小倉孝保の作品一覧
「小倉孝保」の「中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事」「踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
私の感想として強く残ったのは、保さんがとても明るく、おっちょこちょいな性格でありながら、心の奥では常に貧しさや劣等感を抱えて生きてきた男性だったという点だ。
保さんの人生には不幸がつきまとっていたように見えるが、その一方で、周囲には確かに人の優しさがあった。人びとの思いやり、妻の深い愛情、そして保さん自身の前向きさが、幾度となく困難を乗り越えさせてきたのだと思う。
人生の大半を読み書きができないまま歩んできたにもかかわらず、人として実に立派に生き抜いてこられたその姿は、静かに、しかし確かに心を打つ。
「35年目のラブレター」とは、単なる一通の手紙ではなく、妻の優しさに支えられ、娘たちの成長に安堵しながら、苦しみの多かった人生の扉を、周囲の人びとと共に少しずつ開いてきた、その歳月そのものなのだと感じた。
Posted by ブクログ
難病に苦しむ子供たちの夢をかなえる「メイクアウィッシュ」という、
アメリカで始まった活動。日本でもこの活動が始まり、この本の主人公である
大野寿子さんという方がその中心となり、原動力となって、実際に多くの子の夢を
かなえた。
その大野さん当人がすい臓がんになり余命いくばくもない中、
彼女に背中を押してもらい元気になった人や、残念ながら子供は亡くなったが、
これに共感した親が、大野さんを囲み、応援する。
随所に過去のメイクアウィッシュのエピソード、心を解放された子供たちの話を
織り交ぜながら、大野さんの旅立ちまでを綴る。
途中は、なんで大野さんの恵まれた生い立ちから結婚離婚再婚まで
細かく取り上げるのか、活動だけでよいではないか、と思ったのだが、
終末期をここまで描く以上、一人の女性の一生をとことん描く、
というのもありかと思えてきた。
大野さんの生き方は立派だと思うが、そう思えるのは、
難病で絶望の中にいる子供たちに活力を取り戻させるから。背中を押すから。
心を開放させるから。
人というのは、病気だけで弱るのではない、心で弱るのだ、と痛感する。
もちろん、気持ちさえ前向きになればなんでもできる、というものではない。
しかし、少なくとも、心を閉ざしていてはいいことは何もないとはいえよう。
自分も微力ながら、自分が係る人たちが、少しでも元気になれるよう、
何等か働きかけをしていきたい。
今年サラリーマン生活を終えるとしても、来年以降も、
そういう形で人の役に立てればいい、と思う。
序章 最後の講演
第一章 切実なメール
第二章 結婚と挫折
第三章 二つの「出会い」
第四章 家族への告白
第五章 最期のプロジェクト
第六章 余命宣告
第七章 死への準備
第八章 衰弱する体
第九章 最後の晩餐
終章 ヒマワリに囲まれて
Posted by ブクログ
とっても素敵なお話+.。*♡
和歌山県の山間部に生まれた西畑保さんの実話です
先に映画を鑑賞しました(配信で)
なので思いっきり鶴瓶さんで読み進めたけど、どちらも本当に良かった。
映画ではあまり描かれなかった西畑さんの幼少期が、この原作では丁寧に記されており、それがあまりにも過酷で苦しい。
その暮らしはとても貧しく、小学校もほとんど通わず、読み書きの出来ないまま大人になった。
〝日本料理の板前として働き、35歳で結婚し二人の女の子に恵まれた〟
この文章を見るだけなら、ごく普通の幸せな人生のように思えるが、読み書きの出来ない西畑さんにとってはとても大変な毎日だった。
〝書く〟場面からは逃げ回り、仕事では電話を取るのが恐怖(出前の注文などメモ出来ない)だったり、住所が読めないから出前が難しいなど…
他にも色々あるが、こんなに苦労するとは想像以上だ。
妻の皎子(きょうこ)さんとは、読み書きが出来ない事を隠したまま結婚した。
バレたら離婚されると思っていた西畑さんは、バレないように嘘を重ねる毎日。
きっと苦しかっただろうな…
しかしある日、自筆で署名しなければならない場面が訪れ、ついに皎子さんに白状する。
西畑さんはこの世の終わりのように思っただろうが、妻の皎子さんはとても心の広い女性で、温かく西畑さんを包み込む。
この先の西畑さんは夜間中学に通い、字を覚え、皎子さん宛にラブレターを書くことが目標になる。
夜間中学に入学したのは64歳の時だ。
その年齢で新しい事に挑戦するのには、きっと勇気が必要だったろう。
私もまだまだこれからだなと、元気が湧いてくる。
お二人は互いを思いやり尊敬し合う素敵な関係で、私まで優しい気持ちになってくる。
笑ったり泣いたりしながらの、心温まる読書時間だった。