作品一覧 2024/04/10更新 文藝春秋 NEW 試し読み フォロー きことわ(新潮文庫) 試し読み フォロー きっとあなたは、あの本が好き。 連想でつながる読書ガイド 値引きあり 試し読み フォロー TIMELESS(新潮文庫) 試し読み フォロー 細野晴臣 夢十夜 試し読み フォロー 1~5件目 / 5件<<<1・・・・・・・・・>>> 朝吹真理子の作品をすべて見る
ユーザーレビュー きことわ(新潮文庫) 朝吹真理子 きました、The芥川賞作品。二人の女性が再会することで生まれるコミュニケーションと気持ちの移り変わりという言い表すのが難しい感情を汲み取る表現はまさに芥川賞。ドップリとハマれる作品は休みの日には嬉しく仕事の日は避けたい。気持ち持っていかれるから。 Posted by ブクログ きことわ(新潮文庫) 朝吹真理子 多分「楽しむ」よりも「感じる」小説なのかもしれない。 貴子(きこ)と永遠子(とわこ)が葉山の別荘で同じ時を過ごし、別荘の解体に伴い25年後に再会する。簡単に言えばそんな話。 冒頭の「永遠子は夢をみる。貴子は夢をみない」という一文があるのですが、最後まで読み、これは貴子の夢だったのでは?とも思いました...続きを読む。過去と現在が行き来したり、重なり合ったり重なり合わない記憶、「髪」の表現の妖艶さ、生と死・・・。生々しい官能的な世界に、私自身、彼女らの夢の中に連れ込まれてしまいそうな危険な感覚を覚えた。魅力的な作品。 Posted by ブクログ 細野晴臣 夢十夜 朝吹真理子 / リリー・フランキー / 塙宣之 『男は、家族のギリシャ赴任中にうまれたとかで、アテネと読むことができる雅典という、うるわしげな名前があったけれど、ともみの女友達からは、セグウェイと呼ばれていた。 ともみも過去を振り返るたび、セグウェイとつきあっていたころは云々、と男をあだ名で呼んでいたために、雅典に会っても、セグウェイと心で思って...続きを読むいた』-『「セグウェイはかわいい男」朝吹真理子』 細野晴臣の夢日記は、夏目漱石の「夢十夜」の「こんな夢を見た」に倣って、どれも「夢を見た……」と始まるナンセンスな夢のお話。夢なのでとりとめもなく、起承転結もない(本人曰く脚色は一切なし)。漱石の夢十夜はもちろん斬新な小説ではあるけれど、極端に言えばどれも真面目腐った線香臭い話ばかりであるのとは対称的に、不真面目で何だか得体の知れないアートのような味わいがある。まあ、それを読むだけでいいのなら「ほぼ日」のアーカイブを見ればいいのだし、それならイラストはカラーで見応えもあるし(一部フラッシュのアニメーションに関しては、書籍では二次元コードで動画に飛ぶという親切なアフターケアがある)。なので、これは単純に朝吹真理子がどんな話を書いているのかに興味があって手にした本ということになる。 細野晴臣の元の夢日記に啓発されて、朝吹真理子、リリー・フランキー、ナイツ塙亘之が三話ずつ(ただし朝吹真理子の三話目は二つの夢物語を下敷きにしているので二夜分と勘定)書き下ろし、合計九話(十夜)を加えたもの。「夢十夜」とはあるけれど、元の夢日記は三十七夜の物語(ほぼ日上では幻の第三十八話「ハーレム・ミュージシャン」のイラストもあり)。本の構成では夢日記が後になっているけれど、先ずはこちらを読んでから、各々どの話を選択しどう発展させたのかを愉しむ方がよいような気がする。 三人とも元の話を題材に膨らませているけれど、リリー・フランキーが星新一風のショートショートを三つ揃えているのに対して、ナイツ塙は自伝的な二つの話とナイツの漫才を模したネタ、そして朝吹真理子は少しずつ趣の異なる三つの短篇を書き下ろしている。その内、三夜・四夜に相当する話が最も作家の素の個性が出ているようで面白い。どこか「抽斗のなかの海」の一文を読んでいるような気になる。一方で、細野晴臣の夢との親和性が一番高いのはリリー・フランキーのショートショートかも知れない。少しエロティックで少しグロテスク。一応、オチも付いていて完結した感じが高い。それに何となく漱石の第五夜(捕らわれの身の侍が懸想する女の話)、第六夜(木彫の話)、第七夜(西国へ向かう船の話)とも響き合う話に仕立てられている様な……。ナイツ塙の自伝的エッセイ風の二作は「それで思い出したんだけどさあ」というような展開の二作品で、真面目なのかふざけている判然としない味わい。最後のネタは、もうナイツの声で読んでしまうね。 ほぼ日のサイトには「夢を見るにも、才能というものがあるみたいです」と紹介されているけれど、夢をほとんど見ない、あるいは覚えていない自分には正に羨ましい限りの才能。細野晴臣という天才の内側をほんの少し垣間見たような気分になれる本。 Posted by ブクログ きことわ(新潮文庫) 朝吹真理子 少女時代に仲の良かった貴子と永久子とが再開する120ページくらいのお話。しっとりした筆致にうっとりする。 Posted by ブクログ きことわ(新潮文庫) 朝吹真理子 朝吹真理子さんの言葉を読んだのは確か「羽生善治 / 戦う頭脳」で羽生善治×朝吹真理子両氏の対談でした。これは朝吹真理子さんの文章ではなく対談なので、多少修正していようとも基本は口述だったはずなのですが、読めば分かると思いますが「この人は何者だ?」と思う程会話自体が美しい。丁寧な言葉を喋る人だとかそう...続きを読むいう次元じゃない。なんだか羽生名人が朝吹真理子さんという文学作品の登場人物と対談しているような現実離れした美しい話し方で、それに惹かれて代表作だと言われる芥川龍之介賞受賞の本作を読みました。 起承転結がどういうことではなく、流れている文章自体が美しい、それ自体を楽しむような美しい小説でした(地の文には一体合計何回改行を入れてるんだろう?と思う程に少ない。Kevin SaundersonがKraftwerkのMan-Machineアルバムを聴いた時に「Kraftwerkにはシンバルがない」と言ったものに近い感動を感じた。強引につなげてますが本当にそう感じた)。文章に対する装飾がほとんど皆無で、ず〜っと上質なAmbientとかを読まされている気分。ポワポワ。 重度の睡眠障害者は夢と現実の区別がつかなくなった経験があると思う。これに不安障害が繋がると現実が現実を超えてしまうことがあり、これが本当にきつい。本書は夢と現実の垣根を超える小説ですが、あの夢と現実の超越が本書ほど美しければよかったのにとか、少なくともそうなるようにイメージして睡眠障害を迎えられたのではないかと思うと時期的に少し惜しい思い。 美しい小説だ。 Posted by ブクログ 朝吹真理子のレビューをもっと見る