吉田篤弘のレビュー一覧

  • 圏外へ

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    「ふたたび」の『圏外へ』
    文庫本では初めましての『圏外へ』。
    そうだ、そうだ、そうだったと確かめるような読書になった。
    一度通っただけじゃ覚えられない道をもう一度確認しながら通るような。
    そもそも一度で覚えられなかったのは、歩きながらきょろきょろし、通り過ぎた家のポストとかすれ違った人の髪型とか(すべて例えばの話)に意識を彷徨わせていたからで。
    今回もそうだ、そうだ、そうだったと思い出すのはそういう本筋でない部分が多かったような気がする。
    というより、この小説には本筋があるんだろうか?
    全ての道が曲がりくねり、ある時はジェットコースターのようにアクロバティックな曲線を描き、道を覚えるどころか自

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    2014年09月23日
  • 圏外へ

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    最初は、異次元に迷いこんだような感覚。そのうち、カタリテと一緒に、物語論とでもいうべき壮大な旅をしている気持ちになる。
    カタリテに生み出されながら、カタリテを育て、ときにはその背中を押してくれる愛すべき物語の登場人物たち。そして、彼らが発する言葉たち。
    どんなものにも「役割」と「詩」がある…円田さんのこの言葉は切なさと温かさと勇気に満ち、この作品を優しく包んでくれる。
    とても魅力のある作品だった。

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    2014年02月19日
  • 圏外へ

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    現実のことなのかお話の中のことなのか、誰が誰なのか、どこの世界の話なんだか、何がなんだかわからなくなってくるのだけど、この方独特の文章がわたしは大好きで、その世界に浸かっているだけで幸せを感じるんだよねぇ。今回も、楽しかった。

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    2013年08月01日
  • 圏外へ

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    書いていてスゴク楽しかっただろうなぁ。この物語を書いているうちは、楽しくってしかたなかったろうなぁ。でもその反面、辛かったろうなぁ・・・と想像してしまいます。夢と現実と妄想が入り乱れ、創作に行き詰ると、登場人物たちが勝手気ままに語り出したり、語り手自身がいつの間にか表舞台に出てきてしまったり、ストーリーは激しく展開し、書きたいことが次々出てくるのに、作者自身それを書き記す手が追っつかなかったのではないでしょうか?場面転換や、人称、視点の変化が著しく、もしかすると、じれったさのあまり口述筆記してもらうことを考えたかもしれませんネ。しかしながら、意識的に多用した〝ひらかな〟表記や〝カタカナ〟表記、

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    2013年07月21日
  • 78(ナナハチ)

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    秋の夜に相応しいゆったり落ち着いた連作短編集。
    78回転の古いレコードに関する物語がキーになっているものの、舞台や時代は大きく変化して、捉えどころがないにもかかわらず、何故か惹かれてしまう。この独特の雰囲気をうまく表現できないのがもどかしいです。

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    2012年09月22日
  • 78(ナナハチ)

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    前半から後半の半ばまでのけだるいような空気がさいごにむかってぐいぐいひきずるような力に変わっていって、さいごのさいごにきらりと収束するんだけどそれどもまだどこかに伸びていくのではないかとおもわせる。居心地はいい本。

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    2012年02月03日
  • 78(ナナハチ)

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    「78回転のレコード」にまつわるお話がいくつもあって、
    それらが後々つながっているところが面白かったです。

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    2011年04月10日
  • 78(ナナハチ)

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    ちょっと風変わりなタイトルですが、〝78(ナナハチ)〟とはレコードの回転数のこと。蓄音機でないと聴くことのできないSPレコードの回転数が78なのだそうです。その78回転のレコードにまつわるいくつもの味わい深い物語が、時を越え、場所を変え、くっついたり離れたりしながら、いつしかひとつの流れにたゆたうように紡がれていきます。ノスタルジックで、センチメンタルな雰囲気を醸しだす物語世界に、いつまでもゆったり身を浸しておきたくて、ページ数が残り少なくなってくると、読み終えるのを先延ばししたくなるような一冊でした。

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    2011年02月13日
  • 78(ナナハチ)

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    吉田さんサイコーっす。
    クラフトエヴィング商會さんたちの作る世界は失われたモノとかどこかへ行ってしまったモノに溢れていて当て所ない郷愁があってすごく素敵。
    そして中身の短編小説の重なり具合が素敵すぎです。

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    2009年10月07日
  • 78(ナナハチ)

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    物語の始め、どうも景色が見え過ぎる気がしたのです。ピントがキチッと合って、人も世相もくっきり見える。ちょっと戸惑う。吉田さんの本を読む時のいつものテンポではなく、前へ前へと進もうとし過ぎる感じでした。
    それが後半になると、いつもの吉田さんです。ピントが合わないのではなく、狙ってソフトフォーカスにした情景が浮かぶ。なんとも言えない暖かな感覚に包まれる。やっぱりこうでなくっちゃ。
    しかし何なんでしょうね、この人の作品の魅力は。どうも分析できないのです。褒めたいのだけど、どう褒めれば良いのか。人にどう薦めれば良いのか。「良いよ」とか「良かったろ」とかしか言えないのが、何かもどかしいのです。

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    2016年08月05日
  • おやすみ、東京

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    夜の東京を舞台にした群像劇。登場人物が多く、複数のストーリーが交差しながら進むので、名前がわからなくなり何度も戻りながら読んだ。ファンタジー。

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    2025年11月23日
  • 月とコーヒー

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    全体的にふわふわしてて、ゆるいファンタジーって感じ。
    中身は薄いかも。
    物語から何かを得るとか、何かが刺さるとかそういうのを期待すると肩透かしを食らう。
    ただ、寝る前に読むとものすごく眠くなるので睡眠導入剤としてはいいかも。笑

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    2025年11月23日
  • 『罪と罰』を読まない

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    読書会のヒントを探している時に手に取ったのが、岸本佐知子さん、三浦しをんさん、吉田篤弘さん、吉田浩美さんによる『『罪と罰』を読まない』です。

    ドストエフスキー『罪と罰』を「実は読んでいない」ことで意気投合した4人が、「読まないで読む会」を発案したことから始まる対談集。

    この企画の素晴らしさは、マイナスを遊びに変える視点と、それを本気で遊ぶ大人たちの遊戯性に満ちているところ。

    特に三浦しをんさんの活躍がすごい。小説家だけあって、深読みは鋭く、博識だし、勝手に物語をポンポン創作してしまう様子がとても爽快です。

    テンポの良い知的な読書会を舞台袖からのぞくような面白さがあり、「こういう大人たち

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    2025年11月13日
  • 台所のラジオ

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    力を抜いて読めるお話たち。
    何が起こるの?とワクワクするでも無く、ハラハラするでも無く、でもなんとなく気分が良くなる。

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    2025年10月19日
  • 月とコーヒー

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    特典のコースターが欲しくて購入した本作
    ホッコリとした雰囲気の不思議な世界の短編集。この手の話は向いてなかったです!笑すっごいホッコリするのになぜだかほとんどの話が頭に残っていない。本当にもったいない笑
    『鳴らないオルゴール』と『バナナ会議』と『三人の年老いた泥棒』は好きでした!

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    2025年10月09日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    ネタバレ

    〈螺旋プロジェクト〉の一冊。

    〈螺旋プロジェクト〉とは
    「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家=朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画である。
    ルール1 「海族」vs.「山族」の対立を描く
    ルール2 共通のキャラクターを登場させる
    ルール3 共通シーンや象徴モチーフを出す
    (中央公論新社HPより)

    私はクラフトエヴィング商會も吉田篤弘も、その作品は大好きだということを先に明言したうえで、この作品には全くハマらなかったと言わねばならない。

    細か

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    2025年08月31日
  • 月とコーヒー

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    喫茶店の甘くないケーキ、青いインクをつくる青年、三人の年老いた泥棒、終わりの風景が見える眼鏡。彼らの日常を淡々と追いながら、静かな時間が流れている短編集。それぞれのお話が余韻のある終わり方なのも良い青いインクをつく青年のお話が好き。

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    2025年08月01日
  • 月とコーヒー

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    読み進めるとすぐ終わりが来るお話ばかりで、ちょっと物足りなさを感じてしまった。
    毎回違ったテーマのお話でとても楽しかった

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    2025年07月27日
  • 屋根裏のチェリー

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    チェリーは私たちの中にもいるだろう。自分の声を聞く、向き合う、誰かから言われたことじゃなくて、「自分からそうしたい」という一歩踏み出す尊さを象徴する良作品である。
    私たちの中には複数の人格は存在している。心の声を聞き、自分と対話し外の世界へ踏み出す勇気をくれた”チェリー”は私にもあなたの中にも存在し、語りかけているだろう。やさしく尊い良作である。

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    2025年07月24日
  • 『罪と罰』を読まない

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    もの書き4人による「罪と罰」の宴席読書会

    まず、本について読まないで推測するという遊びが面白い。面子が楽しそうだからかもしれないが。
    また、素人にはできない、書く立場の人々からの視点が興味深い。
    どうやら本は面白そうであることを知れて良かった。そろそろ食わず嫌いで放って置いた名作に取り掛かろうという気持ちにさせてくれる。

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    2025年07月05日