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本郷苑子29歳、黒縁めがね、生マジメ、独り暮らし、日課は通い猫のエサやり。前の職場で受難、三ヶ月ぶりの新たな派遣先は……英文事務のはずが、作業服で部品係とトラブル処理班も兼務、しかもチャラ男に仙人、いびりの鬼がいた。こんなエンジン工場から「希望」は生まれるのか? 大注目『片桐酒店の副業』の新鋭の傑作長篇。
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Posted by ブクログ
きんもちいーい!
爽快、さっぱり、わかりやすい。
帯にはお仕事小説を超えた生き方小説、とあって、いやでも、そんなことさえ考えなくていいんじゃないのかな。
とにかく、感じいい。
作者の人がきっと、素直でまっすぐなんじゃないのかな、とさえおもう。
奥田英朗、荻原浩あたりのお仕事小説の爽やかさと、宮藤官九郎あたりのチームワークとかがいい感じに混ざって、最高に後味のいい読後感に仕上がってます。
会社勤めをしてるとわかる。派遣を選択した矜恃、でも揺れる気持ち、派遣にプライドがあるほど正社員とは線を引き、だけどときどき沸き起こる仕事の姿勢への疑問や、自分の立場への不安感。
さらに工場、というすこし特殊な環境だからこそ、この規模で多くのファクターをいれて小説が仕上がったのだとおもう。部署ごとの確執、本社と支社、男尊女卑思想、システムの変更、コミュニケーションエラー、社内恋愛、仕事と結婚、などなど。
欲を言えばもう少し主人公に海外とのやりとりをさせてあげて、国ごとに違うカルチャーギャップとかもいれてもよかったのでは、とおもう。町工場とのやりとりが、ビビッドであまりにリアルだったので、ちょっと欲張って。
赤毛のアン的なストーリーは苦手なのだけど、それでもこの本が読めたのは、工場(調達)やメカニックなど、ディテールへのこだわりがしっかりしてたからだとおもう。なくてもいいのかもしれないけれど、それがあったからこの小説には、単なる小綺麗なオフィスラブアンド奮闘記以上の芯のようなものがうまれたのではないかな、と。
奥田英朗の『マドンナ』『ガール』や、荻原浩のユニバーサル広告社シリーズ、もしかしたら少しだけ、五十嵐貴久の『年下の男の子』『ウエディング・ベル』がすきなひとならたぶん、楽しめること請け合い。春のぽわっとした陽気にあった、作品です。
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