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「いま、ここにいない人やモノの声を聴く」──都会のへりのガケ下の町。鯨塚があるその町で、僕は〈流星新聞〉を発行しているアルフレッドの手伝いをしている。深夜営業の〈オキナワ・ステーキ〉を営むゴー君、「ねむりうた」の歌い手にしてピアノ弾きのバジ君。〈ひともしどき〉という名の詩集屋を営むカナさん、メアリー・ポピンズをこよなく愛するミユキさん──個性的で魅力的な住人が織りなす、静かで滋味深い長編小説。
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Posted by ブクログ
いままで培ってきた記憶と、新たにインプットされた文章がどこか繋がって、いままでの記憶が少し形を変えてより大切に保管される感覚があった!読書が好きな理由を再確認した!
流星シネマは、屋根裏のチェリー、鯨オーケストラとで三部作となっており、そのひとつめにあたる。 3部作を通して根底にあるのは、喪失とそれを見つめて新たな何かをつくりだす話だと思う。 流星シネマは、鯨塚のある町で発行されている小さな新聞「流星新聞」、-それは外から来たアルフレッドにより作り始められた...続きを読むものだが-そのアルフレッドの意図せぬ帰郷から物語は始まる。 アルフレッドがいなくなった今、流星新聞は、新聞づくりのお手伝いをしていた太郎が作っていかなくてはならない。 新聞の発行を続けることは、帰郷することになったアルフレッドの願いだから。 「流星新聞」を取り巻くのは、個性豊かな街の人々(犬)。 アルフレッドがいた頃の流星新聞の時間をなぞるように太郎は日々を送るが、もうアフレッドはここにはいない。 同じような時間になるよう日々をなぞっていても同じ時間は流れない。 アルフレッドがいた頃の流星新聞の時間は喪失していて、戻ってこない。 同じような時間が流れているように感じても、同じように時間が流れるよう心掛けても、もう別のものとして息づいている。 そんな中、大雨が降って長らく空き地だったところが土砂崩れを起こし、そこから大量の鯨の骨が見つかる。 決定的なピリオド-それも特大の-が打たれ、少しずつ色々なことが動き始める。 パズルのピースがひとつ、またひとつカチリカチリとはめ込まれるように少しずつ進んでいく。 進んでいくことで、流星新聞は太郎の時間として新しく息づいて、息づくことで、違う喪失に触れることになる。 それが、屋根裏のチェリー、鯨オーケストラへと続いていく… 時間がゆっくり流れる、オーケストラつながりで言うと、低音の和音で旋律の色の違いを楽しむような小説だと思う。 吉田篤弘さんの独特の雰囲気が本当に好きです。 好きすぎて、最初の方、吉田さん風を意識して感想を書いてみました(笑)
鯨オーケストラを先に読んでしまったので、未来から過去を覗き見ているような感じ。 言語化できない思いがあってもいい。 吉田篤弘さんの作品を読むといつも感じることのひとつ。 言葉にできないから、もう一度この気持ちを味わうには、物語の扉を開くしかない。
吉田篤弘さんの本は、急がずゆっくりじっくり読み進めたい。 どことなく御伽噺のような、でも現実を生きている主人公たちの、味わい深い物語。
住んでいる街に鯨が眠っている。なんてステキなことだろう。。そういえば、「アスファルトの下には森が広がっている」と教えてくれたのも著者だったか。 自分の足元に広がる世界に思いをはせる。
吉田篤弘さんの作品を読むのはまだ3作目なのだけど、 いつも始めの1行が素晴らしい。 「この世界は、いつでも冬に向かっている。」 グッと引き込まれて、まだどのような内容かも分からない私を、ストンとその世界に着地させてくれる。 クラフトエヴィング商會としての装幀も、吉田さんのイラストも可愛らしくて、創造...続きを読む力が掻き立てられる。 それに読み始めて直ぐ、他の作品に繋がる欠片を見つけた。 「それからはスープのことばかり…」の街や空気感…。 「天使も怪物も…」の未来予測、鯨、作家、眠り…。 そしてどちらにもあった映画上映シーン。 きっと吉田さんの中には別の世界が存在していて、そこはどこか懐かしく、ちょっぴり私達の住む現実とは違っているけれど、 魅力的な人々が毎日を営み暮らしている。 彼らの暮らす世界は、遠いようで実はすぐ傍なのかもしれない。 吉田さんは…というより「太郎君」は、世界はいつでも冬に向かっており、我々一人一人もまた冬に向かいつづけていると言う。 いま、自分が四つの季節のどのあたりまで来ているかは分からないけれど、神様がそのように世界をつくったからと。 唐突だが、私は暗渠という言葉をNHKのブラタモリで知った。 かつては川だったが、今は水面が見えないように蓋をされた水路だ。 本作では暗渠が最も重要なキーワードだ。 暗渠がイメージ出来れば、『「むかし」や「かつて」はそう簡単には消滅しない』で、『「いま」と隣り合わせ』で『息づいている』との作者のメッセージをしっかり受け取ることができる。 暗渠がまだ川だった頃、迷い込んできた鯨がいたと椋本さんが話し始める。 人々の生活区域に鯨が入り込むエピソードは「天使も怪物も…」でも語られた。 鯨オーケストラも「天使も怪物も…」のエピソードと響き合う。 2023年2月28日に角川から吉田さんの単行本「鯨オーケストラ」も発刊されるらしい。 そうやって象徴的な何かを作品の共通事項としながら、世界観と時間軸が少しずつずれたストーリーを、吉田さんは紡ぎ続けているのかな。 切り取り方、時間軸、キャストを変えながら、吉田さんは変わらぬメッセージを私達に送り続けてくれている。 全ての吉田作品が音叉のように響きあっているように感じて、不思議な思いだ。 吉田さんが作品に散りばめている欠片は、まだまだ沢山ある。 吉田さんお馴染みの懐かしい街並みや欠片達に導かれ、私もその世界に入り込んでゆく。 それがとても心地いい。 鯨塚の云われも、流星新聞の由来も、コウモリ傘が降ってきた日に帰ってくるミユキさんも、其々のエピソードが素敵で、 それらも吉田篤弘ファンとしてうっとりするところ。 それから、他の吉田作品みられるスープやパンのように、 私達がその言葉を聞いたときに思い浮かべる、共通の温かさや匂いやホッとする美味しさを、 小説の中に上手に織り込むのも魅力のひとつ。 今回はオキナワステーキでありバイカルカレーであった。 同様に吉田さんは天気や季節が持つ、私達の共通のイメージを取り込むのも巧みだ。 2章で初めて語り手である太郎君のフルネームも明かされる。 2章以降も吉田さんの作り出す不思議で素敵なエピソードが続くけれど、紹介し出すとキリがない。 うっかり落としてしまったメアリーの「ア」、「ひろげたシーツが風に飛ばされないよう、要所要所に置かれた、重しのようなものだった」というアルフレッドの「ア」など。 太郎君の思いとして『自分の手で土の中から「おとぎ話」のかけらを見つけ出すのは、骨そのものが見つかるだけでなく、より深い奥行きをもった神話に指先で触れる思いだった』との文章があるのだけど、 これって、素敵なエピソードをご自身の中から見つけ出した時の、吉田さんご本人の感覚なのではないかと思った。 そしてアルフレッドの言葉として、 「小さなかけらを拾い集めて、大きな輪郭を見つけ出すこと」 カナさんの台詞として、 「だって、たいていのものはかけらなのよ。分かりにくいだけでね、すべてが何かの一部なの」 と続く。 小説1つ分の心地良さは、読み終えても暫く私の中に留まってくれる。 その余韻が去ったあと、また新たな1冊を手にしたくなってしまうのだ。
僕は屋根裏のチェリーから読み始めたので、こちらが別視点という印象でした。 ひとつの物語を2つの視点から読むのは楽しいですね。登場人物一人一人が素敵で特にカナさんが好きです。 不思議な魅力です、流星シネマから漏れでる音を聞きながら煙草を吸ったり、野良猫の頭を撫でてやったりといった描写は美しいなと思いま...続きを読むした。
三部作『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』『鯨オーケストラ』の第一部が『流星シネマ』 全部で900ページ程になるが、この順番に一気に読んだ。 『流星シネマ』は、太郎の目線で語られる。 本作品は、書き出しの文に興味を惹かれる人が多いので、3作品共に記すことにする。 本作品の書き出しは 「この世界は、...続きを読むいつでも冬に向かっている」 だ。 都会の端の鯨塚がある町で暮らす人々の物語で、章ごとに異なる登場人物に焦点が当たる。 かつて町に存在していた「鯨オーケストラ」と、かつて存在していた川に「迷い込んだ鯨」の復活に歩み出すまでの話。 鯨オーケストラでオーボエ奏者だった岡小百合さんは、次作『屋根裏のチェリー』の主役サユリだが、最後の方に少し登場するだけでどんな人かよく分からない。 物語の舞台が整って、これから「鯨オーケストラ」はどうなるのか?というところで『流星シネマ』は終わる。 本書の登場人物は、続編の『屋根裏のチェリー』『鯨オーケストラ』にも登場するので、覚えているうちに続編を読むのがいい。
詩のような一節がたくさんあって、文章が美しい作品でした。登場人物たちの性格や心境を書きすぎず、読者が想像する余地を残してもらえているようにも感じます。ゆったり進んでいた物語が、終盤にかけて大きく動き出し、エンタメ的な楽しみも味わえます。
入りたい世界ランキング1位 穏やかに流れる日常の中で素敵な個性をもつ登場人物とひっそりゆっくり暮らしたい。 かつて鯨がいた町。 いろんな「むかし」が眠る町。 流れる時間に身を任せながら、「もういちど、最初から始めてみよう」 安心させてくれる優しい文体がとてもいい。
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