地球以外の太陽系の惑星に声明は存在し得るのか。木星、土星、水星、火星・・・、それらの衛星も含めて、今分かっている事、近い未来に到着する惑星探査機の話などに触れながら、テレビのサイエンス番組を見るように分かりやすく、胸が熱くなるような内容。読んで良かった。
塵は太陽の周りを回りながら衝突合体を繰り返し、小天体から惑星へと成長していた。この時、惑星が回る軌道が外側であるほどより大きな惑星ができる。なぜなら、移動する距離が長くより多くの塵や小天体を集めることができるからだ。つまり、本来は、地球より外側にある火星は理論上地球より大きくなるはずである。しかし火星は小さい。これを一つのミステリーとし、そこに「木星」が影響した事から謎解きが始まる。
木星は太陽系の中で最初に生まれた惑星。46億年前、太陽系の誕生直後にはその中心に生まれたばかりの太陽が輝き、周りには水素とヘリウムのガスが円盤のように広がっていた。このガスの中に岩や氷の塵が漂い、それが次第にくっつき合って惑星が作られた。太陽系の中で、最初に生まれたこの木星が、他の惑星や天体に作用した影響は大きい。この謎解きは、私のレビューを読むと読書の楽しみが半減するので、本書を読んでのお楽しみとしたい。
惑星ごとに語られる。土星のタイタンは、山、砂漠、川を持ち、生命が存在する可能性がある。川を流れるのは、液体のメタン。メタンは、水より粘り気が強く、タイタンの重力は地球より小さいので、直径1センチメートルほどの雨粒が、秒速1メートルほどで、綿雪のようにゆっくりと降る。どんな風景だろう。雨のような液体が、ゆっくり燦燦と降る幻想的な世界。
火星と木星の間にある小惑星帯の中に隠れるように、金属を豊富に含んだある天体が浮かんでいる。「プシケ」というその小惑星は、望遠鏡の画像には明るい点としてしか写らず、本当の姿は誰も見たことがない。それは単なる岩石と金属の塊なのかもしれないし、あるいは凍りついた黄色い溶岩の川や、空に向かってくねくねと延びて冷え固まった鉄など、この世ならぬ風変わりな地形に彩られた場所なのかもしれない。メタルプラネットだ。銀河鉄道999のような世界観に胸が高まる。
金星に昔、海があったのではないかといういくつかの証拠。火星にも。火星に存在したヘマタイトと言う鉄を含んだ鉱物は、地球上では水につかった岩の中で形成されることが知られている。また堆積岩も発見。堆積岩は水の底で形成されやすいタイプの岩石。これらから火星に液体の水が存在した可能性が高い。
宇宙旅行ができぬ限り、映像や画像、文章でその世界を空想する事しか今は叶わない。しかし、そうした想像の源泉がこの本にはぎっしり詰まっている。