無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
歌人の穂村弘さんと俳人の堀本裕樹さんが、50人の出題者からお題を頂戴して、短歌と俳句の五十番勝負をします。
50人の出題者は著名人から一般の12歳の少女まで。
歌や句を説明する文章だけでも、ショートエッセイのようで面白かったです。
読みながら好きな短歌と俳句のセットになっているもののみに付箋を貼っていったら、あとがき対談という穂村さんと堀本さんの対談で、お二人がお互いにお好きだというお互いの短歌と俳句のセットには、私も付箋を貼っていたところが多く、嬉しく思いました。
ーーーーーー
お題 カルピス
出題者 高橋久美子・作詞家・作家・32歳・女性
<虫籠にみっしりセミを詰めこんでカルピス凍らせた夏休み> 穂村弘
<カルピスの氷ぴしぴし鳴り夕立> 堀本裕樹
お題 黒
出題者 千田朝子・小学生・12歳・女性
<水泳の後の授業の光のなかに溶ける文字たち> 穂村弘
<点描の黒猫の眼の夜寒かな> 堀本裕樹
お題 ロール
出題者 寺島さやか・「本屋B&B」店長・30歳・女性
<青空にエンドロールが流れだす蝉が鳴いているだけだった夏> 穂村弘
<つやつやのバターロールや秋の湖> 堀本裕樹
お題 うらはら
出題者 五戸真理枝・「文学座」劇作・演出・36歳・女性
<カラスカラスその賢さとうらはらに愛されなくて目を光らせる> 穂村弘
<花桐や夕ごころとはうらはらの> 堀本裕樹
お題 共謀者
出題者 藤田直哉・文芸評論家・34歳・男性
<友だちがひとりもいない僕の目の中に煌く共謀者よ>
穂村弘
<喰らい合ふ夜食共謀罪めけり> 堀本裕樹
※煌くは漢字変換が、私のPCではできず違う字を当てました。
Posted by ブクログ
穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸らとともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌界を代表する歌人の一人。歌誌「かばん」所属。エッセイスト、絵本の翻訳家等としても活動している。
堀本裕樹(1974年~)氏は、和歌山市生まれ、國學院大学法学部卒、出版社勤務、コピーライターを経て、角川春樹が主宰する俳句結社「河」に参加し、結社賞の各賞を受賞。3年間編集長を務めた後、2010年に独立。俳句結社「蒼海俳句会」を主宰。創作のほか、句会やイベントを行うなど、老若男女幅広い層へ俳句の楽しさを広げる活動を行っている。
本書は、作家、タレント、写真家、整体師、牧師、料理店主、幼稚園教諭、大学生、小学生ほか、50人が選んだお題で、穂村氏と堀本氏が一作品ずつを作り、それぞれの歌と句を読み解くショートエッセイを加えたものである。初出は新潮社の文化雑誌「波」の2013~17年の連載で、2018年に出版、2022年に文庫化された。
私は、数年前に短歌に興味を持ちはじめ、穂村氏ほかの現代歌人の歌集を読むとともに、ときどき新聞歌壇に投稿している。従って、本書についても、基本的に短歌に対する関心から手に取ったが、同時に、短歌よりはるかに字数の少ない俳句で、どのように情景や思いを表現するのかにも大いに興味があった。
そして、一読してみて、随分違うものだ、というのが率直な感想である。
短歌は短いとはいえ、31文字あるので、情景や思いがなんとか説明できるのに対して、俳句の17文字ではそれはほぼ不可能である(尤も、短歌作りにおいても、「お話しするな」、「説明するな」というのが鉄則なのだが。。。)。そういう意味では、俳句においては、作り手も読み手も、想像力の優劣が大きな影響を与えると感じた。
また、短歌の世界では、俵万智や穂村弘らの世代が、それまでの近代短歌とは異なる、現代・口語短歌を作り、広げたが、この変革は短歌だからできたのであって、17文字かつ季語が必須という俳句では難しかったのかもしれない(俳句の世界でも、現代俳句のようなものがあるのか、私は寡聞にして知らないが)。近年若者の間で短歌がブーム化していると言われているが、短歌というものに対し、作り手にとっても読み手にとっても、ハードルが低くなったためであることは間違いないだろう。
(2024年6月了)
Posted by ブクログ
様々な年代・職業の方々50人からお題をいただき、穂村さんが短歌で、堀本さんが俳句で、それに答えてゆく。
それぞれの短歌と俳句にはエッセイも添えられているという楽しい企画。
なんだけど、実はあまり面白くなかった。
どうしてなのかは自分でもよく分からない。
堀本さんの文章の中に「この2015年の…」とある。
そうか、この作品たちは大体十年前のものなのだね。
このところ益々熱を帯びてきている短歌界隈、流行り廃りの流れもあるだろうし、十年前の作品たちを、どこか古く感じてしまったのだろうか。
出されたお題に対しての歌や句に、あまりぶっ飛んだものがなくて正直少し退屈に感じてしまったのもある。
勿論、いいなと思うものはあった。
●穂村弘さん
どろどろのバナナの皮を抱きしめて猿が謀反の夢をみている
青空にエンドロールが流れだす蝉が鳴いてるだけだった夏
やわらかいひかりに頬を照らされて ポカリスエットだけの自販機
火星移民選抜適正検査プログラム「杜子春」及び「犍陀多」
●堀本裕樹さん
炎天の校区飛び出す謀反かな
夕焼に塗り込められてゆくこころ
切り口の楕円うつくし胡瓜漬
ところが私が一番好きだと思ったものは今作のために作られた作品ではなく、エッセイ部分に紹介されていたものだった。
ジャムパンにストロー刺して吸い合った七月は熱い涙のような 穂村弘
これこれ!
こういう短歌好きだ!
この鋭角にぶっ飛んだ感じにキュンとしてしまう。
そして何故か切なさも感じる。
ムチャクチャやった夏も、もう戻ってこないな…みたいな。
そして俳句は堀本さんのものではなく、堀本さんのエッセイで紹介されていた高浜虚子。
先生が瓜盗人でおはせしか 高浜虚子
あの先生が瓜を盗んでいたなんてという驚きと悲しみ。
「おはせしか」という敬語が余計に切なさを呼びながらも、どうしても漂ってくるおかしみ。
お二人のあとがき対談もついていたけれど、それよりも良かったのは壇蜜さんによる解説。
壇蜜さんの文章、結構好き。
面白かった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。