吉田篤弘のレビュー一覧

  • 台所のラジオ

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     はじめは「つかみどころのない本だな」と思いながら一編、二編、と読んでいたが、だんだんとゆるい繋がりが見えてきたり、通底する基調音のようなものが聞こえてきたりして、読み終わる頃には「不思議と印象深い本だったな」に感想が変わっていた。
     短編の中のある人物が、ひところ映画館のレイトショーに通う日々を過ごすのだが、「夜の時間くらいは現実の時間よりも自分の腹時計に従って行動したい」という思いから、映画の上映時間に関係なく見たい時に入って出たい時に出るという通い方をしていた。そのためか、その時代に何年も毎晩欠かさず見た映画はまるで夢の断片のように、ストーリーをなさない他人の人生として自分の中に刻まれて

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    2023年11月12日
  • 台所のラジオ

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    ゆるゆる短編集。読書時間が取れない時にちょうどいい長さかもしれません。
    個人的には短編より長編の物語が好きなので、一気読みというよりは隙間時間にちょっとずつ読みました。ドラマ性はほぼなし。でもこのファンタジーっぽい独特の雰囲気こそが吉田作品の魅力だと思います。

    食べたいなと思ったのはダントツで紙カツでした。紙カツなるものを本作で初めて知ったのですが、調べたら普通にメジャーな料理だったんですね。トンカツほど重たくなさそうで良いなと思いました。
    あと気になったのはビフテキとミルクコーヒー。
    美味しそうって思う基準も、美味しいって思う基準も人それぞれだけど、吉田作品で描かれる食べものは私の美味しそ

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    2023年10月21日
  • おやすみ、東京

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    晩夏から秋に読みたい一冊。全編夜が舞台の小説。基本的に明るい時間は出てきません。真っ暗。そのため大人な雰囲気が出ています。落ち着いているんだけど、どことなく不思議。でも前に進んでいる、そんな感じです。ただ、登場人物が多く、途中で「アレ?」とつながりが分からなくなってしまいました。序盤はそれぞれの事情が断片的に書かれているので話が進まないなという印象も受けます。それなのに、ラストよく回収できたなと驚かされました。わたしが大好きな朝井リョウさんとは明らかに毛色が違う一冊です。

    ●夜に働いている人がたくさんいる。
    色々な立場で夜に働いている人がでてきます。なるほど、こういうニーズあると思わされまし

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    2023年10月15日
  • 『罪と罰』を読まない

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    4よりの★3
    取り組みが面白いです(笑)
    友達と読む前に読書会してみたいと思うので、ございます。
    他の古典でやってみたいです。
    今年は重厚な本を読み続けてるので、年末に『白痴』や『悪霊』で友達と試してみたいです。

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    2023年09月24日
  • それでも世界は回っている 2

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    違う世界に連れていってくれる。
    世界の捉え方、時間の流れの捉え方が壮大。
    わたしの人生ってせまいな笑

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    2023年08月03日
  • 流星シネマ

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    ネタバレ

    吉田篤弘さんの本,という本。アキヤマ君の話はつらかったけど,つらくなく終わるのが有難い。
    続きがあるようで読まねば。一つ目のお話から読めて良かった。

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    2023年07月31日
  • 屋根裏のチェリー

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    偶然とかめぐり合わせっていうのを、運命で片付けるのってもったいないなと思わされた作品。

    サユリは消極的ながらもちゃんとどこかに向かっていて、それはひとりぼっちであることに対して真正面から寂しくなったり自由だなと思ったり素直な気持ちでいるからだとおもう。

    この作品のキャラクターはみんな自分の気持ちに素直にまっすぐに生きていて読んでてとても安心した。

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    2023年07月28日
  • それでも世界は回っている 1

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    「月とコーヒー」内の青いインクの話。博物館保管室で働くオリオが6番目のブルーを探して旅を始める話。月とコーヒーもそうなんやけど世界観と紡がれる言の葉が綺麗で好き。人と繋がることでオリオの旅が進んでいく、先が気になる。6番目のブルー見てみたい

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    2023年07月05日
  • 流星シネマ

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    "なんかいい"ものを、一度箇条書きにして、それを並べ替えて一冊の物語にしたかのような、宝箱みたいな小説でした。

    せっかく柔らかくて緩いストーリなのに、ちょっと文体がキザで、私はあまり好みませんでしたが、"なんかいいなぁ"と思う要素に出会うたびにときめきがあり、とても心地よい時間でした。

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    2023年06月18日
  • 屋根裏のチェリー

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    ネタバレ

    「流星シネマ」の続きのようでそうでもなくて、「つながる」物語。人生のどん底期とでもいうんだろうか。持ちアパートの屋根裏に閉じこもるように暮らすサユリさん。レモンソーダが好きで、ストーブの前で考え事をして、イマジナリーフレンドと戯れて。このままじゃだめだと理屈をこねるサユリさんは、昨日の私かもしれないし、明日の私かもしれない。彼女が歩き出せたきっかけは流星シネマにもつながる「くじら」。「鯨オーケストラ」がもう一つのつながる物語としてあるのは楽しみでしかない。

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    2023年06月18日
  • 鯨オーケストラ

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     時間は消えてしまうのではなく、重なっていく。いまの自分に過去の自分が含まれている。

     いいですね~過去を否定するのではなく、肯定していく❢

     

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    2023年06月11日
  • 奇妙な星のおかしな街で

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    北海道新聞に連載されていたエッセイ。
    本文にノートの様な罫線があるデザインが面白い。

    よく考えないと奇妙であることに気付けない、というのは正にそうで、何となく忙しなく生きているとそこに注目出来ない。

    「まわれ、洗濯機」のコインランドリーの風景が好きだ。
    「幸福な時限爆弾」はそれが無いと日常に耐えられないのでよく分かる。

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    2023年06月04日
  • 鯨オーケストラ

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    過去と未来、音楽と絵画、とても丁寧に描かれた不思議な物語だった。初めに訪れた美術館の描写が印象的。完全にタイトルで選んだけれども音楽の自由にさりげなく触れてくれる優しいお話でした。

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    2023年05月11日
  • 鯨オーケストラ

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    初めての作家さん。
    読みやすい。

    鯨の絵、観てみたいです。
    土曜日のハンバーガーもぜひ食してみたい。

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    2023年04月15日
  • 台所のラジオ

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     『 勝手に「ラジオ」特集 #4 』
     ー吉田篤弘さん『台所のラジオ』ー

     吉田篤弘さんの物語の雰囲気に、ラジオはドンピシャ合います。面白可笑しい話や賑やかな音楽ではなく、ゆったりと流れる時間の中で、静かな音楽と優しく包み込むような語り‥。もうこれだけで吉田篤弘ワールドが成立しちゃう気がします。

     本作は12編の短編集で、特徴として男女の主人公が交互に登場し、共通点は、個性的で風変わりな人物、美味しそうな食べ物、そして台所のラジオ‥、でしょうか。
     ラジオが主役ではなく、あくまでも脇役で、女性の静かな声・世の中の小さなことについて話すという、12編がゆる〜く重なって一冊が出来上がっている印

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    2023年04月14日
  • 鯨オーケストラ

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    初めて読む作家さんだったが、面白かった。
    小さなきっかけで始まり、それは川のように音のように、過去から未来に繋がっていく。
    爽やかな小品の連なりは、連続テレビ小説のよう(笑)

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    2023年03月31日
  • 屋根裏のチェリー

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    『流星シネマ』とリンクする小説。

    人が緩やかに再生していく物語。

    心を閉じて引きこもってしまう期間って誰にでもある。でもそこから踏み出すタイミングも必ずある。何故なら、この世界は変化していく、ということが変わらない唯一の真理だから。

    人が目の前のことを誠意をもって行っていると、自然とそれは、水面に石を投げて波紋が広がるように、人々に影響を与えていく。意識しなくてもそれは起きていく。

    閉じていた心を開き、自らを生きる時、それはまるで関係のない人々にも良い影響を及ぼす。
    読後は清々しい気分。
    読んでよかった。

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    2023年03月29日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    普段、ほとんど読むことのない現代の日本人作家のアンソロジー。
    興味深く読んだ。
    もとは、深堀骨 の作品を読んでみたかったから手に取ったが、どれもなかなか良かった。ありそうでない話というファンタジーというか、不気味な話が多い。恋愛要素はどれも少なく見えるが、一応恋愛ものという括りらしい。

    一作だけ、多和田葉子の漢字の話はすでに読んでいた。

    特に印象的だったのは、
    本谷由希子、迫力とリアリティと奇想天外で面白かった。
    村田沙耶香、細かく書き連ねて積み上げるのがうまい。
    吉田知子、多分この中で一番好きなタイプの作家。
    小池昌代、切れ味がよい。
    星野智幸、描写がうまい。

    というかんじ。
    編者は岸

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    2023年03月22日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    ネタバレ

    螺旋プロジェクトの最終話的なもの。
    今までの海族と山族が近くにいたら気分が悪くなる、みたいな設定どこ行ったん?と思った。
    仲良くなってめでたしめでたしかと思ったけど、伝承では東京がなくなる一因にもなったらしいから、結局また別の時代では争ったんだろうな、と思った。
    個人的には、キャラ立ちしてる登場人物が何人も出てくるのが少し読みづらく「え?この人いつ出てきたっけ?」と見返しながら読んだ。

    螺旋プロジェクトの全体を通しては、共通のシーンである『時は夕暮れ、何かが壊れる時──』っていうのが最後まで「ここか!」ってのが分からないまま終わってしまった(笑)

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    2023年03月20日
  • 天使も怪物も眠る夜

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    螺旋プロジェクト。時代の流れどおりに読んでこれが最後。
    対立すら眠る夜。

    この作品は最後に読まなければならない。

    今まで読む機会がなかった複数の素晴らしい作家に出会う機会をいただいた螺旋プロジェクトに感謝!

    ※評価はすべて3にしています

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    2023年02月21日