吉田篤弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高温多湿の梅雨の末期に
ようやく家に戻ってきて
風呂場に飛び込んでシャワーで
ひと汗流す
それから
冷蔵庫の氷をコップに入れて
とにかく冷たい飲み物をこさえて
一口飲んで
ほっ と している
冬だったら、
寒風の吹きすさぶ中
ようやく家に帰ってきて、
とりあえず外套とマフラーをはずす前に
ストーブの火を入れて
やかんにお湯を沸かし
熱々のココアをつくって
ほっ と している
そんな 感じの
こころがゆったりする瞬間の
エッセイ集
何気ない 普段の景色が
なんだか 愛おしく感じてしまう
お話しも素敵ですが
緑罫線の原稿用紙風も
いつものクラフトエヴィング社さんの装幀も
いかにも 素敵です
「幸福な時限爆弾」
「旅先で読む本」
の章が秀逸でした -
Posted by ブクログ
ネタバレ吉田さんのエッセイはこれが初めて。
吉田さんの経験された実体験よりも妄想話が面白かった。
吉田さんの描く物語そのもののようで、その発想がいかにも吉田さんらしい。
自分を「いまの自分」と「未来の自分」に分けて二人の自分を演じる話、「天国」は自分の記憶によって創られた世界で「天国」に到着したら探偵を雇って再会したい人(故人)を捜索する話、持ち運べる「夜の鞄」の話、体の中の状態を瞬時に読み取って病気等の警告をしてくれる「ミラー」の話等々、本当にあったら面白いだろうと思わせる、ちょっと不思議でユニークな吉田ワールドに惹き込まれた。
いつかこれらの妄想話から新たな物語を創ってほしい。
『あとがき』に新型コロナのことについて書かれていた。
「見えないもの」に対峙し、共存を余儀なくされている今、「見えるもの」をしっかり把握し注意深く凝視する必要がある、とあった。
肝に銘じよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説家、吉田篤弘氏が新聞に連載していたエッセイ集。一遍一遍が短いのですっと読める。
本を開いてまず目に入るのが、緑色の罫線である。
文章の幅に合わせており、まるで原稿用紙に書かれた文章を読んでいるかのようだ。
一遍一遍に味のある手書きイラストと、アルファベットがついている。もしかしたら、26文字が重複することなくついているのかもしれない。
短いエッセイだが、一つの漢字であったり、「時計がずれた」というささやかな日常の事柄から、どんどん想像が膨らんでいく作家の脳の一部を垣間見れるような気がする。
好きな一遍は「幸福な時限爆弾」である。
この中で、筆者は「なぜ小説を書くのか」という問いかけに対し、自分を楽しませるために、いつでも自分が読んでみたい小説を書きたいと答えている。
このように、未来の自分を楽しませるために行う行いを、「幸福な時限爆弾」と呼んでいる。自分もこのように生き、幸福な時限爆弾を作っていきたいものだと思った。 -
Posted by ブクログ
「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
面白かったです。
ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
表紙の感じに既視感が、と思ったら、多分小川洋子の「不時着する流星たち」の単行本の絵と同じ方でした。あったかいような不安になるような、好きな絵です。 -
Posted by ブクログ
耳元で心地いい音楽を聴いた後のような、すごく素敵な気持ちで読み終えた本でした。
全体的に落ち着いたトーンで、コーヒーの茶色から始まり、ニューヨークのグレイ、冬の吐息の白、と浮かび上がるシーンが美しくて、なんとも言えない不思議な世界に迷い込んだようです。
過去と現在、現実と空想が入り混じった世界は、映像がとにもかくにも美しい。古着屋とバー、世界の果てのような白い荒野、ダブル・ベース「エレファント」、1つ1つのシーンがにくいくらいに素敵で、とにかくうっとり。これは、映画化してほしい。
美しいシーンも然ることながら、本書に登場する音楽を聴いてみたい。
音楽には疎い私ですが、とある場面では鳥肌が立つくらい全身ぞわっとしました。読み進めるうちに、本当に耳元に音楽が聴こえる気がしてきます。
冬を切り取ったような冷たさと一緒に、じんわりとした温かさが同時に楽しめることも魅力的だし、音楽で震える空気感も病みつきになります。
装丁もすごく素敵で何度も眺めてしまいます。冬に読むのにお勧めな1冊でした。