吉田篤弘のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
〈新世紀〉吉田篤弘ワールド
伊坂幸太郎を始めとする今を輝く著名作家たちが一斉に会して主催された「螺旋プロジェクト」。
その〈未来編〉に当該するのが本作となります。
独特な世界観や、個性たっぷりのキャラクターたち。彼の長編を手に取った読者にとっては見慣れたであろう、多数の登場人物たちが交差するお決まりの展開。
言うなれば、
『22世紀版おやすみ東京』
と言えるでしょう。
睡魔が失われたネオ東京で起こる様々な出来事。
それは一見散発的だけれど、実は底の方で繋がっている。
様人々の思惑と「眠り姫」を巡って、物語は加速していく。
読後は、SFでありながらどこか現代社会に通づるものを感じました -
Posted by ブクログ
タイトルからして面白そうだけど、実際面白いのが凄い。クラフトエヴィングさんの著作は未体験だけど、いかにも面白そうなメンツだもんな。何よりも、エッセイが最高な岸本さんが、本座談会でも本領を遺憾なく発揮してるのも良い。物書きを仕事にしているとはいえ、殆ど情報ゼロの状態から、わずかな手掛かりを元に、よくぞここまで想像を広げられるものだな、と。そして、”カラマーゾフ”を読んだとき、名前の長さや難しさ、その圧倒的なボリューム感にかなりの根気を要したから、ドストの他の著作にはなかなか手が出せないと思ってたけど、本書を読んで、またちょっと読みたくなりました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ螺旋プロジェクト(私の中で)最後の作品。
今まで読んだ他の7作品よりも、海と山の対立が前面には出ておらず、途中まで螺旋プロジェクトということを忘れそうになるほどだった。しかし終盤に行くほどその仕掛け(?)が分かり、これまでの7作品が紡いできた最終着地点として感慨深い作品となった。
登場人物が多く、文体も結構独特なので慣れるまで時間がかかったが、このワールドにハマると結構面白い。「未来」にうってつけだったのではないか。最後のあとがきを読むとまた一段と感慨深かった。
【最後に螺旋プロジェクト全体の感想】
このプロジェクトを知ってから1冊ずつ読み進めるのが本当にワクワクして面白かった。
同じ設 -
Posted by ブクログ
吉田篤弘作品、読んだつもりになっていたけど、実はこれが初めてだった。
「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に連なる物語だと読んだ後に知り、順番に読めば良かったとちょっと後悔。
でも、もちろんこの作品だけを読んでも十分に楽しめる。
読みやすくサラサラと入っていく感じの文章は心地よく、何のストレスもなく読み進められる。
「涙腺崩壊」とか、「大どんでん返し」といった仰々しい宣伝文句とは無縁の気を衒うことのない、静かで淡々とした物語の運び方が心地よく、一枚の絵が導く小さな奇跡のような出会いが胸を温かいもので満たしてくれる。
「時間は過ぎていくのでは無いのです。どこかへ消えてしまうわけでもありません。