屋根裏のチェリー

屋根裏のチェリー

小説・文芸
880円 (税込)

4pt

もういちど会いたいです──都会のはずれのガケの上にある古いアパート。その屋根裏にひっそり暮らしている元オーケストラのオーボエ奏者のサユリ。唯一の友だちは、頭の中にいる小さなチェリー。「もっと外へ出て行かなくちゃ」とチェリーは言うが……。ハンバーガーやササミカツ定食やレモン・ソーダが好き。食いしん坊でこよなく音楽を愛するサユリと個性的な登場人物が織りなす、『流星シネマ』と響きあう愛おしい小さな奇跡の物語。

詳しい情報を見る

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    角川春樹事務所
  • 掲載誌・レーベル
    :
    ハルキ文庫
  • タイトル
    :
    屋根裏のチェリー
  • タイトルID
    :
    1284744
  • ページ数
    :
    351ページ
  • 電子版発売日
    :
    2023年01月15日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    3MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

屋根裏のチェリー のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    なんと、びっくり。流星シネマと語り手が代わる。太郎さんからオーボエ奏者のサユリさんへ。チェリーっていうのは彼女の頭の中にしか存在しない、レモン・ソーダの空き瓶と同じくらいの大きさの、妖精みたいな存在。

    何ページだったか忘れたけど、「~を鑑みる」という表記があって、「~に鑑みる」だよね、文筆家ですらまた違えるんだと思うと同時に、校正甘いね、と思った。角川春樹事務所さん、がんばってください。

    0
    2024年08月07日

    Posted by ブクログ

    『流星シネマ』から引き続き、吉田篤弘さんの世界がまた広がった。

    ガケ上にある建物の屋根裏部屋に住む、元オーボエ奏者で、食いしん坊のサユリ。土曜日よりも日曜が好き。人との関わりを避け、頭の中のチェリーと過ごす日々。チェリーの言葉に叱咤激励されつつ、ガケ下の町に住む人々との交流が広がっていく。

    鯨オーケストラ、暗渠、定食屋〈あおい〉、鯨、流星新聞、川の流れ、ピアノ、チョコレート工場、あおい橋・・・
    繋がっていくものを表す表現がいつも通り心地よく感じた。素敵な表現が多いなかで、今回は〈体の中のいちばん静かなところに「全休符の箱」がある。〉という表現が一番好きになった。

    どうしてなのかわからないが、吉田さんの文章は、いつも心を穏やかにしてくれる不思議な力がある。未読の作品がまだまだたくさんあるので楽しみだ。


    0
    2024年02月25日

    Posted by ブクログ

    半年前に読んだ「流星シネマ」の続編。
    前作の最後にチラと出てきたオーボエ奏者・サユリさんを中心に語られるお話。
    しんみりと確かな文章で綴られたお話にはたくさん感じるところがあった。

    団長がいなくなり練習場所もなくなって、〈鯨オーケストラ〉は自然解消になった状況の中、寄る辺なくガケの上にある古いアパートの屋根裏に引きこもっているサユリさん。
    その孤独な心情や切なさや淋しさや不器用な生き方が、自分の分身というか心の中のツッコミ役・チェリーとの会話も交えながらゆっくりじっくり描かれる。
    サユリさんに付かず離れず、自由に現れては消えて、サユリさんの心に刺さる、チェリーの存在が自然でとても良い感じ。
    チェリーとの会話でサユリさんの心の中の蓋が溶かされて、心の底にある人とのつながることや一緒に活動することへの渇望が少しずつ表に現れだす。
    過去にとらわれながら『未練が過去にではなく未来に向けて自分を動かすきっかけになる』と開き直って、一歩踏み出した時のチェリーのゆくえに、その泣き笑いの感情が心に沁みた。

    サユリさんとまた出会うことになる太郎君。それにミユキさんにゴー君、バジ君に丹後さん…、前作でお馴染みの人がまた顔を揃える。
    前作での太郎君のサユリさんへのインタビューをハブにして2つの話を行き来するような作りは、前作を思い出しながら本作にも前作にも新しい視点が加わるような感じで面白く読めた。
    太郎くんの詩やミユキさんの美術館でのエピソードには、ゴー君も含めて彼らの心の中に出来た空洞の存在を改めて思わせて切なく、サユリさんにとっての伯母さんや幼い頃の友人の記憶ともつながり、大切な人に『もういちど会いたい』というそれぞれの心の重さが知れたのだった。

    チェリーはcherryではなくcher-ee。
    「チム・チム・チェリー」の哀愁を帯びたメロディが、この作品のトーンに似つかわしく、ずっと頭の中で鳴っていた。

    0
    2023年09月07日

    Posted by ブクログ

    新刊「鯨オーケストラ」への期待感を高めたく流星シネマに続き再読。相変わらず素敵な世界観、そしてあとがきの「鯨オーケストラでお会いしましょう」で期待感を高めるには充分でした。

    0
    2023年02月27日

    Posted by ブクログ

    流星シネマに続いて連作の2作目を読みました。

    流星シネマを読んだ時に、脇役の一人一人の人生感じられて物語に奥行があるのが良いと思ったのだけど、まさにその部分を一つの作品として仕上げてくれているのがすごく嬉しい。

    1作目とは独立した作品として書かれているけれど、舞台も時間軸も被っていて1作目の出来事を違う視点で見ていたりするのが面白い。

    ちょっと勇気を出して一歩を踏み出すことで新たな出会いがあって、思いがけない方向に人生が進んでいくのが、さまざまな形で描かれていたのが良かった。

    0
    2026年08月04日

    Posted by ブクログ

    ガケ上の古いアパートの屋根裏で暮らす元オーボエ奏者のサユリと、サユリの空想上の友人チェリーとのやり取りを中心に進む静かな物語。
    イマジナリーフレンドのチェリーが唯一の友達で、人見知りで人付き合いは最小限のサユリが実はレモンソーダを愛飲しハンバーガーやカツを好んで食べる食いしん坊キャラという意外性。彼女が胸の内に秘めた音楽への思いと、解散してしまったオーケストラへの思い。 
    前作の『流星シネマ』と同じシーンがサユリの視点でも描かれており、視点が変わることで前とは違った見え方になる。
    内に籠もりがちなサユリが、前作の主人公 太郎や街の人と知り合い、交流を重ねていくのと同時に仕舞い込んでいた音楽への気持ちを取り戻していく姿がとても良い。
    新たな門出を祝う音は、はじまりのラの音だ。

    0
    2026年04月03日

    Posted by ブクログ

    三部作『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』『鯨オーケストラ』の第二部。

    書き出しは 「そして、冬はある日、何の予告もなしに終わってしまう」

    『流星シネマ』の書き出しは「この世界は、いつでも冬に向かっている」だったので、なにか寂し気な予感がした。

    岡小百合こと「サユリ」目線の物語で「チェリー」はサユリの中のもう一人の自分。
    つまり、チェリーはサユリの頭の中にいて、控え目な現在のサユリの行動を後押しする心の声のようだ。

    『流星シネマ』でのいくつかの出来事がサユリ目線でも語られるが、『流星シネマ』より未来に物語は進む。

    鯨の復活に取り組む人物と並行して、鯨オーケストラの復活に取り組むのがサユリ。
    両方の復活の後押しをするのが太郎。

    かつての鯨オーケストラのメンバーが集まり始める。
    ミユキが定食屋あおいの開店に向け、サユリを店員として準備を整える。
    ミユキは次作『鯨オーケストラ』の主人公である曽我との接点として、重要な役割を果たすことになる。

    「鯨オーケストラ」はまだ復活していないが、確実に前に進みつつある。

    0
    2025年03月26日

    Posted by ブクログ

    前作が気に入り、こちらも購入。流星新聞のアナザーストーリーという形の物語という事で、前作と触れ合ったり、ほんのり存在を感じたりする距離感がとても好きでした。続編が出てるそうなので、読んでみたいと思います。

    0
    2023年12月24日

    Posted by ブクログ

    アパートの屋根裏部屋で一人暮らすサユリは人見知りで、人とうまく話すことができない。
    元オーケストラのオーボエ奏者で、彼女の所属していた、がけ下の町のはずれにあったアマチュア楽団〈鯨オーケストラ〉はすでに解散していた。
    サユリの頭の中に現れて、時々話しかけてくる小さな彼女の名前はチェリーという。

    レモン・ソーダやハンバーガーやササミカツ定食などおいしい食べ物が登場し、物語全体が居心地良く優しい雰囲気がします。

    私の住む町で身近におこった、先日の淀川の迷いクジラの出来事を思い出し、『流星シネマ』のことが即頭に浮かびました。
    小説も侮れないなと、嬉しさがこみ上げてきました。

    個性的で、懐かしい登場人物たちに再び出会い、『流星シネマ』とこの物語が響き合っていることに気づいてから、思わず『流星シネマ』を傍らに置いて読み進めていました。
    偶然に引き寄せられて、何かが始まろうとしている緊張と高揚が、次々とやってきます。
    サユリを主役にしたこの物語は、ゆるやかにつながっていく偶然の出会いによって、小さな奇跡が重なっていく、とても愛おしい物語です。

    この後に続く第三の物語『鯨オーケストラ』もとても楽しみです。

    0
    2023年01月29日

    Posted by ブクログ

    本作の1行目は、まるで「流星シネマ」の1行目に続く文章のように始まる。
    「そして、冬はある日、何の予告もなしに終わってしまう。」

    「屋根裏のチェリー」は「流星シネマ」と響き合う作品だ。
    なので、「流星シネマ」から読むことをお薦めしたい。
    この物語はガケ上の街に暮らすサユリが主人公で、「流星シネマ」と同じ時間軸を別角度から描いている。
    その為、2作品を読むことで、双方の物語の厚みが増す。
    とあるシーンに登場していなかった人物が、その間に誰と何をしていたか?が明かされたりする。
    それから現実にも起こりうる事だが、対面で会話をしていても、言葉を発した者と言葉を受け取った者とで、印象が違ったり、心に残る言葉が違ったりする。
    そうやって、2つの物語に重なるシーンには奥行きが増し、そうでないシーンは裏側を知ることが出きるという仕掛けだ。
    2つの物語は並走しているけれど、途中から「屋根裏のチェリー」の時間軸は「流星シネマ」を追い抜き、ラストを迎える。

    所属していたオーケストラが解散してしまい、只今拗らせ中のサユリ。
    世の中の人達には役割分担があって、みんなで手分けをしながら世界を回している。
    サユリは鯨オーケストラのオーボエ奏者。
    それが役割であり、担当だった。
    それなのに、無くなってしまった鯨オーケストラ。
    そこへ「流星シネマ」の登場人物たちが絡み、
    サユリの世界が再び回り出す。
    今まで引きこもっていた人間が突然活発に動き出すなんてことは滅多に無いわけで、
    だから吉田さんはその辺りの過程を、物語の殆どを費やし、丁寧に描いていた。
    サユリにとってそれはとてもデリケートな作業であるから、おずおずと少しずつ、ガケ下の人達との交流が広まってゆく。

    そして地中に眠る鯨の骨が掘り起こされ、元の形に組み立てられようとする時、
    もう1つの鯨(鯨オーケストラ)もよみがえらせようとする動きが…。
    「あの鯨はよみがえるべきです。伝説のつづきを熟成させるんです。」とはチェリストの長谷川さんの台詞だ。
    よみがえらんとする鯨たちが、周囲の人々の生活に影響を及ぼしているかのようだった。

    他の人には見えないチェリーと、サユリはいつも会話をしている。
    自問自答のようでもあり、相反する二人は悪友のようでもあり、連れ立って行動する。
    チェリーは、サユリの一番の理解者であり、鼓舞し、時に鋭い突っ込みも入れる。
    チェリーはサユリの作り出した存在であり、代弁者なのだ。
    サユリが自信を無くしてから、道を見失ってから、心細さを募らせてから、彼女の傍に現れたのだろうから。
    その証拠に、チェリーはオーボエを見たことがない。
    ラスト間際、そのシーンが描かれている。
    「こんなにきれいなものだと思わなかった」
    それはチェリーの言葉でもあり、サユリがオーボエの美しさを再確認するシーンでもあるのだろう。

    さて。
    この作品にも、物語の味付けとして食べ物が巧みに使われている。
    レモン・ソーダ、ササミカツ定食、無垢チョコレート、ハンバーグ…。
    (ゴー君のステーキも再び登場する)
    物語の中のエピソードと、私達読者それぞれが持つ美味しいイメージが絡み合い、ストーリーが味付けられる。

    音階に因んだ言葉の共鳴も仕掛けられている。
    「シ」は「詩」であり「死」でもある。
    文中には書かれていないけれど、消えてしまった団長さんと娘マリさんのエピソードには「師」も見えたような気がした。
    「ラ」は「シ」に向かう音だと、物語で語られる。
    音階はドレミファソラシドと「ド」で始まり「ド」に戻る。
    「ドで終わる」のではなく「ドに戻る」のだ。
    そして、オーケストラのチューニングにはオーボエがリードして「ラ」の音が使われる。
    動き出そうとしている皆の、始まりの「ラ」を奏でるのは、サユリの役目だ。
    「もう一度、みんなでー。一緒に。」

    マリさんが動画で奏でている「無伴奏チェロ組曲第一番」を是非聴いてみて欲しい。
    きっと皆さん、どこかで耳にしたことがあるであろう有名曲だ。
    我が家にはヨーヨー・マの奏でるその曲があるので、聴きながら読んだ。

    物語は、サユリの伯母である睦子さんや、叶わなかったミクちゃんとのハンバーグ屋まで綺麗に回収される。
    そしてチェリーは…。
    様々な「し」、ここに居る者、居ない者、会えなくなった者、みんなどこか深いところで繋がっている。

    毎回そうだけど、吉田さんの「あとがき」が素敵。

    0
    2022年12月24日

屋根裏のチェリー の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    角川春樹事務所
  • 掲載誌・レーベル
    :
    ハルキ文庫
  • タイトル
    :
    屋根裏のチェリー
  • タイトルID
    :
    1284744
  • ページ数
    :
    351ページ
  • 電子版発売日
    :
    2023年01月15日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    3MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

ハルキ文庫 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

吉田篤弘 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す