅は続く。。
    オリオ君は六番目のブルーに辿り着けるのだろうか?
    その時、オリオ君はどのように感じるのだろうか?


    「世界はお前を中心に回ってるんじゃない」
    「子供の尻尾」
    「いつのまにかに追われる」
    など、ときに発するジャン叔父さんの言葉が刺さる。

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    2022年11月23日
  • 流星シネマ

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     何気ない日常を淡々と綴った小説です。町の喧騒や雑踏からかけ離れ、会話のテンポややり取りも余計な感情が削ぎ落とされた印象なのですが、不思議なことにずっと読んでいたくなる魅力があるのです。これが吉田篤弘さん特有の世界でしょうか。
     主人公・太郎の視点で描かれる日々は、優しさと静けさ、寂しさと哀しさが同居し、幻想的な雰囲気さえ醸し出しています。
     物語の舞台が、<鯨塚>というガケの下の町で、暗渠(地下埋設の川・水路)があり、かつて、この川に鯨が迷い込んで絶命し、埋葬されたという逸話があるのでした。
     「今」と「かつて」を結び付ける、というより、つながっていることを示した浪漫が感じられます。「あとが

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    2022年10月21日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    「~1」を読んだときの感想は会ったことのあるような人たち、街並みみたいな感じだったけれどこちら「2」の感想はその時よりももっと進化してファンタジーのような、「楽園」のような「天国」のような気持ちの良い場所にいるっていうような気持ち。
    最後のまち『リリボイ』の印象も良かったけれど六番目のブルーのこと、オイスターシチューのことなどシンと染み渡りました。
    理解出来ない現実的な疲れた心で読んではいけない、しっとりゆったりした気持ちの時に読まなければならない本だということも。

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    2022年10月18日
  • 『罪と罰』を読まない

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    面白そうだなと購入。でも期待せずに読み初めて、えっ、これ予想以上に面白いじゃんとびっくり(笑)
    ドストのラスコに馬の修造だよ?「罪と罰」かなり読みたくなったんだけど、私はいつか読む読む詐欺マン(笑)

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    2022年08月31日
  • 台所のラジオ

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    12篇からなる短編集。
    共通するのは、流れるラジオと美味しそうな食事。
    物語が終わらせているようで終わらせない。終わりの余韻に浸る。
    そして食べ物の描写が良い。ビフテキ、紙カツにそそられる。
    日常にさらりとラジオを流す暮らし。憧れる。。。

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    2022年08月27日
  • 流星シネマ

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    世界のどこか知らない町の物語、ゆったりとした平和な日常、静かに町の歴史に刻まれた悲しい過去。
    吉田篤弘さんの文章は、ゆったりと美しくてほんのりと寂しさがあったりしながら心温まる、というイメージ。
    ハラハラさせる作品が苦手な私にぴったりだ。
    4日くらいで読み切った。

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    2022年05月29日
  • 『罪と罰』を読まない

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    『罪と罰』を読まずに読む。

    まず自分も『罪と罰』を読んだことがありません。確か主人公は若い男で老婆を殺す話だったはず。それくらいしか知りません。というわけで前半の推理合戦も、後半の読後感想も楽しく読み、『罪と罰』読みたい、と思いました。色々なキャラクターが気になります。これは読むしかないのでは?

    「読む」という行為は、読む前から始まっており、読んだ後も終わらない。読書は一人で完結しない、著者や他にその本を読んだ人、また読んでいない人とのつながりだと思いました。読書万歳。

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    2022年05月01日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    ネタバレ

    12編のアンソロジー。
    どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
    その中でも特に好みだった2つについて書きたい。

    『藁の夫』
    2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。

    『逆毛のトメ』
    シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚か

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    2022年04月21日
  • 流星シネマ

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    見えない川が 静かに、静かに、流れるような不思議なお話。
    現実の話として語られるのですが、ファンタジーのようです。
    それは、「目に見えないもの」について語っているからでしょうか。

    昔、海からとんでもないものがやってきたという伝説の川がある町。
    伝説の川は、今は埋められて遊歩道になっています。
    でも、歩道の下は暗渠になっていて今でも川は流れているのです。
    表に見えないだけで…。

    ある発見が町を湧きたたせます。
    詩人であり、詩集の編集者でもあるカナさんはこう言います。
    「たいていのものはかけらなのよ。すべてが何かの一部なの」
    かけらを形にしようと 作業を進めるうちに
    作業に関わる人々の心に、未

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    2022年03月07日
  • 『罪と罰』を読まない

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    いやこれ、めちゃくちゃ面白かった。
    世界的名作、ドストエフスキー作の『罪と罰』を読んだことのない作家4人が、持っている知識(断片的)を駆使し、出版社の人にヒントをもらいながら、作品の内容を想像(妄想)し語り合う企画を書籍化したもの。

    企画からして既にかなり面白そうなのだが、なまじ作品構成や小説づくりを日頃から考えている人たちなので断片からの推理力や展開への発想が鋭かったり、好き放題言ったり盛り上がりがすごい。というかわからないからこそ皆さん言いたい放題。笑

    特に三浦しをんさんによる登場人物へのあだ名の付け方や人物考はかなり笑わせてもらった。
    主人公の名前も「ラスコーリニコフ」じゃとっつきに

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    2022年02月18日