宮崎一郎の作品一覧
「宮崎一郎」の「夕霧花園」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
熱帯の高原の湿り気と肌寒さが一体になったような雰囲気の文章が心地よく翻訳であることを感じさせない。まさに読書の楽しみ。
時間が行き来して戸惑いながらも読み進めると登場人物たちが生きることで失ったもの、無理やり失わされたものが浮き上がってくる。日本人の読者として読むのが辛い部分も多いし、入れ墨のくだりはちょっと虚構がすぎるかなとも感じるけど、登場人物皆が少しづつ秘密を抱えて生きているのも事実。その記憶もいつかは失われていくけどこの世界は残り続ける。
P434
わたしたち人間もまた彼ら(蝙蝠)と同じだろうか?発した言葉と言葉の合間に横たわる沈黙の意味をくみ取ることで人生の進路を定め、記憶の反響を
Posted by ブクログ
物語は3つの時代、戦時、戦後、現在を行ったり来たりするんだけど、最近はやりの19xx年x月、2022年x月といったような”項”がない。なので、段落と文章からああ、これは戦後だなといったように気づかなければ頭がこんがらがってくる。また前半はなかなか的を得ないだらーっとした件が続くのでなかなか内容が頭に入らず苦労した。
そのぶん中盤から作者の時代切り替えの癖にも慣れ、内容も把握し、主人公の胸中に同調し始めると一変して面白くなる。ずーっと探し求めた「収容所」の場所、そして姉の求めた庭園、それがどんどん近づいてくる。複雑に絡められた糸は読み進めるにつれて解れ一本の糸になっていく。
この本が映画化された
Posted by ブクログ
テオ・ユンリンはマラヤ連邦裁判所判事を定年まで二年残して辞職した。誰にも言わなかったが、少し前から突発的に言葉の意味が理解できなくなる事態が生じていたからだ。優秀だが厳しいことで知られる判事だった。彼女には封印した過去がある。十九歳の時、日本軍がマラヤを強襲し、三歳年上の姉と共に強制収容所に入れられた。手袋で隠された左手の小指と薬指は、二本の鶏足を盗んだ代償として切断されていた。
彼女は生きて出られたが、姉のユンホンは生きて収容所を出ることはなかった。彼女は姉を見捨て、ひとり逃げのびた自分を認めることができなかった。日本軍に対する怒りと姉に対する負い目を封じ込めるため、硬い鎧のような自我を纏