吉田篤弘のレビュー一覧

  • 奇妙な星のおかしな街で

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    ネタバレ

    吉田さんのエッセイはこれが初めて。
    吉田さんの経験された実体験よりも妄想話が面白かった。
    吉田さんの描く物語そのもののようで、その発想がいかにも吉田さんらしい。

    自分を「いまの自分」と「未来の自分」に分けて二人の自分を演じる話、「天国」は自分の記憶によって創られた世界で「天国」に到着したら探偵を雇って再会したい人(故人)を捜索する話、持ち運べる「夜の鞄」の話、体の中の状態を瞬時に読み取って病気等の警告をしてくれる「ミラー」の話等々、本当にあったら面白いだろうと思わせる、ちょっと不思議でユニークな吉田ワールドに惹き込まれた。
    いつかこれらの妄想話から新たな物語を創ってほしい。

    『あとがき』に

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    2020年10月24日
  • ガリヴァーの帽子

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    短編集。「かくかくしかじか」が最初は「?」だったけど、理解したらそうかそうかと。

    森羅万象に意識があるのならば。あの一瞬にそんな物語があるかもしれないと思うだけで、これからが変わっていきそう。

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    2020年09月07日
  • 奇妙な星のおかしな街で

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    ネタバレ

     小説家、吉田篤弘氏が新聞に連載していたエッセイ集。一遍一遍が短いのですっと読める。
     本を開いてまず目に入るのが、緑色の罫線である。
     文章の幅に合わせており、まるで原稿用紙に書かれた文章を読んでいるかのようだ。
     一遍一遍に味のある手書きイラストと、アルファベットがついている。もしかしたら、26文字が重複することなくついているのかもしれない。
     短いエッセイだが、一つの漢字であったり、「時計がずれた」というささやかな日常の事柄から、どんどん想像が膨らんでいく作家の脳の一部を垣間見れるような気がする。
     好きな一遍は「幸福な時限爆弾」である。
     この中で、筆者は「なぜ小説を書くのか」という問

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    2020年08月26日
  • 奇妙な星のおかしな街で

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    穏やかな気持ちで読めるほのぼのエッセイ。

    私の好きなポイントはなんと言っても装丁。
    原稿用紙調なのがとてもいい…!
    使われている色もイラストもとても好みだし、可愛らしいカバーを外すとシックなブラウンの装丁になっているのも素敵。

    個人的にはインテリア感覚で、所有欲を満たしてくれる本。

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    2020年08月15日
  • ソラシド

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    途中までは時間軸が行ったり来たりで頭がごちゃごちゃしたけど、最後それがまとめられていくのが面白かった。音楽が好きな私にはとても共感できる内容でした!

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    2020年07月27日
  • ソラシド

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    ナンデモ屋を見下ろす場所から、二十数年前のバンドを探す。冬の音楽を奏でる、女性デュオ。
    レコードと雑誌と喫茶店のまずいコーヒー。雑踏の裏の街。
    吉田篤弘さんの作品はほぼリアルタイムで読んでるのに、何故か抜け落ちてた本作。
    吉田さんらしくて、好きなタイプの話でした。
    顔見知りかそれにちょっと毛が生えたくらいの間柄の人たちが阿吽で守る物語の優しさ。

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    2020年07月17日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    タイトル通り変愛を集めた短編集。

    「お、おう、そんなところに」「そんなのと」「え、何この設定」とか本当にそれぞれ変な愛ばっかり笑

    吉田篤弘目当てだけど、電球交換士が出てきていたとは。

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    2020年04月16日
  • 台所のラジオ

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    台所にラジオ、、、本を読みはじめてふと、わが家も台所にラジオを置いていたことに気付く。
    朝のコーヒーを入れる時、ご飯の支度の時、ラジオから流れるニュースや音楽を聞いている。

    台所とラジオに関連した様々なストーリーがあり、心地よく読み進めることができた。
    妻が好きな本を読んでみようと思ってなんとなく手に取ったが、普段読まない分野の本を読めて新鮮であった。

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    2020年01月13日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
    面白かったです。
    ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
    「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
    多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
    岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
    表紙の感じに既視感が

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    2019年08月30日
  • 電球交換士の憂鬱

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    面白かったです。
    淡々と進む物語でした。
    この街も、世界の片隅にあるような気がします。
    電球を交換し続ける十文字さんが不死身か不死身じゃないかはわからないですが、少しでも憂鬱でなく暮らせるならいいなぁと思いました。
    限りある時間を過ごすから、憂鬱ではない。
    この街にも住みたい…と思いました。なんだか懐かしい感じ。
    生きるのがちょっと楽しくなりそうです。

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    2019年05月15日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    いくつか読んだことがある作品も収録されていましたが、今までの愛に対する見方を思いっきり揺さぶられる一冊であることは間違いなし。
    どれもこれもお勧め?
    「韋駄天どこまでも」は漢字遊びの要素なので、編者も書いているように翻訳は超絶技巧が必要だなぁ。
    単行本にしか収録されていない作品があるそうなので、単行本も読まねば。

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    2018年07月21日
  • 圏外へ

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    説明のしようがない作品w。

    でもその世界観はさすがで、あらゆるものが魅力的。語る側と語られる側。

    そして言葉のあやふやさというか、言葉を分解して考えるこの発想力。「雲を呑む」。たしか、架空とは「空に架かるモノ」つまり虹であり雲であるといったのも作者ではなかったか。

    広辞苑の第7版が出るこのタイミングで、これに巡り合ったのも縁なのかしら。

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    2017年11月19日
  • イッタイゼンタイ

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    これを読むと何が正解か分からなくなる。自分にだって思い出の品物はあって、壊れたりしたら修理したい。それは自然な感情だと思う。でもその結果が産む側からしたら殺戮以外の何物でもなかったとしたら。

    考えたこともなかった。

    何がいいのだろうか。。

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    2016年10月16日
  • 圏外へ

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     物語論を小説にした作品。物語をどう始めどう終わらせるか、人称はどうするか、登場人物たちはどこで生き、はたして生き続けるのかどうか、言葉が生み出す微妙なニュアンスをどう考えるか、などなど。カタリテである主人公の生み出す虚構が作家の現実と混ざりあいながら進む物語論はどう終結するのかが気になる、最後まで面白い作品だった。物語を生み出す作家という仕事の大変さを思い知ると同時に、そういった苦労を重ねたのちにできた小説を読める読者の幸せを改めて感じる。

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    2015年12月13日
  • ソラシド

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    かつて奏でられた音を求める物書きの話。
    読後に、文章で読んだ光景が自分の記憶だったように錯覚する、そんな一冊。
    音と当時の空気を閉じ込めた一枚のレコードは、耳にした人に影響を与え、文章として記述され、読み手は音を求める。
    なんて穏やかで、心地良いループだろう。

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    2015年09月02日
  • ソラシド

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    ネタバレ

    「新潮」の連載でちょいちょい読んでいたのだが、
    これは一冊の本の方が楽しめた。

    相変わらずの心地よい空気感のある作品。
    ただ、「ソラシド」という名前しかわからないミュージシャンを探し求める、とゆーストーリー上、
    ちょっとミステリーチックでもあり、いい意味でずっと緊張感、みたいなものが作品を通してある。
    彼女たちが今どうなっているのか、という疑問を
    登場人物たちと同じように、持ちながら読み進める。

    妹との関係にどーもラブっぽさを感じてしまったのだが、
    よく考えたら血、繋がってるんだよなー。

    冬の音楽。
    聴きたいです。

    0
    2015年07月09日
  • ソラシド

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    もう まだるっこしいなぁ
    と 思うか
    いいねぇ このまったり感
    と 思えるか

    もちろん 後者になれる人は
    独特の浮遊感が
    なかなか たまりませんでしょうねぇ

    小説の筋というよりは
    そこに描かれている雰囲気を楽しむ
    そこが
    この 小説を楽しむコツでしょうか

    それにしても
    表紙の レコード は
    どんな 音楽 なのだろう と
    ずいぶん 気になってしまいます

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    2015年09月14日
  • ソラシド

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    吉田さん独特のストーリーのテンポが大好き。いろいろと都合よく収束していくのでファンタジーだと割り切って読んでいる部分もあるけれど、こんな素敵なことがおこったらいいなって思える。一緒に「ソラシド」を探しているうちに、自分も遠い昔の何かを探してみたくなった。

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    2015年03月02日
  • ソラシド

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    耳元で心地いい音楽を聴いた後のような、すごく素敵な気持ちで読み終えた本でした。
    全体的に落ち着いたトーンで、コーヒーの茶色から始まり、ニューヨークのグレイ、冬の吐息の白、と浮かび上がるシーンが美しくて、なんとも言えない不思議な世界に迷い込んだようです。

    過去と現在、現実と空想が入り混じった世界は、映像がとにもかくにも美しい。古着屋とバー、世界の果てのような白い荒野、ダブル・ベース「エレファント」、1つ1つのシーンがにくいくらいに素敵で、とにかくうっとり。これは、映画化してほしい。
    美しいシーンも然ることながら、本書に登場する音楽を聴いてみたい。

    音楽には疎い私ですが、とある場面では鳥肌が立

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    2015年02月16日
  • ソラシド

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    にやりとする。こころにくい文章に。
    トークイベントの話を思い出しつつ読む。行って良かったなぁ。。

    もう一回読み返したら、散りばめられたいろいろにもっと気付ける気がして。

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    2015年02月25日