朝吹真理子のレビュー一覧
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時間と年月と世界と、夢と記憶と現実と、自分と周りの人と世代と、すべてが絡まり合って溶け合って一つの認識となり、ただ古代から時間は流れる・・という感じの静謐な世界。Posted by ブクログ
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綴られる文章が、薄い膜のように一枚一枚静かに重なり合って物語が進んでいく。目で文字を追いながら、肌で読む。そんな質感のある印象を抱いた。起承転結のある小説と言うよりは、ただひたすら五感で感じとるアートの領域。こういう作品も素敵。Posted by ブクログ
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144回(2010年下半期)芥川賞受賞作
純文学ってこういう作品のことをいうのかな
絵画のような文学
泉鏡花を読んだ時
光がきらきらと輝いている
風景が脳裏に浮かんだ
ゆめとうつつ
現在と過去
あなたとわたし
の境界線が消失していて
でもその境界線を探さなくてもよくて
ただ描写を味わいながら読...続きを読むPosted by ブクログ -
第144回芥川賞受賞作
夢と現、過去と現在を混在させた曖昧な世界を調和させる表現力がすごい。子どもの頃の不確かな淡い記憶や微睡むような感覚。誰しも感じたことがあるけど、言葉にできない塵芥が物語になっている。
末尾の町田康さんによる解説が秀逸。Posted by ブクログ -
「永久子は夢を見る。貴子は夢を見ない」という出出しが凄く魅力的で、その後の展開に大きな布石と仕掛けがなされていたのが素晴らしいと感じました。
記憶というあまりにも不確かなものを、ひととき共に過ごした二人の女性が共有し合う様子をそばで見させて貰った様な感覚を持ちました。
初めは永久子側が夢と現実の境界...続きを読むPosted by ブクログ -
2010年度第144回芥川賞受賞作。
別荘で出会った二人の少女が25年後に別荘の解体をきっかけに再会する。二人のかみ合うようなかみ合わないような記憶とこの25年の間に起きた出来事、夢と現実の狭間を通して二人の心は再び通い合っていく。そんな姿を描いた作品。
現実的な作品とは違うため、そうした作品...続きを読むPosted by ブクログ -
綺麗な作品だなと思った。幼い頃の夏、限られた日数を共に過ごした永遠子と貴子の二人が、その夏の思い出の残る家を解体することをきっかけに再会するという大きなストーリーの中で、それぞれの今と記憶の中の心情や会話が織り重なって、まさに人が記憶を呼び起こす時の思考のちぐはぐさ、過去の感情と今の心の声が重なるよ...続きを読むPosted by ブクログ
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貴子と永遠子。二人は7歳違い。25年前に葉山の別荘で同じ時を過ごした。それから25年、再開した。柔らかい文章で不思議な感覚になる。あれは夢だったのか現実だったのか錯綜する。懐かしく切ない子供の頃の話に胸がキュンとなった。Posted by ブクログ
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さらさらした文章
朝吹真理子さんの本を読むのは初めて。松濤美術館の同じ企画展を同じ日に見ていたり、わたしが根津美術館に行った日に、朝吹真理子さんが日経の日曜版に根津美術館周辺エリアに関するエッセイを書いていたり、何かと縁があるように思えて気になっていた。
場所と記憶の関係について、わたしも幼い時...続きを読むPosted by ブクログ -
芥川賞作品ということで手に取る。大学在学中の作品のようで20代でこのような文章を綴れる語彙力と描写力にこの方がまだ短い人生の中で一体どれだけの本を読んだのだろうと感嘆していました。幼い頃毎夏葉山の別荘で過ごした「きことわ」のそれぞれの記憶が25年を経て同じ別荘で鮮明によみがえる様がこれでもかと綴られ...続きを読むPosted by ブクログ
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読書開始日:5月1日
読書終了日:5月2日
所感
難しかった。
全体通してずっと貴子、永遠子の夢の中にいるようだった。
安定しない。
綺麗な表現と難しい漢字もあいまり、常に朝靄がかかっているような感じだった。
解説が欲しい。Posted by ブクログ -
曖昧の美学か。過去のことは美化する。
親しい人が亡くなったら引越すのか。
夢の中の記憶と過去の記憶が交差して今が動き出す。なにも起きない日常。Posted by ブクログ