朝吹真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4,5年前の芥川賞作品です。
著者は若くてきれいで話題になりましたよね。
さて、
表層的には、言葉遣いの趣味がいい文学作品という印象。
知らない言葉や、頭の奥に眠っていて
これを読むことでそこから起こされた言葉などが多くありました。
よくそんなに言葉を知っているなぁと感嘆しました。
さらに、そういった言葉を使うことで、
うまく言い得ているために、表現の奥行きが深まっています。
難しい言葉には難しい言葉なりに、
こめられた意味の深さがあるもんなんですねぇ。
内容に関しては、
他愛なく、おしなべて言えば、平板なのですが、
一様ではないんですよね。
品がよくて、驚きの無い小さな万華鏡みたいな変わ -
Posted by ブクログ
「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
Posted by ブクログ
身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
Posted by ブクログ
第144回芥川賞
著者、朝吹さんの経歴と家系に恐れおののきながら読む(福沢諭吉と遠縁で父親実業家の母親名翻訳家てどゆことなの)
現実と夢が交差しながら進む物語
人の夢の話って、本当に興味ないじゃないですか
でも(恐らく)ものすごい文章力で紡がれているのでむしろ、文字から自分の経験へと回帰しながら物語を読むことができてしまう
これ、多分芥川賞の中でもそうとう上位の作品なのでないでしょうか
別荘とかそういうアイテム1つ1つに著者の幼少期の体験が少なからず混ざっており、それを小説として昇華させている
大変高度で嫌味を感じるわけでもなく(そこが僕は1番すごいと感じた)文章量の割に読書時間がかかりま -
Posted by ブクログ
どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうした
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Posted by ブクログ
高橋源一郎さんのラジオで紹介されているのを聞いて読んでみた。
同じ状況でも「気づいてしまう人」と「気づかずスルーする人」がいると思うが、
「女であること」で少なからず嫌な思いをした経験は誰にでもあると思う。
痴漢について、本筋からはずれるかもしれないが、これだけ多くの女性が被害に遭ってる、ということはそれだけ痴漢をやったヤツがたくさんいる、ということよね?
もしかしたらそこにいる善良そうなおぢさん、爽やかそうなお兄さん、しょぼくれたおじいさんだって!
それでもみんな知らんぷりして普通の生活をしているんだろう、と思うとものすごく腹立たしい。
またまた話がズレるが最近読んだ大谷晶さんが自分をすごく -
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Posted by ブクログ
西加奈子さん、村田紗耶香さん、千早茜さん、、他にも豪華な方々のお名前が、、
もうこれ買うしかないやんと思って購入して即読みました。
それぞれの女性作家さんたちがご自身の身体をテーマにリレー形式でエッセイをつづられていて、どのエッセイもすごく赤裸々に描かれていて同じ女性として共感するところもあれば、驚かされることもあり、、それこそ、読んでからは「私の身体は私のもの」を強く感じた。
それぞれの身体に色々な経験や傷が合ったり、コンプレックスが合ったり。
それでも一つしかない自分の身体。
こんな私でももっと堂々と生きていていいんだと思わせてくれる作品でした。 -
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Posted by ブクログ
思ってたんと違った‥
というのがまず第一印象。
タイトルから「生」の話だと思っていた。
それぞれ病気や障害、特性などを抱えながら「私の身体を生きる」というような内容だと思っていたし、そういう内容が読みたかった。
‥それはそれとして、読み進めると
こんなに明け透けに自分の体験や性被害や性癖や生き方を世間に曝け出して大丈夫なのか?と心配になるような内容が多くて驚いた。
そして、みんな色々な事を抱え、考え生きているんだな‥と改めて考えさせられた。
普通に見えるあの人も、幸せそうだと感じるあの人も本当は色々な事情を抱えているのかもしれないと。
「性」に対する考え方・感じ方・捉え方も本当に様々で -
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Posted by ブクログ
2011年第144回芥川龍之介賞
“きことわ”は、貴子(きこ)と永遠子(とわこ)
の二人の女性の名前から
きこが、小学3年生の8歳
とわが、高一の15歳 まで
二人は葉山の別荘で共に夏を過ごしていた
そして、25年後別荘の解体で久しぶりに再会
ふたりの思い出、記憶違いを会っていなかった時間を埋めるように文章が流れていく
目は文字を文章を追っているのに
自分の幼児期の記憶が溢れてくる
しかも私は嫌な方の思い出ばかり
きことわは決してそんな流れではないので
私の心情がそんな状態だったのだと思うのです
偶然にも最近友人と年甲斐もなく 8歳くらいの時の家庭の思い出を愚痴りあったからかもしれない