朝吹真理子のレビュー一覧
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きました、The芥川賞作品。二人の女性が再会することで生まれるコミュニケーションと気持ちの移り変わりという言い表すのが難しい感情を汲み取る表現はまさに芥川賞。ドップリとハマれる作品は休みの日には嬉しく仕事の日は避けたい。気持ち持っていかれるから。Posted by ブクログ
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多分「楽しむ」よりも「感じる」小説なのかもしれない。
貴子(きこ)と永遠子(とわこ)が葉山の別荘で同じ時を過ごし、別荘の解体に伴い25年後に再会する。簡単に言えばそんな話。
冒頭の「永遠子は夢をみる。貴子は夢をみない」という一文があるのですが、最後まで読み、これは貴子の夢だったのでは?とも思いました...続きを読むPosted by ブクログ -
朝吹真理子さんの言葉を読んだのは確か「羽生善治 / 戦う頭脳」で羽生善治×朝吹真理子両氏の対談でした。これは朝吹真理子さんの文章ではなく対談なので、多少修正していようとも基本は口述だったはずなのですが、読めば分かると思いますが「この人は何者だ?」と思う程会話自体が美しい。丁寧な言葉を喋る人だとかそう...続きを読むPosted by ブクログ
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過去と現実が厳密に切り離されることなく、夢の話かと思いきや、昔の自分に思考が飛んで行ってたり、ふわふわたゆたいながら、大枠としては25年ぶりの邂逅が描かれる。これを読みながら、”あ、ひょっとして『仮往生~』で描かれていたのって、こういうことだったのかも”って、ちょっとかの作品に近づけた気がしたりもし...続きを読むPosted by ブクログ
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雑誌かどこかで紹介されているのをみて、ふと、読んでみようと思った本。装丁が綺麗で。
最初、アミが男じゃなくて女の性別で、女性同士の結婚?と思って読み進めていたけど、アミはちゃんと性別が男だったと知って、あ、そうか、とそういう体で読んでいけた。
途中、アミとうみの息子のアオからの目線のお話に変わるけれ...続きを読むPosted by ブクログ -
この方の作品のファンになってしまいました。
独特な文学的な文体で、現実なのか夢なのか、ひらがなもあえて多くしてるんだと思うんどけど、また違った懐かしい描写に成功している。とにかく描写が懐かしいというか、なんとも芸術的な気分にさせる。
今月表参道の山陽堂書店でで個展もやってるらしいので行きたいとお思い...続きを読むPosted by ブクログ -
僕にはとても読みづらい作品で、125ページの中編で読むのに6日間もかかった。もちろん時間の合計ではなく、かかる期間のことだ。
知らない言葉だらけで、調べたら源氏物語で使用されたとか、とにかく通常に使う言葉の代わりに普段使われない言葉に置き換えて使用されている。
教養の高さは感心するが、読む側のレベル...続きを読むPosted by ブクログ -
2011年芥川賞受賞作品。現在と過去、現実と記憶がないまぜになって「いま・ここ」の自己が希薄化し、二人の女性の身体は境界線を失って混濁する。他者は異物として対置されず、それどころか自己の一部となる。女性性を際立たせるための男性の介在はもはや必要なく、男性の主要人物たちはアブストラクトな背景と化す。同...続きを読むPosted by ブクログ
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記憶のあいまいさ。
過去の積み重ねが今であるなら、
今ある自分のいかにあいまいなことか。
人から教えてもらって、好きになった
アーティストのポスターが
急に目に付くように感じる。
人間は、脳のキャパの問題から、
目に入る情報のほとんどを
切り捨てている。
同じ道、同じ時間を共有してるはずなのに...続きを読むPosted by ブクログ -
千と千尋の神隠しのような、
日本古来の時間の流れかたを感じた。
効率化、時短、資本主義そんな現代を生きるためのワードをちょっと横において読みたい一冊。
時の流れはいつも取り止めもなく掴めないけれど、この本の中に少しだけ閉じ込めてくれている気がした。Posted by ブクログ -
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【読書の時間】
とりたてて、特別なことが起こるわけではないけれど、心が動く。
子供の頃の時間を共有しつつも、突然縁が途切れ25年間会うことのなかった2人が、別荘の取り壊しを機に再開する。
すごく、淡々としているんだよね。
でも何故か胸がギューーーっとなる。
なんでかな。。...続きを読むPosted by ブクログ -
良かった。何がどう良かったのかが私には上手く言えないけど。こういう小説って探すの難しい気がするから出会えたことがまず嬉しい。
その「こういう小説」って、誰にでも書けるものじゃないと思うんよねえ。だから凄いなと思う。最初から最後までちらつかせ続けるキーワード(夢とか2人の髪とか)とか、何かこう上手いっ...続きを読むPosted by ブクログ -
さまざまな事物の表現と漢字のひらきかたとそれらを滞りなく配した文芸(文章芸)らしい文章
小説としての主題選定もそれを邪魔しないてきとうな塩梅だが
同じような「文芸」でも『乳と卵』のほうがより噛み合っている印象Posted by ブクログ