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東京、午前一時。この街の人々は、自分たちが思っているよりはるかに、さまざまなところ、さまざまな場面で誰かとすれ違っている――映画会社で〈調達屋〉をしているミツキは、ある深夜、「果物のびわ」を午前九時までに探すよう頼まれた。今回もまた夜のタクシー〈ブラックバード〉の運転手松井に助けを求めたが……。それぞれが、やさしさ、淋しさ、記憶と夢を抱え、つながっていく。月に照らされた東京を舞台に、私たちは物語を生きる。幸福な長編小説。
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Posted by ブクログ
どの短編も時間は、ほぼ午前一時の出来事。
深夜に起きる出来事は、いつもの吉田篤弘さんの世界だなと思い、楽しみながらの読書でした。
タクシー会社〈ブラックバード〉の松井が乗せたミツキの探し物から、どんどん人が繋がっていきました。
読者の私が好きなのは、古道具屋〈イバラギ〉の店主。品物の名前の付け方で、物の見方が変わるというのが面白かったです。
あとがきによると、連作短編のようでいて、実は吉田さんの頭のなかにある10冊の本が交差点のように交わったもの、だそうです。読めば読むほど全体が繋がってきて、最後にはいい方向に皆が向かっている感じがしてきました。
日常から離れて、この本の世界に入り込むとなんだかほっとしました。言葉ひとつひとつが、どこまでも掘り下げていけて、物語も永遠に続く感じがします。吉田さんの本の魅力はそんなところにある気がします。
『おやすみ、東京』。この本は、昼間の喧騒から離れた静かな深夜に読むと、すうーっと世界に入り込めて楽しめる、そんな本でした。
〈目次〉
びわ泥棒
午前四時の迷子
十八の鍵
ハムエッグ定食
落花生とカメレオン
ベランダの蝙蝠
羽根の降る夜
ふたつの月
星のない夜
青い階段
星は見ている
最後のひとかけら
あとがき
連作短編の交差点
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