あらすじ
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ロングセラー『月とコーヒー』に連なる
〈インク三部作〉開演!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
いいか、よく見ろ。
終わりが来ても、
このとおり、
何度でもよみがえる。
「奇妙な惑星」博物館の保管室に
勤務する十四歳のオリオ。
師匠のベルダさんと二人、
世の中のあらゆるものを記録し保管すべく
作業に勤しんでいた。
そんなある日、ベルダさんが死んだ。
自殺か、病気か、事件か。
原因がわからぬまま、
オリオは保管室の責任者を
引き継ぐことになる。
ところが――。
ベルダさんが記録に使用していた
万年筆のインク、
〈六番目のブルー〉の在庫がない。
あれなくして記録作業はできない。
幻のインクを求めるオリオの旅が始まった。
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Posted by ブクログ
一日の終わりに読むことを楽しみにしていたのに、止まらなくなってあっというまに数日で読んでしまった
積ん読から2巻を探し出さなくては…
スピンのカラーが美しい、いや、あたたかくて懐かしいような触れたくなるような青色でうれしかった
Posted by ブクログ
万年筆のインクを集めている。
昨今、たくさんのメーカー(や個人)がご当地インクやコンセプトインクなど、とにかく数えきれないほど出しており、まさに百花繚乱の状態だ。
中でも人気はやはり青系インクなようで、たぶんバリエーションは一番多いのではないか。
水のように澄んだライトブルーから、夜の底のように深い深く、星さえ見えない日のブルーブラックまで。くすんだ青、煌めくラメの混ざった青。
この世に青いインクはどれだけの数あるのだろうか(これを書いている今も新たな「青」が誕生しているかもしれない)。
******
この世で一番美しい「青いインク」の物語、そのはじまり。
「月とコーヒー」で書かれていたインクはこれか。
これはインクが主役(と言っていい)の物語。
失われたインクを求めて旅に出る少年と彼を取り巻くさまざまな人たちとの交流が描かれる、どこかわからない不思議な世界。
世界のあらゆるものを収蔵する博物館で仕事をする少年。彼はリアルで地に足つけた社会には居場所がない子どもだ。
博物館での仕事は彼のための世界だったけれど、彼に仕事を教えてくれた"師"ともいえる人がある日突然亡くなってしまうところからストーリーは始まる。
彼は仕事を引き継ぐことになるのだが、これまで記録のために使われていた青いインクが尽きてしまったことを知る。ストックもない。けれど、この記録をするのはそのインクでなければならないのだった。
自由人の叔父とともに、インク工場があったという小さな町への旅に出る少年。テレパシー?で彼と会話する謎の少女。なぜだかわからないが彼を追いかける刑事。続きがとっても気になる(たぶんハードな話にはならないはず)。
どこのものでもない、不思議な世界の物語。
どこのものでもなさそうな名前のひとたち。
優しく温かく、なにかどこかの星の光景をスノードームの外側から眺めているような、滋養に満ちたスープのような、そんなお話だ。
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さて、万年筆インクの楽しみは、書くこと以外にもいろいろあって。
特に(何の役にも立たないが)楽しいのが「滲ませる」こと。ペーパークロマトグラフィー的な感じでインクを水で滲ませると実にたくさんの色が含まれていることが実感できる。似た色だと思っていたインクの中にまるで異なる色が含まれている驚き。
筆を洗ったあとに拭いたティッシュペーパーについたインクの残りとか、えも言われぬ美しさですよ。未体験の皆さま、ぜひ一度。
Posted by ブクログ
最近疲れて本読めないなぁと思っていたところ、この本に出会い、面白くて読みやすくて読み終えることができました。休息が大事、寄り道も大事、という言葉に励まされました。明日からも頑張れそうです。私が何をしようが、世界は回り続けているのだから。続きも読みます。
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文章から優しさが感じられて、はっとする言葉や寄り添ってくれる言葉に安心感を抱きながら読むことができた。ストーリー展開もわかりやすくて、続きが気になる。
館長の言葉がとても心に残った。この先より良く人生を歩んでいくためには休養が必要で、そうして私が一息、あるいは長い旅に出てから戻っても世界は何ひとつ変わらずに回りつづけている。世界が回りつづけているからといって、私まで回りつづける必要はないんだと、そう思ったら少し気持ちが楽になった。
寝る前とか、コーヒーを飲みながらゆっくり読みたい本。
Posted by ブクログ
落ち着いた深い紺色の表紙で、少し小ぶりなせいか、手にしっくりくる感じの本です。
〈奇妙な惑星〉という名の博物館で、その保管室のベルダさんの助手として働く14歳のオリオさん。ベルダさんが使っていた〈六番目のブルー〉のインクを求めて、叔父さんとの旅が始まったところまでの物語でした。
マリオが淹れたコーヒーを飲みながら、この物語を読んでいる自分を想像をしてみたり。私にとっては、大好きな吉田さんの世界に浸った癒しの読書となりました。
さりげなく『電球交換士の憂鬱』のトビラさんが、登場していました。それだけでも、とても嬉しくて、先に読んでおいてよかったなと思いました。
トカイ刑事、オスカー商會のアクビさん、ココノツ、トビラさん、オーネスト館長、マリオ、ジャン叔父さん、車のメンテナンスをしてくれたハルマさん、時計屋のエブリ、ダイナーの店主サル、サルの父親ウルフ、サルの叔母さんミランダ、ミュージックホールを経営しているソシオさん。登場人物全員がなにかを秘めている感じがしました。
ベルダさんのことの真相は何なのか?
〈6番目のブルー〉と呼ばれるこの世でいちばん深い海の底の青色のインクは、手に入るのか?
それでも世界は回っている。というタイトルの歌詞が存在したこと、その歌を知っていたのは、誰なのか?
など、これからが気になることだらけでした。
何度も出てきた、「それでも世界は回っている。」この言葉だけで、様々な思いが巡りました。
続きが楽しみです。
Posted by ブクログ
月とコーヒーで好きだったインクの話が拡張された…のか?まだわからないけどあの雰囲気で長編が読める楽しさ。
わらしべ長者のようにいい感じに行く先々にヒントが置いてあり、話がキレイに繋がっていくのが気持ち良い。
その話を彩る、ちょっと不思議なキャラクターと世界観。
ゆるいSFといった感じでゆるっと読めるが、その分すぐに読み終わってしまうのが切ない。
Posted by ブクログ
吉田篤弘さんの本、いつも感じることだけど今回もまた。
会ったことのある人達なのに新鮮。いえ、会ったことないかも。でも知ってる人だしなぁ。誰だったかしら、私の気のせいかしら、昔からの友達みたいだけれど初めましての挨拶もしなきゃ。そんなこんな、モヤモヤではないうっとりに近い感想。
読み終わりたくないけれど読み終わっても離れる感じがしない、そんな人達に今回もお知り合いになれました。
『1』なので続きはあるのだと思います。
またココロの琴線に触れていただきたい。
Posted by ブクログ
吉田篤弘氏の描くそれぞれのキャラクターのイラストがいい。
ジャン叔父さんのセリフやベルダさんのセリフも印象的なもので読んでいて楽しい。
続きが出るのが楽しみだ。
それまでの間、「月とコーヒー」でも読み返そう。
Posted by ブクログ
吉田篤弘さんの作品を読むと何故か『デジタルデトックス』をしたくなる。ラジオが聞きたくなる。
現実世界とは違う世界がとても心地良い。
六番目のブルー、どんな色なんだろう。
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幻のインク〈六番目のブルー〉を求め旅に出るオリオと叔父さん。
奇妙な出会いや発見が続く。
挿絵が微笑ましい。
「世界を回しているのは、さみしさ。」
「毎日の繰り返しを選ぶ。他は何もいらない。」
「人と物を分類する必要はない。」
Posted by ブクログ
月とコーヒーからの三部作。
世界観がすごく良い。
世界が変化していくのなら、僕も一緒に変化しなくてはならない。
時間は、じぶんだ。じぶんがそこにいて、そうして生きているから、じぶんの時間が流れる。
寄り道のない旅はなんの意味もない。決められたコースをたどるだけでは、なんの種にも出会えない。
Posted by ブクログ
つらいことがあっても、ただ回り続けてくれる世界。それは素敵な世界。一方で、自分の意志をもって自分の時間を生きなければ意識せぬうちにも世界は回り、時間が無くなっていく。これもまた世界。
p24世界が回りつづける限り、次から次へと死がめぐってきて、次から次へと新しい命がめぐってくる。
p40「いなくなるっていうのは、そういうことなんだな。毎日、繰り返してきたことが、急に消えてなくなるってことだ」
p124「そうじゃなくて、時間はお前なんだ。いいか?お前がそこにいて、そうして生きているから、お前の時間が流れる」
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好きだった「月とコーヒー」から連なるインクシリーズの第一弾。
幻のインク〈六番目のブルー〉を探し求める旅。
なんて素敵な旅だろうか。
旅の寄り道、出会う人々、出てくる食べ物。どれもとても素敵すぎる。
この世界に入り込み、一緒に旅したい。
まだ旅は途中。続編が楽しみ。
Posted by ブクログ
「月とコーヒー」などに登場した青いインクを巡る長編小説の1巻。
博物館で働く14歳の天才少年オリオは、在庫切れになってしまった青いインクを求めて旅に出ることに……。
少年が主人公という、今までにない目線が新鮮で、これまで大人の童話と思っていた吉田さんの世界観が、冒険小説のように感じられました。
ファンタジー色が強めなのですが、いつものようにインク、コーヒー、音楽が上手に物語に溶け込んでいるところはやっぱり吉田さんの作品だな、と。
果たしてオリオは目指す青いインクにたどり着けるのか……。早く続きが読みたいです。
Posted by ブクログ
『月とコーヒー』のショートストーリーから生まれた長編小説。
幻のインク〈六番目のブルー〉を求め彷徨う旅物語。
博物館の保管室で働く14歳のオリオ。
ある日、保管の記録に必要な万年筆のインク〈六番目のブルー〉がないことに気付く。
〈六番目のブルー〉
それはこの世でいちばん深い海の底の青色。
奥深くて華やかで悲しくて麗しくて涙が出てきそうで…一言では言い表せないほどの美しい色。
そして人生における師匠の魂が宿る色。
一体どんな”青”なのだろう。
読めば読むほど謎めいてくる。
そんな大切なインクを失くしてしまったオリオのインク探しの旅は、人との出逢いの旅でもあった。
次から次へと登場する個性的な人たちの導きによって〈六番目のブルー〉に無事辿り着けるのか、とても楽しみだ。
〈インク三部作〉の第一部。
この先、どんな出逢いが待っているのか、乞うご期待ということで。
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『月とコーヒー』で好きだったインクの話だったので購入。
作者の世界観が本の中で余すことなく表現されている。
話の内容は、あくまでも序奏。
どう進んでいくのか、今後に期待。
Posted by ブクログ
ファンタジーと言うよりは哲学的な世界観の物語でした。
独特の哲学的価値観の主人公から見る独特なルールに則って生きている人たちや世界のお話。
個人的に好きな雰囲気です。ふわふわ不思議な読書感。
つづき物だと思ってなかったので、意外な所で終わりました。そのうち続きも読みたいです。
Posted by ブクログ
他の本にも出てきた「青いインク」が出てくる。
吉田篤弘さんの、いつも通りの平凡で物静かな世界の話。
短編のように一つ一つの章に名前がついている長編。とても読みやすく気づくと読み終わっていた。続きが楽しみ。
ベルダさん、オリオ、ココノツ、叔父さん。
Posted by ブクログ
3を読んだあとに、1を。
おとぎ話のような心地よい空間にいざなわれて、物語は進んでいく。著者の独特のスタイル。
さて、余韻を楽しみにして、2に続く。
ちょっと疲れたときの癒しとしてとっておく(キープ)。
Posted by ブクログ
なんか、最後までぼや〜っとした物語でした。
伏線のようでそうでないのか?
余韻が残り過ぎると言うか…
それでも地球は回ってる…
それでも地球は回ってる2を読んで、少し印象が変わりました
やっぱり世界観が良いなぁ
Posted by ブクログ
「月とコーヒー」内の青いインクの話。博物館保管室で働くオリオが6番目のブルーを探して旅を始める話。月とコーヒーもそうなんやけど世界観と紡がれる言の葉が綺麗で好き。人と繋がることでオリオの旅が進んでいく、先が気になる。6番目のブルー見てみたい
Posted by ブクログ
世界について、綺麗事だと言いたくなるような言葉がたくさん出てくるけれど、そういう言葉に救われてしまう自分も居て、心が温かくなる本だなあと思った。
色んな人が出てきて個性的で面白い。物語がどんどん転がっていくけれど、どうやって着地するのか楽しみ。
Posted by ブクログ
『月とコーヒー』に収録されていた“青いインクの話”に連なる物語との事。個人的に“青いインクの話”は気に入っていたので、期待を抱きながら読みました。
博物館の保管室に勤務する少年・オリオ。亡くなってしまった彼の師匠・ベルダさんが愛用していたインク〈六番目のブルー〉が廃盤になってしまっていた事に気づきます。
オリオは〈六番目のブルー〉を求めて旅に出る事に・・・。
幻想的で優しい中にも哲学的なものが見え隠れする、独特の世界・・・他の方も書かれていましたが“大人の寓話”のような雰囲気のお話です。この世界の心地よさがクセになります。
著者の吉田さんが描かれたイラストもいい味出ていますね。
本書は「1」という事で、内容的にもまだ旅は始まったばかりなので、続きを読むのが楽しみです。
因みに、巻末の著書紹介のページで『電球交換士の憂鬱』という作品が目に留まり、“え?これって、この物語に登場した、電球交換士・トビラさんのお話?”と、思わず二度見してしまいました。
と、いう訳でこちら(「電球交換士・・」)も読んでみなきゃですね。