【感想・ネタバレ】鯨オーケストラのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

目当てのやつがなかったから何気なく手に取ったけどめちゃよかった。
雨が止むまでちょっと読もうと思ってたら気づいたらほぼ読み終わってた。

なんか全部繋がってるのかな~

多々さんの年齢の重ね方の解釈好きだな
美術館の描写上手すぎてちゃんと想像できた。どれだけ鯨の絵がすごいのかとか。

0
2024年05月07日

Posted by ブクログ

3作目もとても良かった。読んでいて心地よかった。出会いは大切、過去にとらわれず未来に目を向けることも。「G線上のアリア」が物語の雰囲気と合っていて良かった。

0
2024年03月10日

Posted by ブクログ

「くつろいでお聞きください。静かな声でお届けします。」と始まり、ラジオで曽我哲生が語ってくれているような感じがした。うまく言い表せないけれど、吉田篤弘さんの小説を読むと心が落ち着く。

17歳のときにモデルになった絵から、新しい人との繋がりができ、いくつかの奇跡を感じさせてくれた。「時間は消えるものではなく、すべての時間は自分の中で積み重なっていく」という言葉や、「人と別れるのは自分で決められるけれど、誰かと出会うのは自分で決められない。だから、人生は面白い。」など、なるほどと思う言葉にもたくさん出会えた。

そして、キッチンあおいの土曜日のハンバーガーとロールキャベツは、とても美味しそうだし、美術館の白い鯨の絵とチョコレート工場の鯨の模型も、迫力ありそう。今の私はこの物語の中に入り込みたいくらいの心境。

0
2024年02月07日

Posted by ブクログ

角川のオンライン小説で読んだもの。
ダウンロードしたファイルはPDFで、kujira.01~kujira.18まであった。

もともと美術館と、音楽を聴くことが大好きなので、この作品にはとても沢山の想いが溢れた。

「やはり、美術館から遠ざかってはいけない。」
「こうした時間を過ごすことは繰り返される日常の中に組み込まれているからこそ意味がある。」
「こうした時間を求める思いにもっと潤いを与えるべきなのだ。」
ここ数年のコロナ禍で、先日久しぶりに美術館を訪れた際に思った事が代弁されているようで、ひどく共感した。

「僕」の父が憧れていたベニー・グッドマンはKing of Swingと称されていた程の人。
ジャズを聴かれない方でも名前くらいはご存知かもしれない。
「Sing,Sing,Sing」を聴けば、ああこの曲!と、お分かりになるかもしれない。
彼は他にもご機嫌なSwing Jazzを沢山残しているので、ご興味がありましたら是非!

そして「僕」が所属するモノクローム・オーケストラのステージで演奏する「Bye Bye Blackbird」。
私が所持しているCDはマイルスのものと、キース・ジャレットが演奏するもの。
ペギー・リーが歌う「Bye Bye Blackbird」もいいし、ジョー・コッカーが歌うそれはソウルフルで格好いい。
こちらも興味のある方は是非聞いて頂けたらと思う。

私事だが、うちの父も音楽を好み、特にJazzが好きでよく聴いていた。
だから私や弟が物心ついた時にはもう、家にはClassicやJazzがレコードから流れていた。
幼い頃は魅力が分からなかったけれど、今では姉弟共にJazzが好きだ。
集まればJazzに限らず音楽談義に花が咲く。
ある日実家に帰ったら、演奏家のスタジオか!ってくらいに巨大なスピーカーが設置されていて絶句した事もあったっけ。
真空管アンプで鳴らす為、30分くらい温めてからでないとレコードを鳴らせないという… 笑
懐かしい思い出だ。
今はもう、プレイリストをシェアすれば離れていても大切な人と同じ音が楽しめる時代。
でもレコードにはレコードの、特別な良さがある。
アンプをしっかり温めてから鳴らすのも然り。
そっと針を落とし、パチパチというノイズの先に始まる1音目…。
レコードからは、触れられそうなほど温かな生の音がする。
そしてA面が幕を閉じ、うやうやしく盤を裏返すと始まるB面。


(話が逸れたので戻します)


さて。
「僕」がラジオのオープニング曲として選んだトッド・ラングレンの「Be Nice to Me」。
曲中の僕は周りの全てにとても疲れきっていて、
"横になって見ているだけで幸せだよ
本なんて放り投げてしまおう
もうこれで大丈夫
だから優しくしてくれないか?"
と歌う。
この曲が収められたアルバムジャケットは衝撃的だけれど、とても良いアルバムだ。
「Be Nice to Me」はハッピーな曲ではないのだけど、聴けばきっと、弱った貴方に静かに寄り添ってくれると思う。
真夜中、この曲で幕を開ける「僕」のラジオ番組も、そのような番組なのだろうな。
聞いてみたいものだ。

「僕」は川が海へと繋がる河口の町に暮らしている。
そして飼っていた犬のベニーが死んでしまった日、その日は川が増水していて、少年が流されるという事件が起きた。
そう、これは『流星シネマ』の太郎君たちに起きた事件。
けれど「僕」はその事件について詳しくは知らず、少年が助け出された丁度その頃にベニーが息絶えた事こそが、「僕」の目の前に起きた事実だった。
命が終わりを迎える時、ベニーは大きなため息をついて、口から魂が抜け出たように思えたという。

ため息と魂は『つむじ風食堂の夜』『天使も怪物も眠る夜』でも触れられていた。
「僕」の内側から話しかけてくる「ベニー」は、『屋根裏のチェリー』のチェリーのようでもある。
また、「自分はいま人生の旅のどのあたりを通過しているのか」というのも、
吉田作品で語られる共通テーマの1つだ。

そして毎回物語に匂いと味をもたらす、多くの読者が共通のイメージを持つであろう食べ物たち。
今回の美味しいは、ハンバーガー。
そしてロールキャベツ、ササミカツ定食、土曜日のハンバーガーも再び登場する。
前2作品を読んでいる方は、自分自身の思い出の中のロールキャベツやササミカツやハンバーガーと、前2作品の中で味わったそれらの思い出とを、二重構造で懐かしむことになる。
面白い仕掛けだ。
食べ物だけでなく、暗渠や映画館などで二重のセンチメンタルを味わっている方もいらっしゃるだろう。

漠然と吉田さんの作品に惹かれ続けて、複数の作品を読むと、その中で何度も目にする共通のキーワード。
川、暗渠、オーケストラ、鯨、怪物、似ている二人、ため息と魂、風、映画館、人生という旅における現在地…。
全て挙げられないほど沢山のそれらの意味を、私はしっかり受け取れているだろうか。
特に、いつも衝撃的に現れる鯨。
もっとしっかり受け止めたくて、また吉田さんの作品が読みたくなってしまう。

本作中で、『「あるもの」は「あるもの」自身を見られない』という表現をしているが、
その文章を読んだ時、クラフトエヴィング商會の『ないもの、あります』が浮かんで、
裏返しとも思えるそれらの表現に、私はまたう~ん…と考え込んでしまう。
掴めそうで、未だ掴みきれない吉田さんからのメッセージ。
それでも『鯨オーケストラ』には、これまで私が読んだ吉田さんの作品の中で(本作も含めてたった7つだけど)、
掴みたい何かが一番ハッキリと書かれていた。
それを最初に感じたのは、「僕」と「太郎君」が初めて出会う編集室のシーンだった。

『鯨オーケストラ』のストーリーは不思議なえにしを結びつけながら展開してゆく。
17歳の「僕」を描いてくれた多々さんは行方知れずとなってしまったけれど、
その絵に惚れ込んで詳細を知りたいと願う女性が居た。
その女性は絵に惚れ込んだあまり、暫く美術館で働いていたと聞かされる。
読者としてはここで『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』のミユキさんに違いないと確信する。
因みに『流星シネマ』の太郎君が暮らすがけ下の町名も、ここで判明する。

あの人のアレ、この人のコレ、それら一つ一つが繋がってゆく。
失われた人や物事が、また別の場所、別の形となって甦る。
そしてサユリさんはハッキリと言う。
"ここで「ラ」の音を鳴らしたい"と。
「ラ」は、始まりの「ラ」だ。
始まりの「ラ」はメタファーのようで、アキヤマくんにそっくりの僕(=曽我くん)が現れたことはミユキさんにとっても何かが動き出す始まりの「ラ」であったし、
受け手である僕にとっても、物事が動き出す。

ファイルkujira.07のラストに『それはまるで、なかなか解けなかったクロスワードパズルの答えであるかのように快く響いた。』とあり、
この感覚は、『屋根裏のチェリー』『流星シネマ』を読んでいる読者であれば追体験できるように思う。
読者たちにとっても『鯨オーケストラ』という作品が、クロスワードパズルの答えのように響くからだ。
「多々さん」の語る積み重なったカードの話は素敵。
「多々さん」や『流星シネマ』の「カナさん」の言葉は、何かの啓示のように、私達読者にも響いてくる。

さて。
"鯨オーケストラ"はサユリさんが始めるのだとばかり思って読み進めていたが、
思わぬところに繋がってゆく。
そして川の上流、崖の上の話は『屋根裏のチェリー』で明かされる。
皆、繋がっている。
始まったものには終わりがあるが、終わりは終演ではなく、次の始まりへと続いてゆくものだ。

蛇足。
「もしかして、君が"過去"なのかーーー」
その言葉を読んだとき、物語の内容とは関係ないけれど、東京事変の『今』という曲を思い出した。
この曲は"過去目線"で歌われていて、白々と眩しく広がっている"未来"を恥ずかしそうに見つめている。
その"過去"が"未来"と劇的に出会う瞬間。
そう、それが"今"だ。
私たちは二人で1つ、全てが揃ったわ、あぁなんて儚いの、そんな歌だ。

0
2023年09月21日

Posted by ブクログ

私もまた、主人公のソガ君に似て、しっかり者の妹を持つ、歳を重ねて形成してきた年月がぼんやりと心許なく、世界をぼんやりとみている部類だ。17歳から何が変わったか?何を伸ばして何を広げて何を深くしてきただろう。鯨やラジオやハンバーガーや川やオーケストラ。過去も未来も孕む31歳そのままのソガ君に、偶然ではなく引き寄せられたのは、きっと、誰にも起こることだと願いたい。素直に自然になる大人たちがよかった。

0
2023年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人と別れるのは自分で決められるけど、誰かと出会うのは自分では決められない。だから人生は面白いー
クラリネット奏者の主人公がFMラジオのDJを努めることになったのがきっかけで、色んな縁と音楽が繋がる深海のように静かな物語。シリーズものと知らずにいきなり読んでも楽しめる作品でした。

0
2023年08月11日

Posted by ブクログ

『レコード屋の店主に試聴をお願いすると、店主は黙って頷いて、B面の三曲目――それが「Be Nice To Me」だった――に針をおろした。これまた、どうしてなのか分からない。普通はA面の一曲目に針をおろすように思うが、店内に流れ出したのは、にぎやかな曲調のA面の一曲目ではなく、おだやかなゆったりとしたテンポのB面の三曲目だった』―『サイレント・ラジオ』

「Be Nice To Me」と聞いて頭の中で音楽が鳴る。♪You'd be so nice to come home to。おっとこの曲じゃないんだな。検索すると、トッド・ラングレンがピアノの前に背を向けて座っているジャケットが見つかる。その首には絞首刑用の縄が。柔らかな旋律とは裏腹の不吉なイメージ。♪And would it bring you down if I hang around(そして、私がぶらぶらしていたらあなたを落ち込ませるでしょうか/Google翻訳)。bring you down、hang aroundのダブルミーニングが聞こえてしまう。この物語にそんな不吉なところはないのだけれど。あるいはあるのか? 頭の中では青江三奈の歌う声がしつこく鳴り続ける。この物語には私の歌の方が似合うわよ、と。

久しぶりにクラフト・エヴィング商會の本を読む。吉田篤弘の語り口は相変わらずで、いつものように主人公が静かに語り掛けてくる。それがあまりに穏やかな口調なので、語られていることが虚構なのだということをつい忘れそうになる。そして何故か子供の頃に過ごした場所の風景が浮かんでくる。そう、吉田篤弘の文章は既視感に満ちているのだ。

子供の頃、既視感という言葉もまだ知らなかった時分、UFOやこっくりさんなどのオカルトが大流行だった。中でも子供心に皆が半信半疑ながらも気になって仕方が無かったのがノストラダムスの大予言だった。既に予言された時、一九九九年の七の月もとうに過ぎた今となっては笑い話のような話だが、未来を予測できる人が世の中には居るのかも知れないと多くの子供は無邪気に半ば信じていたような気がする。そんな時代の雰囲気もあり、見知らぬ街の風景や出来事に見覚えがあるような気にしばしばなっていた自分は「これってひょっとして予知能力なの?」と思ったものだった。その話を何気なく父親にしたら「それはデジャヴというのだ」と真面目な顔で言われたのだが、納得できず何とか予知夢を記録しようとしたりした。

吉田篤弘の文章を読んでいると、そんな現実と幻想の狭間を漂っていた子供の頃のことを思い出すように、記憶が揺さぶられる。特にこの一冊は、そんなあやふやな思いが丁度良い塩梅で物語られている、と言ってもいいのかも知れない。それは伏線のようであって伏線ではなく(現実はそんなに都合の良く回収できる話ばかりではない)、偶然のような必然のようなどっち着かずな状況に、自らが下したのか周囲に促されて下したのかも判らない判断が積み重ねられていく物語なのだが、それが世の中全てが自分の思い通りになる筈がないという考えと、共振する。ひょっとすると、それが吉田篤弘の心地よさの根源なのかな、と思い至る。

子供の頃、夏休みに父親の田舎で過ごした時、花火を買いに行こうということになり、歩いて三十分ほどの雑貨店に買いに行ったことがあった。お店の初老のご主人が父親の選んだ花火を茶色の紙袋に入れているのをぼんやり眺めていた自分は、勘定台の上に置かれたその包みを何の疑いもなく手に取ってお店を後にした。泊めて貰っていた伯父さんの家に着くと父は自分の持っていた紙袋を見て、それは何か、と訊いてきた。その父の手には別の同じ茶色の紙袋が握られていたのだ。ああ、間違えて持って来てしまったのだな、と思ったものの、また三十分の道程を返しに行くのも面倒臭いな、とも思った。伯母さんがそのお店に電話して事情を説明する。と、何とそれは伯父さんがお店に頼んでおいた花火なのだった。ご主人は、自分が紙袋を持って行くのも見ていたらしいのだが、父の顔を見て、ああ親戚の親子が買い足しに来たのだなと思い引き止めなかったのだという。世の中、そんな不思議な、けれどよく考えると不思議という程でもない(その田舎の雑貨店は近所で唯一の花火を売る雑貨店だった)出来事に満ちている。そんなことを改めて思い返させてくれる吉田篤弘の一冊。

0
2023年06月16日

Posted by ブクログ

鯨オーケストラ。いろいろ大変なことがあって、どうにもならない気持ちを抱えて、しばらく大好きな本も手に取れない状態だったけど、この小説を手に取り、ぼぉっとしてたって毎日の生活を、出会いを、未来を大切に丁寧に静かに生きていこうと思った。別れは自分で決められるけど、出会いは自分で決められないものね。

0
2023年05月23日

Posted by ブクログ

「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続く、静かな静かな物語。
 三作に共通してあるテーマは、川・鯨・音楽。
 他にもハンバーガーや声など、いろいろな要素があるけれど、川と鯨・音楽に導かれて、三作の登場人物たちが出会い、やがて絆が生まれるまでの物語です。
 とても静かで優しくて、心地良くて、心が落ち着きます。
 長編ですが、一気に読むのがもったいなくて、1章ずつを寝る前に少しずつ読みました。
 吉田さんの作品はそうやって読むのが、一番好きです。

0
2023年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く大好きなシリーズもいよいよこれで完結。
少しずつゆっくり読もうと思っていたのに、一気に読んでしまった。

キッチンあおい、ミユキさん、ロールキャベツ、サユリさん、土曜日のハンバーガー、鯨オーケストラ、チョコレート工場、太郎君、ゴー君、流星新聞、カナさん、そしてアキヤマ君。
お馴染みの人や場所、食べ物などが徐々に繋がって、穏やかな優しい世界が楽器の音が重なるように果てしなく広がっていく。

「人生はね、『なんて短いの』と思ったり、『なんて長いの』って思ったりするものなのよ。人によって違うし、そこまで生きてきた時間によって、短いと思ったり長いと思ったりするの。でも、わたしは、そのどっちでもあると思っています」

「あとまわしにしては駄目なんです。人生は思いのほか長いものだけれど、長いって思うと、ついあとまわしにしてしまうから、やっぱり人生は短いって思ったほうがいいの。でもね、そうなると今度は、『こんなことしてる場合じゃない』って余裕がなくなってしまうでしょう?それは、もっと駄目です。急いで生きてしまったら、何もいいことがありません」

「ちょうどよく歩いて行くんです。のんびりとでもなく、急いでもなく」

「時間は過ぎていくのではないのです。どこかへ消えてしまうわけでもありません。すべての時間は自分の中にあり、それが少しずつ積み重なっているんです」

「何かが強引に行われるとき、そこにはきっと、意味があるのです」

「人と別れるのは自分で決められるけれど、誰かと出会うのは自分で決められないのよ。つくづく、そう思う。だから、人生は面白いんだって」

相変わらず心に響くセリフの多いこと。自分の現状と合わさって何度も泣きそうになった。

物語の展開に喜ぶ反面、これでみんなと会えなくなると思うととても寂しい。
けれどこれは終わりではなく、新たな始まり。
大好きな懐かしい人たちが、そっと静かに始める物語を噛みしめつつ、心地よい余韻にこのままいつまでも浸っていたい。

ユーチューブで『G戦上のアリア』を聴きながら、これを鯨オーケストラのみんなとソガ君が一緒に演奏したんだな、と厳かな気持ちに酔いしれながらしみじみ。
やっぱりこの世界観が好き。後日談でもいいのでみんなのその後の物語もぜひ描いてほしい。

0
2023年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どう表現したら良いのか分からないけれど、篤弘先生の世界はひとつの(一枚でもなく、一冊でもなく、もちろん一団体とかでもない)大きな枠のない四次元に広がっている宇宙のようなモノで(尚かついまだに広がり続けている)その中のほんのひとつまみを一冊の本にして表現しているに過ぎないのではないか…

いつまでも終わらなければイイと願いながら手に取る本たちだけど、最終のページは自ずとやってくる。
ならば、広がり続ける宇宙のような、そのほんの一部分を目にしているだけと自分に思い込ませないと。
これまで出会ってきた人たち、街並みや食堂とか、ラジオから聞こえる声や街なかに流れる川。いろんなモノが愛おしく優しく思える。広がり続ける世界、宇宙の私もまたひとつになりたい。
読み続けるといつかは本という二次元の世界に入れるのかもしれない。
いえ、これらの本は四次元でしょうね。

0
2023年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちびちび読んでたのに、終わってしまった
「生きている間に触れ合わなかったものは、その人の天国に存在しない」
なるほど、「詩」を書けと言うわけで
彼の行方を祈り、言葉と、繋がりを信じる

0
2023年03月20日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて初めて読んだ作家さんですが、なにか優しい気持ちになりました

3部作の3作目なのか…
初めから読んでみましょうかね

0
2024年06月01日

Posted by ブクログ

「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続く物語。
静かで穏やかな時間の流れ。いつでも訪ねていっても良い場所の存在、いいですね。天国の話が印象的。知ってるだけじゃ駄目なんだ…。G線上のアリアとトッド・ラングレン(初めて聴いた)を聴きながら読みました。

0
2023年09月09日

Posted by ブクログ

吉田篤弘作品、読んだつもりになっていたけど、実はこれが初めてだった。
「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に連なる物語だと読んだ後に知り、順番に読めば良かったとちょっと後悔。
でも、もちろんこの作品だけを読んでも十分に楽しめる。

読みやすくサラサラと入っていく感じの文章は心地よく、何のストレスもなく読み進められる。
「涙腺崩壊」とか、「大どんでん返し」といった仰々しい宣伝文句とは無縁の気を衒うことのない、静かで淡々とした物語の運び方が心地よく、一枚の絵が導く小さな奇跡のような出会いが胸を温かいもので満たしてくれる。

「時間は過ぎていくのでは無いのです。どこかへ消えてしまうわけでもありません。すべての時間は自分の中にあり、それが少しずつ積み重なっているんです」‥‥歳をとるのも悪くないなって思わせてくれるいい言葉。

0
2023年04月16日

Posted by ブクログ

 本作は、『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く物語ですが、単独でも吉田篤弘さんの世界観を楽しめます。順に読むと、確かにより広く深く堪能できると思います。

 読み始めてすぐに、「あ〜吉田篤弘さんだなぁ」と、静かな世界に没入できます。本の静寂の中に、筆者のつぶやきにも似たいくつもの声が、紙の上から伝わってくる感覚です。不思議な安心感に包まれ、穏やかな気持ちで読み進められます。
 大きな事件や出来事も、感動的な結末もありませんが、何気ない日常生活の機微を焦点化し、淡い希望の物語を紡いでいきます。
 廃墟や古いものも登場しますが、寂寥感もなく、むしろアンティーク、スタイリッシュなイメージで、光沢のないマットな質感と言えばよいか、そんな落ち着いた夜の雰囲気を与えてくれます。

 本作の主人公・曽我哲生さん、『流星シネマ』の太郎さん、『屋根裏のチェリー』のサユリさん始め、多くの人がリンクしつながっていきます。でもよくよく考えると、人にはそれぞれ(他人にとっては取るに足らない)人生があり、パラレルに進行しています。吉田篤弘さんは、その交錯する見えない部分にこだわって、ささやかな物語を滋味あふれる形にしてくれているようです。

 全14話は比較的短く、一気読みするよりは、就寝前に少しずつ、がピッタリだと思います。

0
2023年03月27日

Posted by ブクログ

鯨でここまでお話が繋がるとは。

モカシンの作品を見てみたいと、おもわず検索してしまいました(笑)
もちろん、想像の中でも十分にこの作品の世界が広がりました。

いろいろな偶然が人や歴史を繋げている、不思議なようで人生ってそんなものなんだろうって前向きな気持ちになりました。

0
2023年03月23日

Posted by ブクログ

楽団の団長を務める中年男性の

過去との決別と再生がテーマの話であったと思いますが……

主人公の中年の男性が高校生のころ

地元の映画館のモギリをしてた
当時、中年と思われる女性の
絵画モデルをしていてですね
(その女性は映画館の看板も描いていた)

何十年か経って

その絵を探すクダリがあるんですけど。

個人的には

魅せられる系のストーリー性

ちょっと欠ける部分が多くて

風景や街の特徴などは脳内に浮かぶ文章なものの

琴線を大きく揺さぶるヒューマン描写は、あまりなかった印象です。

作者がデザイン会社を経営してるようですし

オサレなアーティストたちの

中年になった憂い的な話なんで

ほんっと人ごと感、半っぱないし

ラブカの後に海洋生物つながりで手に取った本ですから

ラブカと比べて

どうしてもハードルが高くなってしまい。


登場人物にも

あまり感情移入できなくて

良い人たちだなあと思いはするんだけども笑

感情移入できたのは

主人公の多々さんに会いたいという想いのみだった。



アテも会いたいわ多々さん的な笑

自称

自分で物事を決めて進めたことのない主人公が

絵画のモデルを務めたことで思い出す人物である

映画館のモギリけん画家の多々さん

主人公の子供の頃から街の映画館でモギリしてた多々さんという女性

こういう雰囲気の女性なら

過去にいたような気がするし。


多々さんの描く人物画は驚くほど正確で機密なものだったらしく

高校生の主人公が多々さんのアパートで絵のモデルをやった経緯と描写のクダリあって

何もセンセーショナルなことは起こらず

個人的には登場人物の生い立ち

取り巻く環境から別世界で

とは言え

別世界で地元に残った仲間たちは下町風情で暖かく

ホッコリしないこともないドラマでした。

芸大モチーフふんだんな要素ある物語で

登場人物は35歳から85歳まで(多々さんとか)

なかなか高めの年齢設定だった。

苦ではない小説。

正欲とか教団Xとか私の男は苦な小説だから

苦な上にイライラも併発するし。

あくまで個人的には。


苦ではない小説だけど

ふっと涙腺崩壊する場面もないし

楽団、スパイ、海獣、モチーフが

ちょっとラブカと被りすぎていた印象あってですね


感受性のリアクタンスを感じたというか………

男性と女性の性質の差異もあるのかなと。

差別ではなくて差異はどうしてもあると思うんですよ。

いくら多様性と言われても。

性質の差異はあるわけですから。

切りかえモードが自律神経のようにうまく動かない時もある。

時を変えて再チャレンジしたらハマる場合もある

そういうノビシロはじゅうぶん、ある小説でした。

とってもオシャレなブックカバーに文体だったので作者の方も優しくオシャレなのだと思いました。








0
2024年04月05日

Posted by ブクログ

久しぶりの吉田篤弘さんの作品。
でもこれ、三部作の三作目だったとは。

それでも相変わらず静かな空気感と真似したくなるような生活感が心地よい。
ラジオは良く聞く方ではあるが、深夜のラジオも聴いてみたくなる。あと、美術館も行ってみたくなる。

0
2024年02月16日

Posted by ブクログ

シリーズ三作目となり、繰り返し登場する人たちに親近感が湧いてきました。前二作程ではないですが、何処か非現実で、透明感のある雰囲気。目に見えない音色のような文章たちです。覚えておきたい言葉が沢山出てきました。

0
2024年01月21日

Posted by ブクログ

希望の物語。ですが、わたしにとっては素敵な出会いの物語だったのかも。出会いは大切に、そして、後回しは絶対にやっちゃいけない。何故なら「いつか」は絶対来ないということを教えてもらった。今度ゆっくりとハンバーガーを食べたいなと思った。

0
2024年01月12日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて借りました。
あまり読んでないのですが、吉田さんの文章は優しいですよね。
登場人物がみんな優しい。
優し過ぎて私の中に入ってこない感じがして手が出なかったんです。
それに全部集めたくなっちゃうから。
相反するんです。わけわからんけど。

1枚の絵によって世界が引き寄せられる。素敵です。

0
2023年12月05日

Posted by ブクログ

 時間は消えてしまうのではなく、重なっていく。いまの自分に過去の自分が含まれている。

 いいですね~過去を否定するのではなく、肯定していく❢

 

0
2023年06月11日

Posted by ブクログ

過去と未来、音楽と絵画、とても丁寧に描かれた不思議な物語だった。初めに訪れた美術館の描写が印象的。完全にタイトルで選んだけれども音楽の自由にさりげなく触れてくれる優しいお話でした。

0
2023年05月11日

Posted by ブクログ

初めての作家さん。
読みやすい。

鯨の絵、観てみたいです。
土曜日のハンバーガーもぜひ食してみたい。

0
2023年04月15日

Posted by ブクログ

初めて読む作家さんだったが、面白かった。
小さなきっかけで始まり、それは川のように音のように、過去から未来に繋がっていく。
爽やかな小品の連なりは、連続テレビ小説のよう(笑)

0
2023年03月31日

「小説」ランキング