Posted by ブクログ
2022年02月18日
いやこれ、めちゃくちゃ面白かった。
世界的名作、ドストエフスキー作の『罪と罰』を読んだことのない作家4人が、持っている知識(断片的)を駆使し、出版社の人にヒントをもらいながら、作品の内容を想像(妄想)し語り合う企画を書籍化したもの。
企画からして既にかなり面白そうなのだが、なまじ作品構成や小説づく...続きを読むりを日頃から考えている人たちなので断片からの推理力や展開への発想が鋭かったり、好き放題言ったり盛り上がりがすごい。というかわからないからこそ皆さん言いたい放題。笑
特に三浦しをんさんによる登場人物へのあだ名の付け方や人物考はかなり笑わせてもらった。
主人公の名前も「ラスコーリニコフ」じゃとっつきにくいけど、本書での呼称「ラスコ」ならなんか憎めない感じがしてくるよね。
あと対談者4人が作者のドストエフスキー氏のことも「ドスト」と友人のように読んでいるのもじわじわくる。
私も中途半端な知識しか持っていない未読勢の一人なので未読の側として楽しめた。
たぶん既読で内容を把握している人も別の楽しみ方ができるので、『罪と罰』を読み終えたらまた読んでみたい(ちなみに後半には実際に読み終えた4人が感想を語る企画が収録されていてこれもとても面白い)。
そう、これを読むと読んでない人は確実に『罪と罰』本編を読みたくなるんだよなー。
重いテーマのめちゃくちゃに長い小説なので、手に取るのがおっくうなんだけど、本著を読むと登場人物がすごく身近に感じられて気になってしまう。
私も以前ドストエフスキーが書いた『カラマーゾフの兄弟』を読んで、「大審問官」がつまらなくて苦痛だった記憶があるんだけど、こうやって誰かとつっこみながら読んだら楽しくてもう少し記憶に残っていたのかもな…。
途中に書かれている本書独自の登場人物紹介もかなり笑えるのでおすすめ。殺される老婆・アリョーナの紹介が「因業ばばあ」とされていたり、ヒロイン・ソーニャは不思議ちゃんにされていたり、表現が的をついている感がすごい。