集英社文庫作品一覧

  • チンギス紀 一 火眼
    続巻入荷
    4.2
    12世紀、テムジン(のちのチンギス・カン)は、草原に暮らすモンゴル族のキャト氏に生まれた。10歳のとき、モンゴル族を束ねるはずだった父イェスゲイが、タタル族に殺害されてしまう。テムジンのキャト氏は衰退し、同じモンゴル族のタイチウト氏のタルグダイとトドエン・ギルテが台頭、テムジンたちに敵対し始める。危機的な状況のもとで、テムジンは、ある事情から異母弟ベクテルを討ったのち、独りいったん南へと向かった……。草原の遊牧民として生まれ、のちに世界を震撼させることになる男は、はじめに何を見たのか? 人類史を一変させた男の激動の生涯、そこに関わった人間たちの物語を描く新シリーズ、待望の第一巻!
  • リバー 上
    4.8
    1~2巻858~913円 (税込)
    群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見された。十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口に、街は騒然となる。同一犯か? 模倣犯か? かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。事件を取り巻く人々の思惑が交錯するなか、十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか――。人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
  • 水滸伝 一 曙光の章
    4.3
    十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた――。世直しへの強い志を胸に、漢(おとこ)たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の電子書籍版配信開始。
  • N

    3.7
    「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。全六章を読む順番で、世界が変わる。あなた自身がつくる720通りの物語。すべての始まりは何だったのか? 結末はいったいどこにあるのか?――道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える!
  • 白夜行
    4.5
    1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。
  • 下町やぶさか診療所
    3.9
    1~5巻715~913円 (税込)
    東京浅草。診療所の医師・真野麟太郎は、大先生と呼ばれ近所の人々に慕われている。ある日、手首を切った女子高生・麻世が治療にやってくる。麻世の心の傷を知った麟太郎は、一緒に暮らすことを提案。麻世は、家事をすることを条件に同居人になるが…。虐待、認知症、癌など、診療所に持ち込まれる病気や患者の問題に、真摯に向き合う医師と型破りな女子高生が織りなす切なくて温かい下町物語。
  • ボーダーズ
    3.9
    1~4巻913~1,067円 (税込)
    東京新橋で銀行立て籠り事件が発生した。男性客が刺殺された後、犯人は逮捕されたが、被害者は40年前に成田闘争のデモで機動隊員を殺して手配され、公安に追われた男だった。その捜査に警視庁特殊事件対策班(SCU)が動きだす。SCUは犯罪が多様化する中、あらゆる事件の現場に介入できることを許された警視総監直轄の組織でチームは5人。公安出身のキャップ・結城から被害者の藤岡を調べるよう指示された八神は、犯人、被害者、公安が複雑に絡む事件の真相に、特殊能力を個々に持つメンバーの協力を得て挑む。才能豊かな刑事チームを描く警察小説!
  • 存在の耐えられない軽さ
    4.2
    舞台は東西冷戦下のチェコスロバキア。「プラハの春」と呼ばれる1968年に実現した束の間自由主義体制とその後のソビエト連邦の侵攻、「正常化」という名の大弾圧という歴史的な政治状況下で、苦悩する恋人たち。不思議な三角関係など、四人の男女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。チェコ出身の作家ミラン・クンデラの代表作にして世界的ベストセラー。原著は1985年に刊行され、1988年にフィリップ・カウフマン監督、主人公トマシュにダニエル・デイ=ルイス、テレーザにジュリエット・ビノシュを起用して映画化されたことでも広く知られている。
  • ガダラの豚 1
    4.0
    1~3巻440~550円 (税込)
    アフリカの呪術医研究の第一人者、大生部多一郎は、テレビの人気タレント教授。超能力ブームで彼の著者「呪術パワーで殺す!」はベストセラーになった。しかし、妻の逸美は8年前の娘・志織のアフリカでの気球事故での死以来、神経を病んでいた。そして奇跡が売り物の新興宗教にのめりこんでしまった。逸美の奪還をすべく、大生部は奇術師ミラクルと組んで動き出す。
  • 【合本版】岳飛伝(全17冊)
    -
    1巻10,472円 (税込)
    負けたのだ。「替天行道」と「盡忠報国」というふたつの志の激突だった。半年前の梁山泊戦。瀕死の状態の楊令に右腕を切り飛ばされた岳飛は、その敗戦から立ち直れずにいた。頭領を失った梁山泊は洪水のために全てが壊滅状態にあった。一方、金国では粘罕が病死した後、軍を掌握したのは兀朮。そして青蓮寺が力を失った南宋も混沌とした状態だった。十二世紀中国で、熱き血潮が滾る。激動の中華の地で、国とは何かを問い、民を救うために崇高な志を掲げ、命を賭した漢たちの生き様を余すところなく描き切った中国歴史巨編大水滸伝シリーズ、遂に完結! 全17冊を収録した電子合本版。
  • 【合本版】楊令伝(全15冊+1)
    -
    梁山泊炎上から三年――。宋との戦に敗れた漢たちは各地に潜伏し、再起の秋を待ち続けていた。燕青は、梁山湖に沈められていた軍資金の銀を引き上げる。呼延灼、張青、史進は各地で流浪の軍を組織していた。青蓮寺による残党狩りが熾烈を極めるなか、梁山泊軍には「替天行道」の旗を託された男、青面獣・楊令の帰還が待ち望まれていた。漢たちの熱き志を刻む「北方水滸」の続編。全15冊に『吹毛剣 楊令伝読本』を追加した電子合本版!
  • 【合本版】ガダラの豚
    5.0
    【日本推理作家協会賞受賞作】アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアルコール中毒に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。
  • お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課
    4.0
    1~7巻528~671円 (税込)
    入社式当日に会社が倒産し、路頭に迷った朝霧夕霞。失意の中立ち寄った公園の掲示板で、国土交通省の臨時職員募集の貼紙を見つけ、藁をも掴む気持ちで応募する。不可思議な試験を経て採用が決まったが、そこは「幽冥推進課」。国土開発の妨げになる地縛霊などを立ち退かせる不思議な部署で、同僚は全員妖怪。しかし好待遇に心惹かれた夕霞は、働くことを決意し……。あやかしお仕事小説、開幕!
  • 逆ソクラテス
    4.3
    逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える(逆ソクラテス)。足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが(スロウではない)。最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも(アンスポーツマンライク)。など短編全5編の主人公はすべて小学生。デビュー20年目の新境地ともいえる本作は、伊坂幸太郎史上、最高の読後感! 2021年本屋大賞第4位。柴田錬三郎賞受賞作品。
  • 暗夜鬼譚 春宵白梅花
    3.4
    都に上京し近衛府に勤め始めた夏樹は、ある夜、宿直中に出会った美貌の陰陽師見習い一条と共に馬頭鬼を目撃した。その後、宮中で女房(侍従の君)が喉を裂かれて殺害され、さらに夏樹の前にミイラのような赤子の物の怪が現れる。夏樹は一条を頼り、共に怪異の調査に乗り出すと、やがて二人の間に絆が生まれ・・・・・・。平安建都から百五十年あまり、貴族文化が花開かんとしているころ。少年武官と陰陽師見習いが、宮中の怪異に挑む! 人気シリーズ『ばけもの好む中将』の原点、瀬川貴次の名作平安怪異譚「暗夜鬼譚」シリーズの第一弾!
  • もものかんづめ
    4.0
    「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!! 著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。
  • 栞と嘘の季節
    4.0
    高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか・・・・・・。「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編! 直木賞受賞第一作。
  • 本と鍵の季節
    4.1
    堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!
  • 文庫版 書楼弔堂 破曉
    4.2
    1~2巻1,001円 (税込)
    明治二十年代の半ば。雑木林と荒れ地ばかりの東京の外れで日々無為に過ごしていた高遠は、異様な書舗と巡りあう。本は墓のようなものだという主人が営む店の名は、書楼弔堂。古今東西の書物が集められたその店を、最後の浮世絵師月岡芳年や書生時代の泉鏡花など、迷える者たちが己のための一冊を求め〈探書〉に訪れる。変わりゆく時代の相克の中で本と人の繋がりを編み直す新シリーズ、第一弾!
  • 楊令伝 一 玄旗の章
    4.1
    梁山泊陥落から三年。「替天行道」の旗を胸に秘めた同志たちは全土に散って、再起の秋を待っていた。史進、呼延灼、張清は叛徒として局地戦を続け、李俊は太湖の周りに船団を組織して威をはっていた。燕青率いる闇塩の道、戴宗率いる通信の網はいまだ健在。加えて、呉用は梁山泊の底から、軍資金となる銀塊をひきあげさせた。いっぽう、官の闇の組織、青蓮寺の梁山泊の残党狩りは熾烈を極めた。しかし、ついに、元梁山泊勢の希望の星、青面獣・楊志の遺児、楊令が、帰還した。
  • 2.43清陰高校男子バレー部 1
    4.1
    1~6巻528~649円 (税込)
    東京の強豪中学バレー部でトラブルを起こした灰島公誓は、母方の郷里・福井に転居し、幼なじみの黒羽祐仁と再会する。ほとんど活動も行われていないバレー部で、一人黙々と練習を始める灰島だが……。ずばぬけた身体能力を持つがヘタレな黒羽と、圧倒的な情熱と才能ゆえに周囲との軋轢を引き起こす問題児・灰島を中心に、田舎の弱小バレー部の闘いが始まる! 純粋で真っ直ぐな青春小説、誕生。
  • ハヤブサ消防団
    3.9
    東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る――。連続放火事件に隠された真実とは? 池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼び、テレビドラマ化もされた珠玉のミステリ。第36回柴田錬三郎賞受賞作!
  • 晴明☆暗夜之鬼譚
    NEW
    3.0
    陰陽道の名門・賀茂家の跡取りに生まれた吉祥丸は、将来の進路に悩み、反抗期真っ盛りの十五歳。見かねた父から、都随一の陰陽師と噂される・安倍晴明への弟子入りをするように言い渡され、実家を追われる羽目に。その呪力と三十路とは思えぬ美貌を持つ晴明。訪ねた屋敷で、霊を赤鬼に化かす秘術を目の当たりにした吉祥丸は、すっかり心を鷲掴みにされ――。かくして、怠惰で偏屈だが類まれなる能力をもつ師匠のもと、陰陽道の真髄を学ぶ吉祥丸の波乱に満ちた修行生活が幕を開ける。「暗夜奇譚」シリーズの十数年後を舞台にした、新シリーズ第一弾の連作短編!
  • 塞王の楯 下
    4.5
    太閤秀吉が病没した。押し寄せる大乱の気配。塞王・飛田源斎は、最後の仕事だと言い残し、激しい攻城戦が予想される伏見城へと発った。代わって、穴太衆・飛田屋の頭となった飛田匡介は、京極高次から琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。立ちはだかるは、国友彦九郎率いる国友衆と最新の鉄砲。関ヶ原前夜の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける! 「最強の楯」と「至高の矛」――激突する二つの魂。その闘いの行き着く先は? 第166回直木賞受賞作品、下巻。
  • 塞王の楯 上
    4.3
    時は戦国。炎に包まれた一乗谷で、幼き匡介は家族を喪い、運命の師と出逢う。石垣職人“穴太衆”の頂点に君臨する塞王・飛田源斎。彼のように鉄壁の石垣を造れたら、いつか世の戦は途絶える。匡介はそう信じて、石工として腕を磨く。一方、鉄砲職人“国友衆”の若き鬼才・国友彦九郎は、誰もが恐れる脅威の鉄砲で戦なき世を目指す。相反する二つの信念の持ち主同士に対決の時が迫る! 「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極のエンタメ戦国小説!! 第166回直木賞受賞作品、上巻。
  • あのこは貴族
    4.2
    東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが20代後半で恋人に振られ、焦ってお見合いを重ねた末にハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。結婚をめぐる女たちの葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。
  • ホテルローヤル
    3.7
    【第149回直木賞受賞作】北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。
  • 百舌の叫ぶ夜(百舌シリーズ)
    4.1
    【第61回毎日芸術賞受賞作】能登半島の突端にある孤狼岬で発見された記憶喪失の男は、妹と名乗る女によって兄の新谷和彦であると確認された。東京新宿では過激派集団による爆弾事件が発生、倉木尚武警部の妻が巻きぞえとなり死亡。そして豊明興業のテロリストと思われる新谷を尾行していた明星美希部長刑事。錯綜した人間関係の中で巻き起こる男たちの宿命の対決。その背後に隠された恐るべき陰謀。迫真のサスペンス長編小説。
  • 天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道
    4.2
    夜更けの留置場に現れた、その不思議な老人は六尺四方にしか聞こえないという夜盗の声音(こわね)「闇がたり」で、遥かな昔を物語り始めた――。時は大正ロマン華やかなりし頃、帝都に名を馳せた義賊「目細の安吉」一家。盗られて困らぬ天下のお宝だけを狙い、貧しい人々には救いの手をさしのべる。義理と人情に命を賭けた、粋でいなせな怪盗たちの胸のすく大活躍を描く傑作悪漢小説(ピカレスク・ロマン)シリーズ第一弾。
  • 名画の中で働く人々 「仕事」で学ぶ西洋史
    4.3
    「看護師」はひと昔前なら「看護婦」。神話の時代からある仕事とは? 「リケ女」のはしりは命がけ! 知っているようで知らない、仕事のルーツや歴史、時代背景を、「怖い絵」シリーズの中野京子が解説する絵画エッセイ。収録された絵画は中世から現代アメリカまで、全50点。宮廷音楽家、ファッション・デザイナー、女性科学者等、絵画に描かれた職業を鑑賞することで、今まで見えてこなかった西洋史のアナザーストーリーが見えてくる!
  • 谷川俊太郎詩選集 1
    4.3
    1~4巻495~671円 (税込)
    「……私はひとを呼ぶ/すると世界がふり向く/そして私がいなくなる」(『六十二のソネット』所収「62」より)。時代を超えて愛される谷川俊太郎の詩作のすべてから新たに編んだ21世紀初のアンソロジー。第1巻は処女詩集『二十億光年の孤独』『愛について』『日本語のおけいこ』『旅』『ことばあそびうた』など17冊の著作と未刊詩篇より、1950~70年代の代表詩を厳選。
  • 地面師たち
    3.9
    辻本拓海は大物地面師・ハリソン山中と出会い、彼のもとで不動産詐欺を行っていた。メンバーは元司法書士の後藤、土地の情報を集める図面師の竹下、土地所有者の「なりすまし役」を手配する麗子の五人。彼らはハリソンの提案で泉岳寺駅至近にある市場価格100億円という広大な土地に狙いをつける。一方、定年が迫った刑事の辰は、かつて逮捕したが不起訴に終わったハリソン山中を独自に追っていた――。次々と明らかになる地面師たちの素顔、未だかつてない綱渡りの取引、難航する辰の捜査。それぞれの思惑が交錯した末に待ちうけていた結末とは? 実在の事件をモチーフに描いた新時代のクライムノベル。
  • ラブカは静かに弓を持つ
    4.3
    少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘樹は、ある日、勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始める。師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り・・・・・・。第6回未来屋小説大賞、第25回大藪春彦賞受賞、第20回本屋大賞第2位。大反響を巻き起こした、心に響く“スパイ×音楽”長編。文庫版特典スピンオフ短編も収録!
  • カケラ
    3.9
    美容外科医の橘久乃は幼なじみの志保から「やせたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。有羽は高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる固定観念や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリー長編。
  • 朽ちゆく庭
    3.7
    かつてのセレブタウンに引っ越してきた山岸家。中学生の真佐也は、転校前に部活をやめ、以来、学校をサボり、部屋にこもるようになる。けれど、その部屋には小学校からの友人・純二がこっそりと遊びに来ている。心配する母親・裕実子と対照的に、父親・陽一は不在がちであまり関心を示さない。真佐也はある日、家の向かいの公園でうずくまっている少女・あかりを見かける。その少女には怪しげな噂がつきまとっていた。一方、陽一は急に在宅勤務だと言って会社に行かなくなり、裕実子は勤務先の税理士事務所の上司と密会を続けており・・・・・・。壊れゆく家庭を描く“危険”なサスペンス長編。
  • たいのおかしら
    4.2
    虫歯治療用の笑気ガスがもたらした、とんでもない幻想。朝から晩まで台所の床に寝そべり続けて、親を泣かせた中学生時代。はじめて明かされる、たよりなく取り柄もないが憎めない男・父ヒロシの半生…。日常のなかで出会うトホホな出来事や懐かしい思い出がつまった、爆笑エッセイ。ある生理現象について、真摯な議論が交わされる、三谷幸喜さんとの巻末お楽しみ対談つき。
  • 光の帝国 常野物語
    3.8
    1~3巻495~605円 (税込)
    膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから――「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか? 不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。
  • フェイクフィクション
    3.9
    東京・五日市署管内の路上で、男性の首なし死体が発見された。刑事の鵜飼は現場へ急行し、地取り捜査を開始する。死体を司法解剖した結果、死因は頸椎断裂。「斬首」によって殺害されていたことが判明した。一方、プロのキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内にある製餡所で従業員として働いていた。ある日、同じ職場に入ってきた有川美祈に一目惚れするが、美祈が新興宗教「サダイの家」に関係していることを知ってしまい……。警察組織vs悪魔と呼ばれる男vsカルト教団vs元キックボクサー。囚われた“彼女”の奪還。愛する人を失った者たちの復讐劇。疑いなき信仰心に警鐘を鳴らすセンセーショナルな最新長編。
  • 空をこえて七星のかなた
    4.3
    「南の島へ行くぞ」突然のパパの言葉で石垣島へ旅することに。正直言って、あんまり気は進まない。家族旅行といえばママも一緒だったのだ、去年までは――(「南の十字に会いに行く」)。小学四年生の九月のこと、同級生の過失で私の右目は取り返しのつかない怪我を負った。世界はぼやけて頼りない姿に変わり果ててしまった。星降る夜に大事な友達と交わした約束も――(「星は、すばる」)他5編。7つの物語が星座のようにつながる、宇宙を巡る感動のミステリー! 読み終えたら世界が変わる! 〈日常の謎〉の名手が贈る、驚きと爽快な余韻に満ちた一冊。
  • 地図と拳 上
    4.0
    日本からの密偵に通訳として帯同した細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。桃源郷の噂に騙されて移住した孫悟空。地図に描かれた存在しないはずの島を探し、海を渡った須野。日露戦争前夜、満洲の名もなき都市に呼び寄せられた人々は、「燃える土」をめぐり殺戮の半世紀を生きる。広大な白紙の地図を握りしめ、彼らがそこに思い描いた夢とは・・・・・・。第13回山田風太郎賞受賞作。第168回直木三十五賞受賞作。
  • 一心同体だった
    4.3
    体育で誰とペアになるか悩んだ小学校時代。親友への憧れと嫉妬で傷つけ合った中学時代。うちらが最強で最高だった高校時代。女であるが故に、なし崩しに夢を諦めた大学時代。仕事に結婚にコロナに子育てに翻弄される社会人以降の日々・・・・・・1990年から2020年。10歳から40歳。平成30年史を背景に、それぞれの年代を生きる女性たちの友情をバトンのようにロンド形式でつなぐ、かけがえのない“私たち”の物語。共感の声が続々! シスターフッド文学の最高傑作!!
  • アルパートンの天使たち
    4.0
    2003年、ロンドン北西部の廃倉庫で、自分たちは人間の姿をした天使だと信じるカルト教団《アルパートンの天使》信者数人の凄惨な遺体が見つかった。指導者の自称・大天使ガブリエルは逮捕され、現場で保護された17歳の男女と生後まもない乳児のその後は不明・・・・・・。事件から18年、巧妙に隠蔽されてきた不都合な真相を、犯罪ノンフィクション作家の「取材記録」があぶり出す。圧巻のミステリー!
  • 生のみ生のままで 上
    3.8
    1~2巻572円 (税込)
    「私たちは、友達じゃない」25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う――。綿矢りさ堂々の新境地! 第26回島清恋愛文学賞を受賞した鮮烈なる愛の物語。
  • 桜のような僕の恋人
    4.5
    美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は……。桜のように儚く美しい恋の物語。
  • 終わらざる夏 上
    4.1
    1945年、夏。すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。東京の出版社に勤める翻訳書編集者・片岡直哉は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。何も分からぬまま、同じく召集された医師の菊池、歴戦の軍曹・鬼熊と、片岡は北の地へと向かった。――終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作、待望の文庫化。第64回毎日出版文化賞受賞作。
  • 家族じまい
    3.7
    「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。──「認知症になった母が私の名前を忘れたのが書くきっかけとなりました」(著者)。家族という単位と役割を、北海道を舞台に五人の女性の視点から問いかける連作長編。第15回中央公論文芸賞受賞作。
  • さるのこしかけ
    4.3
    ベートーベン「運命」のメロディとともに肛門を襲った強烈な痔を完治させた、驚きのドクダミ療法。台風直撃、さらに食中毒にも直撃された台湾旅行。そして、「ノー・プロブレム」な国民性に振り回された、初めてのインド…。日本中をわかせた、あの爆笑エッセイ第二弾! デビュー前夜の妄想炸裂な日々を熱く語り合う、巻末お楽しみ対談つき。
  • 天皇の料理番 上
    4.0
    1~2巻660~726円 (税込)
    小さいときから強情でいたずらっこだった篤蔵は、福井の大庄屋の次男坊。高等小学校の時、ひょんなことから鯖江連隊の田辺軍曹からご馳走になった〈カツレツ〉の味に仰天。彼の運命が大きく変わることに――。その後、家出同然に東京へ行き、西洋料理の世界に裸一貫で飛び込んでいく。明治生まれの若者が、日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく立身出世の物語。
  • 透明な夜の香り
    4.3
    元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける朔は、どんな香りでも作り出すことができ、それゆえ風変わりな依頼が次々と届けられる。だが、一香は朔の近くにいるうちに、彼が天才的嗅覚を持つがゆえに深い孤独を抱えていることに気づきはじめる……。直木賞作家が紡ぎだす「香り」にまつわるドラマティックな長編小説。第6回渡辺淳一文学賞受賞作。
  • そうだったのか! 中国
    4.4
    急速な経済成長で世界に圧倒的な存在感を見せる中国。一方、日本にとっても中国との二国間関係は重要性の度合いを強めている。隣国でありながら、こと現代史については学ぶ機会の少ない日本の私たち。だが、今こそ知るべきではないだろうか。2005年に上海で起こった「反日」運動を検証しつつ、チベット問題、天安門事件、台湾問題、そして経済格差など、複雑な中国現代史を分かり易く解説する。
  • 吸血鬼と愉快な仲間たち
    4.2
    1~7巻715円 (税込)
    昼間は蝙蝠、夜だけ人間。牙がないから血も吸えない。そんな中途半端な吸血鬼アルは、アメリカで孤独に暮らしていた。が、お腹を空かせて迷い込んだ食肉倉庫で、うっかり冷凍蝙蝠にされてしまう。目が覚めるとそこは……日本!? 真っ裸で警察に捕まったアルは、謎の男・暁に(散々文句を言われつつも)助けられ、一緒に暮らすことになるけれど、この男は口が悪くミステリアスで……。事件に恋に大忙し、 半人前吸血鬼アルの奮闘記! 書き下ろしショートストーリーも収録!!
  • 一瞬でいい
    4.2
    1巻1,122円 (税込)
    軽井沢育ちの稀世と英次、東京から避暑にくる未来子と創介は、高校卒業を控えた11月、浅間山に登る計画を立てる。将来の夢を語り、互いに友情とほのかな恋心を抱く4人だったが、そこに悲劇が起きた。登山中の英次の滑落死。残された3人は18歳にして業を背負い、以後、人生の節目のたび邂逅と別れを重ねる。離職、結婚と出産、絶縁状態の親との再会などを経て、50歳を前に彼らはそれぞれにある選択をする。32年にわたる男女の友情と愛情を描く青春群像大河小説。
  • ひゃくはち
    4.1
    地方への転勤辞令が出た青野雅人は、恋人の佐知子から意外なことを打ち明けられた。付き合い出すずっと前、高校生のときに二人は出会っていたという。彼は、甲子園の常連・京浜高校の補欠野球部員だった。記憶を辿るうち――野球漬けの毎日、試合の数々、楽しかった日々、いくつかの合コン、ある事件、そして訣別。封印したはずの過去が甦る。青春スポーツ小説に新風を注いだ渾身のデビュー作。
  • 抵抗都市
    3.6
    日露戦争に「負けた」日本。終戦から 11 年たった大正 5 年、ロシア統治下の東京で、身元不明の変死体が発見された。警視庁刑事課の特務巡査・新堂は、西神田署の巡査部長・多和田と組んで捜査を開始する。だがその矢先、警視総監直属の高等警察と、ロシア統監府保安課の介入を受ける。どちらも、日本国内における反ロシア活動の情報収集と摘発を任務とする組織だった。やがて二人は知る。ひとつの死体の背後に、国を揺るがすほどの陰謀が潜んでいることを・・・。警察官の矜持を懸けて、男たちが真相を追う! 不動の人気を誇る警察小説の旗手が、魂を込めて描いた圧巻の歴史改変警察小説!
  • 冴子の母娘草
    4.7
    「母娘の闘いは、大変だ。笑えるくらい、愛が噛み合わないことがある」(町田そのこ)――それは北海道に住む母と二人きりで向かった鳥取へのご先祖様墓参ツアーから始まった。二人の旅路はトラブル満載。結婚問題をめぐる数年来の母娘デスマッチのゴングが鳴る。話すほどに事態は混迷。母親がテレビの結婚相談に出演したことを知った娘は憤り、ついに絶縁状をたたきつけ……。自立した社会人として生きたい小説家の娘と、「人並みの女の幸せ」を望む専業主婦の母。恋愛、結婚、離婚、オンナの仕事、友情、そして世間。人生観をめぐる母と娘の衝突と和解の数々を、笑いあり怒りあり涙ありで綴るパワフルエッセイ。待望の復刊!
  • かくも甘き果実
    -
    “ここではないどこか”を求めつづけ世界を放浪し、最後には日本で「明治の文豪・小泉八雲」となった男ラフカディオ・ハーン。彼の人生に深く関わった3人の女性が、胸に秘めた長年の思いを語りだす。生みの母ローザ・アントニア・カシマチは1854年、故郷への帰路の途中アイリッシュ海を渡る船上で、あとに残してきた我が子の未来を思いながら。最初の妻アリシア・フォーリーは、新聞記者の夫との別離を乗り越えたのち、1906年のシンシナティでジャーナリストの取材を受けながら。2番目の妻小泉セツは永遠の別れのあと、1909年の東京で、亡き夫に呼びかけながら。――ジョン・ドス・パソス賞受賞の注目作家が、女性たちの胸の内を繊細かつ鮮やかに描いた話題作。
  • うまれることば、しぬことば
    4.1
    「婚活」を皮切りに始まった◯活ブームと人生模様。「陰キャ」と「根暗」の絶妙な違いから見えてくる時代の変化。ネット用語の「映え」と、紫式部や清少納言も使っていた「映え」の共通点。日本社会において黒船的な役割を果たした「セクハラ」・・・・・・。言葉の生死の現場から見えてくる、日本人の性(さが)とは? 「ことば」にまつわるモヤモヤの原因に迫る、ポリコレ時代の日本語論。古典や近代の日本女性の歩みなどに精通した著者が、言葉の変遷をたどり、その栄枯盛衰をじっくり考察。日本人の意識、社会的背景を掘り下げるエッセイ!
  • 辻番奮闘記 危急
    3.5
    将軍家光は、長引く島原の乱鎮圧のため、老中松平伊豆守に討伐の命を下す。不穏な気配は江戸にも漂い、辻斬りが横行。藩内に和蘭陀商館を持つ平戸藩江戸家老は、幕府の疑念を逸らすため、斎弦ノ丞らを辻番に任命し、江戸の治安を護る忠誠心を見せようとする。だが、弦ノ丞は任務初日に剣戟に遭遇し、政争に巻き込まれていく…。藩の窮地を救うため奮闘する辻番達の活躍!
  • HELLO WORLD
    3.9
    「お前は記録世界の住人だ」本好きで内気な男子高校生、直実は、現れた『未来の自分』ナオミから衝撃の事実を知らされる。世界の記録に刻まれていたのは未来の恋人・瑠璃の存在と、彼女が事故死する運命だった。悲劇の記録を書き換えるため、協力する二人。しかし、未来を変える代償は小さくなかった。世界が転回する衝撃。初めての感動があなたを襲う。新時代の到来を告げる青春恋愛SF小説。
  • 百匹の踊る猫 刑事課・亜坂誠 事件ファイル001
    -
    1~2巻572~638円 (税込)
    5歳の少女が誘拐された。目的は、少女の家族が経営する化学企業が引き起こした水質汚染の告発。新聞社に届いた声明文には汚染事実を報道せよという要求と、符牒として「百匹の踊る猫は告げていた」という一文が記されていた。幼い娘と二人で暮らすK署の若手刑事亜坂は、本庁のベテラン刑事土橋と組み、不可解な事件の真相を追う――日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を拓く、初の警察小説。
  • 帰去来
    4.0
    警視庁捜査一課の“お荷物”志麻由子は、連続殺人犯の捜査中に何者かに首を絞められ気が遠くなる。自分は殺されるのか――。目を開けるとそこは、光和27年のアジア連邦日本共和国・東京市だった。異次元世界(パラレルワールド)に飛ばされ戸惑う由子。そこではエリート警視だという自分に代わり殺人鬼「ナイトハンター」事件を解決し、元の世界に戻れるのか!? かつてないスケールで描かれる超骨太なSF警察小説。
  • 朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女
    3.9
    1~2巻616円 (税込)
    「あなたがあの御方の娘だということは、絶対に誰にも知られてはいけないの。けして見つからないように生きなさい。帝の宮に近づいてはだめ。あそこはとてもおそろしいところだから」――母との約束で、先帝の血を引いていることを隠して暮らしている蛍。伯父の家で下働き同然に扱われていたが、ある日、奥の神に仕える巫女・朱華姫に選ばれる。朱華姫は帝の宮に住み、第二皇子が御召人となって世話をし、護衛するものらしい。冷ややかな美貌の皇子・柊にかしずかれる慣れない生活に戸惑う蛍だが、予想もしない秘密と向き合うことになり……。「後宮の烏」の原点!
  • 帰郷
    4.0
    戦争は、人々の人生をどのように変えてしまったのか。帰るべき家を失くした帰還兵。ニューギニアで高射砲の修理にあたる職工。戦後できた遊園地で働く、父が戦死し、その後母が再婚した息子……。戦争に巻き込まれた市井の人々により語られる戦中、そして戦後。時代が移り変わっても、風化させずに語り継ぐべき反戦のこころ。戦争文学を次の世代へつなぐ記念碑的小説集。第43回大佛次郎賞受賞作。
  • はぐれ鴉
    -
    寛文六年、豊後国・竹田藩で城代一族二十四人殺しという凄惨な事件が起きた。一人逃げ延びた城代の次男・次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き、才次郎と名を変え、叔父で下手人である玉田巧佐衛門がいる竹田の地を十四年ぶりに踏んだ。再会した巧佐衛門は、堤の普請に汗を流す清貧の城代となっていた。憎む仇の意外な姿を知り、竹田小町と評判の巧佐衛門の娘・英里に恋心を抱くようになっていく。恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮え滾る復讐心を支えに必ずや叔父を討つと心に誓うのだが・・・・・・。一家惨殺の謎と竹田藩の秘密とは? 第25回大藪春彦賞受賞。
  • 愚者の階梯
    -
    「勧進帳は不敬である!」昭和十年、東京。満州国皇帝溥儀が来日し、亀鶴興行は奉迎式典で歌舞伎の名作「勧進帳」を上演。無事成功するが、台詞が不敬にあたると国粋主義者が糾弾。脅迫状が殺到した直後、亀鶴興行関係者が舞台装置に首を吊った姿で発見――。江戸歌舞伎狂言作者の末裔、桜木治郎が大いなる謎に挑む、驚嘆の“劇場×時代ミステリー”! あの戦争へ、日本が最後の舵を切った時代を彫刻する渾身作。『壺中の回廊』、渡辺淳一文学賞受賞『芙蓉の干城』に続く、昭和三部作が完結!
  • ネバーランド
    4.2
    舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。
  • 【電子特別版】オーパ!
    4.1
    【オリジナル写真満載!】何かの事情があって野外へ出られない人、海外へいけない人、鳥獣虫魚の話の好きな人、人間や議論に絶望した人、雨の日の釣師……すべて書斎にいるときの私に似た人たちのために。──開高健は本書巻頭にそう書いた。南米の大河アマゾンの釣魚・冒険・文明論ノンフィクション。稀代の文章家の猛烈な表現力で記されたこの伝説の旅は、その驚き(オーパ!)の豊かさ、深さ、面白さで、また、その文明論の射程で、いまだ他の追随を許さない。追うのは巨大魚ピラルクー、肉食魚ピラニア、黄金のドラド、名魚トクナレ……。旅程はアマゾン河口の街・ベレン、冒険の基地・サンタレン、大湿原の入口・クイヤバ、砂漠の人工都市・ブラジリア……。その美、その食、その壮大。心躍る紀行文学の古典がオリジナル写真満載の電子特別版で登場。
  • 灯台からの響き
    4.1
    板橋の商店街で、父の代から続く中華そば屋を営む康平は、一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って、長い間休業していた。ある日、分厚い本の間から、妻宛ての古いはがきを見つける。30年前の日付が記されたはがきには、海辺の地図らしい線画と数行の文章が添えられていた。差出人は大学生の小坂真砂雄。記憶をたどるうちに、当時30歳だった妻が「見知らぬ人からはがきが届いた」と言っていたことを思い出す。なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出る――。市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。
  • 淡雪記
    3.4
    北海道の自然豊かなリゾート地、大沼。義父の別荘で暮らし、写真を勉強している敦史は、森を抜けたところで妖精が倒れているのを見つけた。黒髪に白い肌の美少女、有紀。知的障害のある彼女は、著名な画家の伯父とともに洋館に住んでいた。純粋な美しさに魅かれた敦史は、彼女をモデルとして写真を撮りはじめる。出逢うべくして出逢い、惹かれ合う二人を待ち受けるのは苛酷な運命だった。力作長編。
  • 社長室の冬(メディア三部作)
    3.2
    日本新報の記者・南康祐は、会社にとって不利益な情報を握る危険人物であるとみなされ、編集局から社長室へと異動させられる。その頃、新聞社に未来はないと判断し、外資系企業・AMCへの「身売り」工作を始めていた社長の小寺が急死する。九州に飛ばされていた新里が急遽東京に呼び戻され社長に就任するが、方々から徹底的な反発を受ける。外資との買収劇。不毛な社内抗争。紙かネットか。マスコミの存在意義――。新聞社の身売りを巡り、南が辿り着いた答えとは。
  • 陸王
    4.6
    埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか? 世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足――。従業員20名の地方零細企業が、一世一代の大勝負に打って出る! ドラマ化もされた熱き企業小説の傑作!
  • バッドカンパニー
    3.8
    1~3巻528~869円 (税込)
    経歴不詳の美人社長・野宮が率いる人材派遣会社『NAS』。社員は元警官や元自衛官の屈強な男たち。ヤクザの用心棒、国際テロリストの捕獲、裏カジノに潜入……法律やコンプライアンスなんてどこ吹く風。金さえ積まれれば、どんな汚れ仕事も引き受ける。野宮に弱みを握られている元自衛官の社員・有道は、今日もムチャぶりに耐えながら大暴れ! スリリングなアクション満載の連作短編。
  • 手塚治虫とトキワ荘
    -
    東京都豊島区椎名町にあった木造二階建てのアパート、トキワ荘。1950年代、ここに住んだ手塚治虫の後を追うように、藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが居住したことで、このアパートはマンガ史に残る「聖地」となった。戦後、日本のマンガ雑誌が、月刊誌から週刊誌へと変貌していく過程で、トキワ荘に集ったマンガ家たちがたどった運命、そして、今もトキワ荘が伝説となって語り継がれるのはなぜか。膨大な資料をもとに、手塚治虫とトキワ荘グループの業績を再構築し、日本マンガ史を解読する「群像評伝」!
  • 犬のかたちをしているもの
    3.9
    「子ども、もらってくれませんか?」――彼氏の郁也に呼び出された薫は、その隣に座る見知らぬ女性からそう言われた。薫とセックスレスだった郁也は、大学時代の同級生に金を払ってセックスしていたという。唐突な提案に戸惑う薫だったが、故郷の家族を喜ばせるために子どもをもらおうかと思案して……。昔飼っていた犬を愛していたように、薫は無条件に人を愛せるのか。第43回すばる文学賞受賞作。「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子のデビュー作!
  • 偽装同盟
    4.0
    日露戦争に「負けた」日本。 ロシアの属国と化した地で、男は、警察官の矜持を貫けるのか――日露戦争終結から 12 年たった大正 6 年。敗戦国の日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。3月、警視庁の新堂は連続強盗事件の容疑者を捕らえるが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ……。「もうひとつの大正」を描く、入魂の改変歴史警察小説、第二弾。
  • 乱舞
    4.3
    日本舞踊界の中心的存在として隆盛を迎えた梶川流。将来も安泰に思えたある日、家元猿寿郎が事故死した……。そして家元の血を継ぐ隠し子たちが、未亡人となった秋子の前に現れる。妹の千春や母の寿々までもが跡目を巡り弟子たちと争いを繰り広げるなか、梶川流を守るため、秋子が選んだ道とは――。因襲の世界で懸命に生きる女たちを描いた波瀾万丈の人間ドラマ。『連舞』に続く傑作長編小説。
  • 追想五断章
    3.9
    大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光(すごう よしみつ)は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、と依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。五つの物語に秘められた真実とは? 青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
  • 鈍感力
    3.6
    シャープで、鋭敏なことが優れていると世間では思われているが、本当にそうなのか!? 医師としての経験や作家としての眼差しを通じて、些細なことで揺るがない「鈍さ」こそ、生きていく上で最も大切で、源になる才能だと説き明かす。恋愛関係、夫婦生活、子育て、職場、環境適応能力……。様々な局面で求められる鈍感力とは何か。先行き不透明な現代を生きぬくヒントが満載。ミリオンセラー、待望の電子化。
  • 聖なるズー
    4.4
    犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。大型犬を「僕の妻だよ」と紹介する男性。七匹のねずみと「群れ」となって生活する男性。馬に恋する男性。彼らはときに動物とセックスし、深い愛情を持って生活する。過去に十年間にわたってパートナーから身体的、肉体的DVを受け続けた経験を持つ著者は、愛と性を捉えなおしたいという強い動機から、大学院で動物性愛を研究対象に選び、さらにズーたちと寝食をともにしながら、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か考察を重ね、人間の深淵に迫る。性にタブーはあるのか? 第17回開高健ノンフィクション賞受賞作。
  • 言の葉は、残りて
    4.6
    美しい海沿いの景色と裏腹に陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻く鎌倉幕府。その若き三代将軍・源実朝のもとに、都から摂関家の姫・信子が嫁いできた。突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子は、実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、次第に心をゆるしていく。一方、自分のために鎌倉へ来てくれた妻を生涯大切にしようと誓った実朝は、信子の導きで和歌の魅力を知り、武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、否応なく二人を悲しみの渦に巻き込んでいくのだった……。悲劇の将軍の葛藤と信念、そして運命に翻弄された夫婦の切実な愛を描く歴史恋愛小説。第32回小説すばる新人賞受賞作。
  • 蛮政の秋(メディア三部作)
    3.4
    日本新報記者・南康祐に、大手IT企業が不正献金をしているという政治家リストがメールで届く。真実なら政界を揺るがす大事件だが、送信者に心当たりがない。甲府支局時代に誤報を飛ばし、会社を窮地に陥れた過去がある身として、慎重にならざるを得ない。だが、本社に戻った今、特ダネを物にしたい思いは募り……。一通のメールから政治の闇を炙り出して行く記者が掴んだ真相とは! 傑作事件小説。
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)
    4.1
    笹本弥生という資産家の老女が、高級老人ホームで殺害されているのが見つかった。いつもお金をせびっている孫の犯行なのか? そこに生き別れたもう一人の孫という男が名乗りでる。詐欺事件や弁護士の謎の事故死が、複雑に絡まりはじめ――。関東大震災、東京大空襲を生き延び、焦土の中、女ひとりでヤミ市でのし上がり、冷徹な金貸しとなった弥生の人生の結末とは。骨太ミステリーの傑作長編。
  • アンカー(スクープシリーズ)
    4.0
    視聴率が低迷し始めたTBNの報道番組『ニュースイレブン』。そのテコ入れとして、栃本という男が関西の系列局から異動してきた。一方、これまで幾つものスクープをものにしてきた番組の名物記者・布施は、なぜか十年前に町田で起きた大学生刺殺の未解決事件に関心を寄せていた。この件の継続捜査を、警視庁特命捜査対策室のベテラン刑事・黒田が担当することを知った布施は、いつものように黒田へ接触を図る。テレビ報道の本質とは? 事件の奥に潜む意外な真相とは? 大人気スクープシリーズ第4弾!!
  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
    4.0
    両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか? 滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか? 謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かした第18回開高健ノンフィクション賞受賞作!
  • 密命 無役御家人影次郎
    NEW
    -
    沢田影次郎は、一刀流免許皆伝の若き御家人。父が、上役の不正で小普請組入りさせられ、無役となった。父の病死後五年、同組の八雲たちが人を殺めたが、表立って裁く証拠がないため、影次郎に成敗せよと組頭から命が下る。暗殺すれば、御番入りと言われ・・・・・・。同輩を斬ることに逡巡し、組頭へ不審を感じた影次郎は、飲み仲間の力を借りて真相を探り始める――役目か? 義か? 同輩を斬れば、出世の道が・・・・・・。無役に悩む真っ正直な若き剣豪と温かな飲み仲間たちの江戸人情時代小説。
  • ミーツ・ザ・ワールド
    4.1
    焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く・・・・・・。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は? 死にたいキャバ嬢×推したい腐女子――金原ひとみが描く恋愛の新境地。第35回柴田錬三郎賞受賞作!
  • 令和反逆六法
    NEW
    4.0
    礼和四年、人権ならぬ“命権”擁護の時代。人気の配信猫が、雇用しているボノボを訴えた。ボノボの弁護を引き受けたぼくには、心の奥底に秘めたる欲望が・・・・・・(「動物裁判」)。例和三年、賭け麻雀が合法に。接待麻雀士の塔子は、高官との対局の大一番、思わぬ窮地に立たされて・・・・・・(「接待麻雀士」)。おかしいのは法律? それとも人間? 架空の法律が制定された六つのパラレル・レイワが、現行法と現実世界にサイドキック! この世の歪みを炙り出す!! 痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガルSF短編集。 (『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』改題)
  • 草莽枯れ行く
    3.9
    幕末。黒船が浦賀に現れた頃、上州浪人・相楽総三は天下を憂う志を持って仲間を集う。博徒・清水の次郎長や剣客・土方歳三とも友誼を結ぶ。次第に倒幕に傾倒して、怪物・西郷隆盛率いる薩摩藩に総三は接近して行き、薩摩の闇の左手として活動し、やがて赤報隊として倒幕軍の尖兵となるが! 時代の濁流を生き抜いた若き魂。著者が初めて幕末に舞台を設定した長編小説。
  • 隣はシリアルキラー
    3.6
    ぎりっ、ぎりっ。ぐし、ぐし。ざああああっ――。深夜2時20分、東京都大田区にある工場で働く神足友哉は、今日もアパートの隣室から聞こえてくる、何かを切断しているような不気味な物音で起こされた。ふと、隣人で外国人技能実習生の徐浩然が死体を解体する姿を妄想するが、近所で女性の遺体の一部が発見されたことで、それが現実味を帯びる。気になった神足は、真夜中に部屋から出た徐を尾行すると、想像を絶する恐ろしい展開に……。五感から震え上がるような体験を提供するホラーミステリー。
  • 雨降る森の犬
    4.4
    父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルと自然との触れ合いが、二人の心を少しずつ癒していく。家族の問題を抱えた中学生と高校生が、道夫とワルテルと過ごすなかで自らの生きる方向性を見出していく、心に響く長編小説。
  • 桐島、部活やめるってよ
    3.8
    映画化大ヒット小説! きっかけは、キャプテンの桐島が突然バレー部をやめたことだった。そこから波紋が広がっていく。地方の県立高校のバレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部、野球部――。それぞれの部活で、教室で、グラウンドで、5つの物語がリンクする。彼らがそれぞれ抱える問題は? 桐島はなぜ部活をやめたのか? 第22回小説すばる新人賞受賞作。
  • 災厄の宿
    3.8
    昭和51年、台風直撃の影響で強い雨が降り続く中、弁護士事務所の嘱託調査員の上坂徹郎は、休暇で徳島の人里離れた山深くの旅館を訪れる。だが、散弾銃と爆破物を手にした男が押し入り、籠城事件の人質の一人になってしまう。さらに、警察に包囲された旅館の中で不可解な殺人が起き、川の氾濫や土砂崩れのカウントダウンといった自然の脅威も差し迫る。果たしてこの旅館から脱出することはできるのか? 手に汗握る怒濤の展開で、読み始めると止まらない! 分刻みのノンストップ旅情ミステリー長編!!
  • 梟の一族
    3.9
    1~4巻616~858円 (税込)
    梟の一族――。誰ともなくそう呼びならわされた限界集落で身を隠すように生活している住民たちには秘密があった。彼らは眠らないことに加えて、生まれつき常人離れした身体能力を保有しているのだ。それゆえに歴史の影で大きな役割を果たしてきた。榊史奈は一族の末裔中、唯一の十代として期待を一身に背負いながら平和に暮らしていた。集落が何者かにより襲撃され、一名が死亡し、その他全員が彼女を残して消えてしまうまでは……。敵の目的とは一体何なのか? 単身で逃亡生活に追いやられた史奈は一族の生存を信じて、また己のルーツに関する真実を知るため、戦い続ける。サイエンス×忍者エンターテインメント。
  • フィールダー
    3.8
    総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯が記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて・・・・・・。誰かを「愛でる」行為の本質を暴く傑作長編!
  • 絆 走れ奇跡の子馬
    4.0
    拓馬の家は福島県南相馬の競走馬生産牧場だ。2011年3月11日、東日本大震災の津波で牧場は壊滅。愛馬シロは子馬を産み落とし事切れた。恋人も失った拓馬に唯一残された希望である子馬は「リヤンドノール(北の絆)」と名付けられる。競走馬として成長して迎えた日本ダービー。拓馬の、福島の思いを背負うリヤンは奇跡を起こすのか。伝統の祭、相馬野馬追の地を舞台に描く、人と馬の祈りの物語。
  • クローズアップ(スクープシリーズ)
    4.2
    週刊誌の記者が何者かに殺された。偶然その場に居合わせた報道番組「ニュースイレブン」記者の布施は事件直後の現場撮影に成功、翌日のニュースで映像が流される。一方、継続捜査を受け持つ捜査一課の黒田はある暴力団の組員が殺害された事件を追う中で、記者殺害との奇妙な符合に気付く。しかし、二つの事件を繋ぐカギは踏み込んではならない聖域だった――。大人気“スクープ”シリーズ第3弾。
  • 田中角栄回想録
    4.6
    スローガンは「決断と実行」。戦後の一時代を築き、いまも人々の記憶に残る田中角栄。日中国交回復と日本列島改造論を掲げて政界の頂点に立ち、ロッキード事件を経てからもその影響力を失わなかった。28歳での代議士初当選から法廷闘争の最中、病に倒れるまでに語られた思いや本音を、腹心の秘書であった著者が肉声を交えて紹介。不世出の天才政治家の素顔を浮き彫りにする超一級ノンフィクション。
  • ウィンズテイル・テイルズ 時不知の魔女と刻印の子
    4.2
    突如現れた漆黒のゴーレム〈徘徊者〉による侵略が続くこと百二十年。地球上のあらゆる文明が異界に呑み込まれ、大地の大半は無機質な石英と化していた近未来地球。うなじに特殊な刻印を持つ少年・リンディはこの日、町守見習いとして初めての仕事へ向かう。その眼前に、いきなり巨大徘徊者が――。失われゆく世界の最前線・ウィンズテイルで、人類を救うための最終決戦が始まり、世界を取り戻す鍵は、少年少女に託された! 大迫力のSF×バトルファンタジー!
  • 雨心中
    5.0
    共に八王子の養護施設で育ち、社会に出てからも実の姉弟のように身を寄せ合って同じ家に暮らす周也と芳子。どんな仕事に就いてもすぐに辞めてしまい言い訳ばかりの周也を、芳子はただただ優しく受け入れる。周也を甘やかし、駄目にしてきたのは自分だと芳子はわかっていた。そう、周也がどんな「罪」を犯そうとも……。恋とも家族愛とも似て非なるその関係は、裏社会の人びとも巻き込んで思いもよらない方向に突き進み――。恋愛小説の旗手が、業を背負った男女の繋がりを描く長編小説。なぜ彼女は彼を突き放せないのだろう?
  • 東京バンドワゴン
    4.1
    東京、下町の古本屋「東京バンドワゴン」。この老舗を営む堀田家は、今は珍しき大家族。60歳にして金髪、伝説のロッカー我南人。画家で未婚の母、藍子。年中違う女性が家に押しかける美男子、青。さらにご近所の日本人好きのイギリス人、何かワケありの小学生まで、ひと癖もふた癖もある面々が一つ屋根の下、泣いて笑って朝から晩まで大騒ぎ。日本中が待っていた歴史的ホームドラマの決定版、ここに誕生!!

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