地雷を踏んでるなぁとこの間を振り返っていたら、この本があった。さっそく読んだ。この本は、リスクヘッジの実績と経験の上に書かれているので、たくさんの気づきがあり、とても参考になった。確かに、SNSのない時代は、地雷は固定されたところにあったが、今は地雷は至る所にあり、地雷が変化しているという指摘は確
...続きを読むかだ。被害者と思っていたら、知らない間に加害者になっているということが、世論によって巻き起こってしまう。怖い世の中なのだ。
著者の指摘は、人間関係のデザインがいるということを主張している。会社の上司と部下、友人関係、先輩と後輩、家庭の中でのポジション、人間関係の濃淡のなかで、どのような人間関係デザインを想定するのか。そして、行為によって、その関係が変化する。多様な修正と価値観が生まれることで、衝突する場面が増大している。簡単にラインやSNSで連絡することによって、人間関係が希薄となり、勘違いや誤解が生まれやすくなってきている。
5章に分かれていて、1章、人間関係という地雷。2章、人間関係構築に必要な5つの能力。3章、エリートはいかにして危機を回避しているか。4章、警察と弁護士は使いよう。第5章、謝罪という名の救急病院。うまい、構成だ。
第1章では、人間関係で,①モード(雰囲気)の違いというギャップ、②パーソナリティによるギャップ、③「岸」(立場)による見え方のギャップ、④世代間のギャップを上げている。
「言っていることは間違っていない」「このやり方でずっとやってきた」「知らなかった」「眠らずに一生懸命やっている」「私は悪いことをしていない」「ブレーキが壊れていたのだ」と当事者の意識がズレていることで、炎上してしまう。
結局、ギブアンドテイクの関係が崩れた時に、どうデザインを変えるのかだ。お金を貸して、と言われて貸した時には、人間関係デザインは変化している。返せと言った時に「俺が苦しいのをわかっていて、なんで催促するんだ」と言われることで、逆恨みされる。そいう時は、貸した方が悪いと思って攻撃してしまう事例が多いようだ。
第2章では、人間関係に必要な5つの能力。①開始能力。キーマンをきちんと見つける。有効な手土産はお金ではなく、情報。②デザイン能力。③維持能力。④修復能力。バランス感覚。相手のダメージを理解し、相手の痛みをよく理解して、修復する。災い転じて福となす。⑤収束能力。きちんとした手打ちをする。ある意味では、一番重要なことで、燻り続けて、突然爆破されることもある。香川照之の場合は、示談が済んだと思い込んでいたが、それが爆発した時に、当初はノーコメントで逃げちゃったことで燎原の火のように炎上した。とても好きな役者さんだったので残念であるが、これを芸の肥やしにして、再び再復活してほしいと願う。
人間関係の劣化は、自分自身の劣化。相手の劣化。必要性の劣化があり、劣化に伴ってデザインを変えていく必要がある。
要注意人物は①言うことに一貫性がない。②違和感のある言動が多い。③他者の尊厳を重んじない。④相手に何かしてあげてときに、きちんとお礼を言ってこない。⑤向上心を失っている。ありゃ。オレだ。困ったもんだ。
第3章は、トラブル社会では、根回しが必要なのよ。そして、知らず知らずに相手を巻き込むのだ。
有利な立ち位置は、①太陽を背にする。(正義、大義名分)②風上に立つ。ふーむ。小泉首相のうまさはこの二つを駆使してことだったんだ。
重要なのは、追い詰めるばかりでなく、相手に逃げ道を作ってやることだ。
第4章、警察と弁護士は使いよう。たくさんの弁護士に関わってきてことで、弁護士は万能じゃないなぁと思った。専門があるのだ。会社法をあまり知らない人に会社の件を頼んでも負けるのは明らかだ。
第5章、謝罪。うーん。これが一番難しいなぁ。サンドイッチマンの漫才にも謝罪を面白おかしく言っていたが、謝り方で、かなり違う。土下座すれば、謝罪になるかといえば、ならない。私なんか、座るだけで土下座している。名前だけで、本人はちっとも謝っていないのだ。
謝罪とは、解毒であり、そのために問診、検査、診断、治療、予後の経過観察。①感知する。危機を招いたと感じたら、真実を正確に調べる。②解析する。③解毒。心に響く謝罪、再発防止策、厳しい処分などによって、許しを得て問題を収束させる。④再生。信頼を取り戻して、業績を回復させる。
逃走本能と闘争本能があるが、逃げてはならない。他人に頼っても、解決にならない。
そして、①遅い謝罪。②時間足らずの謝罪。③曖昧にぼかした謝罪。④言い訳や反論混じりの謝罪。⑤嘘と隠蔽混じりの謝罪。⑥贖罪の伴わない謝罪。
「遺憾、誤解、お騒がせし、知らなかった、邁進するの頭の文字をつなげると イゴオシマイとなる」
ふーむ。地雷多き時代、どう地雷を踏んでも、生き残っていくのかがこれからの時代なのだ。突き進むしかない。パックンや爆笑問題の太田も、意外と地雷踏んじゃっている。この本を読むべきだ。