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東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る――。連続放火事件に隠された真実とは? 池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼び、テレビドラマ化もされた珠玉のミステリ。第36回柴田錬三郎賞受賞作!
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Posted by ブクログ
東京を離れ、亡き父の故郷・ハヤブサ地区へ移住したミステリ作家・三馬太郎。地元の消防団に入団し、田舎暮らしに馴染んでいく一方、長閑な集落では不審な火災が相次いでいた――。
田舎の風景や暮らしの描写が素晴らしい。魚釣りやゴルフ、狩猟、地域ならではの食。そんな日常が生き生きと描かれ、いつしか自分までハヤブサ地区の住人になったような錯覚すら覚えた。きっと、移り住んで間もない太郎と同じ目線で、この土地を知り、好きになっていったのだと思う。
そして何より魅力的なのがハヤブサ消防団の面々。地方コミュニティならではのクセはありながら嫌味がなく、みんな自分たちの地域を愛する熱い心の持ち主だ。その思いに触れるうちに、読んでいるこちらまでハヤブサを守りたいという感情が湧き上がってくる。
だからこそ、そんな長閑で温かな土地に不穏な事件が入り込んでくる怖さが際立つ。人と人との距離が近い小さな集落で、誰を信じればいいのか分からなくなっていく感覚。徐々に明らかになる事件の背景、真相に近づいたと思えばまた景色が変わる二転三転の展開。一筋縄ではいかない物語に、最後までハラハラさせられた。
600ページ近いボリュームを感じさせない、手に汗握る面白さ。最後までページをめくる手が止まらなかった。ミステリとしての面白さはもちろん、それ以上にハヤブサという土地と、そこに暮らす人々が好きになった一冊。
読み終えてみれば、太郎と一緒にハヤブサへ移り住み、いつの間にか自分までこの土地を好きになっていたような気がする。続編で再びハヤブサへ戻れるのが楽しみである。
Posted by ブクログ
作家の三馬太郎は東京での生活に疲れ、父親の生家がある中部地方のハヤブサ地区へ移住する。里山のハヤブサ地区では豊かな自然とそれに結びついた生活、古くからの伝統を守り続ける祭りなど、都会の東京では想像できない生活を体験する三馬。ハヤブサ地区の消防団に入団することになり、消防団員メンバーとも打ち解け、豊かな生活を享受する三馬だったが…。
長閑なハヤブサ地区で連続放火事件が発生。消防団員としてそのいくつかの現場に居合わせた三馬は、その放火犯の背後に、カルト教団の存在に行き当たる。なぜカルト教団がハヤブサ地区に目を付けたのか。そこには連綿と続く、祖先からの濃密な人間関係が関与していた…。
池井戸潤と言えば、半沢直樹など都会の大企業が舞台の小説というイメージですが、本書は田舎が舞台です。ミステリーの展開はこれまでの著者の著作と同じく、幾重にも絡む人間関係から読者もいつのまにか著者の作り出す世界に翻弄され、次の展開が待ち遠しいような気持ちで読み通せます。
本書のもう一つ魅力は、中部地方の山村の豊かな生活の描写です。小説内では春に移住してきた三馬が、次の春に至るまでの1年間を描いています。桜や新緑の季節、伝統的な祭礼、マムシやハチの子、イノシシを食べる習慣、美しい渓流などおそらく実在する中部地方の山村の生活に、都会育ちの三馬が驚きを感じながら馴染んでゆく様子が、都会に住む読者にとっても全く同じ気持ちで読めるので、すぐに三馬自身に感情移入できると思います。
Posted by ブクログ
ドラマ観てたので原作読めて嬉しい〜!
これはドラマ化するよなぁ、というのが第一の感想です
実写版→原作の流れで進めることこれまでほぼなかったけど、読みながら顔が浮かんでくるので 読みやすくて好きかも!
そして宗教ってやっぱり奥深いな。ここのところ割と身近にあって気になっているので、もっと知見深めていきたいな
毎章毎章すごく面白かった!が個人的にクライマックスは中盤くらいだったかな
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都会で過ごしているとき渇望していた遊びが、いざいつでもできる環境を手に入れた途端、縁遠くなるのは皮肉なものだ。そもそも、ハヤブサでの日常生活は、自然との共生だ。ゴルフや釣りといった遊びを介するまでもなく、そこに身を置くだけで心は満たされる。(p.177)
Posted by ブクログ
作家の三馬太郎は、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移住し、地元の消防団に加わる。ところが、静かな田舎町で連続放火が起き、穏やかだった日常に不穏な影が差し始める。
序盤の魅力は、田舎のほのぼのとした空気だ。個性的な団員たちが集まる居酒屋の場面は、この地区の象徴だと言える。だからこそ、その温かい共同体が「何か」に少しずつ侵食されていくのではないかという恐怖が、じわじわと効いてくる。その背後に宗教の影がちらつく構図も、物語の不気味さを増している。
本作は人間関係の機微を丁寧に追う心理描写が光る。誰を信じてよいのか分からなくなる感覚が、読者にも伝染する。田舎の密な人間関係が織りなす人間ドラマは、非常に読み応えがあった。
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小説・文芸
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