吉田篤弘のレビュー一覧

  • 天使も怪物も眠る夜

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    螺旋シリーズ7冊目

    シリーズの最後に相応しい話のため、螺旋シリーズを読む人はこれを最後に読む事をオススメする。
    2095年の東京は不眠の街。目が覚める面白い本などが燃やされる中、未来予測ではこの後長い眠りの時が訪れると予想される。ゴールデンスランバーの服用により、長い眠りについた姫(海族)を目覚めさせるため、眠り姫プロジェクトがまさに螺旋を描くように、人々を繋ぎ、紐解いていく。
    海と山の対立はほぼなく、手を繋ぐ未来への一歩となる。
    審判役はこうやってでき、そして、時空を旅してるため、全てを知っているようだ。
    吉田篤弘さんの話はこれ以外知らないが、伊坂をリスペクトしてる感じが伝わる文章だった。

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    2023年02月17日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    螺旋シリーズ5冊目
    時間軸では最後となる「未来編」なので、眠りを物語のメインとして扱いつつ海族と山族の争いも最終章、という構成
    「ウナノハテノガタ」が古代語オンパレードと同じく今作品は未来語オンパレード。ついでに登場人物が増えてさらに難易度はアップ。
    なので「ウナノハテノガタ」が読みにくかった!というかたはこちらも読みにくいと思います。

    結局何が書きたかったのかなぁ、とは思うものの
    螺旋シリーズとしてはスッキリした終わり方だったのでキライではなかった。

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    2023年02月10日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    螺旋プロジェクト、未来編。吉田篤弘さん初読。
    2095年近未来東京は、不眠が蔓延した街となっていた。不眠をめぐるビジネス、グッズの興隆。面白い本を焼き尽くす(眠れないからねー)焚書。東京を分ける壁。
    同時進行とはいえ、プロジェクトのラストの位置となる未来。他の作品からの登場アイテムがあちこちに見られ、螺旋形状の表現も多々工夫されている。そして、海と山の民の未来の天使。やはり、最後に読んだ方が良いかも。
    登場人物紹介が最初に25人あります。彼らが、それぞれアイテムを求めながら小説自体が螺旋のように構成されています。作中に人物像を描くほど書き込まれてないので(多いですからね)最初にぐっと覚えてから

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    2023年01月12日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    螺旋プロジェクトの近未来SF。
    他の作品に比べて、対立よりも協調のイメージが強かったし、この共作全体の時間軸的なラストとしては良かったのかなと思う。

    ただ、このジャンル自体がそれほど好みじゃないのと、登場人物が多くて、次々視点も変わるのでちょっと理解が追いつきにくいところもあったし、それぞれのキャラに対する理解も追いつかないまま物語が終わっちゃった感じ。

    ちょっと伊坂作品に似ている印象も受けた。

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    2023年01月04日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    ただただ叔父さんにモヤモヤしながら読んでいたら最後にココノツが思ってたことそのまま言ってくれてその後のオリオの返答からの流れで急に面白くなってびっくりした!笑
    続きも買います!笑

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    2022年12月31日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    幻のインク探しの旅、第二弾。
    時空を彷徨うようなフワフワした感覚にどんどん惹き込まれていく。

    インクの色の素となる染料が自然界から失われている、という。まさに幻のブルー。
    名前と空き壜だけが残され、このまま永遠に封印されてしまうのか。
    色の素となる染料が自然界から失われていく…このことは現実世界でも起こりうることとちょっと心配になる。我々の世界でも似たような現象が近い将来起こるのではないだろうか。

    インクの素となる岩石も尽きてしまい、幻のインク探しの旅も暗礁に乗り上げたかと思いきや、偶然見つけた〈五番目のブルー〉により、新たな展開が期待されるが…?
    他にも幻のインクを狙う人も登場して、何や

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    2022年12月08日
  • それでも世界は回っている 1

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    世界について、綺麗事だと言いたくなるような言葉がたくさん出てくるけれど、そういう言葉に救われてしまう自分も居て、心が温かくなる本だなあと思った。
    色んな人が出てきて個性的で面白い。物語がどんどん転がっていくけれど、どうやって着地するのか楽しみ。

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    2022年12月05日
  • それでも世界は回っている 2

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    それでも世界は回っている・第二巻

    師匠・ベルダさんの死を受けて、廃盤になったインク〈六番目のブルー〉を探す旅に出たオリオとジャン叔父さん(そして、オリオの心に声が宿っている“ココノツ”も共に)。
    インクの秘密が、ある“唄”に隠されていると知らされますが・・。

    どこか浮世離れした、不思議だけど心地よい空気感に包まれながら楽しめる本書。
    行く先々でちょいと奇妙な人達と出会い、そして別れを繰り返しながら人生観を深めていく二人ですが、とりわけ今回は、ジャン叔父さんが経験した“別れ”(犬の“終列車”だったり、パティさんだったり・・)と、彼の死生観が切なくて印象的でした。
    街の描写も魅力的で、個人的に

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    2022年11月06日
  • ガリヴァーの帽子

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    ものすごく、大人のファンタジー。
    すごくファンタジー過ぎてふわふわとすり抜けてしまい、心に残りにくい。

    私に遊び心が足りないのか。
    大好きな吉田氏がまた一歩、歩みを進めてしまったのか。

    全体の2割ほどしか楽しめず、歯痒い気分。

    ただ、文体や描写、巧みさは相変わらず魅力的。

    10年後に読み返したら、追い付けるのかしら。

    2014年最後 53冊目。

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    2022年09月20日
  • 台所のラジオ

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    このフワッとした雰囲気がたまらなく心地良い。
    流れるラジオと美味しいもの。
    この本を読んでいる間は、心なしか時間がゆっくり過ぎていくような気がする。
    穏やかでちょっと不思議な物語が12篇。
    各話の余韻に浸りながら、そのまま眠りにつきたいと思った。
    シュロの休息が一番好きだな。

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    2022年09月01日
  • 流星シネマ

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    海から流れ着いた鯨の亡骸が眠る<鯨塚>を臨むガケ下の町に暮らす青年とその周囲の人々を巡る喪失と再生の物語。著者の持ち味である静けさとノスタルジー、そして作品を包み込む穏やかなトーンが心地良く、雨の日にもってこいの読書だった。難点を挙げるなら、今作は全編が主人公の一人称視点で、登場人物が多い割には個々のエピソードを深掘り出来ておらず、従来の作品に比べて些か奥行きに欠ける仕上がり。とりわけ、最終章の畳み方はらしくないほど性急に感じてしまった。尤も、三百頁未満でこれだけの作品を描ける構成力は流石の一言に尽きる。

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    2022年09月04日
  • 78(ナナハチ)

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    賑やかで朗らかなイメージの「ローリング・シェイキング&ジングル」の曲、聴いてみたいなぁ。静かに穏やかに、読めました。
    七重の塔の末の妹と靴屋さんのお話も可愛くて好きでした。
    吉田篤弘さんのお話も、絶妙に無国籍感があって良いです。日本っぽいところも外国っぽいところもある。

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    2022年08月04日
  • ガリヴァーの帽子

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    「ガリヴァー旅行記」、ラピュタと同じ章で日本も訪れてる…この短編集で初めて知りました。ラピュタは日本より東にあるらしい。
    「イヤリング」と「ものすごく手のふるえるギャルソンの話」が好き。
    「かくかく、しかじか」は柳家喬太郎さんの「時そば」の有名な枕と同じ香りがしました。コロッケそばのやつでコロッケが喋りだして忘れられません。

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    2022年06月04日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことのない四人が、断片的な情報を手がかりに、その内容についての憶測を語りあった本です。最後に、四人がじっさいに『罪と罰』を読み、その感想について話しあっています。

    「教養の崩壊」が論じられるようになって久しく、本書のタイトルを目にしたときには、教養主義の逆張りのようなネタで、はたしてどれだけおもしろく料理できるのだろうかと、あまり期待はせずに読みはじめたのですが、予想以上にたのしく読むことができました。

    とりわけ、三浦しをんが現代の小説家としての観点から、次々に彼女なりのストーリーを展開していくのがおもしろくて、現代の小説と19世紀のロシア文学のちがいが

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    2022年04月13日
  • それでも世界は回っている 1

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    『月とコーヒー』に収録されていた“青いインクの話”に連なる物語との事。個人的に“青いインクの話”は気に入っていたので、期待を抱きながら読みました。

    博物館の保管室に勤務する少年・オリオ。亡くなってしまった彼の師匠・ベルダさんが愛用していたインク〈六番目のブルー〉が廃盤になってしまっていた事に気づきます。
    オリオは〈六番目のブルー〉を求めて旅に出る事に・・・。

    幻想的で優しい中にも哲学的なものが見え隠れする、独特の世界・・・他の方も書かれていましたが“大人の寓話”のような雰囲気のお話です。この世界の心地よさがクセになります。
    著者の吉田さんが描かれたイラストもいい味出ていますね。
    本書は「1

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    2022年04月10日
  • イッタイゼンタイ

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    ネタバレ

    吉田作品にしては珍しく、そら寒い終わり方。「イッタイ」のパートでは、なぜか憑りつかれたようにモノを修繕する「なおし屋」の男性たちが登場。猿のおもちゃをなおす仕事に思いのほか需要があって和むも、後半「ゼンタイ」のパートで、なおし屋の男性たちを窮地に追い込む陰謀が明らかに。何が怖いといって、オオモノの思惑から逃れた女性たちの純然たる愛情ゆえに、男性たちが数奇な運命を辿るところ。未来が灰色……。

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    2022年03月08日
  • ソラシド

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    「意見は言葉に出来るけど、思いは言葉にならないよね」とは登場人物のセリフ

    忘れ物を取り戻しに行くかそのままそっとしておくかは人それぞれだけれど、無かったことにはしたくないね

    というモチーフを感じた。

    それはそうとソラシド(作中に登場するユニット)の曲を聴いてみたい。自分の中のソラシドを見つける作業も楽しいかも知れない。

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    2022年03月03日
  • 『罪と罰』を読まない

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    読まない、というか…部分読みしつつ、推理する。
    新しい読書会みたいなもの、かな?

    4人の想像が当たったり当たらなかったりで面白い!この本が楽しかったのと、『罪と罰』を読むか読まないかという問題は別なので…私はきっと読まないと思う。やはり本編は陰鬱とした面倒くさい類のロシア文学なのだろうなぁという予想。

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    2022年02月09日
  • 流星シネマ

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    都会のヘリのガケ下の町。流星新聞という地方紙を発行するアルフレッドの手伝いをしている太郎。太郎自体は平凡でどこにでもいそうな癖のない人なのに、彼を取り巻く人たちは癖が強い。かつて鯨がたどり着いた。御伽噺のような歴史は、太郎の心にも残っているし、地元の人の心にも残っている。それは事件であったり、ロマンであったり、人それぞれの形になっている。そして、太郎をとりまく人たちは、人は点なのに、太郎が関わることで線になり、円になる。人と人の出会いは縁であることを柔らかく、優しく紡いだ物語だった。

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    2021年12月29日
  • 流星シネマ

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    過去、現在、未来が混沌の中にゆらめいていて、それぞれの断片が物語が進むにつれて、形作られていく。

    表現が詩的で、意味が拾いきれない部分もあったけれど、登場人物たちの言葉がすてきで、何か大きなものに身を任せる心地よさを感じた。

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    2021年12月12日