【感想・ネタバレ】鯨オーケストラのレビュー

あらすじ

僕は地元のラジオ局で深夜の番組を担当している。ある日、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届く――。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、多々さん、鯨オーケストラ――すべてが響きあって、つながってゆく。小さな奇跡の物語がここに終わり、ここから、また始まる。『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』そして――。静かに心が共振する、希望の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」とちゃんとつながって、震えた。落ち着いた雰囲気がずっと流れてるんだけど、確かな物語の歩みがあってぐいぐい引き込まれて心地いい。「過去を取り戻すのではなく、今をつくっていく」、そんな未来を感じさせる結末だった。

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2024年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目当てのやつがなかったから何気なく手に取ったけどめちゃよかった。
雨が止むまでちょっと読もうと思ってたら気づいたらほぼ読み終わってた。

なんか全部繋がってるのかな~

多々さんの年齢の重ね方の解釈好きだな
美術館の描写上手すぎてちゃんと想像できた。どれだけ鯨の絵がすごいのかとか。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人と別れるのは自分で決められるけど、誰かと出会うのは自分では決められない。だから人生は面白いー
クラリネット奏者の主人公がFMラジオのDJを努めることになったのがきっかけで、色んな縁と音楽が繋がる深海のように静かな物語。シリーズものと知らずにいきなり読んでも楽しめる作品でした。

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2023年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く大好きなシリーズもいよいよこれで完結。
少しずつゆっくり読もうと思っていたのに、一気に読んでしまった。

キッチンあおい、ミユキさん、ロールキャベツ、サユリさん、土曜日のハンバーガー、鯨オーケストラ、チョコレート工場、太郎君、ゴー君、流星新聞、カナさん、そしてアキヤマ君。
お馴染みの人や場所、食べ物などが徐々に繋がって、穏やかな優しい世界が楽器の音が重なるように果てしなく広がっていく。

「人生はね、『なんて短いの』と思ったり、『なんて長いの』って思ったりするものなのよ。人によって違うし、そこまで生きてきた時間によって、短いと思ったり長いと思ったりするの。でも、わたしは、そのどっちでもあると思っています」

「あとまわしにしては駄目なんです。人生は思いのほか長いものだけれど、長いって思うと、ついあとまわしにしてしまうから、やっぱり人生は短いって思ったほうがいいの。でもね、そうなると今度は、『こんなことしてる場合じゃない』って余裕がなくなってしまうでしょう?それは、もっと駄目です。急いで生きてしまったら、何もいいことがありません」

「ちょうどよく歩いて行くんです。のんびりとでもなく、急いでもなく」

「時間は過ぎていくのではないのです。どこかへ消えてしまうわけでもありません。すべての時間は自分の中にあり、それが少しずつ積み重なっているんです」

「何かが強引に行われるとき、そこにはきっと、意味があるのです」

「人と別れるのは自分で決められるけれど、誰かと出会うのは自分で決められないのよ。つくづく、そう思う。だから、人生は面白いんだって」

相変わらず心に響くセリフの多いこと。自分の現状と合わさって何度も泣きそうになった。

物語の展開に喜ぶ反面、これでみんなと会えなくなると思うととても寂しい。
けれどこれは終わりではなく、新たな始まり。
大好きな懐かしい人たちが、そっと静かに始める物語を噛みしめつつ、心地よい余韻にこのままいつまでも浸っていたい。

ユーチューブで『G戦上のアリア』を聴きながら、これを鯨オーケストラのみんなとソガ君が一緒に演奏したんだな、と厳かな気持ちに酔いしれながらしみじみ。
やっぱりこの世界観が好き。後日談でもいいのでみんなのその後の物語もぜひ描いてほしい。

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2023年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どう表現したら良いのか分からないけれど、篤弘先生の世界はひとつの(一枚でもなく、一冊でもなく、もちろん一団体とかでもない)大きな枠のない四次元に広がっている宇宙のようなモノで(尚かついまだに広がり続けている)その中のほんのひとつまみを一冊の本にして表現しているに過ぎないのではないか…

いつまでも終わらなければイイと願いながら手に取る本たちだけど、最終のページは自ずとやってくる。
ならば、広がり続ける宇宙のような、そのほんの一部分を目にしているだけと自分に思い込ませないと。
これまで出会ってきた人たち、街並みや食堂とか、ラジオから聞こえる声や街なかに流れる川。いろんなモノが愛おしく優しく思える。広がり続ける世界、宇宙の私もまたひとつになりたい。
読み続けるといつかは本という二次元の世界に入れるのかもしれない。
いえ、これらの本は四次元でしょうね。

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2023年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

多々さんの言葉で、
感動することに「戸惑いを覚える」
「だって、むやみに心を動かされたくないときだってあるでしょう?」

に、まさにそれだと思いました。
感動作と銘打つ作品に少し身構えでしまう私は捻くれているのだろうか?そんなに心を揺さぶられたいものだろうか?それはそんなに絶賛されるものだろうか?思っていましたが、まさか私の心に共鳴するような言葉がでてくるなんて思わなくて虚をつかれました。

多々さんの言葉を借りると、むやみに「感電」しなくて良いのがこの方の本で、だから毛布に包まれるような安心感で手にとってしまうのだなと得心がいきました。
ああ、だから心地いいんだな。

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2024年07月31日

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