あらすじ
心揺さぶる「命のノンフィクション」
大野寿子さんは、「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」の初代事務局長として、難病の子どもたちの夢を叶える活動をしてきた。
筋ジストロフィーに冒されながら「甲子園で赤星選手に会いたい」と願った和馬くん。急性リンパ性白血病の身をおして絵本作りに励んだ美緒ちゃん。ユーイング肉腫で歩けなくなるも、山形に暮らす家族との再会を果たした真也くん……。大野さんが支援した子どもの数は約3000人におよぶ。
その大野さんが2024年6月に肝内胆管がんで「余命1ヶ月」を宣告される。残された時間がわずかだと知った大野さんは、こう問いかける。「自分自身の夢は何か」――。思い浮かんだのは、自著『メイク・ア・ウィッシュ 夢の実現が人生を変えた』を無料で配り、多くの人に子供たちの勇気ある姿、そして命の輝きを伝えることだった。
話題作『35年目のラブレター』の著者としても知られる、ノンフィクション作家の小倉孝保さんは、衰弱しながらも懸命に生きる大野さんに徹底密着。本人をはじめ家族、友人、助けられた子ども、そしてその遺族への長時間にわたるインタビューを行い、大野さんの闘病日記も引用しながら、亡くなる瞬間までの日々を克明に描き出している。
難病に冒されながらも一生懸命に生きる子どもたちと、大野さんという稀有な女性の命の奇跡を描いた感涙のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
とても素敵な本に出会うことができました。
涙なしでは読めません――。
この本を読んで、「誰かのために親切にしたい」と自然に思えたし、私自身の死生観さえも変わるような、そんな一冊でした。
子どもが病気になったとき、私たちはつい言ってしまいがちです。
「病気が治ったらね」
「まずは病気を治そうね」
でも、そう言われた子どもは、こう思ってしまうかもしれません。
「病気が治らなければ、何もできないんだ」と――。
でも、本当は違うんです。
本書は、難病の子どもたちの夢をかなえる非営利団体「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」の初代事務局長・大野寿子さんの活動と、彼女が癌により亡くなるその日まで抱き続けた熱い想いが綴られた、感動のノンフィクションです。
生きるとは何か、夢を持つとはどういうことか
一人でも多くの方に、大野さんの想いが届きますように。心から願っています。
著者は、『35年目のラブレター』で知られるノンフィクション作家で、毎日新聞の論説委員でもある小倉孝保さんです。
人の心に静かに寄り添い、深く掘り下げる筆致は、今回も健在でした。
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「自分の命が明日をも知れず、痛くてつらい。それでもお母さんやお父さん、病院の他の子やその家族、そして世界中の人々の幸せを願うんです。人間は本来、そうした力を持っている。例外はありません」
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この言葉が、今も心に強く残っています。