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二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃は、男の部屋のベランダから飛び降りた。男といっても瑠璃と別に付き合っているわけではない、瑠璃のファンの一人で、彼女が熱心にストーカーしているのだ。どうしてそんなことをしたのか、話は四年前にさかのぼる・・・(『ミニカーだって一生推してろ』)。天才ファッションデザイナー・灰羽妃楽姫は、二八歳の誕生日プレゼントに、ガラスの靴を受け取った。送り主は、妃楽姫がいつか結婚すると信じている男、妻川。しかし次の瞬間彼女が聞いたのは、妃楽姫以外の女との、妻川の結婚報告だった・・・(『きみの長靴でいいです』)。他4編。斜線堂有紀の初の恋愛小説集。
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読後感が悪くならないギリギリのラインを押さえている。見事。全体的に相手との距離感と理想像の問題なのかなぁと思った。第4話は間違いなく距離が向こうが自分より近くまで踏み込んでくる相手なんだろうなと思う。慣れてないと巻き込まれちゃう。
第1話 24歳のアイドル赤羽瑠璃はアイドルをやめたい。ただの地下アイドルだが、ここまで来るのも大変だった。めるすけというツィッターアカウントが心の支えだった。
第2話 28歳のバースディプレゼントに妃楽姫はガラスの靴をもらった。妻川がプレゼントしてくれたのだ。しかし妻川は他の女と結婚する。
第3話 園生は新太がずっと好きだった。でも私は鳴花だ。3人は高校の放送部でずっと仲が良かった。
第4話 親友の茜がストーカーで捕まった。絆菜は仕事の後輩への恋に悩んでいる。
第5話 第3話の3人。新太からの話。
Posted by ブクログ
まさにタイトル通り、「これが愛でないなら一体なんなんだ!」と叫びたくなるような、強烈な作品でした。
収録されているのは、一人のファンをどうしようもなく愛してしまうアイドルや、一目惚れした後輩に自分の趣味も生活もすべてを合わせていくOLなど、一歩間違えれば破滅に向かうような恋愛ばかり。
客観的に見れば、地獄にしか続かないような恋なのに、それでも進むしかない彼女たちの姿は、痛くて、苦しくて、どうしようもなく愛おしく感じます。
自分にもちょっと当てはまる部分があるかも……と思える部分も多々ありました。
他人事とは思えないからこそ苦しくなりもするし、ヒリヒリした余韻も残るのですが、最高に面白い。
今日は出かける予定はなかったけど、続編を買いに行こうと思ってしまうくらい、大好きなテイストでした。
Posted by ブクログ
ナツイチにて購入した。
地獄×恋愛という表現がピッタリの短編集。
•「ミニカーだって一生推してろ」•••「めるすけ」1人のファンにただならぬ気持ちを持ってしまった地下アイドルの赤羽瑠璃。「衣装を黒にしたら似合う」という投稿を実践したり、彼の本名や職業•住所を特定し部屋に入ったりと、エスカレートしていく狂気がまさに地獄。
•「君の長靴でいいです」•••10年来のパートナーとも呼べる男性からロマンティックな「ガラスの靴」を送られた翌日、彼から突然の結婚報告。え、私の事すきだったんじゃないの?!
彼はあくまで唯一無二の”普通でないファッションデザイナー灰羽妃楽姫”とともに恋ではなくパートナーとして共にいただけでした。
自分の恋心を打ち明けたあとに彼が示した困惑の反応「灰羽妃楽姫 も意外と普通なんだね」
10年以上自分だけが恋心を持ってたと気付いた時のあの背筋が凍る感じ、恐怖ですらある。
•「愛について語るときに我々の騙ること」•••高校の頃からの男2人女1人の仲良し3人組。
ある日、園生から「新太を好きである」「新太は鳴花が好きだから」と衝撃的な告白を2つもされてしまった鳴花。
新太を鳴花に取られないために、自分が鳴花と付き合う選択をした園生。
“3人でいること”が最優先な鳴花。
男2人女1人という仲良し3人組は世間では決して珍しくないが、男側が恋に落ちないように意識していたり、仲がいいという事はきっかけがあれば恋にも落ちやすいなどなど、なるほどなぁと思う部分が沢山ありました。
みんな拗らせてて面白かった。
•「健康で文化的な最低限度の恋愛」•••転職でやってきた後輩の津籠に、ちょっとしたやり取りで惚れてしまった美空木絆。
「私もサッカー観戦好き」という、仲良くなるためについた小さな嘘をキッカケに、徐々に自分を捨てていく絆。
彼とLINEをするために、全く興味のないサッカーの試合をみたり、彼との距離を縮めるために、全くやったことのない登山グッズを揃えトレーニングをしたりと、健気ながら異常ともとれる程の行動をしていきます。
挙げ句の果てには、彼の「映画にはあまり興味がない」という発言により、自分の趣味である映画は気付け全く観なくなってしまう。
最終的に2人は付き合うが、これは本当に幸せなのかと、なんとも言えない気持ちになりました。
•「ささやかだけど、役に立つけど」•••鳴花、園生、新太の仲良し3人組の続き。結局3人で居られているが、園生と鳴花は、それぞれの気持ちを知っているので、仲はいいが決して本音で語り合えない関係になってしまった切なさがとても感じられた。
•「星害を受ける」•••赤羽瑠璃率いる「東京グレーテル」に所属する同期の伏暮珠子。
圧倒的な人気を誇る完璧なリーダーの赤羽瑠璃に身の内を焼くような嫉妬心を感じづけながらも、どこかで彼女には敵わないと認めている自分もいる切なさ。
赤羽のファンであるという「めるすけ」に、ファンを装い公園に誘きだし、わざと遭遇するシーンがある。
対面で話すことで、推しを赤羽から自分に変えさせ、赤羽を落ち込ませようとするも、「めるすけ」はしっかりとアイドルとファンの間にある壁を認識している人間であり、あっさりその場を去ってしまい、悔しさと羞恥が凄いだろうなと読んでいて胸を掻きむしられる心地でした。
どれもこれも普遍とはかけ離れた癖が強い話でした!
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