あらすじ
「あなたに『本当のこと』をひとつかみ差し上げましょう」川のそばにあるお菓子屋〈おやつ〉.ある日店を訪れた青年は,チョコレートと引き換えに不思議な「種」を置いていく.それをきっかけに,店主のエリカはかつて出合った一冊の本を思い出して……表題作ほか4篇+エッセイ.忘れられない本をめぐるささやかな冒険.
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世の中のものは変わりゆく。燃えないゴミですら朽ちてゆくのだから。
しかし、唯一変わらないものがあるとすれば、それは本であるとこの作品で感じた。だって、いつでも本を開けばその本は変わらず語りかけてくれるのだから。
変わったのは本ではなく私の心だって事も。
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吉田篤弘さんにはいつも関心させられます。大袈裟ではなく、本当に読んでいて声が出そうになります。本の世界へ戻りたい。
本作『エデンの裏庭』では「メインストーリー」とそれを書くに至らしめた児童文学を吉田マジックで味付けされたものが四編、そして各作品ごとに「物語の舞台袖」なる項目(作品の前後を著者の目線で解説するパート)が用意され、最後に「あとがき」の4パートに分かれています。一つの小説に4つの独立しパートを登場させ上手い具合に混ざり合わせていること自体、ある意味発明です。
そして毎度のことながら本作もクラフト・エヴィング商會さんの装丁家としての手仕事が極まっております。文字のレイアウト、スピンの色、版型、差し込まれるイラストまで。
本の隅から隅まで趣向が凝らされ、五感で楽しめる作品に仕上がっているといっても過言でないでしょう。ここが作家吉田篤弘の真骨頂で、私が彼の作品が好きな理由の一つとして最大の理由だと思います。
作家と装丁家の二足の草鞋を履く彼だからできた一冊に仕上がっています。ゆっくり本の世界へ浸る素敵な時間が欲しい方は、ぜひご一読を。
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この心地よさ。言葉の迷路をくぐり抜けてきた爽快感。吉田さんの作品には不思議な魅力を感じます。
『不思議の国のアリス』
『ガリヴァー旅行記』
『星の王子さま』
『モモ』
読者の私が子どもの頃に出会った4つの物語。その〈物語の舞台袖〉を吉田篤弘さんが書いてくれました。物語の前にも後にも物語は続くと考えると、永遠に物語は終わらないなんて壮大です。物語の空白が書かれた舞台袖の創作作品は、どれもなるほどねと思わせてくれる楽しい作品でした。吉田さんの原点も知ることができました。
舞台袖の創作作品のあとには〈舞台袖からの報告〉。吉田さんと作品たちとの不思議な繋がりを感じることもできました。
そして〈エデンの裏庭〉。一冊の本をめぐる物語。不思議な縁が感じられ、まだまだ続きが読みたい作品でした。吉田さんがこの続きをもう書きたくなっているそうなので、いずれは読めることを期待しています。
この本は何度でも読んで、その度になにかを見つけることができそうな本でした。本を読むことの楽しさを改めて感じる一冊でもありました。
吉田さんの作品に触れると、縮こまっている自分に気付かされ、もっと広い目で色々みると楽しいことがたくさんあると気付かされるんですよね。
まだまだ未読の吉田作品がたくさんあります。焦らずゆっくりと読んでいきたいです。
〈目次〉
物語の舞台袖
1 ─アリスのいないお茶会
『不思議の国のアリス』
*ルイス・キャロル
舞台袖からの報告・1
2 ─ガリヴァーの囁き
『ガリヴァー旅行記』
*ジョナサン・スウィフト
舞台袖からの報告・2
3 ─王子さまのいない星
『星の王子さま』
*サン=テグジュペリ
舞台袖からの報告・3
4 ─灰色の男の葉巻のけむり
『モモ』
*ミヒャエル・エンデ
舞台袖からの報告・4
エデンの裏庭
あとがき
Posted by ブクログ
吉田篤弘先生の本はもったいなくて大事に温めて静かに穏やかにひっそりと読むのが常です。この本もまたそうやって今私の手元にあるのですが、これまでのストーリーを編まれた本と構成が違っています。「アリス」「ガリバー」「星の王子さま」「モモ」にまた違った色合いのスポットライトが当てられているステージの舞台袖で篤弘先生が自分を語り、思いを示してくださる。なんと生の先生の声が聞こえてきそうなほど!
そして第2部、「エデンの庭」初めてお目にかかるのによく知っている人たちの登場するおはなし。
あとがきを読んでまた、ため息。
なんと素敵な時間を持つことができたのか、しみじみと余韻に浸ってます。
Posted by ブクログ
「物語の舞台袖」は外国の4つの物語を創作と書評のようなもので構成されたもの。
吉田さんらしい文章で本当に好きな内容だつた。特に私は「灰色の男の葉巻のけむり」が好き。5回くらい読んだけど何度読んでもわぁすごい、、、と思ってしまう。
「エデンの裏庭」は吉田篤弘さんの名でデビューする前の作品を改訂したもの。
これも本当に癒されるお話だった。
続きが気になってすぐに読み終わってしまった。でもまだ続きそう…。気になる…。
Posted by ブクログ
それぞれの物語を念頭に置いた小説、外電的なものや前日譚がありそうだなと思った。また、題材に使った本自体の説明と言うか解釈も私に新しい視点をくれた。なかなかに興味を惹く一冊。
Posted by ブクログ
本書は、前半の「物語の舞台袖」と後半の「エデンの裏庭」の2部構成になっています。
誰もが知る4つの名作物語に対して、創作(妄想)と書評(注釈や解説)を記した前半。後半は前半の試みを経ての小説という内容です。
前半を簡単に言うと、作家が名作児童文学をどう読んできたか、でしょうか。薄暗くひっそりと誰も注目しない舞台袖…いかにも吉田さんらしい着眼点です。そこに想いを馳せて想像するんですね。
繰り返し読んでも新たな発見があり、舞台袖の空想はどこまでも広がります。物語の一場面を取り上げ、創作と書評がセットになり吉田ワールドを醸し出しています。
4つの舞台袖の共通テーマは"時の流れ"でしょうか? 児童文学はとても奥深く、大人になって再読つまりは時間が経過すると、物語の語られていない余白の捉え方は変わるのですね。吉田さんのこれら名作への愛情が感じられます。
時の流れに左右されないもの、時の流れで新たな価値がつくもの…、やはり物語の面白さはその辺にあるのでしょう。余白の成せる故かもしれません。
物語はどんどん連なり、余白はどこまでも続きます。再読でも初読でも、名作の味わい方を教えられた感覚です。
後半の小説「エデンの裏庭」は、かつての未刊作品の幻のタイトルとのこと。時を遡って場所につながる物語の構成は、前半の舞台袖と見事に呼応しており、響き合う形になっていて味わい深いです。
Posted by ブクログ
「物語の舞台袖」という形で児童文学4つにならって吉田さんなりの創作劇文学への愛を表しているのかな。最後の「エデンの裏庭」が不思議なメルヘンに感じられた。これが吉田ワー ルドなのか。こちらの作品は絶対単行本でこのサイズじゃないと表現が伝わらないかも。さすが!表紙の絵が好き。