小説 - 深い作品一覧

  • 保田與重郎の文学
    5.0
    1巻14,300円 (税込)
    奈良に生まれ古典に通暁し、この国と文学のあるべき姿を終生説き続けた保田與重郎。日本浪曼派の中心人物にして、大東亜戦争賛美者と見なされた彼は、本当は何を書いたのか。日本武尊、大伴家持、後鳥羽院、芭蕉、そして戦場に赴いた無数の兵士たち――彼らの魂に共鳴し続けた文学者の著作を読み、文学の本道を改めて辿る。
  • Wシリーズ 全10冊合本版
    4.5
    Wシリーズ合本が登場! 『彼女は一人で歩くのか?』『魔法の色を知っているか?』『風は青海を渡るのか?』『デボラ、眠っているのか?』『私たちは生きているのか?』『青白く輝く月を見たか?』『ペガサスの解は虚栄か?』『血か、死か、無か?』『天空の矢はどこへ?』『人間のように泣いたのか?』の全10冊を収録。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。
  • ジェイムズ・ジョイス全評論
    4.0
    20世紀を代表する作家の14歳から55歳までの全評論、61編。初の全訳(初訳多数)で、各編にはそれぞれ解説、註を付す。創作の秘密が解き明かされる!
  • 明治の表象空間
    5.0
    1巻5,500円 (税込)
    行政制度・法体系・言語システム・博物誌・イデオロギー、そして文学。太政官布告から刑法典まで、教育勅語から国語辞書まで、社会進化論から新聞記事まで、歴史記述から抒情詩まで、諭吉・兆民から樋口一葉まで。明治の言説アーカイヴの総体を、徹底したテクスト読解を通じて横断的に俯瞰し、現在に直結する「表象空間」のダイナミズムを浮かび上がらせる知の決定的大著。
  • 7

    7

    4.0
    ドラッグの売人、元ロック・スター、トップモデル、革命家、UFO研究者、分断世界の監察官、そして不滅の男ーー7つの物語が交叉する。仏哲学界の新スターによる驚異的建築物のごとき傑作。 「彼は死ねないんだよ。人が経験することをすべて経験しちゃってるんだ」(本文より) 【仏メディア、困惑と絶賛の驚異的傑作!】 *よくできた短編集ではなく、特異かつ驚異的な建築作品――テレラマ *本作をもって、トリスタン・ガルシアは短編と長編の中間にある物語集(という新たなジャンル)の作者となった。真実はときとして危険なほど超自然に接近する――ゾーン・クリティック *信仰と美と歴史と時間をめぐる7つの精神的な寓話。今年の避けては通れない10冊のうちの1冊――レクスプレス *一見多様な小説の寄せ集めにみえるこの作品は首尾一貫した構造を持っている。だが、その一貫性は見出すべきものなのである。それは読者に差し出された大いなる喜びでもある。トリスタン・ガルシアの最高の作品である――ル・ヌヴェル・オプス 「鼻血が出ない。とても孤独だ」(本文より) 7つの物語が交叉する、巨大な人生万華鏡! 「エリセエンヌ」……若返りのドラッグを求めて、閉ざされた世界の混沌へと深入りしてゆく売人。 「木管」……元ロック・スターが見つけた不思議な楽器には、過去のあらゆる名曲が刻まれていて……。 「サンギーヌ」……〈顔〉と呼ばれるスーパーモデルと、傷を負った男との奇妙な相関関係。 「永久革命」……革命を夢みた一児の母が迷い込んだ世界は、1973年に革命が成就した世界だった。 「宇宙人の存在」……宇宙人を研究する兄とその恋人のもと、すべてを疑いはじめた幼いムーンは……。 「半球(ドーム)」……国境が消え、同じ思想の者同士が〈囲い〉で暮らす完全な分断が実現した世界で、〈普遍主義者〉が見たもの。 「第七」……大量の鼻血を出して何度でも生まれなおす男が、7度目の人生でついに到達した新たな世界。
  • 大江健三郎全小説 第9巻
    4.0
    危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』。大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』。障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』。美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』。女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説。
  • 大江健三郎全小説 第2巻
    5.0
    「リアリスチクに現代日本の青年をえがきだすこと、それを、現実から疎外された青年をえがくべく試みるということとして、この作品のテーマの位置においたことを、私は決してまちがっていたとは思いません。しかし、達成された作品がはたして日本の現代の青年をリアリスチクにえがきだしているかの批判は、それも否定的な批判は、この作品の上梓にあたって再び激しくおこなわれるだろうと思います」(著者・『孤独な青年の休暇』)
  • ケストナーの戦争日記 1941-1945
    3.3
    「決めたぞ.戦時下の日常で起きた重要なことを,きょうからひとつひとつ書き残すことにする.」(一九四一年一月十六日)――戦時下に密かにつづられた日記.第三帝国の下劣さ,馬鹿らしさを批判し,空襲や迫害など戦争の中の日常を鋭い観察眼で描いたこの記録から,今わたしたちは何を読み取ることができるだろうか.

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  • プレイグラウンド
    4.4
    南太平洋に浮かぶ人口百名足らずの小島は、IT業界の寵児が訪れるとの噂で沸いていた。なんでもここに新国家を作るという。だが島には彼のかつての親友が家庭を築いていて――テクノロジーと人間の相克、そして果たされなかった友情の行方。迫りくるシンギュラリティを前に文学の可能性を映し出す、謎と驚異に満ちた物語。
  • 【合本版】世界99
    4.7
    この世はすべて、世界に媚びるための祭り。 性格のない人間・如月空子。 彼女の特技は、〈呼応〉と〈トレース〉を駆使し、コミュニティごとにふさわしい人格を作りあげること。「安全」と「楽ちん」だけを指標にキャラクターを使い分け、日々を生き延びてきた。 空子の生きる世界には、ピョコルンがいる。 ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、甘い鳴き声、どこをとってもかわいい生き物。 当初はペットに過ぎない存在だったが、やがて技術が進み、ピョコルンがとある能力を備えたことで、世の中は様相を変え始める。 私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。 性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。 14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。 しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。 そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。 ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。 村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。 都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。 『世界99 上』『世界99 下』を1冊にまとめた合本版! 【著者略歴】 村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年『コンビニ人間』で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。
  • 詳解『源氏物語』文物図典
    5.0
    1巻4,752円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『源氏物語』で描かれている、平安貴族の服飾、調度、遊戯、娯楽や年中行事などの有職故実を文脈に沿って解説する、考証的大図典。
  • オーバーストーリー
    4.3
    撃墜されるも東南アジアの聖木に救われた兵士、四世代に亘り栗の木を撮影し続けた一族の末裔、感電死から甦った女子大生……アメリカ最後の手つかずの森に聳える巨木に「召命」された彼らの使命とは。南北戦争前のニューヨークから20世紀後半のアメリカ西海岸の「森林戦争」までを描き切る、今年度ピュリッツァー賞受賞作。
  • インドの驚異譚 1
    完結
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 10世紀にインド洋を航海した船乗りたちが蒐集した奇想天外な説話の数々。人魚の住む島、お化け蟹、空飛ぶ大蛇、雌猿と交情した水夫など、アンビリーバブルなお話満載。
  • メッカ巡礼記 1
    完結
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 イブン・バットゥータの『大旅行記』に多大な影響を与えた旅の記録。当時の社会を克明に活写。第1巻はグラナダを出発し、地中海を経て、エジプトを南下、メッカに至る。全3巻。
  • see you again
    5.0
    1巻4,400円 (税込)
    30年前に起きたいじめ自殺事件。亡くなった中学生の遺書の不可解さにとらわれたルポライターが、生涯をかけて追いつづけた謎は、はたして解けたのか? いじめた人、いじめられた人、傍観していた人――すべての人が読むべき空前絶後の大作。
  • 完訳 日本奥地紀行 1
    完結
    3.8
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 イザベラ・バードの明治日本への旅の真実に鋭く迫る、初版からの完訳決定版。正確を期した翻訳とフィールドワークに基づく巨細をきわめた徹底的な注で、初めてわかる諸発見多数。
  • 大江健三郎全小説 第3巻
    4.0
    1961年の雑誌発表以来、一度も書籍化されることのなかった「政治少年死す」を含む1964年までの初期短編群その3。 性、政治、青年の苦悩を真正面から赤裸々に描く。
  • 教皇ハドリアヌス七世
    5.0
    「まぎれもない世紀末文学者の一人であろう。」澁澤龍彦 「文学の森には驚くほど美しい宝石が隠れている。」河村錠一郎 冴えない元聖職者志望が、突然「ローマ教皇」に――!? 屋根裏部屋で一匹の猫と暮らす中年作家ジョージ。聖職者を志すも夢破れた彼のもとに、ある日突然、枢機卿が訪れる。「あなたが教会での将来を断たれたのは誤りでした。」念願の神父となったジョージが、観光気分で教会選挙に沸くローマへ行くと、知らぬ間に教皇に選出されていた! 「ハドリアヌス七世」を自称したジョージは、型破りな〈宗教改革〉に乗り出し、謀略渦巻く教皇庁に大波乱を巻き起こす――! 澁澤龍彦も注目した、異形の英国世紀末作家による〈伝説的奇書〉にして破天荒な〈自伝的幻想小説〉が、遂に邦訳!!! ★栞エッセイ=河村錠一郎 ・澁澤龍彦、生田耕作、丸谷才一、D・H・ロレンス、グレアム・グリーンらが注目・絶賛した「異形の英国世紀末作家」の代表作。 ・河村錠一郎氏の紹介により、文学の「裏街道」読者に邦訳が待望されていた「幻の奇書」。 ・造語や古語を鏤めた革新的で実験的な文学的手法を駆使した、英国モダニズム文学の正統な「古典的名著」。 ・聖職者を志すも挫折した作家の男が書いた「作家が教皇に成り上がる物語」。いわば「100年前のなろう小説」。 ・英ガーディアン紙「最高の英語小説100冊」選出。 ・英国の名門ペーパーバック「ペンギン・クラシックス」所収。

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  • 動物工場
    3.0
    アフリカにある動物たちの王国ジダダは、植民地支配から民を救った建国の父オールド・ホースの政権誕生40周年を迎えた。だが、ジダダの民たちは気づいている。この栄光の影で犠牲となる者たちの声を。ブッカー賞最終候補に選ばれたジンバブエ版『動物農場』。
  • 不揃いな家族
    4.0
    米書評サイトでレビュー20万件越えの感動作 1965年、幼いフラニーの洗礼式で彼女の母と警察官の男が恋に落ちたことから、二つの家族は一つになった。二人の母と二人の父、そして六人の子供たちは、それぞれの葛藤を抱えながらも関係を築いてゆく。時に揺らぎ、傷つけあいながらも深く結びつく家族の物語
  • 緑の天幕
    4.3
    いつも文学だけが拠りどころだった――。スターリンが死んだ一九五〇年代初めに出会い、ソ連崩壊までの激動の時代を駆け抜けた三人の幼なじみを描く群像劇。近年ではノーベル文学賞候補にも目される女性作家が、名もなき人々の成長のドラマを描き、強大なシステムに飲み込まれることに抗する精神を謳いあげた新たな代表作。
  • 合本 八咫烏シリーズ 第一部【新カバー版】
    4.8
    1巻4,000円 (税込)
    ※2020年8月8日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 100万部突破! 大ヒットファンタジー「八咫烏シリーズ」 第一部全6巻が一冊の合本に 「八咫烏シリーズ」は、人間の姿に変身することが出来る八咫烏の一族が、異世界・山内を縦横無尽に飛びまわる、和風ファンタジー。2012年に史上最年少20歳で松本清張賞を受賞してデビューした阿部智里が毎年一冊刊行、2017年『弥栄の烏』で第一部が完結しました。平安王朝風のみやびな風俗と、日嗣の皇子・若宮と側仕えの少年・雪哉を中心とした魅力的なキャラクターたち、周到に仕掛けられた謎と、日本神話に通じる壮大な世界観をお楽しみ下さい。 【収録作品】 『烏に単は似合わない』(2014年6月刊、文春文庫) 『烏は主を選ばない』(2015年6月刊、文春文庫) 『黄金の烏』(2016年6月刊、文春文庫) 『空棺の烏』(2017年6月刊、文春文庫) 『玉依姫』(2018年5月刊、文春文庫) 『弥栄の烏』(2019年5月刊、文春文庫)
  • トラスト—絆/わが人生/追憶の記/未来—
    4.4
    1930年代、NY。金融の寵児、アンドルー・べヴルをモデルにした小説『絆』が出版されたが本人はこれに猛反発。自伝を秘書に代筆させる。その後秘書は当時の回想録を記し、数十年後、アンドルーの妻の日記を発見するが--。視点の異なる四篇からなる実験的小説。
  • ケルト人の夢
    4.8
    一九一六年,大英帝国の外交官であった男に死刑が執行された.その名はロジャー・ケイスメント.植民地主義の恐怖を暴いた英雄であり,アイルランド独立運動に身を捧げた殉教者である.同性愛者ゆえに長くその名は忘れられていたが,魂の闇を含めて,事実と虚構が織りなす物語のうちによみがえった.人間の条件を問う一大叙事詩.

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  • フランス組曲
    4.6
    20世紀が遺した最大の奇跡 アウシュヴィッツに散った作家のトランクに眠っていた遺作長編。戦時下の人間の心理を鮮やかに描き出す、世界350万部のベストセラー。 1940年初夏、ドイツ軍による首都陥落を目前に、パリの人々は大挙して南へと脱出した。その極限状態で露わとなる市井の人々の性を複線的かつ重層的に描いた第一部「六月の嵐」と、ドイツ占領下のブルゴーニュの田舎町を舞台に、留守を守る女たちと魅惑的な征服者たちの緊迫した危うい交流を描く第二部「ドルチェ」。動と静、都会と地方、対照的な枠組みの中で展開する珠玉の群像劇が、たがいに響き合い絡み合う―。 著者は1903年キエフ生まれ、ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。42年アウシュヴィッツで亡くなった。娘が形見として保管していたトランクには、小さな文字でびっしりと書き込まれた著者のノートが長い間眠っていた。連行の直前まで書き綴られたこの小説が60年以上の時を経て世に出るや、たちまち話題を集め、2004年にルノードー賞を受賞(創設以来初めての死後授賞)、フランスで75万部、全米で100万部、世界で350万部の売上げを記録した(2014年に映画化)。巻末に収められた約80ページに及ぶ著者のメモや書簡からは、この奇跡的な傑作のもう一つのドラマが生々しく立ち上がる。カバー写真は名匠ロベール・ドワノー。
  • シャーロック・ホームズ大図鑑
    4.4
    初心者からシャーロッキアンまで、「シャーロック・ホームズ」を愛するすべての人に贈る。オールカラーの図解入り大図鑑。 正典60編の詳しい解説・分析に、著者・主要キャラクターや作品の時代背景の解説、映像作品の紹介、関連作の一覧などを付けた、「シャーロック・ホームズ」解説本の決定版! 印象的な台詞や文章の抜粋、図解による分析や事件の状況を説明する絵地図、 映画やテレビ作品からの写真など、オールカラーで楽しく読める工夫が満載!
  • 世界文学大図鑑
    5.0
    文学を愛するすべての人に、次の一冊をさがしているあなたに贈る。 古今東西の「世界文学」の主な潮流を、オールカラーの図版満載でわかりやすく解説。 本編で扱う100編あまりに加え、「もっと知りたい読者のために」でさらに200編を超える作品を紹介。
  • 中国はここにある――貧しき人々のむれ
    4.5
    都市の繁栄の陰で荒廃する農村。農業だけでは暮らせない人々が出稼ぎにゆき、ほとんど帰らない。老人は残された孫の世話で疲弊し学校教育も衰退した。子供は勉強に将来の展望をみない。わずかな現金収入を求めて出稼ぎに出る日を心待ちにする。著者は故郷の農村に帰り、胸がしめ付けられるような衰退ぶりを綴った。孤絶した留守児童が老婆を殺害強姦。夢はこの世で最も悪いものと自嘲する幼馴染。夫の長期出稼ぎ中に精神を病む妻。「農村が民族の厄介者となり…病理の代名詞となったのはいつからだろう」。希望はないのか。著者は農村社会の伝統にその芽をみる。底辺の声なき人々の声を書きとめようとする知識人のジレンマに、著者も直面する。しかし敢えて自分に最も近い対象を選び、書くことの困難にうろたえる自身の姿を読者に隠さない。こうして紡がれた語りに、農民も都会人も没頭した。第11回華語文学伝媒大賞「年度散文家」賞、2010年度人民文学賞、2010年度新京報文学類好書、第7回文津図書賞、2013年度中国好書受賞。
  • 折口信夫
    4.0
    1巻3,861円 (税込)
    日本の知の結晶ともいうべき折口信夫。文学、民俗学のみならず、その広大なる表現領域は他の者を圧巻し、全貌を掴むことが不可能とされてきた。そこに、切り込んだ安藤礼二の『折口信夫』。この本を読めば折口の全体像がわかり、この本を読まずして折口を語るなかれと、後世の評価を受けることは確実である。起源・言語・古代・祝祭・乞食・天皇・神・宇宙と題された章──これを追うだけで心が打ち震えるではないか。
  • キャンディハウス
    3.0
    『ならずものがやってくる』著者が放つ、文学×SFの連作短篇集 天才テック起業家ビックスは、アップロードされた他人の記憶に誰もがアクセス可能となる画期的な機器を発売する。記憶が個人のものでなくなりつつある世界で、人が求める「真のつながり」とはなにか――『ならずものがやってくる』著者による、最新連作短篇集
  • 亡霊の地
    4.3
    1巻3,850円 (税込)
    ベルリンで同性の恋人を殺した陳天宏は、刑期を終えて台湾の永靖に戻って来る。折しも中元節を迎えていた故郷では、死者の霊も舞い戻る。天宏の6人の姉と兄、両親や近隣の住民。生者と死者が台湾現代史と共に生の苦悩を語る、台湾文学賞、金鼎賞受賞の長篇
  • 源氏物語 上
    4.3
    恋に生き、切なさに、嫉妬に、美しさに涙する―― 日本文学最大の傑作が、明瞭な完全新訳で甦る! <原文に沿いながらも現代的な自然な訳文で、もっとも読みやすく美しい角田訳の誕生。 上巻には、第一帖「桐壺」から第二十一帖「少女」まで、たっぷり二十一帖分を収録!> 解題=藤原克己(国文学 東京大学) 解説=池澤夏樹 月報=瀬戸内寂聴 大和和紀
  • また会う日まで
    3.9
    1巻3,800円 (税込)
    海軍軍人、天文学者、クリスチャンとして、明治から戦後までを生きた秋吉利雄。この三つの資質はどのように混じり合い、競い合ったのか。著者の祖母の兄である大伯父を主人公にした伝記と日本の近代史を融合した超弩級の歴史小説。『静かな大地』『ワカタケル』につづく史伝小説で、円熟した作家の新たな代表作が誕生した。朝日新聞大好評連載小説の書籍化。
  • 牡猫ムルの人生観
    5.0
    猫のムルは生まれたての子猫の時、稀代の知識人にして奇術師アブラハム氏によって、橋の下から拾いあげられ、大切に育てられた。アブラハム氏の家にいるあいだにムルは、氏が書き物をするそば近くに陣取って、読み書きを習得したのだった。そして、自らの人生を回想する原稿を書き始めたが、羽根ペンで書いては、近くにあった一冊の本、『楽長ヨハネス・クライスラーの伝記』のページをちぎり、吸取紙や下敷きとして原稿にはさんだのだった。いざ、原稿を出版する運びとなった折、印刷所が、はさまれた『クライスラー伝』をうっかりそのまま組み込んで印刷してしまったというのが、本書である。つまり、牡猫ムルが自らの人生を語っている文章のそこここに、音楽家クライスラーの伝記が、はさみ込まれているという二重構造の物語(二重小説)なのである。猫が主人公の動物小説であり、怪奇小説であり、犯罪小説であり恋愛小説でもあるという贅沢なこの物語は、当初は全三巻を予定していたのだが、著者ホフマンの死によって、第二巻で未完のまま終わっている。
  • 奥のほそ道
    4.7
    ブッカー賞受賞!「傑作のなかの傑作」と絶賛 過酷な〈死の鉄道〉建設と、ある女性への思い 1943年、タスマニア出身のドリゴは、オーストラリア軍の軍医として太平洋戦争に従軍するが、日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ「泰緬鉄道」(「死の鉄路」)建設の過酷な重労働につく。そこへ一通の手紙が届き、すべてが変わってしまう……。 本書は、ドリゴの戦前・戦中・戦後の生涯を中心に、俳句を吟じ斬首する日本人将校たち、泥の海を這う骨と皮ばかりのオーストラリア人捕虜たち、戦争で人生の歯車を狂わされた者たち……かれらの生き様を鮮烈に描き、2014年度ブッカー賞を受賞した長篇だ。 作家は、「泰緬鉄道」から生還した父親の捕虜経験を題材にして、12年の歳月をかけて書き上げたという。東西の詩人の言葉を刻みながら、人間性の複雑さ、戦争や世界の多層性を織り上げていく。時と場所を交差させ、登場人物の心情を丹念にたどり、読者の胸に強く迫ってくる。 「戦争小説の最高傑作。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』以来、こんなに心揺さぶられた作品はない」(『ワシントン・ポスト』)と、世界の主要メディアも「傑作のなかの傑作」と激賞している。
  • 出雲神話論
    3.0
    1巻3,762円 (税込)
    【担当編集ノート】三浦佑之さんといえば、大ベストセラー『口語訳 古事記』の著者にして現代古事記研究を牽引する人です。お嬢さんの三浦しをんさん曰く「コジオタ(古事記オタク)」。その三浦さんの主張の核心こそ「『記紀』の呪縛からの解放」です。簡単にいえば「多くの人は『古事記』と『日本書紀』を似たようなものと考えがちだが、それは大きなまちがい。ふたつの書物はまったく別の意図をもって編纂されたと考えるべきで、その証拠が出雲神話とよばれるものである」ということ。古事記は、上・中・下の3巻から成り、神々のことは上巻において大河小説のように語られます。そのなかで、出雲神話と呼ばれる部分はおおむね以下の部分です。1)アマテラスの弟スサノヲが高天の原を追放され、出雲の国の肥の河の上流にやってきて、コシノヤマタノヲロチを退治し、生贄になって喰われるはずのクシナダヒメ(櫛名田比売)を助けて結婚し、子孫が繁栄する話。2)スサノヲから数えると7代目にあたる子孫オホナムヂが傷ついたウサギを助けたり、命を狙う兄たちから逃れて根の堅州国に行くなどの試練と成長を語る冒険物語。3)オホナムヂがなぜかスサノヲの娘スセリビメと結ばれ、スサノヲからのさまざまな試練を克服し、最後には、スサノヲのもつ呪宝を奪いスセリビメを連れて地上にもどる話。4)逃げるオホナムヂに向かってスサノヲが「大国主」となって地上を支配しろと祝福し、オホナムヂは地上にもどって兄たちを追い払う。スサノヲのことば通りにオホクニヌシとなって地上の主として君臨する話。5)地上の王となったオホクニヌシと女たちをめぐる物語、および国作りを助ける神の話。オホクニヌシとその子孫たちの栄華。じつはこのほとんどが『古事記』のみにある記述であり、『日本書紀』の正伝(書紀の編者が、正統な伝えとして採用した本文)には存在しないのです。なぜ『古事記』にだけ出雲神話があるのか、またそれに続く、俗に「国譲り神話」と称される出雲の滅びの物語にはなにが隠されているのか? ここに徹底的に焦点を絞りながら『古事記』神話、ひいては古代における日本列島の姿を考えてみたいというのが、三浦さんのもくろみです。本書は三浦さんの古事記研究生活50年余の総決算ともいうべき一書です。広く江湖の諸子に問うしだいです。
  • 食卓にきた犬
    4.0
    犬との日々が老作家を変える、フェミナ賞受賞作 老いを意識し、創作への不安を抱える作家ソフィのもとに、モップのような毛並みの若い犬が現れる。信頼と愛情を向けてくる犬と森を歩き、自然と向き合う時間が、彼女に作家として、女性としての自分を見つめ直すきっかけをもたらした。フェミナ賞受賞の感動作
  • リミナルスペース
    4.3
    1巻3,740円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 新しいインターネット美学、〈リミナルスペース〉のすべて。 その誕生の過程と影響を、膨大なビジュアルとともに体系的に掘り下げる初の書籍、待望の翻訳! 人の気配のない出入り口や階段、長い廊下、古びたホテルのロビー、寂れたショッピングモール、無機質な地下鉄の駅……。 こうした日常で目にする光景の中に、不穏さと不気味さ、そして抗いがたい魅力を見出す「リミナルスペース」は、インターネットを中心に爆発的に広がった、2020年代を代表する美学的ミームです。 例えば、社会現象となったウォーキングシミュレーターゲーム『8番出口』は、リミナルスペース的な世界観の代表的な作品と言えるでしょう。 本書で取り上げるのは、映画『シャイニング』のかの有名な長い廊下、インターネット怪談の「バックルーム」、ヴェイパーウェイヴ音楽、ブルータリズム様式の巨大建築、さらにはマグリットの絵画など。時代や分野を縦横無尽に横断しながら、リミナルスペースの美学はそこかしこに息づいています。 リミナルスペースが引き起こすのは、ただの不安な感情ではありません。 人々の記憶と想像力に深く共鳴し、心の奥底にまで響く感覚を呼び覚ますのです。 リミナルスペースの何が怖いのか? なぜ私たちはリミナルスペースに魅了されるのか? 新しい「不安と恐怖の美学」の誕生の過程とその影響を徹底的に掘り下げる、リミナルスペース“解体新書”。 この一冊を手に取ることで、あなたの周りに潜む「異質な空間」の恐怖と魅力を、新たな視点で再発見することができるでしょう。日常の中に潜む非日常を感じたい方、アートや映画、ゲームに興味がある方にとって、必読の一冊です。
  • 失墜の王国
    4.5
    主人公ロイの住む山間の村。彼の弟カールは、新妻シャノンとともに村をリゾート地へする計画を携えて帰ってきた。リゾート化計画は、村を豊かにするためだとカールは言う。だがロイは、弟の本心は村を支配することにあると察していた。そこに殺人事件が起こり……。
  • 三島由紀夫論
    4.7
    1巻3,740円 (税込)
    三島はなぜ、あのような死を選んだのか――答えは小説の中に秘められていた。『仮面の告白』『金閣寺』『英霊の声』『豊饒の海』の4作品の精読で、文学者としての作品と天皇主義者としての行動を一元的に論じる画期的試み。実作者ならではのテキストの深い読みで、その思想をスリリングに解き明かす令和の決定版三島論。
  • 詰むや詰まざるや
    完結
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 兄伊藤宗看の「将棋無双」は難解豪壮な作風をもち,弟看寿の「将棋図巧」は奇抜な趣向と華麗な駒さばきで知られる。どちらも詰将棋の絶頂を示す古典として並び称せられた18世紀なかばの献上百番集。
  • 異族
    4.0
    空手道場に集まった胸に同じ形の青あざがある頑強な三人の男たち、路地に生まれたタツヤ、在日韓国人二世のシム、アイヌモシリのウタリ。そのアザの形に旧満州の地図を重ね見た右翼の大物フィクサー槙野原は三勇士による満州国の再建を説く。日本の共同体のなかにひそむうめき声を路地の神話に書きつづけた中上健次が新しい跳躍を目指しながらも、「群像」連載中急逝し、未完に終わった傑作大長篇小説。死してなお生き、未完ゆえに無限増殖する壮大なる中上サーガ。
  • ソーンダーズ先生の小説教室
    5.0
    岸本佐知子さん推薦! 「ソーンダーズ先生の導きで、わたしたちは小説が徹底的に解剖されるさまを目撃する。もう元の読み方にはもどれない。」 ブッカー賞受賞、『短くて恐ろしいフィルの時代』の著者による、大注目・全米ベストセラーの「小説入門」!! 現代アメリカ文学を代表する作家ジョージ・ソーンダーズが、ロシア文学の巨人たちと寄り添い、悩み、格闘する。 チェーホフ、ツルゲーネフ、トルストイ、ゴーゴリ── 珠玉の短編小説7本を通じて、物語の読み方と書き方、そして人生の意味に迫る、刺激に満ちた楽しい創作講座。 シラキュース大学の創作講座を20 年にわたって担当し、小説家志望の若き学生たちに小説の書き方と読み方を教えてきた小説家ジョージ・ソーンダーズ。ソーンダーズの名物授業を再現した本書では、ロシア文学の巨匠による7本の短編を読み解き、読者に頁を繰らせるためにいかなる技法やテクニックが駆使されているのかを解説する。 現代アメリカの短編小説の名手が、ユーモアたっぷりでいざなう、ロシア文学のそぞろ歩き。私たちはなぜ読み、書き、生きるのか──その答えを探る、時空を超えた軽やかな小説の旅へ。 ◎現役ブッカー賞作家による人気の創作講座を再現! ◎題材となるロシアの巨匠4人による7本の短編小説を、原文から新訳で全文収録!! <本書で読める、珠玉のロシア短編小説たち> アントン・チェーホフ(1860-1904)「荷馬車で」「かわいいひと」「すぐり」 レフ・トルストイ(1828-1910)「主人と下男」「壺のアリョーシャ」 イヴァン・ツルゲーネフ(1818-1883)「のど自慢」 ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)「鼻」
  • 虚言の国  アメリカ・ファンタスティカ
    3.4
    虚言症が蔓延するアメリカで、稀代の嘘つき男が 仕掛ける奇想天外なロードトリップ―― ピュリッツァー賞候補作家が放つ長編小説、待望の全訳!   オブライエン(著)×村上春樹(訳) ある理由で一流ジャーナリストからフェイクニュースの王に転落した中年男ボイド。 カリフォルニアの田舎町でデパートの店長をしている彼は地元銀行の窓口係アンジーに 銃をつきつけ、奪った8万1千ドルと彼女を連れ逃避行に出る。 仕切り屋で喋り通しのアンジーに閉口しつつアメリカを縦断するボイドと、 彼をとりまく大富豪、悪徳警官、美人妻、殺人者――追う者追われる者が入り乱れ、 嘘と疫病に乗って全米を疾走するが……。 ティム・オブライエン、20年ぶりの長編小説。
  • 人類の深奥に秘められた記憶
    4.6
    【ゴンクール賞受賞作】 なぜ人間は、作家は、“書く”のか。根源ともいえる欲望の迷宮を恐ろしいほどの気迫で綴る、衝撃の傑作小説! セネガル出身、パリに暮らす駆け出しの作家ジェガーヌには、気になる同郷の作家がいた。 1938年、デビュー作『人でなしの迷宮』でセンセーションを巻き起こし、「黒いランボー」とまで呼ばれた作家T・C・エリマン。しかしその直後、作品は回収騒ぎとなり、版元の出版社も廃業、ほぼ忘れ去られた存在となっていた。 そんなある日『人でなしの迷宮』を奇跡的に手に入れ、内容に感銘を受けたジェガーヌは、エリマン自身について調べはじめる。 様々な人の口から導き出されるエリマンの姿とは。時代の潮流に翻弄される黒人作家の懊悩、そして作家にとって “書く”という宿命は一体何なのか。 フランスで60万部を突破、40か国で版権が取得された、2021年ゴンクール賞受賞の傑作。
  • その輝きを僕は知らない
    4.3
    名門大学で生物化学の博士課程を目指す院生のウォレスは、南部出身の黒人でゲイ。ある夏、表向きはストレートの白人の同級生との出会いが、彼の中に眠っていた感情、痛み、渇きを呼び起こす。米国のミレニアル世代のリアルな葛藤を描く、ブッカー賞最終候補作
  • 曼陀羅華X
    4.3
    1巻3,630円 (税込)
    1995年、地下鉄にサリンが撒かれ、教祖が逮捕される。だが、教団は公判直後に教祖を奪還、後の歴史は軋みながら軌道を変えた。「予言書」としてその筋書きを書いたのは、教団に拉致され姿を消した作家X。だがそこには、復讐というもう一つのシナリオが埋め込まれていた。魂が共鳴する、当代随一の琵琶法師的現代文学。
  • ハーバード大学ダムロッシュ教授の世界文学講義 日本文学を世界に開く
    5.0
    世界文学とはなにか。国際的に活躍する文学研究の第一人者が古今東西縦横に、世界のあらゆる文学作品との比較の中で、日本文学の魅力を語る。今まで比較されることのなかった作家をあえて関連づけることによって文学の新たな可能性を見出し、刺激的な読書の世界へ誘う。 【主要目次】 はじめに 第一章 近世の世界文学 第二章 文学と近代化 第三章 文学とグローバリゼーション 対 談 ダムロッシュ×沼野充義
  • 読者に憐れみを
    4.3
    『スローターハウス5』『タイタンの妖女』などで知られる戦後アメリカを代表する作家、カート・ヴォネガットの「書くこと」と「人生について」 辛辣で、機知に富み、心優しきニヒリスト、ヒューマニストで、教師としては熱血漢、「書くことは魂を育むこと」を生涯の信条としたヴォネガットの教えを、彼自身の言葉と小説の引用、そして周囲の人々の談話からまとめた、「ヴォネガット流・創作指南+回顧録的文章読本」が生誕100年を記念し、待望の邦訳! 「本書の各所に引用されるヴォネガットの助言を読むうちに、自分にも小説が書けるという気持ちになってくる。それはとても苦しいものであることをヴォネガットが強調してもだ。何度も書き直し、声に出して読み、読者の負担を最低限にするべきことを繰り返し言う。でもしかし、その人にしか語りえないことというものがあるのだ。」 ――円城塔(作家) 本書では、彼の教え子であったマッコーネルによるヴォネガット自身の言葉と実際の作品の引用から、作家としての苦闘や、戦争体験や母親の死など、彼の人生に生涯つきまとった「影」、戦後の時代精神を体現するベストセラー作家となった成功の秘訣のほか、「つねに学び、つねに教えていた」という教師としての素顔が丁寧に分析され、余すところなく説明される。 さらに、文章や物語を書く際に必要な原動力、才能、想像力の飛躍、勤勉さ、反省、ブラックジョークについて、生計を立てること、心身のケア、はたまたコミュニティの重要さにいたるまで、さまざまな角度からユーモアを交えながら真摯に語られる。加えて、物語はどこから生まれるのか、冒頭部の書き方、プロット、登場人物の書き方、耳で聞く文章と目で見る文章の違い、見直しと校閲などのコツとテクニックについても惜しげもなく披露される。その驚くほど実践的なアドバイスは、作家志望者のみならず、文章を書く時に悩んだことのある人、何かの課題と格闘して自分は無能だと感じているすべての人の心に突き刺さるだろう。ヴォネガットの手稿や実際の原稿、メモ書きや、出版社からの手紙なども多数収録した、ヴォネガットファン必見の一冊となっている。 ちょっと風変わりで、だけど読むと書き続ける勇気が湧いてくる、カート・ヴォネガットの教えを一冊にまとめた、創作指南+回顧録の決定版。
  • ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪
    4.7
    卓抜した編纂のもと選び抜かれたラインナップと、現代性を反映したブック・デザイン――日本の翻訳ミステリ叢書は、戦後国内で勃興したミステリ・ブームの一翼を担った。植草甚一の編纂と花森安治の装釘による【クライム・クラブ】や瀬戸川猛資の編纂による【シリーズ 百年の物語】など、綺羅星のごとき光芒を残す数多の叢書は、日本推理小説史にどのような光跡を描いたか。書斎の迷宮に眠る叢書という小宇宙が、著者独自の調査を経てここに全貌をあらわす。翻訳ミステリのブックガイドであり、戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書の研究であり、果ては戦後日本における翻訳ミステリの受容史を概観する画期的大著。/【目次】まえがきにかえて/【異色探偵小説選集】編/【六興推理小説選書〈ROCCO CANDLE MYSTERIES〉】編/【クライム・クラブ】編/【世界秘密文庫】編/【Q-Tブックス】編/【ウイークエンド・ブックス】編/【ケイブンシャ・ジーンズ・ブックス/ヒッチコック・スリラーシリーズ】&【松本清張編・海外推理傑作選】編/【ゴマノベルス】編/【イフ・ノベルズ】編/【ワールド・スーパーノヴェルズ/北欧ミステリシリーズ】編/【海洋冒険小説シリーズ】編/【河出冒険小説シリーズ】編/【フランス長編ミステリー傑作集】編/【シリーズ 百年の物語】編/あとがき/戦後翻訳ミステリ叢書・全集一覧/索引
  • ポストカード
    4.3
    2003年、パリ。ある朝、著者の自宅にポストカードが届いた。差出人名はなく、1942年にアウシュヴィッツで亡くなった著者の曾祖父母とその子どもの名前のみが書かれていた。誰が、何のために出したのか。差出人の謎と戦争の記憶を著者が辿る、実話に基づく物語。
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版
    4.5
    「国際友好の義務を果たす」という政府の方針でアフガニスタンへ送り出されたソ連の若者たち.やがて彼らは一人,また一人と,亜鉛の棺に納められ,人知れず家族のもとへ帰ってきた…….作家がみずからの目と耳で体験し書き留めた同時代の戦争の記録.作品発表後に巻き起こった裁判の顚末など大幅に増補した,最新の版に基づく新訳.

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  • 冬牧場
    4.0
    1巻3,520円 (税込)
    世界で一番海から遠い都市、中国アルタイ地方から届いた極上の紀行エッセイ。著者と、新疆ウイグル地区アルタイ地方にある冬の牧場で遊牧をしているカザフ族との約3カ月にわたる心温まる交流が綴られている。遊牧民の生活は、中国の政策によって近いうちに遊牧民たちも定住を選ぶ時代になるかもしれないという時代に、非常に貴重な記録ともなっている。

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  • Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち
    4.0
    1巻3,520円 (税込)
    村上春樹は、いまや世界で最も広く読まれている日本人小説家である。その世界的な人気の背景には、英語圏――とりわけアメリカ――での成功がある。日本文学の英訳の多くが政府や文化機関の支援を受け、限られた読者(主に日本研究者など)を対象に刊行されてきたなか、村上作品はアメリカの文芸出版の権威であるクノップフや『ニューヨーカー』などの出版社・雑誌から世に送り出され、大勢の読者を獲得し、多くの同時代作家に影響を与えている。この英語圏での活躍の裏には、それぞれの人生のポイントで村上作品と出会い、惹き込まれ、その紹介に情熱を注いだ翻訳家、編集者、エージェント、研究者、書評家、書店員といった、出版界のスペシャリストたちがいた。翻訳家アルフレッド・バーンバウム、ジェイ・ルービン、編集者エルマー・ルーク、リンダ・アッシャー、ゲイリー・フィスケットジョン、クリストファー・マクレホーズ、装丁家チップ・キッド……。『ねじまき鳥クロニクル』での世界へのブレイクスルーまでの道のりを後押しした、個性あふれる30余名の人々との対話、そして村上本人へのインタビューをもとに、世界的作家Haruki Murakamiが生まれるまでのストーリーを追う。
  • ハリケーンの季節
    4.3
    とある村で、〈魔女〉の死体が見つかる。彼女は村の女たちに薬草を処方し、堕胎もしてやっていた。彼女を殺したのは一体誰か--。暴力と貧困がはびこる現代メキシコの田舎を舞台に狂気と悲哀を描き、名だたる文学賞候補となった西語圏文壇新星による傑作長篇
  • 煉獄の時
    4.8
    〈矢吹駆シリーズ〉11年ぶりの最新作! 著名哲学者の手紙の盗難と、川船で発見された全裸の首なし屍体、そして39年前のトランク詰め首なし屍体。3つの事件を駆は追う。 第二次大戦前夜のパリで起きた、連続トランク詰め首なし屍体事件。 そして39年後、不可能状況で発見された新たな首なし屍体――。 時空を超え広がる謎の迷宮に、矢吹駆が挑む!  1978年6月。ナディアは著名な作家のシスモンディに、友人・矢吹駆を紹介する。シスモンディのパートナーであり、戦後フランス思想家の頂点に立つクレールが彼女にあてた手紙が消失した謎を駆に解き明かしてほしいというのだ。しかし手紙をネタに誘い出されたシスモンディとナディアは、セーヌ川に係留中の船で全裸の女性の首なし屍体を発見する。事件の調査のためリヴィエール教授を訪ねると、彼は若き日の友人、イヴォン・デュ・ラブナンのことを語り始める。39年前、イヴォンも首なし屍体事件に遭遇したというのだ――。
  • 個性的な人
    4.5
    あるところに個性的な顔をもつ人がいた.その顔はみんなに愛され,画像がネットに溢れた.ところが自撮りを繰り返すうち,顔はやがて輪郭を失ってゆき──.ソーシャルメディア時代にわたしたちは「わたし」とどう向きあえばいいか.前作『迷子の魂』につづき,繊細でメランコリックなイラストとともに描かれる現代のおとぎ話.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • その「民衆」とは誰なのか ジェンダー・階級・アイデンティティ
    5.0
    1巻3,300円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1930年代と50年代、それは人々が主体性に目覚め、闘争や自己表現を集団で企てた時代だった――戦争文学から綴方運動、女性運動、原水爆言説を議論の対象にして、多様な表象行為を実践する人々のありようを解きほぐし、〈民衆〉の今日的な可能性に迫る。
  • 夕霧花園
    4.3
    この記憶は いつまで わたしに残るのだろうか 天皇の庭師だったアリトモと、日本軍の強制収容所のトラウマを抱えるユンリン。 1950年代、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア)。日本庭園「夕霧」を介して、ふたりの人生が交錯する── 同名映画『夕霧花園』【トム・リン監督/リー・シンジエ(李心潔)、阿部寛出演】原作(2019年映画化、2021年7月24日~日本公開/DVD発売元:マクザム+太秦)。 マン・ブッカー賞最終候補に選ばれ、現代アジア文学で最も優れた小説に贈られるマン・アジア文学賞等を受賞。17ヵ国語に翻訳され、高い評価を受けている。 【あらすじ】 封印していた数々の記憶が、「夕霧」でふたたび流れ出す── 1980年代のマレーシア。 連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。 そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。 日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。 【目次】 夕霧花園 著者による注釈 訳注 訳者解説 訳者あとがき
  • クィアする現代日本文学 ケア・動物・語り
    5.0
    1巻3,300円 (税込)
    小説を読むとは、どのような行為なのか。現代の小説は私たちに何を語りかけるのか。 本書では、金井美恵子、村上春樹、田辺聖子、松浦理英子、多和田葉子という5人の作家が1970年代から2010年代にかけて描き出した7つの小説に着目する。これらの小説を、アイデンティティのあり方を多様に読み替え/書き換えていくクィア批評と、動物やケアなどをめぐる批評理論を縦横に組み合わせて読み解き、小説に内在する多様性や小説固有の強度を浮かび上がらせる。 既存の社会秩序や異性愛主義的な社会構造を揺さぶり、読者の主体性やジェンダー/セクシュアリティをめぐるアイデンティティをも変容させていく「現代小説を読むことの可能性」を、小説表現とクィア批評の往還からあざやかに描き出す。現代の小説をふたたび読み返したくなる、「クィアする」文学論。
  • 郊外の記憶 文学とともに東京の縁を歩く
    4.0
    1巻3,300円 (税込)
    戦後の郊外住宅地の開発は、そこにあった地域生活を大きく変容させ、平板で奥行きがない空間を作り出してきた。一方で、近年では郊外や街の何げない場所に過去の痕跡を探り、その土地の固有性に光を当てる「街歩き」や「聖地巡礼」が注目されてもいる。では、郊外という均質な空間に眠る固有性は、どうすれば掘り起こすことができるのだろうか。 多和田葉子や三浦しをん、北村薫が東京の郊外を舞台に描く小説を読み、その街を実際に訪れ、ありふれた風景のなかを1人でゆっくり歩く。そしてあらためて小説を読み、また街を歩く――。この実践を繰り返すことで、場所・時間・物語の交差点に浮かび上がる「土地の記憶」に光を当てる。 東京の縁を読むことと歩くことを通して、郊外に眠る戦争の残痕や失われた伝統、開発の記憶、人々の生活史をよみがえらせ、「均質な郊外」に別のリアリティーや可能性を浮上させる。
  • さあ、見張りを立てよ
    3.5
    アラバマ州メイコムに帰省したジーン・ルイーズは、生まれ育った町と愛する家族の苦い事実を知るのだった。全米を大論争に巻き込んだ、アメリカ文学の最高傑作『アラバマ物語』著者の未発表長篇
  • 新潮モダン・クラシックス 失われた時を求めて 全一冊
    4.5
    作家志望の「ぼく」が味わう苛烈な恋、そして「時」の不思議――。あまりの長大さと複雑な文体ゆえに、名声ほどには読破する者の少なかった二十世紀小説の代表作が、いま蘇える。現代を代表する小説家と仏文学者のコラボレーションによって、プルーストのエッセンスはそのままに、贅美きわまる日本語でついに読める、読み通せる驚異の縮約版一千枚!
  • 村上春樹と物語の条件 『ノルウェイの森』から『ねじまき鳥クロニクル』へ
    4.0
    1巻3,300円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 村上春樹の主要作品のなかから『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』を取り上げ、二つの物語の内に私たちが生きている現実世界の痕跡を読み取っていく。「記憶」「他者」「身体」という共通の主題がそれぞれの物語をいかに起動・展開させているのかをたどりながら、恐怖に満ちたこの世界を生き延びるためのスタイルを模索する。

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  • サワー・ハート
    3.0
    毎朝起きるとゴキブリまみれ、残飯を求めゴミ箱に飛び込む──。注目のアジア系アメリカ作家が描く、上海からニューヨークへ移住した極貧一家で育つ少女のダークでコミカルな連作短編集。
  • 言語の七番目の機能
    4.3
    1980年、記号学者・哲学者のロラン・バルトが交通事故で死亡。事故は当時の大統領候補ミッテランとの会食の直後だった。そして彼の手許からは持っていたはずの文書が消えていた。これは事故ではない! 誰がバルトを殺したのか? 捜査にあたるのは、ジャック・バイヤール警視と若き記号学者シモン・エルゾグ。この二人以外の主要登場人物は、ほぼすべてが実在の人物。フーコー、デリダ、エーコ、クリステヴァ、ソレルス、アルチュセール、サール、ドゥルーズ、ガタリ、ギベール、ミッテラン、ジスカール・デスタン、ラング……綺羅星のごとき人々。そして舞台はパリから、ボローニャ、イサカ、ヴェネツィア、ナポリへと……。「言語の七番目の機能」とはいったい何か? そして秘密組織〈ロゴス・クラブ〉とは? 『HHhH――プラハ、1942年』の著者による、驚愕の記号学的ミステリ。アンテラリエ賞・Fnac小説大賞受賞作。
  • クレオパトラの短剣
    3.0
    1880年、ニューヨーク。ヘラルド紙の唯一の女性記者であるエリザベスと友人のカルロッタは、ミイラのように包まれた女性の遺体を発見する。彼女の記事は話題となり、新たな遺体が発見される度に読者を魅了する。しかし、犯人もすべての記事を読んでおり……
  • 失われたいくつかの物の目録
    3.8
    解体された東ドイツの宮殿、絶滅種のトラ、太平洋に沈んだ島、老いたグレタ・ガルボ……自然や芸術作品が雄弁に語り始める。テキストと、ダークな線画(カラーデバイスでの閲覧推奨)が織りなす夢の目録。第七回日本翻訳大賞受賞。
  • 久米正雄伝 微苦笑の人
    3.0
    1巻3,190円 (税込)
    文壇の紳士録に必ず載るような存在でありながら、今日ほとんどかえりみられることがなくなった作家、久米正雄。なぜそうなったのか。その人生と作品分析をとおし、明治大正昭和の、日本における純文学と大衆文学、私小説と通俗小説の成立と相克を描く。
  • 羅針盤は壊れても
    3.8
    1巻3,135円 (税込)
    大丈夫だ、まだ、大丈夫なはずだ――。中卒、日雇いバイト暮しの北町貫多は、23歳を迎えて自身の人生の敗北を決定的に覚えるようになっていた。その彼の唯一の慰めは田中英光の私小説の復読であり、やがて冴えない日々の中で藤澤清造の著作にも出会う。そして貫多は、自らも私小説を書いてみるのだが――。生命力あふれる生活不能者の儚い希望とあえなき挫折を描く、最新の孤狼私小説集。表題作と「陋劣夜曲」、他二篇を再録。電子版に特別付録はつきません。
  • 天使と悪魔 Special Illustrated Edition
    4.3
    図像学者ラングドンの元に世界最大の科学研究所セルンの所長から紋章についての問い合わせが入る。それは男の全裸死体に押された焼印で、すでに消滅した、ガリレオが創設したという伝説の秘密結社の紋章だった……。作中に登場する美術作品や建築物など150点を超えるカラー図録を収録したスペシャル・エディション!
  • 老いぼれを燃やせ
    3.6
    予言的ディストピア小説『侍女の物語』の著者が放つ辛辣なユーモア。老境の平穏からはほど遠く、未練と怒りまみれの高齢者らの紆余曲折を描く傑作短篇集! 「老いぼれを燃やせ」――老人ホームで暮らすウィルマは視力が衰え、幻覚症状が現れていた。踊り騒ぐ小さな人の群れが見えるのだ。ある日、米国の老人ホーム連続放火事件の報せが入る。やがて彼女の施設も暴徒に取り囲まれ……。「アルフィンランド」――ファンタジー小説シリーズで成功を収めたコンスタンスは、かつて恋人に酷く裏切られた経験があった。そんな彼女が仕組む復讐とは? 「蘇えりし者」「ダークレディ」とで三部作を成す。「岩のマットレス」――ヴァーナは退職後、北極圏クルーズ船で旅に出た。そこにいたのは、高校時代に彼女の人生を変えた男。これまで4人の夫を看取ってきた彼女は、ある計画を立て……。「フリーズドライ花婿」――インチキ骨董商のサムには妄想癖があった。自分が殺され女性医師に解剖されるところを思うと、心が癒やされるという。そんなサムがオークション用の倉庫で出くわしたものは? 人間心理の闇を見つめ、痛いほど的確に、強烈なユーモアをもって描き出す9つの作品を所収。予言的ディストピア小説『侍女の物語』の著者による傑作短篇集!
  • ミステリから見た「二〇二〇年」
    4.0
    1巻3,080円 (税込)
    新型コロナのパンデミックによって生活や社会構造が激変した2020年。この激動の年にミステリという文芸領域がこの時代をどう描き、どう解釈したのか? 新型コロナ、東京オリンピック、分断国家、政治腐敗、失われた三十年、ポリティカルコレクトネスと多様性……2020年以降の日本を象徴する出来事を扱ったミステリを通し観察することで見えてきたこととは? 圧倒的な読書量と鋭い分析力を誇る著者が、現代日本の歪みに物申す。
  • となりのブラックガール
    4.2
    若手編集アシスタントのネラはNYの老舗出版社で唯一の黒人女性。人種問題に無理解な職場に疲れていたある日、同世代の黒人女性が入社してくる。ネラは親交を深めようとするが、そこには大きな陰謀が──ダークな皮肉冴えわたる新世代のBLM小説。解説/渡辺志保
  • 完全版 ピーナッツ全集 1 スヌーピー1950~1952
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『ピーナッツ』全作品を収録した初の全集。チャーリー・ブラウンとスヌーピーたちの活躍が始まります。シュルツ伝+ロングインタビュー付き。序:ギャリソン・キーラ、月報6-1:小野耕世 2019年から2020年まで刊行された『完全版ピーナッツ全集』を余すところなく電子書籍化。カバー・帯・表紙から月報まで、刊行時のままに資料編として巻末に収録。
  • 硬きこと水のごとし
    3.8
    1巻3,080円 (税込)
    文化大革命の嵐が吹き荒れる中、革命の夢を抱く二人の男女が旧勢力と対峙する。権力と愛の狂気の行方にあるのは悲劇なのか。ノーベル賞候補と目される中国作家の魔術的リアリズム巨篇。
  • テルリア
    3.0
    21世紀中葉、近代国家が崩壊し、イスラムの脅威にさらされる人々は、謎の物質テルルに救いを求める。異形の者たちが跋扈する「新しい中世」を多様なスタイルで描く予言的長篇。
  • 石牟礼道子
    4.6
    『苦海浄土』で知られる、戦後日本文学における最重要作家。ふるさと水俣で過ごした幼少時の甘い記憶が豊かに綴られる。「椿の海の記」他、エッセイ「タデ子の記」、詩などを収録。 月報=多和田葉子/小野正嗣
  • 完本 中国古典の人間学
    4.5
    1巻3,080円 (税込)
    日本の近代を切り開いてきた先人たちの教養の根幹には、中国古典があった。 近年、日本人からその伝統的な素養が失われたことは、社会が液状化現象を呈し、説得力のないリーダーが幅をきかせることの、一因となってはいないだろうか。 本書では、めぼしい中国古典二十四篇を網羅し、そのエッセンスに触れながら先賢の知恵に学ぶことを意図している。 その内容は古びていないどころか、現代人にこそ必要な叡智がぎっしりと詰まっている。 ぜひ、本書を通して、中国古典の魅力の一端に触れてみてほしい。 【収録】 『左伝』『戦国策』『史記』『三国志』『十八史略』『孫子』『呉子』『六韜・三略』 『諸葛亮集』『三十六計』『論語』『孟子』『荀子』『近思録』『伝習録』『老子』 『荘子』『管子』『韓非子』『顔氏家訓』『貞観政要』『宋名臣言行録』『為政三部書』『菜根譚』 【著者紹介】 守屋洋(もりや・ひろし) 著述業(中国文学者)。 昭和7年、宮城県生まれ。 東京都立大学中国文学科修士課程修了。 著訳書に『中国古典の名文集』『「老子」の人間学』『菜根譚の人間学』『六韜・三略の兵法』(いずれもプレジデント社)など多数。 【目次より】 ◆左伝 ◆戦国策 ◆史記 ◆三国志 ◆十八史略 ◆孫子 ◆呉子 ◆六韜・三略 ◆諸葛亮集 ◆三十六計 ◆論語 ◆孟子 ◆荀子 ◆近思録 ◆伝習録 ◆老子 ◆荘子 ◆管子 ◆韓非子 ◆顔氏家訓 ◆貞観政要 ◆宋名臣言行録 ◆為政三部書 ◆菜根譚
  • 吉田健一
    4.0
    「ある本が読めるか、読めないかを決めるのに一番確かな方法は、その本が繰り返して読めるかどうか験(ため)して見ることである」──本を読み、文学に親しむ喜びを様々な視点から語りつくす長篇評論「文学の楽しみ」、ヨーロッパという文明が十八世紀に完成し、人間の自由を重んじるその精神が再生したのが十九世紀末だとする記念碑的著作「ヨオロッパの世紀末」の他、酒を愛する男が灘の技師と出会って体験する不思議な一夜を描く小説「酒宴」、若くして別れた母への思いを綴った「母について」、市井の旨(うま)い店と料理をめぐるエッセー「食い倒れの都、大阪」など傑作19篇を厳選。 解説=池澤夏樹 解題=島内裕子 月報=松浦寿輝・柴崎友香
  • ひとでなし
    3.3
    1巻3,000円 (税込)
    作家人生の集大成 嫌な気分は何もかもノートにぶちまけて、言葉の部屋に閉じ込めなさい。  尊敬するセミ先生からそう教えられたのは、鬼村樹(イツキ)が小学五年生の梅雨時だった―― 「架空日記」を書きはじめた当初は、自分が書きつけたことばの持つ不思議な力に戸惑うばかりの樹だったが、やがて生きにくい現実にぶち当たるたびに、日記のなかに逃げ込み、日記のなかで生き延び、現実にあらがう術を身に着けていく。 そう、無力なイツキが、架空日記のなかでは、イッツキーにもなり、ニッキにもなり、イスキにもなり、タスキにもなり、さまざまな生を生き得るのだ。 より一層と酷薄さを増していく現実世界こそを、著者ならではのマジカルな言葉の力を駆使して「架空」に封じ込めようとする、文学的到達点。
  • その昔、ハリウッドで
    3.8
    アカデミー賞、Gグローブ賞受賞作が小説として生まれ変わる! クエンティン・タランティーノ、小説家デビュー作! アカデミー賞2部門受賞、ゴールデングローブ賞3部門受賞した 〈ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド〉を タランティーノ自ら小説化! 1969年、ハリウッド。 俳優リック・ダルトンは人生の岐路に立っていた。 キャリアが下り坂の彼に大物エージェントがイタリア製作のウェスタン映画に出ないかという話を持ちかけてきたのだ。悩みを抱えながらTVドラマの撮影に出かけたリックが現場で出会ったのは…… リックの長年の相棒、クリフは謎の多い男だった。 妻を殺したが罪を逃れ、戦争中には大勢殺したと豪語する男。今日もリックの車でハリウッドを流していたクリフはヒッピー娘を拾い、彼女らがチャーリー・マンソンなる男と暮らす牧場へと向かう…… 女優シャロン・テートは気鋭の映画監督ポランスキーと結婚し、リックの隣に住みはじめたところだった。 折しも自分の出演作〈サイレンサー/破壊部隊〉が劇場でかかっているのを目にした彼女は、うきうきとチケット売り場の女の子に声をかけ…… 映画にはない場面、映画にはない物語、映画とは異なる結末―― 本書はノベライズではない。同じ種子から誕生したもうひとつの物語、堂々たる一編の長編小説なのである。オフビートな小説を愛し、自身の映像言語としてきた巨匠がみせるグルーヴィな語りの才能に瞠目せよ!
  • 両膝を怪我したわたしの聖女
    3.0
    決 壊 す る 文 体 ――圧倒的な感情がほとばしり、膨れ上がり自壊する言葉の群れが未熟な欲望を覆い尽くす。10歳の少女らを閉じ込めるひどく退屈な夏休み、早熟なふたりの過激で破滅的な友情。 スペイン最南カナリア諸島発、世界18カ国語に翻訳の問題作。  ◇ ◇ ◇ スペイン・カナリア諸島に暮らす、10歳の「わたし」と親友イソラ。 せっかくの夏休みは、憂鬱な曇天に覆われていた。薄暗い貧困の地区を抜け出して、陽光のふりそそぐサン・マルコス海岸に出かけたいのに、仕事に追われる大人たちは車を出してやる余裕がない。ふたりの少女は退屈しのぎのため、不潔にして乱暴、猥雑で危うい遊びにつぎつぎ手を染める。 親友というには過激すぎる、共依存的関係性。 「わたし」にとってイソラはまるで聖女のように絶対的な存在だった。イソラが両膝を怪我すれば、舌でその血をなめとった。イソラの飼い犬になりたかった。粗暴な物語に織り込まれた緻密な象徴の数々。子どもらしいイノセンスとは無縁の、深い悲しみに由来する頽廃と陶酔の日々。 イソラと共にある日常は永遠に続くかに思われた。しかし——  ◇ ◇ ◇ Andrea Abreu, Panza de burro (2020) 装丁:コバヤシタケシ 装画:さめほし「夜明けの海」

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  • 研修生
    3.8
    1巻2,970円 (税込)
    仕事、言語、人との出会い―― 海を渡ったわたしの日常が、わたしのあり方を変えていく。 舞台は1980年代のドイツ、ハンブルク。 本の取次会社の研修生になった「わたし」が重ねてゆくのは、多様な人たちとの身近な交流。 やがて未来への、思いがけない糸口が見えてきて…… 読売新聞連載の最新長編小説
  • 泉鏡花きのこ文学集成
    3.0
    1巻2,970円 (税込)
    「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々(やわやわ)として膏(あぶら)が滴る……甘味(うまい)ぞのッ」 “世界に冠たる「きのこ文学」作家”泉鏡花の8作品を集成! 『原色日本菌類図鑑』より、190種以上のきのこ図版を収録! その魅力を説く「編者解説 きのこ文学者としての泉鏡花」付!  お姫様は茸(きのこ)だものをや。  紅茸と言うだあね、薄紅(うすあこ)うて、白うて、美い綺麗な婦人(おんな)よ。  山路はぞろぞろと皆、お祭礼(まつり)の茸だね。坊様も尼様も交ってよ、尼は大勢、びしょびしょびしょびしょと湿った処(ところ)を、坊主様(ぼんさま)は、すたすたすたすた乾いた土を行く。湿地茸(しめじたけ)、木茸(きくらげ)、針茸、革茸(こうたけ)、羊肚茸(いぐち)、白茸、やあ、一杯だ一杯だ。  初茸なんか、親孝行で、夜遊びはいたしません、指を啣(くわ)えて居るだよ。……さあ、お姫様の踊がはじまる。(「茸の舞姫」より)
  • 極北の海獣
    3.6
    18世紀ロシア、19世紀アラスカ、現代フィンランド……絶滅した海獣ステラーカイギュウを巡り3つの時代に生きた人々が、時空を超え繋がる。史実に基づいた息を呑む冒険譚。各国話題の書! ◆川端裕人さん推薦!!◆ 絶滅した生きものをめぐって、もはや四散しつつある記憶を掬い上げる。 著者の丁寧な語りは、静謐にして緊密だ。 魅了された読者は、自分自身、その静かな残響の一部となっていることに気づくだろう。 ここに絶滅文学の精髄がある。 (内容紹介) 「滅びたものと相まみえてみたいと、だれもが一度は夢見たのではないだろうか」 18世紀のロシア極東カムチャツカ半島(第1部)、19世紀アラスカ南東部(第2部)、現代フィンランドの自然史博物館(第3部)……300年の時を超えて、今はなき巨大海棲哺乳類ステラーカイギュウをめぐる、史実をもとにした息を呑む冒険譚。 葛藤を抱えその再生に情熱を燃やす人々が、いま歴史を変えるーー。 フィンランドですぐれた新人作家の作品に贈られるヘルシンギン・サノマット文学賞受賞&28言語で刊行のベストセラー。 消滅した世界を悼み、文学が弔う壮大な物語。 日本語版装画:ミロコマチコ 装幀:大倉真一郎 【目次】 第1部 栄光か、破滅かーー1741~〈ロシア極東・カムチャツカ半島〉 第2部 征服ーー1859~〈アラスカ南東部〉 第3部 命あるものたちーー1861、1950、2023〈フィンランド・ヘルシンキ〉 【訳者あとがきより】 登場人物それぞれが、時代によって課された制約の中で、 もがき、苦しみ、苛立ち、また喜びに震える、 その心のありようがいきいきと描き出される。 そして、互いに出会うことはない人々の思いが、 ステラーカイギュウを介して時空を超えて交差するとき、 読む者の胸に深く響く物語が立ち現れる。 (略)どれほど資料を集めても埋めきれないもの、 それは実際にその時代を生きた人々の心の襞であり、 そこを想像の力で補って骨太な作品世界を構築した著者の、 作家としての手腕は確かなものだ。
  • 天使も踏むを畏れるところ 上
    完結
    4.0
    全2巻2,970円 (税込)
    敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。『火山のふもとで』前日譚ついに刊行! 上巻。
  • 絵本戦争 禁書されるアメリカの未来
    5.0
    1巻2,970円 (税込)
    アメリカではいま、保守派による禁書運動が暴走している 黒人、LGBTQ、アジア系、アメリカ先住民…マイノリティを描いた絵本がなぜ禁書されてしまうのか NY在住ライターが禁書となった数々の絵本を通して見る、アメリカの姿 非営利団体「ペン・アメリカ」によると2023-2024学校年度に、前学校年度の2.7倍にあたる4231種類の本が禁書指定された。アメリカでいま、何が起きているのか。 この禁書運動は2021年に突如として始まった。ターゲットになっているのは、禁書運動を推進する保守派の親や政治家が理想とする<古き良きアメリカ>にとって都合の悪い、子ども向けの本たちだ。 黒人、LGBTQ、女性、障害、ラティーノ/ヒスパニック、アジア系、イスラム教徒、アメリカ先住民……8つのトピックにわけて、禁書運動の犠牲となった数々の絵本を一冊ずつ見ていくことで、マイノリティの苦難の歴史と、その中で力強く生きる姿、そして深刻化している政治的な対立<文化戦争>の最前線を知る。トランプの大統領再選が決まったいま、必読の一冊。
  • TOUCH/タッチ
    4.6
    50年前に失踪した恋人を思い、アイスランドから日本を旅するロマンス映画『TOUCH/タッチ』原作小説。 2020年、アイスランド。75歳のクリストファーは「終わり」を意識していた。妻は7年前に亡くなり、娘はとうに独立している。20年間営んだレストランは、パンデミックの影響もあり閉店した。最近は記憶力の衰えを感じずにはいられない。 そんな彼に一通のメッセージが届いた。差出人は、50年前に留学先のロンドンで出会い、恋に落ちた日本人女性ミコ。恋人として幸せな日々を送るなか、彼女は突然姿を消した。 あの日、彼女はなぜ自分のもとを去ったのか。消えない想いと悲恋の傷を抱え、薄れゆく記憶にすがりながらクリストファーはアイスランドからロンドン、日本へと旅をする。 アイスランド文学賞、O・ヘンリー賞受賞のオラフ・オラフソンによる傑作恋愛小説。
  • 小さなことばたちの辞書
    4.6
    1~2巻2,970~3,168円 (税込)
    ことばに生涯を捧げた女性を描く珠玉の一篇。 「生きるということは、ことばを集めることだ――べつに辞書編纂者でなくても。エズメがそれを教えてくれる」――国語辞典編纂者・飯間浩明  19世紀末の英国。母を亡くした幼いエズメは、『オックスフォード英語大辞典』編纂者の父とともに、編集主幹・マレー博士の自宅敷地内に建てられた写字室に通っている。ことばに魅せられ、編纂者たちが落とした「見出しカード」をこっそりポケットに入れてしまうエズメ。ある日見つけた「ボンドメイド(奴隷娘)」ということばに、マレー家のメイド・リジーを重ね、ほのかな違和感を覚える。この世には辞典に入れてもらえないことばがある――エズメは、リジーに協力してもらい、〈迷子のことば辞典〉と名付けたトランクにカードを集めはじめる。  大英語辞典草創期の19世紀末から女性参政権運動と第一次世界大戦に揺れる20世紀初頭の英国を舞台に、学問の権威に黙殺された庶民の女性たちの言葉を愚直に掬い上げ続けた一人の女性の生涯を描く歴史大河小説。  2021年豪州ベストセラー1位(フィクション部門)、NYタイムズベストセラーリスト入り。「ことば」を愛するすべての人に贈る珠玉の感動作。
  • 幽囚の地
    4.0
    都会の喧騒を離れ田舎に家を買ったブレイクモア夫妻。そこに、隣人のダンが忠告にやって来る。この地には精霊が住んでおり、季節ごとに彼らを悩ませるというのだ。最初は不気味な光が飛び回る程度だったが、やがて精霊たちは夫妻に直接危害を加えはじめ……。
  • レッド・アロー
    4.0
    デビュー作で思わぬ反響を呼んだ作家。次作の契約が決まるも原稿は一文字も進まず、前金は旅行に消えた。ある物理学者の回想録ゴーストライターの仕事が決まるも学者は失踪。このまま消えるかサイケデリック療法か。窮地に立たされた作家の精神世界を巡る長篇
  • ああ、ウィリアム!
    4.0
    作家ルーシー・バートンの前夫ウィリアムは、71歳にして人生の荒波に翻弄されている。彼の亡母ゆかりの土地を訪ねる旅に同行することになったルーシーは、結婚生活を振り返りながら、これまでの人生に思いをめぐらせる。『私の名前はルーシー・バートン』姉妹篇
  • 散華 紫式部の生涯 (合本)
    5.0
    1巻2,970円 (税込)
    藤原氏の一門ながら無欲恬淡な漢学者の娘として生まれた小市は、幼い頃から和歌や漢籍を学び並外れた才能を発揮した。 姉弟や伯母とともに暮らすなかで、疫病の流行や治安の悪化、勢力抗争に明け暮れる人々の浮き沈みを犀利なまなざしで見つめながら、自らの生きる道を模索していく。 永遠の名作を紡ぎ出した一人の女性の生の軌跡をたどる歴史大作。上巻では少女時代から20代までを描く。
  • ボンベイのシャーロック
    3.9
    インドのシャーロック・ホームズが不可解な事件を解き明かす!1892年、ボンベイ。シャーロック・ホームズに憧れるジェイムズ・アグニホトリは、女性二人が転落死した事件の記事を見つける。関係者に話を聞くも、彼女らに自殺する理由はなかった。不思議に思った彼はホームズに倣って捜査を行うが、事件は一筋縄ではいかず……。
  • あのこは美人
    3.5
    整形中毒のルームサロン嬢。アイドル好きの美容師。赤ちゃんが欲しい会社員。恋愛に悩むアーティスト。容姿や家柄、学歴、結婚、妊娠――。韓国女性を取り巻く呪縛を乗り越えて、今日も彼女たちは強く生きていく。ソウルの一角に暮らす女性たちのオムニバス。
  • 宮沢賢治/中島敦
    4.7
    病床で綴られた連作詩「疾中」や「ポラーノの広場」「ひかりの素足」など宮沢の18篇と、「環礁」「李陵・司馬遷」など中島の7篇を収録。周縁から文学の核心に迫った二人の世界。 月報=夢枕獏、古川日出男
  • 谷崎潤一郎
    4.3
    室町時代の瀬戸内海、宝物をめぐって海賊や遊女、幻術使いたちが縦横無尽に躍動する幻の長篇エンタテインメント活劇「乱菊物語」。「妹背山婦女庭訓」「義経千本桜」「葛の葉」などの浄瑠璃や和歌と、母恋いを巧みに織り交ぜて綴る吉野探訪記「吉野葛」。女性への思慕を夢幻能の構図を用いて描く「蘆刈」。王朝文学に材を取った奇譚「小野篁妹に恋する事」、異国情緒に彩られる「西湖の月」、エッセイ「厠のいろいろ」を収録。巨人が紡いだ豊饒幻妖な物語たち。 解説=池澤夏樹 年譜=千葉俊二 月報=桐野夏生・皆川博子
  • 大江健三郎
    4.3
    死と再生、終末と救済を一貫して問い、闘い続ける圧倒的な大江文学。 女性原理を主軸にした長篇二篇に短篇とエッセーで全体像を提示する。 著者による加筆修訂。 [収録作品] 悲しみは人生の親戚――子どもの死に見舞われながら人生の事業に乗り出す女性を描いた長篇「人生の親戚」と汚染させた地球が舞台の近未来SF「治療塔」。 部屋に閉じ籠り<鳥たち>と暮らす青年を描く「鳥」、隣人となった「山の人」の自由への希求が市民たちを戦慄させる「狩猟で暮したわれらの先祖」。他に『ヒロシマ・ノート』より「人間の威厳について」、『私という小説家の作り方』より「ナラティブ・つまりいかに語るかの問題」。 解説=池澤夏樹 年譜=尾崎真理子 月報=中村文則・野崎歓
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一
    4.2
    民衆の紐帯であり自然の宝庫でもある社(やしろ)の破壊に反対する、南方熊楠の画期的論考「神社合祀に関する意見」。 伊良湖岬の浜辺で目にした椰子の実から日本人の来し方を想起する、柳田國男「海上の道」。 後に中将姫と呼ばれる藤原南家の姫君と、非業の死を遂げた大津皇子の交感を軸に綴られる、折口信夫「死者の書」。 近代女性の生き様を活写する「海女たち」「出稼ぎと旅」「女工たち」ほか、宮本常一「生活の記録」。 神話、伝承、歴史、生活、自然など、日本のすべてを包摂する厖大な文業から、傑作29篇を精選。 【ぼくがこれを選んだ理由】 民俗学は文学のすぐ隣にある。 南方熊楠の鎮守の森を擁護する論は今のエコロジーにつながっている。  柳田國男と宮本常一の論考を連ねると、正面から描かれた近代日本人の肖像が見えてくる。  折口信夫はもうそのまま文学。読んでいると古代の日本人とすぐにもハグできるような気持になる。(池澤夏樹) 解説=池澤夏樹 解題=鶴見太郎 月報=恩田陸・坂口恭平

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