吉田篤弘のレビュー一覧

  • 流星シネマ

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    雨が似合う物語だった。
    物語を貫くところに水の流れがあり、流れる水のように登場人物たちに淀みがなかった。
    文章は詩的だけど難解な言い回しなどはなく、優しく流れる舟のような物語にどんどんと運ばれていく。

    個人的には登場人物たちも魅力的だが、アクがなさすぎるのが物足りなくも感じた。清らかな小川の中にもほどよく汚れがあった方が、物語として味わいが深くなるのではないだろうか。

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    2023年01月18日
  • 流星シネマ

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    ネタバレ

    吉田篤弘さんの本3冊目。
    どれも、ゆっくりと何気ない物語が進む、
    本の中にも書かれてたけど、
    現実が物語の続きなのか、
    身近なところで起きてる出来事なのか、
    錯覚しそうになる、身近に感じる、優しい雰囲気。
    (世界はいつでも冬に向かっている)
    冬のひとときの読書にぴったりです。


    鯨の伝説が残る街で流星新聞を発行している主人公。
    幼少期の出来事が、街のさまざまな人物を通して、
    クライマックスの流星シネマに通ずる。
    じんわり感動しました。


    矛盾と仲良くならなきゃ人生おもしろくない
    だったかな、いい台詞です。

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    2023年01月16日
  • それでも世界は回っている 1

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     つらいことがあっても、ただ回り続けてくれる世界。それは素敵な世界。一方で、自分の意志をもって自分の時間を生きなければ意識せぬうちにも世界は回り、時間が無くなっていく。これもまた世界。

     
    p24世界が回りつづける限り、次から次へと死がめぐってきて、次から次へと新しい命がめぐってくる。

    p40「いなくなるっていうのは、そういうことなんだな。毎日、繰り返してきたことが、急に消えてなくなるってことだ」

    p124「そうじゃなくて、時間はお前なんだ。いいか?お前がそこにいて、そうして生きているから、お前の時間が流れる」

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    2023年01月06日
  • 屋根裏のチェリー

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    本作の1行目は、まるで「流星シネマ」の1行目に続く文章のように始まる。
    「そして、冬はある日、何の予告もなしに終わってしまう。」

    「屋根裏のチェリー」は「流星シネマ」と響き合う作品だ。
    なので、「流星シネマ」から読むことをお薦めしたい。
    この物語はガケ上の街に暮らすサユリが主人公で、「流星シネマ」と同じ時間軸を別角度から描いている。
    その為、2作品を読むことで、双方の物語の厚みが増す。
    とあるシーンに登場していなかった人物が、その間に誰と何をしていたか?が明かされたりする。
    それから現実にも起こりうる事だが、対面で会話をしていても、言葉を発した者と言葉を受け取った者とで、印象が違ったり、心に残る言葉が違ったりする。
    そうやって、2つの物語に重なるシーンには奥行きが増し、そうでないシーンは裏側を知ることが出きるという仕掛けだ。
    2つの物語は並走しているけれど、途中から「屋根裏のチェリー」の時間軸は「流星シネマ」を追い抜き、ラストを迎える。

    所属していたオーケストラが解散してしまい、只今拗らせ中のサユリ。
    世の中の人達には役割分担があって、みんなで手分けをしながら世界を回している。
    サユリは鯨オーケストラのオーボエ奏者。
    それが役割であり、担当だった。
    それなのに、無くなってしまった鯨オーケストラ。
    そこへ「流星シネマ」の登場人物たちが絡み、
    サユリの世界が再び回り出す。
    今まで引きこもっていた人間が突然活発に動き出すなんてことは滅多に無いわけで、
    だから吉田さんはその辺りの過程を、物語の殆どを費やし、丁寧に描いていた。
    サユリにとってそれはとてもデリケートな作業であるから、おずおずと少しずつ、ガケ下の人達との交流が広まってゆく。

    そして地中に眠る鯨の骨が掘り起こされ、元の形に組み立てられようとする時、
    もう1つの鯨(鯨オーケストラ)もよみがえらせようとする動きが…。
    「あの鯨はよみがえるべきです。伝説のつづきを熟成させるんです。」とはチェリストの長谷川さんの台詞だ。
    よみがえらんとする鯨たちが、周囲の人々の生活に影響を及ぼしているかのようだった。

    他の人には見えないチェリーと、サユリはいつも会話をしている。
    自問自答のようでもあり、相反する二人は悪友のようでもあり、連れ立って行動する。
    チェリーは、サユリの一番の理解者であり、鼓舞し、時に鋭い突っ込みも入れる。
    チェリーはサユリの作り出した存在であり、代弁者なのだ。
    サユリが自信を無くしてから、道を見失ってから、心細さを募らせてから、彼女の傍に現れたのだろうから。
    その証拠に、チェリーはオーボエを見たことがない。
    ラスト間際、そのシーンが描かれている。
    「こんなにきれいなものだと思わなかった」
    それはチェリーの言葉でもあり、サユリがオーボエの美しさを再確認するシーンでもあるのだろう。

    さて。
    この作品にも、物語の味付けとして食べ物が巧みに使われている。
    レモン・ソーダ、ササミカツ定食、無垢チョコレート、ハンバーグ…。
    (ゴー君のステーキも再び登場する)
    物語の中のエピソードと、私達読者それぞれが持つ美味しいイメージが絡み合い、ストーリーが味付けられる。

    音階に因んだ言葉の共鳴も仕掛けられている。
    「シ」は「詩」であり「死」でもある。
    文中には書かれていないけれど、消えてしまった団長さんと娘マリさんのエピソードには「師」も見えたような気がした。
    「ラ」は「シ」に向かう音だと、物語で語られる。
    音階はドレミファソラシドと「ド」で始まり「ド」に戻る。
    「ドで終わる」のではなく「ドに戻る」のだ。
    そして、オーケストラのチューニングにはオーボエがリードして「ラ」の音が使われる。
    動き出そうとしている皆の、始まりの「ラ」を奏でるのは、サユリの役目だ。
    「もう一度、みんなでー。一緒に。」

    マリさんが動画で奏でている「無伴奏チェロ組曲第一番」を是非聴いてみて欲しい。
    きっと皆さん、どこかで耳にしたことがあるであろう有名曲だ。
    我が家にはヨーヨー・マの奏でるその曲があるので、聴きながら読んだ。

    物語は、サユリの伯母である睦子さんや、叶わなかったミクちゃんとのハンバーグ屋まで綺麗に回収される。
    そしてチェリーは…。
    様々な「し」、ここに居る者、居ない者、会えなくなった者、みんなどこか深いところで繋がっている。

    毎回そうだけど、吉田さんの「あとがき」が素敵。

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    2022年12月24日
  • 屋根裏のチェリー

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    文章が好き ◯
    作品全体の雰囲気が好き ◯
    内容結末に納得がいった ◯
    また読みたい ◯
    その他

    連作を途中から読むことは滅多にしないのだけれど、なぜか「読みたい」が勝ってしまった。

    アパートの屋根裏でひっそり一人暮らしをするサユリの物語。
    本作は『流星シネマ』の続編ですが、こちらから読んでも大丈夫、みたいです。

    物語がリンクしているところもあれば、本作が前作よりも先に進んでいるところもあるそうです。
    なので、前作を読んで自分なりの答え合わせをするのが楽しみ。
    答え合わせをして「大丈夫」だったかどうか検証しよう。

    吉田篤弘さんの作品は全てを語り尽くす感がなく、その余韻が好きだったりもするので、
    連作の途中から読んでも登場人物の行動に、ページを戻ったりして理由を突き詰めようという気が起きないのも、読む順番にこだわらなかった理由。

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    2022年12月05日
  • それでも世界は回っている 2

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    幻のインク"六番目のブルー"を探すオリオ君とジャン叔父さんの旅。
    様々な人と出会い、その考えに触れるオリオ君。
    オリオ君と一緒に旅をして、吉田篤弘さん独特の幻想的で不思議な世界観を味わうような感覚が心地良い。
    旅はまだ途中。オリオ君の旅は続く。。
    オリオ君は六番目のブルーに辿り着けるのだろうか?
    その時、オリオ君はどのように感じるのだろうか?


    「世界はお前を中心に回ってるんじゃない」
    「子供の尻尾」
    「いつのまにかに追われる」
    など、ときに発するジャン叔父さんの言葉が刺さる。

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    2022年11月23日
  • 流星シネマ

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     何気ない日常を淡々と綴った小説です。町の喧騒や雑踏からかけ離れ、会話のテンポややり取りも余計な感情が削ぎ落とされた印象なのですが、不思議なことにずっと読んでいたくなる魅力があるのです。これが吉田篤弘さん特有の世界でしょうか。
     主人公・太郎の視点で描かれる日々は、優しさと静けさ、寂しさと哀しさが同居し、幻想的な雰囲気さえ醸し出しています。
     物語の舞台が、<鯨塚>というガケの下の町で、暗渠(地下埋設の川・水路)があり、かつて、この川に鯨が迷い込んで絶命し、埋葬されたという逸話があるのでした。
     「今」と「かつて」を結び付ける、というより、つながっていることを示した浪漫が感じられます。「あとがき」に次の一文が…。
     <なぜ物語を読むのか、書くのかといえば、この騒がしい世の中に暮らしながらも、ひととき、書物のかたちになった静寂に立ちかえり、心身を「澄ます」ためではないか>
     なるほど納得です。日常にフィルターをかけ、異世界へ連れて行ってもらえるような心地よい読書体験ができました。

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    2022年10月21日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    「~1」を読んだときの感想は会ったことのあるような人たち、街並みみたいな感じだったけれどこちら「2」の感想はその時よりももっと進化してファンタジーのような、「楽園」のような「天国」のような気持ちの良い場所にいるっていうような気持ち。
    最後のまち『リリボイ』の印象も良かったけれど六番目のブルーのこと、オイスターシチューのことなどシンと染み渡りました。
    理解出来ない現実的な疲れた心で読んではいけない、しっとりゆったりした気持ちの時に読まなければならない本だということも。

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    2022年10月18日
  • 台所のラジオ

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    12篇からなる短編集。
    共通するのは、流れるラジオと美味しそうな食事。
    物語が終わらせているようで終わらせない。終わりの余韻に浸る。
    そして食べ物の描写が良い。ビフテキ、紙カツにそそられる。
    日常にさらりとラジオを流す暮らし。憧れる。。。

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    2022年08月27日
  • 流星シネマ

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    世界のどこか知らない町の物語、ゆったりとした平和な日常、静かに町の歴史に刻まれた悲しい過去。
    吉田篤弘さんの文章は、ゆったりと美しくてほんのりと寂しさがあったりしながら心温まる、というイメージ。
    ハラハラさせる作品が苦手な私にぴったりだ。
    4日くらいで読み切った。

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    2022年05月29日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    ネタバレ

    12編のアンソロジー。
    どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
    その中でも特に好みだった2つについて書きたい。

    『藁の夫』
    2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。

    『逆毛のトメ』
    シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚かな人間の頭に邪鬼の形相のトメがいることを想像してそのコミカルさに取り憑かれる。気づけばトメのことが好きになっていた。

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    2022年04月21日
  • 流星シネマ

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    見えない川が 静かに、静かに、流れるような不思議なお話。
    現実の話として語られるのですが、ファンタジーのようです。
    それは、「目に見えないもの」について語っているからでしょうか。

    昔、海からとんでもないものがやってきたという伝説の川がある町。
    伝説の川は、今は埋められて遊歩道になっています。
    でも、歩道の下は暗渠になっていて今でも川は流れているのです。
    表に見えないだけで…。

    ある発見が町を湧きたたせます。
    詩人であり、詩集の編集者でもあるカナさんはこう言います。
    「たいていのものはかけらなのよ。すべてが何かの一部なの」
    かけらを形にしようと 作業を進めるうちに
    作業に関わる人々の心に、未来へと向かう明るい変化が生まれます。
    未完成なものがあるということは
    目標に向かって手を休めない限り
    いつか完成する日が来ることを意味するのですから。

    静かで心温まる物語でした。

    ただ、冒頭に書かれていた文言がずっと引っかかっています。
    『この世界は着々と冬に向かい続けていて、
    われわれもまた、ひとりひとり冬に向かい続ける。
    けれども、今自分がどのあたりまで来ているのか分からない』
    そして、中盤では、例のカナさんがある依頼を受けてこう言います。
    「できるだけ急いでね。そうじゃないと…」
    ちょっと切ない感じが残りました。

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    2022年03月07日
  • 流星シネマ

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    お正月、のんびりまったり癒されました。

    著者の作品の登場人物はどの人も、どこでもいるようでいない変わりものたちで。
    今回も太郎さんはじめ、いい味だしていました。
    こんな街に、お店に、人の中でのんびり長く暮らしたい理想郷のようでした。

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    2022年01月06日
  • ガリヴァーの帽子

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    掌編を含めた短編集。

    「ガリヴァーの帽子」は、説明のつかないような、おかしな話。
    「御寮人、鰻川下り」は、とりとめのない不思議な話。

    「かくかく、しかじか ──あるいは、彗星を見るということ」は、
    エレベーター並の速さで、上へ向かっている、泡。
    文章の最後に打たれる句点。あの小さな丸が、まるで気泡に見えてきます。
    最初何の事かと思っていたら、なるほど、シャンパンの泡でした。
    長い長い詩を読んでいるようで、面白かった。

    ギャルソンの話も、トースターの話も、どれもこれも私の好きな世界…。

    吉田篤弘さんを読むと、心が柔らかくなります。

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    2021年12月25日
  • 流星シネマ

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    「むかしむかし、この町には大きな川が流れていて、その川へ、鯨が海から迷い込んできた」
    そんなおとぎ話のような、ガケ下の町で、魅力的な個性あふれる人たちばかりが登場するお話。
    淡々と続いていく清流のような、とても静かな物語です。
    音もない断片的な8ミリフィルムを繋げたり、鯨の骨の標本を組み上げたり。
    物事はすべてつながっているようです。
    遠い昔の記憶、その小さなかけらのひとつひとつが温かく、じんわりと心に沁みてきます。

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    2021年12月14日
  • 台所のラジオ

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    あとがきがなにより素敵だった。
    本編である12の短編も好きだけれど。
    起承転結の起承あるいは起承転を描いた話です。

    余談だけど、短編集の感想を書くときが一番難しい。どの話について書けばいいかわからないので。

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    2021年12月13日
  • それでも世界は回っている 1

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    好きだった「月とコーヒー」から連なるインクシリーズの第一弾。
    幻のインク〈六番目のブルー〉を探し求める旅。
    なんて素敵な旅だろうか。
    旅の寄り道、出会う人々、出てくる食べ物。どれもとても素敵すぎる。
    この世界に入り込み、一緒に旅したい。
    まだ旅は途中。続編が楽しみ。

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    2021年11月19日
  • それでも世界は回っている 1

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     「月とコーヒー」などに登場した青いインクを巡る長編小説の1巻。
     博物館で働く14歳の天才少年オリオは、在庫切れになってしまった青いインクを求めて旅に出ることに……。
     少年が主人公という、今までにない目線が新鮮で、これまで大人の童話と思っていた吉田さんの世界観が、冒険小説のように感じられました。
     ファンタジー色が強めなのですが、いつものようにインク、コーヒー、音楽が上手に物語に溶け込んでいるところはやっぱり吉田さんの作品だな、と。
     果たしてオリオは目指す青いインクにたどり着けるのか……。早く続きが読みたいです。

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    2021年09月05日
  • それでも世界は回っている 1

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    ネタバレ

    『月とコーヒー』のショートストーリーから生まれた長編小説。
    幻のインク〈六番目のブルー〉を求め彷徨う旅物語。

    博物館の保管室で働く14歳のオリオ。
    ある日、保管の記録に必要な万年筆のインク〈六番目のブルー〉がないことに気付く。

    〈六番目のブルー〉
    それはこの世でいちばん深い海の底の青色。
    奥深くて華やかで悲しくて麗しくて涙が出てきそうで…一言では言い表せないほどの美しい色。
    そして人生における師匠の魂が宿る色。
    一体どんな”青”なのだろう。
    読めば読むほど謎めいてくる。
    そんな大切なインクを失くしてしまったオリオのインク探しの旅は、人との出逢いの旅でもあった。
    次から次へと登場する個性的な人たちの導きによって〈六番目のブルー〉に無事辿り着けるのか、とても楽しみだ。

    〈インク三部作〉の第一部。
    この先、どんな出逢いが待っているのか、乞うご期待ということで。

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    2021年08月27日
  • 流星シネマ

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    ネタバレ

    鯨の話とアキヤマ君の話とオーケストラの話と…カナさん、バジ君、ハルミさん…全ての話と全ての人が個性的でありながら、主張的ではなくて静かに絡みあっていく様子に引き込まれ、ページを操る手が止まらなかった。
    ファンタジーではないけれど、ファンタジーのような心地よい世界に浸りきった気分。

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    2021年08月11日