吉田篤弘のレビュー一覧

  • 『罪と罰』を読まない
    面白そうだなと購入。でも期待せずに読み初めて、えっ、これ予想以上に面白いじゃんとびっくり(笑)
    ドストのラスコに馬の修造だよ?「罪と罰」かなり読みたくなったんだけど、私はいつか読む読む詐欺マン(笑)
  • 台所のラジオ
    12篇からなる短編集。
    共通するのは、流れるラジオと美味しそうな食事。
    物語が終わらせているようで終わらせない。終わりの余韻に浸る。
    そして食べ物の描写が良い。ビフテキ、紙カツにそそられる。
    日常にさらりとラジオを流す暮らし。憧れる。。。
  • 電球交換士の憂鬱
    「電球交換士」という肩書を持つ十文字という名の男が主人公です。
    バー〈ボヌール〉の半永久的常連客で、酒場は好きだが酒は呑めない。
    いつも炭酸水を飲んでいて、どこまでも終わりのない電球交換をし続ける不死身の男。
    彼の行く先々で、小さな事件が起こり、謎々みたいな、ちょっと愉快であぶない話が続いていきます...続きを読む
  • 流星シネマ
    世界のどこか知らない町の物語、ゆったりとした平和な日常、静かに町の歴史に刻まれた悲しい過去。
    吉田篤弘さんの文章は、ゆったりと美しくてほんのりと寂しさがあったりしながら心温まる、というイメージ。
    ハラハラさせる作品が苦手な私にぴったりだ。
    4日くらいで読み切った。
  • おやすみ、東京
    夜に読みたくなる本。本をひらけば真夜中の世界。
    最初昼に読んでいたけれど、途中から寝る前に読んでいた。
    昼夜逆転のお供だった。
  • 『罪と罰』を読まない
    『罪と罰』を読まずに読む。

    まず自分も『罪と罰』を読んだことがありません。確か主人公は若い男で老婆を殺す話だったはず。それくらいしか知りません。というわけで前半の推理合戦も、後半の読後感想も楽しく読み、『罪と罰』読みたい、と思いました。色々なキャラクターが気になります。これは読むしかないのでは?
    ...続きを読む
  • 変愛小説集 日本作家編
    12編のアンソロジー。
    どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
    その中でも特に好みだった2つについて書きたい。

    『藁の夫』
    2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自...続きを読む
  • 流星シネマ
    見えない川が 静かに、静かに、流れるような不思議なお話。
    現実の話として語られるのですが、ファンタジーのようです。
    それは、「目に見えないもの」について語っているからでしょうか。

    昔、海からとんでもないものがやってきたという伝説の川がある町。
    伝説の川は、今は埋められて遊歩道になっています。
    でも...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    いやこれ、めちゃくちゃ面白かった。
    世界的名作、ドストエフスキー作の『罪と罰』を読んだことのない作家4人が、持っている知識(断片的)を駆使し、出版社の人にヒントをもらいながら、作品の内容を想像(妄想)し語り合う企画を書籍化したもの。

    企画からして既にかなり面白そうなのだが、なまじ作品構成や小説づく...続きを読む
  • 流星シネマ
    お正月、のんびりまったり癒されました。

    著者の作品の登場人物はどの人も、どこでもいるようでいない変わりものたちで。
    今回も太郎さんはじめ、いい味だしていました。
    こんな街に、お店に、人の中でのんびり長く暮らしたい理想郷のようでした。
  • ガリヴァーの帽子
    掌編を含めた短編集。

    「ガリヴァーの帽子」は、説明のつかないような、おかしな話。
    「御寮人、鰻川下り」は、とりとめのない不思議な話。

    「かくかく、しかじか ──あるいは、彗星を見るということ」は、
    エレベーター並の速さで、上へ向かっている、泡。
    文章の最後に打たれる句点。あの小さな丸が、まるで気...続きを読む
  • 流星シネマ
    「むかしむかし、この町には大きな川が流れていて、その川へ、鯨が海から迷い込んできた」
    そんなおとぎ話のような、ガケ下の町で、魅力的な個性あふれる人たちばかりが登場するお話。
    淡々と続いていく清流のような、とても静かな物語です。
    音もない断片的な8ミリフィルムを繋げたり、鯨の骨の標本を組み上げたり。
    ...続きを読む
  • 台所のラジオ
    あとがきがなにより素敵だった。
    本編である12の短編も好きだけれど。
    起承転結の起承あるいは起承転を描いた話です。

    余談だけど、短編集の感想を書くときが一番難しい。どの話について書けばいいかわからないので。
  • 『罪と罰』を読まない
    ひとつの本でこんなに語りあえるなんて。読む前の妄想満点の会話に噴き出し、読んだあとの感想戦や読み解きに唸らされる。その後の後書きで、数年後には皆すっかりうろ覚えになっていたとの記述に、それで良いんだと安心。
    ステキな会話に加わった気分で楽しめた。
  • 『罪と罰』を読まない
    『罪と罰』は挑戦したことはあるけど、結局まだ読めていないです。
    なので、こんな有名な作家さんたちも読んでないんだ!と嬉しくなって手に取ったのですが、最終的に読んでる・・・!
    でも読まずに推理する座談会って画期的すぎる。
    そして言うこと言うことが面白い。登場人物に変なあだ名付けるし。
    でも『罪と罰』が...続きを読む
  • 流星シネマ
    鯨の話とアキヤマ君の話とオーケストラの話と…カナさん、バジ君、ハルミさん…全ての話と全ての人が個性的でありながら、主張的ではなくて静かに絡みあっていく様子に引き込まれ、ページを操る手が止まらなかった。
    ファンタジーではないけれど、ファンタジーのような心地よい世界に浸りきった気分。
  • 『罪と罰』を読まない
    とある宴席で『ドストエフスキーの「罪と罰」を読んだことがあるか?』という話に居合わせた翻訳家・小説家・作家兼装丁家の4人。いずれも首を横に振る。

    では『どういう話か知ってる?』と振ると、『確か主人公がラスコーなんとなっていう青年で、お金か目的で、おばあさんを殺しちゃうんじゃなかった?多分そんな話じ...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    読まずに読む! 抱腹絶倒の読書会!

    誰もが知っているけど、その内容までは十分に把握されていない作品のひとつである『罪と罰』。この作品の、4人の「読み巧者」による「読前読書会」が繰り広げられる。ドストにラスコ、サンペテと、「どこまで軽んじてるんだよw」とツッコミを入れたくなる、抱腹絶倒の展開。

    ...続きを読む
  • 『罪と罰』を読まない
    文芸の関係者4人が集い、全員「なんかロシアの青年が人を殺す話」くらいの認識からあの手この手で(ときに社長・島耕作ロシア編も引用し)罪と罰を「読まずに」ストーリーを推理するエンタメ本。

    果たして青年(ラスコーリニコフ)は物語のどのあたりで人を殺めるのか?いつ自白するのか?イリヤとは一体何者なのか?
    ...続きを読む
  • 奇妙な星のおかしな街で
    高温多湿の梅雨の末期に
    ようやく家に戻ってきて
    風呂場に飛び込んでシャワーで
    ひと汗流す
    それから
    冷蔵庫の氷をコップに入れて
    とにかく冷たい飲み物をこさえて
    一口飲んで
    ほっ と している

    冬だったら、
    寒風の吹きすさぶ中
    ようやく家に帰ってきて、
    とりあえず外套とマフラーをはずす前に
    ストーブ...続きを読む