娘を失った実在のイスラエル人とパレスチナ人を主人公とした小説。
二人は子供をなくした親が入る「親の会」の会員として深い友情で結ばれており、各地でのスピーチなどの二人の活動/言動が主軸として描かれる。
二人は復讐や恨みを越えて、「話し合わなければ終わらない」をモットーに世界各地で講演を続けている共
...続きを読む存を聴衆に訴える。
本の構成としては、1001の断章で構成されており、一文だけ、写真だけの章もあれば、数ページに渡る部分もある。主人公二人のことだけでなく、歴史や渡り鳥の話、ミッテランの食事の話など一見脈絡のない事柄が次第に結び合わさっていく
感想としては、途中で出てきた「無知は罪である」という言葉が印象に残った。
二人が人々に語りかけるのは知ってほしいからであり、我々はそれを聞く、知る必要があると思う。知ることは知の第一歩であり、そのためには知らせることが必要であり、知があるからこそ人間は様々な解決を図ろうとするのではないか。
当初、2023/10のイスラエルとパレスチナの出来事(これを戦争と呼んでいいのか紛争というべきなのか分からないので「出来事」とする)以前に購入/積読だったが、この「出来事」を機に読んだ。
正直、パレスチナ問題は頭/知識では状況はなんとなく把握できても、真の理解できないが、縁遠いことが逆に中立の立場からの理解を試みることはできると思う(理解した上で感情を伴っての支持はまた別)。あえて感情移入しないようにして本書を読んだ。パレスチナ問題についてのパレスチナ人の実情やイスラエル人の思い、同じ子を持つ親としての思いなど情報量が多く、考えがまとめきれていない。ただ、甘っちょろいことは承知の上で、直近のこの出来事が早く収束してくれることを心から祈る。
あとはあとがきにあった「親の会」「平和の戦士」「テロス」「ナラティブ4」への寄付も。同じ世界に暮らす人々が少しでも平穏に暮らすことを祈る。