吉田篤弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
誰もが子どもの頃に出会った4つの物語、
「不思議の国のアリス」、「ガリヴァー旅行記」、
「星の王子さま」、「モモ」
有名すぎる物語の、舞台袖の創作と書評。
特に印象に残ったのは、「星の王子さま」の
書評。
この物語が、実は王子さまと飛行士が砂漠で
出会う話ではなく、登場人物が飛行士の
「ぼく」一人きりであるとも考えられるという、
吉田さんの解釈が新鮮! 成長してはならない
王子さまは、最後に空へ消える。成長することの
ない「少年」というものを少年のまま自分の外へ
追いやって葬る必要があったという解釈が、
斬新で面白かった。実際に、作家のサン=テグジュペリは飛行中に行方不明となっている。まるで
自らを葬るかのように‥(←撃墜されての戦死だと
思うけど‥)
後半の小説、「エデンの裏庭」も余韻の残る
話だった。果たして、エリカは『二十三時の訪問者』
の結末が読めたのか?
内容もさることながら装幀まで、全てが
凝った作りとなっていて好感が持てる。
手になじむ本の大きさがいい。
誰かにすすめたくなるような素敵な本 -
Posted by ブクログ
幻想ショートショート第二弾。
どの章にも、月とコーヒーが何らかのかたちで散りばめられています。
月もコーヒーも、存在と、纏う雰囲気だけで絵になる。でも主役ではありません。
『今回は、「デミタス」とサブタイトルをつけてみました。デミタスの語源はフランス語の demi tasse(小さなカップ)で、小さなカップでほんの少しだけ味わっていただく、そんなお話を書きました。少量ではありますが、一杯一杯がそれぞれの味わいをもたらしてくれるものでありますように、と念じながら書いたのです。』(p.330 あとがき)
Wikipediaで調べたら
『旨味成分が多いとされる70-80cc部分のもののみを使用したのがデミタスコーヒーと言われる。通常のコーヒーの約4倍の濃さがあり、「コーヒーの玉露」とも評される』
とありました。
だからでしょうか。私の感覚でも、「輪郭の淡いほの甘いおやつ」のような前作に比べ、今作は、どの物語もくっきり濃いめに感じました。
え、終わっちゃうの?あ…もしかして続いてる?といった浅い眠りを漂っているようなふんわりとした世界観は前作同様ですが、なんだか、ちょっと教訓めいたものも感じた「デミタス」でした。
第三弾も出てるらしい。読む。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「月とコーヒー」二作目。あいかわらず優しくて不思議で少しSF風味な、静かな短編集。
こちらは1作目より終わり方がほんの少しわかりやすくなっている気がする。かけがえのなさを予感させる出会いの直後や、決断を前に終わってしまう話が多い。余韻があって、これはこれで良いんだけれど…。
あと、短編同士でつながっている話が増えた。最後の話で色々な短編をつなげる構成になっているのが面白いと思った。
収録されている中では、ゴム印画家が地球儀を求めて百貨店を訪れる「地球儀の回る夜」、島流しになった囚人の話「パラダイスの二人」が好き。でも、1作目の方が好みだったかな。食いしん坊だから、食べ物の話が多い方が好きなのだ(笑)。 -
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ネタバレ「ほんとうにうまいものは、人間に反復運動を促します。ーー体が反復を覚えることが快楽なのだ」
これを読んだとき、確かにそうだよなと思った。
うまいから何度も同じものを食べる。たまに贅沢して違うものを食べるけど、結局いつもの料理を食べている自分がいる。そうして、いつもの料理を食べている自分が一番幸せを感じているかもしれない。
この本はそうした日常の小さな幸せを探して出してくれる。
「食べているあいだ、ずっと口が愉しいの」といったセリフもおもしろいなと思った。うまい、ではなく愉しいという表現がなんだかとてもいい感じがする。それはどんなにうまい料理を食べるよりも幸せなことなのではないか。
十時軒を探しているシーンがなぜか頭にずっと残っている。どうしても見つけたいという思いがあったのだろう。そんなわけはないのに。十時になったら十時軒が姿を見せるかもしれないと、思ってしまったのだ。そう思ってしまったが故に、適当な喫茶店で時間を潰して十時になるまで待つところが何となく好きだった。 -
Posted by ブクログ
2026年、最初のレビューがこの本になりました。
今年もよろしくお願いします♪
この本は昨年度に読み終わっていますが、3部作一気読みのため年をまたぐことに。
タイトルの「それでも世界は回っている」とは、「時間」のこと。
いろんな奴のいろんな時間が存在する。
俺の時間、お前の時間、世界の時間
自分の時間と世界の時間がずれてしまうと、身のまわりのあれこれと折り合いがつかなくなる。
「インク」3部作という謳い文句で、〈六番目のブルー〉のインクを探しに旅に出る。
まだ始まったばかりなので、インク探しで本を3冊も書くのか、どんな話になるのかお楽しみ、という感じ。