吉田篤弘のレビュー一覧

  • それでも世界は回っている 1

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     つらいことがあっても、ただ回り続けてくれる世界。それは素敵な世界。一方で、自分の意志をもって自分の時間を生きなければ意識せぬうちにも世界は回り、時間が無くなっていく。これもまた世界。

     
    p24世界が回りつづける限り、次から次へと死がめぐってきて、次から次へと新しい命がめぐってくる。

    p40「いなくなるっていうのは、そういうことなんだな。毎日、繰り返してきたことが、急に消えてなくなるってことだ」

    p124「そうじゃなくて、時間はお前なんだ。いいか?お前がそこにいて、そうして生きているから、お前の時間が流れる」

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    2023年01月06日
  • 屋根裏のチェリー

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    本作の1行目は、まるで「流星シネマ」の1行目に続く文章のように始まる。
    「そして、冬はある日、何の予告もなしに終わってしまう。」

    「屋根裏のチェリー」は「流星シネマ」と響き合う作品だ。
    なので、「流星シネマ」から読むことをお薦めしたい。
    この物語はガケ上の街に暮らすサユリが主人公で、「流星シネマ」と同じ時間軸を別角度から描いている。
    その為、2作品を読むことで、双方の物語の厚みが増す。
    とあるシーンに登場していなかった人物が、その間に誰と何をしていたか?が明かされたりする。
    それから現実にも起こりうる事だが、対面で会話をしていても、言葉を発した者と言葉を受け取った者とで、印象が違ったり、心

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    2022年12月24日
  • 屋根裏のチェリー

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    文章が好き ◯
    作品全体の雰囲気が好き ◯
    内容結末に納得がいった ◯
    また読みたい ◯
    その他

    連作を途中から読むことは滅多にしないのだけれど、なぜか「読みたい」が勝ってしまった。

    アパートの屋根裏でひっそり一人暮らしをするサユリの物語。
    本作は『流星シネマ』の続編ですが、こちらから読んでも大丈夫、みたいです。

    物語がリンクしているところもあれば、本作が前作よりも先に進んでいるところもあるそうです。
    なので、前作を読んで自分なりの答え合わせをするのが楽しみ。
    答え合わせをして「大丈夫」だったかどうか検証しよう。

    吉田篤弘さんの作品は全てを語り尽くす感がなく、その余韻が好きだったり

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    2022年12月05日
  • それでも世界は回っている 2

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    幻のインク"六番目のブルー"を探すオリオ君とジャン叔父さんの旅。
    様々な人と出会い、その考えに触れるオリオ君。
    オリオ君と一緒に旅をして、吉田篤弘さん独特の幻想的で不思議な世界観を味わうような感覚が心地良い。
    旅はまだ途中。オリオ君の旅は続く。。
    オリオ君は六番目のブルーに辿り着けるのだろうか?
    その時、オリオ君はどのように感じるのだろうか?


    「世界はお前を中心に回ってるんじゃない」
    「子供の尻尾」
    「いつのまにかに追われる」
    など、ときに発するジャン叔父さんの言葉が刺さる。

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    2022年11月23日
  • 流星シネマ

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     何気ない日常を淡々と綴った小説です。町の喧騒や雑踏からかけ離れ、会話のテンポややり取りも余計な感情が削ぎ落とされた印象なのですが、不思議なことにずっと読んでいたくなる魅力があるのです。これが吉田篤弘さん特有の世界でしょうか。
     主人公・太郎の視点で描かれる日々は、優しさと静けさ、寂しさと哀しさが同居し、幻想的な雰囲気さえ醸し出しています。
     物語の舞台が、<鯨塚>というガケの下の町で、暗渠(地下埋設の川・水路)があり、かつて、この川に鯨が迷い込んで絶命し、埋葬されたという逸話があるのでした。
     「今」と「かつて」を結び付ける、というより、つながっていることを示した浪漫が感じられます。「あとが

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    2022年10月21日
  • それでも世界は回っている 2

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    ネタバレ

    「~1」を読んだときの感想は会ったことのあるような人たち、街並みみたいな感じだったけれどこちら「2」の感想はその時よりももっと進化してファンタジーのような、「楽園」のような「天国」のような気持ちの良い場所にいるっていうような気持ち。
    最後のまち『リリボイ』の印象も良かったけれど六番目のブルーのこと、オイスターシチューのことなどシンと染み渡りました。
    理解出来ない現実的な疲れた心で読んではいけない、しっとりゆったりした気持ちの時に読まなければならない本だということも。

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    2022年10月18日
  • 『罪と罰』を読まない

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    面白そうだなと購入。でも期待せずに読み初めて、えっ、これ予想以上に面白いじゃんとびっくり(笑)
    ドストのラスコに馬の修造だよ?「罪と罰」かなり読みたくなったんだけど、私はいつか読む読む詐欺マン(笑)

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    2022年08月31日
  • 台所のラジオ

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    12篇からなる短編集。
    共通するのは、流れるラジオと美味しそうな食事。
    物語が終わらせているようで終わらせない。終わりの余韻に浸る。
    そして食べ物の描写が良い。ビフテキ、紙カツにそそられる。
    日常にさらりとラジオを流す暮らし。憧れる。。。

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    2022年08月27日
  • 電球交換士の憂鬱

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    「電球交換士」という肩書を持つ十文字という名の男が主人公です。
    バー〈ボヌール〉の半永久的常連客で、酒場は好きだが酒は呑めない。
    いつも炭酸水を飲んでいて、どこまでも終わりのない電球交換をし続ける不死身の男。
    彼の行く先々で、小さな事件が起こり、謎々みたいな、ちょっと愉快であぶない話が続いていきます。
    (吉田篤弘さんの場合は、謎解きではなく謎々と言った方がしっくりくるのです。)

    バーやキャバレーがひしめく一角や、吹けば飛ぶような粗末な映画館、海の近くのサーカス小屋など、まるで古い映画に出てきそうな街に思わず迷い込んだような気持ちになります。
    彼は古いものへのこだわりと、新しいものに挟まれ、柔

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    2022年07月22日
  • 流星シネマ

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    世界のどこか知らない町の物語、ゆったりとした平和な日常、静かに町の歴史に刻まれた悲しい過去。
    吉田篤弘さんの文章は、ゆったりと美しくてほんのりと寂しさがあったりしながら心温まる、というイメージ。
    ハラハラさせる作品が苦手な私にぴったりだ。
    4日くらいで読み切った。

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    2022年05月29日
  • 『罪と罰』を読まない

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    『罪と罰』を読まずに読む。

    まず自分も『罪と罰』を読んだことがありません。確か主人公は若い男で老婆を殺す話だったはず。それくらいしか知りません。というわけで前半の推理合戦も、後半の読後感想も楽しく読み、『罪と罰』読みたい、と思いました。色々なキャラクターが気になります。これは読むしかないのでは?

    「読む」という行為は、読む前から始まっており、読んだ後も終わらない。読書は一人で完結しない、著者や他にその本を読んだ人、また読んでいない人とのつながりだと思いました。読書万歳。

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    2022年05月01日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    ネタバレ

    12編のアンソロジー。
    どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
    その中でも特に好みだった2つについて書きたい。

    『藁の夫』
    2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。

    『逆毛のトメ』
    シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚か

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    2022年04月21日
  • 流星シネマ

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    見えない川が 静かに、静かに、流れるような不思議なお話。
    現実の話として語られるのですが、ファンタジーのようです。
    それは、「目に見えないもの」について語っているからでしょうか。

    昔、海からとんでもないものがやってきたという伝説の川がある町。
    伝説の川は、今は埋められて遊歩道になっています。
    でも、歩道の下は暗渠になっていて今でも川は流れているのです。
    表に見えないだけで…。

    ある発見が町を湧きたたせます。
    詩人であり、詩集の編集者でもあるカナさんはこう言います。
    「たいていのものはかけらなのよ。すべてが何かの一部なの」
    かけらを形にしようと 作業を進めるうちに
    作業に関わる人々の心に、未

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    2022年03月07日
  • 『罪と罰』を読まない

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    いやこれ、めちゃくちゃ面白かった。
    世界的名作、ドストエフスキー作の『罪と罰』を読んだことのない作家4人が、持っている知識(断片的)を駆使し、出版社の人にヒントをもらいながら、作品の内容を想像(妄想)し語り合う企画を書籍化したもの。

    企画からして既にかなり面白そうなのだが、なまじ作品構成や小説づくりを日頃から考えている人たちなので断片からの推理力や展開への発想が鋭かったり、好き放題言ったり盛り上がりがすごい。というかわからないからこそ皆さん言いたい放題。笑

    特に三浦しをんさんによる登場人物へのあだ名の付け方や人物考はかなり笑わせてもらった。
    主人公の名前も「ラスコーリニコフ」じゃとっつきに

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    2022年02月18日
  • 流星シネマ

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    お正月、のんびりまったり癒されました。

    著者の作品の登場人物はどの人も、どこでもいるようでいない変わりものたちで。
    今回も太郎さんはじめ、いい味だしていました。
    こんな街に、お店に、人の中でのんびり長く暮らしたい理想郷のようでした。

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    2022年01月06日
  • ガリヴァーの帽子

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    掌編を含めた短編集。

    「ガリヴァーの帽子」は、説明のつかないような、おかしな話。
    「御寮人、鰻川下り」は、とりとめのない不思議な話。

    「かくかく、しかじか ──あるいは、彗星を見るということ」は、
    エレベーター並の速さで、上へ向かっている、泡。
    文章の最後に打たれる句点。あの小さな丸が、まるで気泡に見えてきます。
    最初何の事かと思っていたら、なるほど、シャンパンの泡でした。
    長い長い詩を読んでいるようで、面白かった。

    ギャルソンの話も、トースターの話も、どれもこれも私の好きな世界…。

    吉田篤弘さんを読むと、心が柔らかくなります。

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    2021年12月25日
  • 流星シネマ

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    「むかしむかし、この町には大きな川が流れていて、その川へ、鯨が海から迷い込んできた」
    そんなおとぎ話のような、ガケ下の町で、魅力的な個性あふれる人たちばかりが登場するお話。
    淡々と続いていく清流のような、とても静かな物語です。
    音もない断片的な8ミリフィルムを繋げたり、鯨の骨の標本を組み上げたり。
    物事はすべてつながっているようです。
    遠い昔の記憶、その小さなかけらのひとつひとつが温かく、じんわりと心に沁みてきます。

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    2021年12月14日
  • 台所のラジオ

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    あとがきがなにより素敵だった。
    本編である12の短編も好きだけれど。
    起承転結の起承あるいは起承転を描いた話です。

    余談だけど、短編集の感想を書くときが一番難しい。どの話について書けばいいかわからないので。

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    2021年12月13日
  • それでも世界は回っている 1

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    好きだった「月とコーヒー」から連なるインクシリーズの第一弾。
    幻のインク〈六番目のブルー〉を探し求める旅。
    なんて素敵な旅だろうか。
    旅の寄り道、出会う人々、出てくる食べ物。どれもとても素敵すぎる。
    この世界に入り込み、一緒に旅したい。
    まだ旅は途中。続編が楽しみ。

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    2021年11月19日
  • それでも世界は回っている 1

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     「月とコーヒー」などに登場した青いインクを巡る長編小説の1巻。
     博物館で働く14歳の天才少年オリオは、在庫切れになってしまった青いインクを求めて旅に出ることに……。
     少年が主人公という、今までにない目線が新鮮で、これまで大人の童話と思っていた吉田さんの世界観が、冒険小説のように感じられました。
     ファンタジー色が強めなのですが、いつものようにインク、コーヒー、音楽が上手に物語に溶け込んでいるところはやっぱり吉田さんの作品だな、と。
     果たしてオリオは目指す青いインクにたどり着けるのか……。早く続きが読みたいです。

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    2021年09月05日