吉田篤弘のレビュー一覧

  • おやすみ、東京

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    ネタバレ

    タクシー運転手の松井
    そのタクシーの常連客で映画会社で働く調達屋ミツキ
    そこでびわを探した時に出会ったオペレーター加奈子
    そして出会うことになる使わなくなつわた電話を回収するモリイズミ
    探偵シュロ
    11人の若き女優の栄子
    映画館を建て直す青年加奈子の弟
    バーを開いた前田
    古道具屋のイバラギ
    よつかど定食
    それぞれの人物の物語ストーリーがパズルのようにつなぎ合わさるのが感動した。

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    2023年08月30日
  • 鯨オーケストラ

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    私もまた、主人公のソガ君に似て、しっかり者の妹を持つ、歳を重ねて形成してきた年月がぼんやりと心許なく、世界をぼんやりとみている部類だ。17歳から何が変わったか?何を伸ばして何を広げて何を深くしてきただろう。鯨やラジオやハンバーガーや川やオーケストラ。過去も未来も孕む31歳そのままのソガ君に、偶然ではなく引き寄せられたのは、きっと、誰にも起こることだと願いたい。素直に自然になる大人たちがよかった。

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    2023年08月20日
  • 鯨オーケストラ

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    ネタバレ

    人と別れるのは自分で決められるけど、誰かと出会うのは自分では決められない。だから人生は面白いー
    クラリネット奏者の主人公がFMラジオのDJを努めることになったのがきっかけで、色んな縁と音楽が繋がる深海のように静かな物語。シリーズものと知らずにいきなり読んでも楽しめる作品でした。

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    2023年08月11日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    本当に素敵な物語でした。
    中央公論新社の「螺旋」という、8人の作家による共作で、本作が最後の物語にあたることは知っていたけれど、大好きな作家と心惹かれるタイトルに最初に読んでしまいました。が、もし、これを1作目に読み始めようとしているあなた、やはり順番通りに読む方が良いかもしれません。

    吉田篤弘さん特有の、少し不思議で温まる展開になっていて、ずっと浸っていたい素敵な物語ですが、他の作品の伏線と思われるものも散らばっていて、巻頭に説明と年表はついているので、参照しながら読み進めることはできますが、読後の感動は、最後に読んだほうが、さらに感極まるものがあっただろうと思いました。

    最初に読んでし

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    2023年06月25日
  • 鯨オーケストラ

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    『レコード屋の店主に試聴をお願いすると、店主は黙って頷いて、B面の三曲目――それが「Be Nice To Me」だった――に針をおろした。これまた、どうしてなのか分からない。普通はA面の一曲目に針をおろすように思うが、店内に流れ出したのは、にぎやかな曲調のA面の一曲目ではなく、おだやかなゆったりとしたテンポのB面の三曲目だった』―『サイレント・ラジオ』

    「Be Nice To Me」と聞いて頭の中で音楽が鳴る。♪You'd be so nice to come home to。おっとこの曲じゃないんだな。検索すると、トッド・ラングレンがピアノの前に背を向けて座っているジャケットが見

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    2023年06月16日
  • 鯨オーケストラ

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    鯨オーケストラ。いろいろ大変なことがあって、どうにもならない気持ちを抱えて、しばらく大好きな本も手に取れない状態だったけど、この小説を手に取り、ぼぉっとしてたって毎日の生活を、出会いを、未来を大切に丁寧に静かに生きていこうと思った。別れは自分で決められるけど、出会いは自分で決められないものね。

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    2023年05月23日
  • 流星シネマ

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    ネタバレ

    空っぽになったチョコレート工場で町の人の想いがひとつになった。クジラの骨格標本、鯨オーケストラ、8ミリフィルムの投影、ピアノとヴァイオリンの演奏‥
    読み終わりが心地良かった。

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    2023年05月20日
  • 鯨オーケストラ

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    「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続く、静かな静かな物語。
     三作に共通してあるテーマは、川・鯨・音楽。
     他にもハンバーガーや声など、いろいろな要素があるけれど、川と鯨・音楽に導かれて、三作の登場人物たちが出会い、やがて絆が生まれるまでの物語です。
     とても静かで優しくて、心地良くて、心が落ち着きます。
     長編ですが、一気に読むのがもったいなくて、1章ずつを寝る前に少しずつ読みました。
     吉田さんの作品はそうやって読むのが、一番好きです。

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    2023年05月03日
  • 台所のラジオ

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    たまに読みたくなる吉田篤弘。
    実は特別なんだよ。と伝えたくなる日常がきゅきゅっと。
    紙カツ、よいっぱりべーかりー
    モノローグ病は最近のわたし。

    みんな演じながら生きてるよ 

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    2023年04月25日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    登場人物が多く、個性的な名前ばかりで読むのに苦労した。読み終えた後も、いい意味で話が頭に残り、どんな話か考えさせられた。
    本というより、1つの「舞台」として、考えると、テンポよく楽しく読めそう。
    初めてそんな印象を受ける本に出会った。

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    2023年04月23日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ここ最近のヒット。いや〜みんなの言い放題っぷりが気持ちが良い。ドスコ?馬かな?って冒頭の辺りから爆笑。
    ちょっととっつきにくそうだな〜と避けていた外国文学だけど、やはりキリスト教とかの影響はありつつも、こんなふうに面白がって読めるんだ!っていう大発見だよね。
    後書きでもお話されているように、読む前から読むことは始まっている。あらすじとか見ながら選んでる時、わくわくするあの感じ。そして読んだ後も読書は続く。本はなにより待ってくれるから、良い。その通りだなと。
    誰かと読書会できたら楽しそう!

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    2023年04月16日
  • 鯨オーケストラ

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    ネタバレ

    『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く大好きなシリーズもいよいよこれで完結。
    少しずつゆっくり読もうと思っていたのに、一気に読んでしまった。

    キッチンあおい、ミユキさん、ロールキャベツ、サユリさん、土曜日のハンバーガー、鯨オーケストラ、チョコレート工場、太郎君、ゴー君、流星新聞、カナさん、そしてアキヤマ君。
    お馴染みの人や場所、食べ物などが徐々に繋がって、穏やかな優しい世界が楽器の音が重なるように果てしなく広がっていく。

    「人生はね、『なんて短いの』と思ったり、『なんて長いの』って思ったりするものなのよ。人によって違うし、そこまで生きてきた時間によって、短いと思ったり長いと思ったりするの

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    2023年04月15日
  • 流星シネマ

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    住んでいる街に鯨が眠っている。なんてステキなことだろう。。そういえば、「アスファルトの下には森が広がっている」と教えてくれたのも著者だったか。

    自分の足元に広がる世界に思いをはせる。

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    2023年04月08日
  • 鯨オーケストラ

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    ネタバレ

    どう表現したら良いのか分からないけれど、篤弘先生の世界はひとつの(一枚でもなく、一冊でもなく、もちろん一団体とかでもない)大きな枠のない四次元に広がっている宇宙のようなモノで(尚かついまだに広がり続けている)その中のほんのひとつまみを一冊の本にして表現しているに過ぎないのではないか…

    いつまでも終わらなければイイと願いながら手に取る本たちだけど、最終のページは自ずとやってくる。
    ならば、広がり続ける宇宙のような、そのほんの一部分を目にしているだけと自分に思い込ませないと。
    これまで出会ってきた人たち、街並みや食堂とか、ラジオから聞こえる声や街なかに流れる川。いろんなモノが愛おしく優しく思える

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    2023年04月04日
  • それでも世界は回っている 2

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    暖かく乾いた幸福ななにか
    吉田篤弘の文章はいつだって私にそれをくれる
    コーヒーの香り、オイスターシチューがつめたい身体を伝う幸福
    私が口にするコーヒーも、何番目かのブラウンだったりして

    ごきげんなオオカミ!
    今日から私の心のなかにも住んでもらおう

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    2023年03月21日
  • それでも世界は回っている 1

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    吉田篤弘の作品の中でもこれは好きかな。夜のとばりに落ち着いた気持ちになりたいときにはぴったりの夜話だと私は思う。読んでいて心地いい。

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    2023年03月19日
  • 屋根裏のチェリー

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    新刊「鯨オーケストラ」への期待感を高めたく流星シネマに続き再読。相変わらず素敵な世界観、そしてあとがきの「鯨オーケストラでお会いしましょう」で期待感を高めるには充分でした。

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    2023年02月27日
  • 台所のラジオ

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    吉田さんのつむぐ物語は、やはり好きだなぁと思う。
    それぞれのおはなしに共通するあることに気づいて、あっとする。
    あとがきを読んでまたあっと思う。
    その、あっとするのは大きな衝撃ではなく、ささやかな、ほっとするような、あっ。

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    2023年01月19日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    失われたインクを探す旅の続き。
    ジャン叔父さんとココノツとの旅。不思議な大人達に囲まれてオリオは少しずつ成長していく。町並みや景色の書き方がとても美しい。リリボイ行きたい。世界は勝手に回ってるけど、誰もが中心となって回っている。そして失った事を受け入れる。この旅の終わり、オリオは何に辿り着くんだろう。続きが気になる!

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    2023年01月08日
  • 流星シネマ

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    吉田篤弘さんの作品を読むのはまだ3作目なのだけど、
    いつも始めの1行が素晴らしい。
    「この世界は、いつでも冬に向かっている。」
    グッと引き込まれて、まだどのような内容かも分からない私を、ストンとその世界に着地させてくれる。
    クラフトエヴィング商會としての装幀も、吉田さんのイラストも可愛らしくて、創造力が掻き立てられる。

    それに読み始めて直ぐ、他の作品に繋がる欠片を見つけた。
    「それからはスープのことばかり…」の街や空気感…。
    「天使も怪物も…」の未来予測、鯨、作家、眠り…。
    そしてどちらにもあった映画上映シーン。
    きっと吉田さんの中には別の世界が存在していて、そこはどこか懐かしく、ちょっぴ

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    2022年12月19日