吉田篤弘のレビュー一覧
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螺旋シリーズ7冊目
シリーズの最後に相応しい話のため、螺旋シリーズを読む人はこれを最後に読む事をオススメする。
2095年の東京は不眠の街。目が覚める面白い本などが燃やされる中、未来予測ではこの後長い眠りの時が訪れると予想される。ゴールデンスランバーの服用により、長い眠りについた姫(海族)を目覚めさせるため、眠り姫プロジェクトがまさに螺旋を描くように、人々を繋ぎ、紐解いていく。
海と山の対立はほぼなく、手を繋ぐ未来への一歩となる。
審判役はこうやってでき、そして、時空を旅してるため、全てを知っているようだ。
吉田篤弘さんの話はこれ以外知らないが、伊坂をリスペクトしてる感じが伝わる文章だった。 -
Posted by ブクログ
螺旋プロジェクト、未来編。吉田篤弘さん初読。
2095年近未来東京は、不眠が蔓延した街となっていた。不眠をめぐるビジネス、グッズの興隆。面白い本を焼き尽くす(眠れないからねー)焚書。東京を分ける壁。
同時進行とはいえ、プロジェクトのラストの位置となる未来。他の作品からの登場アイテムがあちこちに見られ、螺旋形状の表現も多々工夫されている。そして、海と山の民の未来の天使。やはり、最後に読んだ方が良いかも。
登場人物紹介が最初に25人あります。彼らが、それぞれアイテムを求めながら小説自体が螺旋のように構成されています。作中に人物像を描くほど書き込まれてないので(多いですからね)最初にぐっと覚えてから -
Posted by ブクログ
ネタバレ幻のインク探しの旅、第二弾。
時空を彷徨うようなフワフワした感覚にどんどん惹き込まれていく。
インクの色の素となる染料が自然界から失われている、という。まさに幻のブルー。
名前と空き壜だけが残され、このまま永遠に封印されてしまうのか。
色の素となる染料が自然界から失われていく…このことは現実世界でも起こりうることとちょっと心配になる。我々の世界でも似たような現象が近い将来起こるのではないだろうか。
インクの素となる岩石も尽きてしまい、幻のインク探しの旅も暗礁に乗り上げたかと思いきや、偶然見つけた〈五番目のブルー〉により、新たな展開が期待されるが…?
他にも幻のインクを狙う人も登場して、何や -
Posted by ブクログ
それでも世界は回っている・第二巻
師匠・ベルダさんの死を受けて、廃盤になったインク〈六番目のブルー〉を探す旅に出たオリオとジャン叔父さん(そして、オリオの心に声が宿っている“ココノツ”も共に)。
インクの秘密が、ある“唄”に隠されていると知らされますが・・。
どこか浮世離れした、不思議だけど心地よい空気感に包まれながら楽しめる本書。
行く先々でちょいと奇妙な人達と出会い、そして別れを繰り返しながら人生観を深めていく二人ですが、とりわけ今回は、ジャン叔父さんが経験した“別れ”(犬の“終列車”だったり、パティさんだったり・・)と、彼の死生観が切なくて印象的でした。
街の描写も魅力的で、個人的に -
Posted by ブクログ
ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことのない四人が、断片的な情報を手がかりに、その内容についての憶測を語りあった本です。最後に、四人がじっさいに『罪と罰』を読み、その感想について話しあっています。
「教養の崩壊」が論じられるようになって久しく、本書のタイトルを目にしたときには、教養主義の逆張りのようなネタで、はたしてどれだけおもしろく料理できるのだろうかと、あまり期待はせずに読みはじめたのですが、予想以上にたのしく読むことができました。
とりわけ、三浦しをんが現代の小説家としての観点から、次々に彼女なりのストーリーを展開していくのがおもしろくて、現代の小説と19世紀のロシア文学のちがいが -
Posted by ブクログ
『月とコーヒー』に収録されていた“青いインクの話”に連なる物語との事。個人的に“青いインクの話”は気に入っていたので、期待を抱きながら読みました。
博物館の保管室に勤務する少年・オリオ。亡くなってしまった彼の師匠・ベルダさんが愛用していたインク〈六番目のブルー〉が廃盤になってしまっていた事に気づきます。
オリオは〈六番目のブルー〉を求めて旅に出る事に・・・。
幻想的で優しい中にも哲学的なものが見え隠れする、独特の世界・・・他の方も書かれていましたが“大人の寓話”のような雰囲気のお話です。この世界の心地よさがクセになります。
著者の吉田さんが描かれたイラストもいい味出ていますね。
本書は「1