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「君からはいつも強い怒りの匂いがした」――カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり・・・・・・。香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続くドラマチックな長編小説にして、直木賞受賞第一作!
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Posted by ブクログ
『その男の周りだけ青い夜の気配がただよっているように見えた』
この一文だけで前作の感動が蘇った。
五感に訴える文章と繊細な感情描写が狂おしいほど好きなシリーズだ。
タイトルにも入っている「月」。
序盤で月に関する謎めいた描写が連続していることから、月に着目して読み始めた。
今回の主人公・満はカッとなりやすい性格であること以外情報が少なく、月との関連性も不明で序盤は感情移入が難しかった。
だが依頼客のエピソードを通してパズルのピースが少しずつ揃い始め、次第に生い立ちとそこに隠された悲劇がうっすらと予見できてくる。
絵が出来上がった時には、とっつきにくかった彼の行動原理が腑に落ちた。
人間の意識に刻まれた傷の描き方も素晴らしい。
余韻を残した終わり方も味わい深かった。
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