吉田篤弘のレビュー一覧

  • 流星シネマ
    詩のような一節がたくさんあって、文章が美しい作品でした。登場人物たちの性格や心境を書きすぎず、読者が想像する余地を残してもらえているようにも感じます。ゆったり進んでいた物語が、終盤にかけて大きく動き出し、エンタメ的な楽しみも味わえます。
  • おやすみ、東京
    久しぶりに吉田作品へと帰ってきた。
    クラフトエヴィング商會の装丁も大好き。
    目次から楽しめる。
    (途中にキーパッドの数字並びがあるのは何故なんだろう…)
    表紙を眺め、開き、目次を捲り、本編に入る頃にはもう、読者は深夜の気分になっているから不思議だ。
    目次のあちこちに居るカラスも、作品内に登場する。(...続きを読む
  • 天使も怪物も眠る夜
    螺旋プロジェクト完結篇。
    眠りを忘れた未来の東京の話。これまでに比べて少し読みづらくて中々進まなかったけれど、ラストのこれまでの全ての物語を収束させる結末は、温かい。
    終わってしまうと寂しい、素敵なプロジェクトでした。第二弾があるのであれば、進行中の各編を同時進行で読んでみたい。
  • 鯨オーケストラ
    「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続く物語。
    静かで穏やかな時間の流れ。いつでも訪ねていっても良い場所の存在、いいですね。天国の話が印象的。知ってるだけじゃ駄目なんだ…。G線上のアリアとトッド・ラングレン(初めて聴いた)を聴きながら読みました。
  • 天使も怪物も眠る夜
    螺旋プロジェクト、年代順に読み進め2095年東京が舞台である本作品が最後の本となりました。8人の作家が共演した企画を体験できました。
    作り手が体験する苦労を想像しながら、読者は各作家の作風を体験できます。そして、今まで読んだことのない作家の作品を読むきっかけも与えてくれたプロジェクトでした。第二弾も...続きを読む
  • 奇妙な星のおかしな街で
    奇妙で愛おしいこの世界。吉田さんの視点で日常のいろいろを面白く描く。
    幸福な時限爆弾、私もたくさん仕掛けておこう。
  • 台所のラジオ
    吉田さんの本を読んだ時にしか感じられないなぞの懐かしさ、切なさが今回もあった。胸がぎゅっとなるんだけど心地よい、これはなんだろう。語彙力がなさすぎてもどかしい。
    あとがき最後の一文から「うかんむりのこども」を少しずつ読み進めようかなと思い立つ。
  • 天使も怪物も眠る夜
    〈新世紀〉吉田篤弘ワールド

    伊坂幸太郎を始めとする今を輝く著名作家たちが一斉に会して主催された「螺旋プロジェクト」。
    その〈未来編〉に当該するのが本作となります。

    独特な世界観や、個性たっぷりのキャラクターたち。彼の長編を手に取った読者にとっては見慣れたであろう、多数の登場人物たちが交差するお決...続きを読む
  • おやすみ、東京
    ほっこりしたハートフル
    人の出会いと縁のあたたかさを感じる
    巡り巡り繋がる人々が抱えた蟠りがひょんなご縁で腑に落ちていく。
    偶然も人も思いを捨てたもんじゃないなと。
    現実そんなにうまくはいかないけど時としてこんなこともあり得るだろう。
  • おやすみ、東京
    全てのお話が夜中1時から始まる短編集。
    東京に暮らす色んな人の夜中1時から始まる出来事..だけど全てのお話が少しずつ繋がっているのがわかって読んでいてわくわくしました。
    夜寝る前に読みたくなる1冊でした。
  • 『罪と罰』を読まない
    タイトルからして面白そうだけど、実際面白いのが凄い。クラフトエヴィングさんの著作は未体験だけど、いかにも面白そうなメンツだもんな。何よりも、エッセイが最高な岸本さんが、本座談会でも本領を遺憾なく発揮してるのも良い。物書きを仕事にしているとはいえ、殆ど情報ゼロの状態から、わずかな手掛かりを元に、よくぞ...続きを読む
  • おやすみ、東京
    縁のつながりの不思議を感じさせられた。、
    東京は広いようで案外狭くて、みんなどこかで繋がっているのでは、、?という気がしてくる。
    本を読み進めていくうちに、そこが繋がっていたか〜〜!と、点が線で繋がれていく感覚。
    そして、この本を読むときは自然と夜を選んでしまう自分が..- ̗̀☾⋆ ̖́-
  • 天使も怪物も眠る夜
    点と点が繋がっていく感じがすごく面白かった。あっちでもこっちでも伏線回収。

    登場人物が多かったので本編と人物紹介ページを行ったり来たりしたのはちょっと大変でした
  • おやすみ、東京
    “繋がり”を感じれる本だった。
    ひとパート読む終わるごとに、深く息をしたくなる(してた笑)、味わえるお話。
  • 天使も怪物も眠る夜
    ピースが繋がっていく感覚が面白かった。
    それはこの物語単体としても、
    螺旋プロジェクトとしても。

    まだ螺旋プロジェクト全部読めてないけど、
    海族と山族の対立が
    今まで読んだ作品とはまた違った形で対立してて、
    逆な性質を持つからこそ惹かれるような描かれ方が新鮮やった。


    私も眠り姫になりたい(笑)...続きを読む
  • 台所のラジオ
    台所にラジオというのが昭和の雰囲気が溢れていて吉田さんらしいですね。紙カツと黒ソース、昔なじみのミルク・コーヒーが美味しそう。あとがきを読むと吉田さんの小説てこうやって生まれてくるのね…とよくわかります。台所に座って考えてる吉田さんの姿を想像してしまいました。
  • おやすみ、東京
    小中学生の頃に読んだふんわりした本のおとな用だなという印象。
    ふんわり進んでいく空気感が心地よく。
    登場人物が最後までなかなか頭に入りきらずのめり込みきれなかったので★を一つ下げました。ごめんなさい。
  • 流星シネマ
    入りたい世界ランキング1位
    穏やかに流れる日常の中で素敵な個性をもつ登場人物とひっそりゆっくり暮らしたい。

    かつて鯨がいた町。
    いろんな「むかし」が眠る町。

    流れる時間に身を任せながら、「もういちど、最初から始めてみよう」

    安心させてくれる優しい文体がとてもいい。
  • おやすみ、東京
    真夜中の東京で静かに活動する人たちの連作短編集。「パズルの最後の1ピースが足りない」気がして、フラフラと深夜の街を彷徨いたくなる感覚に吸い込まれていく。半分眠たげなテンションだけど、寝付けなくて、何かしらモノ、人を求めるボンヤリした感覚である。

    夜道をあてもなく彷徨い歩いた先で、素敵な古道具屋、食...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    因業ばばあ? 急に宝塚? そうなの? まじか!…
    ああだこうだと一般読者と変わらぬざっくばらんな話っぷり。
    漠然とした極少ない知識と、ところどころで提示されるわずかなヒントを手がかりに推理する。
    なんと面白い企画なんだか。
    小難しそうで、ただただ敷居が高いだけだった「罪と罰」をぐっと身近に引き寄せて...続きを読む