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誰にでも、いつかは必ずやってくる人生の終わり。旅立ちの手助けを生業とする人たちがいる。葬儀社社員、湯灌師、納棺師、復元師、エンバーマー、火葬場職員……。なぜこの職業を選んだのか。どんな思いを抱いて働いているのか。忘れられない経験とは。著者は、「死」と向き合うプロたちの言葉に耳を傾け、葬送の現場を見て歩く。光があたることのなかった仕事を描破した感動のルポルタージュ。
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Posted by ブクログ
葬儀社社員・湯灌師・納棺師・復元師・エンバーマー・火葬場職員、どの職業も死者に対し尊敬念を持ち誇りを持って仕事をしているのが垣間見られた。「死」という誰もが通る道だが、その時にどう有りたいかを話す機会はなく「縁起でもない」として忌み嫌う傾向にある。また、身近な人の死に直面すると、悲しみが強く、一連の...続きを読む流れに身を任せているうちに終わってしまった虚しさが残ることも多かったが、淡々とこなす仕事も、自分達が悲しみに浸れるようにしてくれていたのかもと本書を読み感じさせられた。
普段、全く意識していなかった葬送の仕事。葬儀社、エンバーマー、火葬炉で働く人々など、壮絶な仕事の姿が書かれていた。 うつ病で何度も死にたいと思う経験をしたが、死んだ後自分がどう送られるのかを考えたことがなかった。本著で書かれた葬送の仕事師たちの思いの中で送られるのなら、死ぬこともそう悪くないなと思っ...続きを読むた。一方で遺族のことを考えると、死ぬときはできるだけきれいに死にたいもんだと思うようになった。 死を身近に感じることができる一冊。 いかに自分が死んだ後のことに無知だったかを思いしらされた。身近なひとたちの死は避けられない。だからこそ生きている今を大切にすることと、死んだ後にどのような思いで弔うかにも想いを馳せることは大切なように思える。 葬送の仕事師たちの言葉から、生きることと死ぬことは続いているのだということをつくづく思い知らされて、生きていることに清々しさを感じることができたように思う。
ある日ふと目に留まり、 気になっていたものの手に取るまでに ある程度の月日を要する。 購入したのは父が亡くなり10年目の年。 読み始めるまでに時間がかかる。 大事な大事な友人が亡くなり、 この本からまた遠ざかりたくなったが 「読まなければならない」ある日ふとそう思った。 葬儀社社員、湯灌師、納棺...続きを読む師、復元師、 エンバーマー、火葬場職員… 旅立ちを支える人たち。 彼らは日々「死」と真正面から向き合い、 悲しみに打ちひしがれる遺族だけではなく 亡くなった人にも寄り添う。 きれいな遺体ばかりではない。 家族や友人に囲まれて旅立つ人ばかりではない。 どんな場合であろうと、真摯な姿勢は変わらない。 そこに仕事と割り切っている人はいないのだ。 「辛くて読めないかもしれない」 そう思っていたわりに比較的冷静に読み進められたけど、 火葬場職員の話のところは相当苦しかった。 火葬場のひんやりとした空気、 さらに冷たい炉前に並ぶ無機質な火葬炉。 全て鮮明に残っていて、 何度か本を閉じては開くの繰り返し。 「きれいに焼く」 言葉だけ聞けば過激でもあり誤解され、 不愉快に思う遺族もいるだろう。 でもそうじゃない、わたしも今だからこそ、 その言葉の本当の意味と重みがよくわかる。 火葬場職員の方々を考えてみたことがあっても わたしは浅いところしか考えてなかった。 こんなにも沢山の「作業と苦労」があったなんて。 そして職員たちの思いの強さも わたしの想像をはるかに超えていた。 火葬場職員だけじゃない。 葬送を生業としている人たち。 彼らがこれほどの想いだったなんて。 この本を読まなければわたしはずっと 気づけないまま、知らないままだった。 「死」を語ることはタブーとされている風潮は 今だに根強いと感じる場面も少なくない。 でも「生」と「死」は切り離すことはできない。 この本を「読んでみて」など決して言えないし、 言う意味もないと思う。 必要な人には自然と手に取る時がくるかもしれないから。 父が亡くなった頃、映画『おくりびと』が大ヒットした。 どんなに好きな俳優が出ていても 「絶対観られない、観たくない」と拒絶したし この先も観ることはない。 だからこそ、この本を読むことができて本当に良かった。 父を大事に送ってくれた 葬送の仕事師たちに感謝しながら。 父、祖母、叔母、そして友人を想いながら。 追記。 大人の事情、取材相手に対する誠実さなのだろう、 取材先の歴史なども詳しく書かれている。 それがやや過剰な印象。 同じ書くにしてももう少しシンプルな書き方だと 気持ちがぶつ切りにならず、 入ったまま読み終えることが出来たように思う。
人をお看取りするまでが我々の勤めであるが、きれいに亡くなる方ばかりではない。 病気のために亡くなった方でも痩せてしまったり顔色が異なる様となってしまった方を戻す技術、また遺族と亡くなった方を繋ぐ技術と思いがあることを学んだ。 読み返す度8/10
葬儀社に3年程勤めていて転職した。理由は「儲からないから」いい経験になったとは思っている。 当時を懐かしみながら読んでみて、ビジネスとして見ると、それこそ死ぬほど勉強して、新しい形態を作るのが必要な業界だと思う。 2027年以降、団塊の世代が死に近付いていく年にはどうなっているのだろうか。
約20年前、父親を、亡くしました。そして去年、祖母を亡くしました。父親の時と祖母の時、葬儀会社は異なるものの、時代のせいか、葬祭業に携わる人たちの年代が20年前と比べて若いなぁと感じてました。 そして私は、若い時、生花店に勤務して、婚礼も、葬祭も大きな収入源となる業務でした。人生の大イベントに携わる...続きを読む仕事に誇りを持ってました。 若者たちが仕事のイメージを変えてくれる。希望ある業界だと思います。
井上理津子(1955年~)氏は、京都女子短大卒、全日空、女性と暮らし社勤務等を経て、フリーランスのノンフィクション・ライター。2015年に出版された本作品で、新潮ドキュメント賞候補となる。 本書は、題名の通り、「葬送」に関わる仕事をしている人たち、即ち、葬儀の専門学校の生徒、葬儀社の社員、湯灌師、納...続きを読む棺師、復元師、エンバーマー、火葬場の職員等に真正面から取材をし、彼らの仕事や思いを描いたノンフィクションである。 私は従前より、人は死んだらどうなるのかなど、いわゆる死生観について関心があり、キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』をはじめ、その類の本は十冊を遥かに超える数を読んできた。また、ノンフィクションが好きなので、その中には、(本書の解説を書いている)佐々涼子の『エンジェルフライト』等、葬送に関するものもいくつか含まれている。本書については、以前より気にはなっており、今般たまたま新古書店で目にし、読んでみた。 読み始める前に漠然と思っていたのは、彼らはなぜこの職業を選び、どのような思いを抱いて働いているのか、ということであった。私は既に両親を亡くしているが、その両親でさえ、動かなくなった遺体に不気味さを全く感じなかったと言えば嘘になる。そう考えたとき、他人の遺体を、湯灌し、復元し、エンバーミング(遺体の科学的防腐処理)を施し、納棺し、火葬するという仕事は、並大抵の心持ち、覚悟では務まらないと思ったのだ。そして、読み終えて最も強く感じたことは、「仕事師たち」の強烈なプロ意識である。シニアな仕事師たちは、成り行きでその仕事についた人も少なくないが、若い仕事師たち(主に葬儀の専門学校で取材した人たち)の多くは、過去に自分が親しい人の死に遭ったときの仕事師たちの対応に感動して、自ら葬儀のプロを目指したというのだ。そして、取材を受けた仕事師たちは、自らその仕事を選んだか否かに関わらず、人の死、その結果としての遺体、そしてその遺体と遺族の別れに関して、一過言を持ち、掛け値なしの誠実さで対応するのである。私は一般の会社員だが、仕事に対する覚悟は到底敵わないと、正直に思う。 また、それぞれの仕事の内容についても詳しく書かれており、中でも、事故や事件に巻き込まれた遺体の復元や、遺体をきれいに焼く火葬などの様子は、正直息を呑むものだ。自分の両親の葬儀においても、仕事師たちのこれだけの仕事があって葬儀が行われたことを知って、今更ながら頭が下がる思いである。 本書では、最近の葬儀に関する潮流についても書かれており、想像通り、葬儀の規模は縮小傾向で、形式は多様化が進んでいるというが、自分がどのように送られたいのかを考える上でも、読む意味のある一冊であった。 (2024年5月了)
おくりびとを読み終えてからその仕事に興味をもちこちらも。 旅立ちの仕事、初めて知る事ばかりでした。 そしてこの仕事の世間からの目も。 私自身は自分の葬式は望んでいませんが、この本を読むと人生の最後にお世話になりたいと思いました。 もしかしたら自分以上に自分の死と向き合ってくれるのではないかと。 自分...続きを読むではなくとも自分が大切に思う人をこの本に出てくる人達に送ってもらえたら納得して旅立ちを見送れるようなそんな死と向き合うプロの人達のお話です。
このようなノンフィクションがないと永遠に知ることはなかったであろう。葬儀の舞台裏で働く人たち。職に就いた動機は死の場面に接したことが多いが、時間が不規則、知識も体力要る過酷な現場で他人のためになっている自覚が支えとなっている。また、うっすらと感じてはいたが、葬式の形態の変化も風俗史のごとく理解するこ...続きを読むとができ、死について向き合うきっかけにもなった。2022.2.13
葬儀に関わる方達の仕事について初めて知ることも多かった。火葬炉の扉を越えたら、皆平等に全てが無になる。というフレーズにグッときました
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葬送の仕事師たち(新潮文庫)
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井上理津子
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