【感想・ネタバレ】台所のラジオのレビュー

あらすじ

それなりの時間を過ごしてくると、人生には妙なことが起きるものだ――。昔なじみのミルク・コーヒー、江戸の宵闇でいただくきつねうどん、思い出のビフテキ、静かな夜のお茶漬け。いつの間にか消えてしまったものと、変わらずそこにあるものとをつなぐ、美味しい記憶。台所のラジオから聴こえてくる声に耳を傾ける。十二人の物語。滋味深くやさしい温もりを灯す短篇集。

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台所のラジオ
流れてくる流行歌
落ち着いたアナウンサーの
楽しげなおしゃべり
ラジオを思うと
母を思い出す
ラジオを聴きながらひとときも
手を休ませず働いていた
干渉することを好まず
ただただ見守っていてくれた母
母も今は、記憶という機能を失い
ラジオをつけ手を動かすことはせず
ひたすらテレビに話しかけて過ごしている
ラジオが消えた日
母の記憶も消えたのかもしれない

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2024年12月29日

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台所に置かれたラジオが紡ぎ出す、かわいらしい物語。

久しぶりに吉田篤弘さんの短編を読みました。
彼の持ち味である一見繋がっていなさそうでどこか繋がりを感じずにはいられない短編たち。

フィクションなのに我々の現実世界でも起きていたりして、とか想像が膨らんで楽しいです。
だって素敵じゃないですか。
自分のほんの一言や振る舞いが転じて、誰かの人生の数行を動かしていたら。

とにかく心落ち着いて、また戻ってきたくなるこたつみたいな本。どれだけ間が空いてもまた読み返したいです。
篤弘さん素敵な本をありがとう!

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2024年11月01日

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たまに読みたくなる吉田篤弘。
実は特別なんだよ。と伝えたくなる日常がきゅきゅっと。
紙カツ、よいっぱりべーかりー
モノローグ病は最近のわたし。

みんな演じながら生きてるよ 

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2023年04月25日

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吉田さんのつむぐ物語は、やはり好きだなぁと思う。
それぞれのおはなしに共通するあることに気づいて、あっとする。
あとがきを読んでまたあっと思う。
その、あっとするのは大きな衝撃ではなく、ささやかな、ほっとするような、あっ。

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2023年01月19日

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『油揚げと架空旅行』がとくに好きだった。とにかく出てくるもの全てが美味しそうでお腹が空く。静かで小さく温かい世界観。考えすぎて疲れてしまったときに読むと癒される。のんびり生きてていいんだよな、自分の気持ちを大事にしよう、と思える。

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2022年06月22日

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吉田篤弘さんの世界観が好き。
寓話みたいな物語たち。
なんでもない日常、普段気にもとめない片隅に置いてある物達が愛おしくなる。
もしわたしが物語を描くとしたら・・・
物に語らせる。
台所のラジオ

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2020年03月13日

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面白かったです。
テレビを見るよりラジオを聴く方が好きなので、なんだかお話を身近に感じました。
でも、不思議なことがたくさん起こって面白そうです。
きつねうどんは美味しそうですし、「十時軒」へ行ってみたいです。アリスに会いたい。
吉田さんのお話では月舟町が大好きで住みたいくらいなのですが、この本の世界も穏やかでいいなぁ。
登場人物たちが聴いているラジオ番組ってもしかしたら、「小さな男*静かな声」の静かな声のラジオ番組かも…それだったら素敵です。

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2019年04月16日

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ネタバレ

12のお話がおさめられた短編集です。
ぜんぶ読み終わって、あとがきを読んで初めてラジオに気付きました。読み返してそう言われてみればそうだな…と。
まったく関係ない短編の寄せ集めも好きですが、この話とこの話、繋がってる!という短編が好きです。
特に好きな2つの話について感想を書きます。

「マリオ・コーヒー年代記」
この話は本の中で2番目に好きです。
マリオが何か不幸な目に合うのではと警戒していたのですが、何も起こらなくて良かった。
ホットドッグとミルクコーヒーはとても良い組み合わせだと思います。カシャカシャする紙に包まれてくるホットドッグはなぜかとてもおいしそうに見えますね。たぶんマリオの店のホットドッグも同じ紙に包まれていると思います。

「夜間押ボタン式信号機」
この話は本の中で一番好きです。
現実の世界の中に架空のものが入り込んでだんだんと浸食していく感じ、けれどお互いの輪郭は曖昧で境界線はぼやけ、絶妙なバランスでヘンテコで奇妙な世界が出来上がっている。これは吉田篤弘が書く小説の特徴の一つだと思いますが、こんなにきれいなグラデーションになっている話は初めて読んだ気がして美しさに眩暈がしました。「押しボタン式の信号機」、「誰もいない二十四時間営業のスーパー」、「カラフルなパッケージの冷凍食品」、「未来を舞台にした推理小説」、「子羊のロースト」、「<抜き打ち検査官>につづく謎の職業<ひとしらべ>」そして「A~Nまでの十四種類の分類」。
靄の中から見れば世界はぼやけていてそこが現実なのか、架空なのかよくわからない。
こういう世界が(知識として?体験として?)自分の中にあると、現実に打ちのめされても倒れないでいられる気がします。

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2018年04月14日

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p.78 油揚げと架空旅行
私は感電した。きわめてやさしい電流であったが、雷に打たれる衝撃より、はるかにじわじわと効いてきた。

わかる。雷に打たれるような衝撃より、感電って言葉がしっくり来る時あるなあ〜〜

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2025年10月10日

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「明日、世界が終わるとしたら」
美々と直人の微妙な関係。伯母いわく臆病すぎる性格の美々と、猪突猛進な直人のほんの少しの生きづらさ。わかるなぁ。何もかもが上手く行ってないわけじゃないんだけど、思い描いていた未来とズレていって息がしづらい感じ。
学生時代によく行った中華料理店に大人になってからは年に一回行くか行かないか…くらいになって
コロナ禍で閉店してしまったあの時を思い出しました。
もっと行っておけば良かったな、なんて。
他に思い入れのあるお店がなかったから、まだ若い皆さんは学生時代にもっと思い出を作っておこうね。もう大人な皆さんは行きつけだったお店大事にしてね。
前向きになれる作品でした。

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2025年08月01日

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六年前に逝ってしまった恋人。
正式に婚姻はしていなかった。
自分(多江)の他にもうひとり女が居ると思っていたからだった。
だけど彼亡き後も続けてきたお店をたたむことになり、友人やラジオからの言葉もきっかけになり、その女に会いに行くことにした。
「さくらと海苔巻き」より

ラジオからの声は不思議だ。
こちら側は見えていないし、そもそも万人に向けて話しているというのに、ひょいと自分に寄り添ってくれることがある。
ハッとさせられたり、共感したり、背中を押してくれたり、思わず笑みがこぼれたり。
そんな小さなお話が、美味しい食べ物と共に12話収められている。
紙カツ、海苔巻き、きつねうどん、ビフテキ、お茶漬け…。
いつもながら吉田さんの作品に登場する食べ物は美味しそうだ。
それぞれのお話の登場人物が少しずつ重なっているのも、いつも通り。
(チラチラ登場する黒いソースは、みんなカジワラ印の黒ソースなのかな…)

好きだったお話は、
「紙カツと黒ソース」
「さくらと海苔巻き」
「明日、世界が終わるとしたら」

好きだったフレーズは、
「紙カツとマカロニサラダと赤だしと御飯とおひたし」
「光かがやくようにつるりとしたうどん」
「〈ハシモト〉の四文字を夜の中に守っていた」
「銀色の宇宙船が部屋の一角に置かれた感じ」
「百年に一度の流星群より、三十年の時間を消してみせたアリスの生姜焼き定食に神秘を感じた」
「そんなものより、女は黙ってハンバーグだ」
「役割を終えたものには自然と美しさと物語が宿る」
「夜おそくの静かな台所に、冷えた白飯にお茶を注ぐ音が湯気と一緒にひろがった」

でも欲を言えば、もっともーっとラジオからの声と深く関わって欲しかったかな~。(特に後半)



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2025年03月30日

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読書友達に勧められて読んだ1冊。すごく大きな事件は起きないけれど、淡々と時としてありそうな、時としてなさそうな不思議なお話も混ざりつつなお話がいくつか続く、ラジオ繋がりの短編集。個人的に声に出して読みたくなるような、ここちよい文章でした

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2025年02月26日

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題名通り、台所とラジオをベースに展開される12本の物語。

私たちが生きる世界の話なのか、はたまた別の世界で紡がれている話なのかは分からないけど、全ての物語が緩い糸で繋がっている

それぞれの物語の結について書かれることは無く、起承転で終わっている。すっきりしないと捉える人も居るだろうが、結に向かっていくエネルギーを読者に残したまま終わるのが今までにない形で面白い

作者の後書き「天使の声が聴こえてくるラジオ」もオチがちゃんとあってなるほどなという感想

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2024年09月13日

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大きなことはなにも起きない。ここから物語が動いていく…というところで結びがくる吉田篤弘さんのこの感じが、とても心地いい。

よく「滋味深い作家」と紹介されることが多いように感じますが、本当にそのとおりだなぁと思います。

休日、起きてひととおり家の中のことを済ませた10時過ぎごろに吉田さんの本を読んで二度寝したい。
夕暮れどき、コーヒーなどで一息つきながら吉田さんの本を読んで夜ごはんの支度をしたい。

なにも起きないから、なんでもない日常に本当によく馴染む。
ちょうどよく寄り添い癒してくれる、そんな作家さんと作品です。

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2024年04月09日

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決して主役ではない。台所のラジオは静かに語りかける。
女性と男性が交互に主役になり、そしてその人たちがどうもとてもユニークなのです。
それがまたとてもいい味を出していて、出てくる料理もおいしそうで、最後まで楽しく読みました。

この空気、とても良かったです。

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2024年02月07日

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吉田さんの本を読んだ時にしか感じられないなぞの懐かしさ、切なさが今回もあった。胸がぎゅっとなるんだけど心地よい、これはなんだろう。語彙力がなさすぎてもどかしい。
あとがき最後の一文から「うかんむりのこども」を少しずつ読み進めようかなと思い立つ。

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2023年08月16日

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どこかの誰かの何でもない日常のようで魔法のような不思議な話のある本だった。誰か信頼のおける友人1人に自分のことを話したくなるような、長くつけていなかった日記を再開したくなるような…。

静かな女性が話すラジオを聞いている登場人物たち。お気に入りのご飯屋さんにまつわっていたり、料理に取り組もうとしたり。繋がるようで繋がっていない吉田篤弘さんらしい短篇小説集だった。こういう本を毎日少しずつ読む生活がしたい。

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2023年07月02日

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台所にラジオというのが昭和の雰囲気が溢れていて吉田さんらしいですね。紙カツと黒ソース、昔なじみのミルク・コーヒーが美味しそう。あとがきを読むと吉田さんの小説てこうやって生まれてくるのね…とよくわかります。台所に座って考えてる吉田さんの姿を想像してしまいました。

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2023年05月28日

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12篇からなる短編集。
共通するのは、流れるラジオと美味しそうな食事。
物語が終わらせているようで終わらせない。終わりの余韻に浸る。
そして食べ物の描写が良い。ビフテキ、紙カツにそそられる。
日常にさらりとラジオを流す暮らし。憧れる。。。

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2022年08月27日

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あとがきがなにより素敵だった。
本編である12の短編も好きだけれど。
起承転結の起承あるいは起承転を描いた話です。

余談だけど、短編集の感想を書くときが一番難しい。どの話について書けばいいかわからないので。

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2021年12月13日

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旅をした気分
黒ソースと相性抜群の〈紙カツ〉を食べたくなり、マリオの〈コーヒー牛乳〉を飲んでみたくなった

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2021年05月26日

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美味しいものと美味しいお店が連なった短編集。
そして、どのお話にもラジオがさりげなく出てきて、ほっこりさせてくれる。
趣はそれぞれ違うけれど、どれも人を笑顔にしてくれるようなお話ばかりだった。
吉田さんの遊び心が満載で、ちょっと聞き慣れない職業が出てきたり、いろんな仕掛けがあって楽しい。
さくっと気軽に読めるものばかりです。
特に「マリオ・コーヒー年代記」がよかった。

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2020年12月06日

Posted by ブクログ

台所にラジオ、、、本を読みはじめてふと、わが家も台所にラジオを置いていたことに気付く。
朝のコーヒーを入れる時、ご飯の支度の時、ラジオから流れるニュースや音楽を聞いている。

台所とラジオに関連した様々なストーリーがあり、心地よく読み進めることができた。
妻が好きな本を読んでみようと思ってなんとなく手に取ったが、普段読まない分野の本を読めて新鮮であった。

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2020年01月13日

Posted by ブクログ

力を抜いて読めるお話たち。
何が起こるの?とワクワクするでも無く、ハラハラするでも無く、でもなんとなく気分が良くなる。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

どの話も最後まで読んだ後、「きっとこうなるんだろうな」と想像を掻き立てられる良い話ばかりだった。
私が特に印象に残ったのは、夜間押しボタン式信号機でした。

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2025年02月18日

Posted by ブクログ

 はじめは「つかみどころのない本だな」と思いながら一編、二編、と読んでいたが、だんだんとゆるい繋がりが見えてきたり、通底する基調音のようなものが聞こえてきたりして、読み終わる頃には「不思議と印象深い本だったな」に感想が変わっていた。
 短編の中のある人物が、ひところ映画館のレイトショーに通う日々を過ごすのだが、「夜の時間くらいは現実の時間よりも自分の腹時計に従って行動したい」という思いから、映画の上映時間に関係なく見たい時に入って出たい時に出るという通い方をしていた。そのためか、その時代に何年も毎晩欠かさず見た映画はまるで夢の断片のように、ストーリーをなさない他人の人生として自分の中に刻まれている、というような語りがあった。
 この本を読んだ体験がまさに、私にとっては「夢の断片のように刻まれている」だ。あとがきには吉田篤弘さんが「始まりの天使」という言葉を使って、「この短編集では起承転結の起承くらいまでしか書いていない」というようなことを書いている。結末をはっきりさせないという小説手法自体は別に珍しいものでもないし、ひとつひとつのお話を切り離して「特にこれが私の人生を変えるほどの衝撃が」ということはなかったが、全体を通して、なんとも忘れ難い夢の旅だったと感じる。すごいな。

 以下、備忘メモ。
・紙カツと黒ソース→食べたい第一位。
・目薬と棒パン→「すべてのひとを笑顔にできるのは旨いものだけだ」。
・さくらと海苔巻き→食べたい第三位。「誰かより速く走りたいとおもわない」。
・油揚げと架空旅行→読書は旅。毎日同じものを食べる。
・明日、世界が終わるとしたら→そんなに美味しいビフテキなら背中に手を当てられて誘われたい。
・マリオ・コーヒー年代記→司書で自転車乗りでオーケストラ。
・毛玉姫→黒光りするソース焼きそばは食べたい第二位。
・夜間押ボタン式信号機→子羊のロースト、食べてみたい。
・〈十時軒〉のアリス→「三十年を消した」。
・いつか、宙返りするまで→亀は時間の重さ。モモ?
・シュロの休息→名探偵って現実にいないもんね。
・最終回の彼女→〈女優洗浄機〉の発明。
・あとがき 天使の声が聴こえてくるラジオ→天使は「おや?」と思うと舞い降りて見守り、変化の兆しを見ると去っていく。

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2023年11月12日

Posted by ブクログ

ゆるゆる短編集。読書時間が取れない時にちょうどいい長さかもしれません。
個人的には短編より長編の物語が好きなので、一気読みというよりは隙間時間にちょっとずつ読みました。ドラマ性はほぼなし。でもこのファンタジーっぽい独特の雰囲気こそが吉田作品の魅力だと思います。

食べたいなと思ったのはダントツで紙カツでした。紙カツなるものを本作で初めて知ったのですが、調べたら普通にメジャーな料理だったんですね。トンカツほど重たくなさそうで良いなと思いました。
あと気になったのはビフテキとミルクコーヒー。
美味しそうって思う基準も、美味しいって思う基準も人それぞれだけど、吉田作品で描かれる食べものは私の美味しそうって感覚にかなりヒットしてくれます。
ただ自分がラジオを聞く習慣が全くないため、どの作品にも出没する“台所のラジオ”に関してはあまり存在意義を見出だせませんでした。ひたすら食べ物ばかりを追ってた12編です。

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2023年10月21日

Posted by ブクログ

 『 勝手に「ラジオ」特集 #4 』
 ー吉田篤弘さん『台所のラジオ』ー

 吉田篤弘さんの物語の雰囲気に、ラジオはドンピシャ合います。面白可笑しい話や賑やかな音楽ではなく、ゆったりと流れる時間の中で、静かな音楽と優しく包み込むような語り‥。もうこれだけで吉田篤弘ワールドが成立しちゃう気がします。

 本作は12編の短編集で、特徴として男女の主人公が交互に登場し、共通点は、個性的で風変わりな人物、美味しそうな食べ物、そして台所のラジオ‥、でしょうか。
 ラジオが主役ではなく、あくまでも脇役で、女性の静かな声・世の中の小さなことについて話すという、12編がゆる〜く重なって一冊が出来上がっている印象です。

 1編1編が、新たな物語として始まったかと思えば、いつの間にかすーっと静かに終わってしまうような、不思議な読後感。私の吉田篤弘さん像はいつも変わりません。本作も、静かな夜にラジオを流しながら味わいたい一冊でした。


 ここからはレビューと関係なし(ただの独り言)

 吉田篤弘さんの小説、そして勝手に始めたラジオ特集を進めるほど、甦る記憶が80年代のNHK-FMのラジオ番組。江守徹さんがナレーターを務めた「夜の停車駅」です。

 列車がホームに入って来て停車する音に続き、
  ラフマニノフの「ヴォカリーズ」
       に乗せたオープニング‥

お忘れですか?
 あなたがここに立ち寄ったときのことを

白い蒸気を残して列車が去ってしまうと
 そのあとには誰もいないプラットホーム

古風な時計がいつもと違う時を刻んでいます

そう、確かにここに降り立った記憶があるはずです
 しっとりとした闇にくるまれた、夜の停車駅に‥


あぁ、泣けます‥。 人間の記憶は不思議です‥。
年配者の単なる骨董趣味でした。
古美術品じゃないけれど‥(w)

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

このフワッとした雰囲気がたまらなく心地良い。
流れるラジオと美味しいもの。
この本を読んでいる間は、心なしか時間がゆっくり過ぎていくような気がする。
穏やかでちょっと不思議な物語が12篇。
各話の余韻に浸りながら、そのまま眠りにつきたいと思った。
シュロの休息が一番好きだな。

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2022年09月01日

Posted by ブクログ

不思議な短編集だった。
どこか懐かしくて、穏やかな時間の流れを感じる話。後半は掴みどころのない話が多かった印象。アリスのお話が好み。

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2021年02月21日

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