吉田篤弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『それでも世界は回っている』完結編。
1、2を読み終えた時点で危惧していたことが発生。
これまでの内容をほぼ忘れている。。。
というか2の終わりをあまり覚えていない中で、思いっきり前作場面の続きから始まるので「何だっけ?」感が凄まじい。
それでも次第に思い出す登場人物やストーリー。
あぁ、そんなこともあってここまで来たんだった。
ただ1、2に比べてクライマックスに近いということもあり、この旅物語の意義をまとめようということなのか、新たな場面に出くわすよりも、これまでの場面を振り返りながらの抽象的、哲学的な解釈談義が多く、やっぱり出来ることなら1~3を一気に読みとおすのがいいのだろうなと思う。
「人と人は、考えや思いが違うから争うんじゃないんだよ。同じことを考えて、同じものを求めるから、争いになる。
だけど、同じものをもとめているんだから、そいつこそ、俺といちばん分かり合える奴かもしれないんだ。
悲しいな。」
「人生ってのは道順を見きわめることじゃないんだ。道順とは別のところに自分の道を見つけることだ。な?じゃないと、道順に選ばれなかった道が浮かばれんだろう。」
「だけど、時間は俺たちの悲しみをやわらげてくれたりする。時間の野郎はさ、俺たちの大事なものをことごとく奪いとっていきやがるが、俺たちの悲しみや辛い気持ちや苦しみも連れて行きやがる。うまいこと出来てるよ。大事なものを奪われたことはたしかに悲しい。間違いなく悲しいよ。だけど悲しみには終わりが必要なんだ。」
いずれも普段はちゃらんぽらんなジャン叔父さんの言葉。
「5番目のブルー」と「6番目のブルー」の違いを生んだ秘密、「6番目のブルー」がつくられなくなってしまった事情にも納得。
穏やかでやさしい幻想世界の中で、人生の深き真髄の一片に出逢う一冊。 -
Posted by ブクログ
それでも世界は回っている・第三巻
『月とコーヒー』に収録されている短編から派生した〈インク三部作〉の完結篇となっております。
亡くなった師匠・ベルダさんの愛用していたインク〈六番目のブルー〉を探し求めて旅を続ける少年・オリオとジャン叔父さん。
とある奇妙な唄の歌詞の中に、“インクの秘密”が隠されているようなのですが・・。
まるで夢の中にいるような、浮世離れした雰囲気のこの物語も本作で完結でございます。
夢の内容って、すぐに忘れてしまうのと同じ感覚で(?)、前巻までの内容をあまり覚えていなかった私なのですが(汗)、読んでいくうちにこのちょっと不思議で心地よい世界にスルっと浸されていきました。
あちこち迷いながらも、アリアドネの赤い林檎に導かれるように、とある工場に辿りつく二人・・そこで、彼らを出迎えたカナタさんが語る、〈五番目のブルー〉と〈六番目のブルー〉の話。
そして、心の中の“ココノツ”が書き写したという“件の唄”の長い歌詞の内容とは・・。
ーー心の中にある悲しさのかたまりが、ちょっとしたきっかけであふれだしてくるーー
“青”という色は、空や海といった爽やかなイメージがある一方、“悲しさ”も表していますよね。
そして“青”で表現される“悲しみ”は、美しさも内包しているように思うのです。
〈六番目のブルー〉は、固まった悲しみが溶けてあふれた色・・だから他にはない美しいものなのだろうな・・と、こんな個人的考察をしてみた次第です~。
オチとしての着地点も好きで、終盤でミランダさんがジャン叔父さんにあげた“ご褒美”には胸がいっぱいになって、幸せな気持ちになりました。
独特な世界観ではありますが、優しい読後感と心地よい余韻を味わえる、何とも素敵な物語を堪能させて頂きました。
「この世界は、喜びと悲しみを繰り返しながら、回りつづけている」