辛島デイヴィッドの作品一覧
「辛島デイヴィッド」の「神村企画 The Making of the Next Kamimura」「Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
日本の現代文学において、最も海外で読まれている作家は村上春樹を置いて他にない。本書はなぜ彼の作品がここまで海外で受け入れられたのかという点について、彼の英語圏での出版を手助けした翻訳家・編集者・出版エージェントといった文学の”裏方”の人間たちにスポットを当てることで解を出した労作である。
こうした”裏方”については、村上春樹本人が、アメリカで翻訳された短編作品だけを収める形で半ば逆輸入的に日本で出版された『象の消滅 村上春樹 短編選集1980-1991』の序文で本人の口から細かく語られている。その中では英語圏の出版業界の比類なきプロフェッショナリズムが、大いなる賛辞と共に示されているが、その内実がどのようなものかは正直不明なところも多かった。本書ではそのプロフェッショナリズム、そして何よりも文学に対する愛情に、文学を愛する一人の読者として心を揺さぶられた。
特に、海外での出版にあたり最も重要となる翻訳者については、本書でもかなりのページ数が割かれている。村上春樹の英語翻訳については、彼が贔屓にしている数名の特定の翻訳家がいるが、その一人、アルフレッド・バーンバウムは初期の傑作『羊を巡る冒険』の翻訳にあたり、特徴的な登場人物である羊男のセリフ「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ。なぜ踊るかなんて考えちゃいけない」を以下のように翻訳したという。
「Yougottadance.Aslongasthemusicplays.Yougottadance.Don`teventhinkwhy」(本書P262より)
バーンバウム曰く、訳文を何度も読み返す中で聞こえてきたのがこのボイスであるとのことだが、『羊を巡る冒険』の読者であれば、羊男の饒舌なボイスとそのリズムを表すのに、この字続きの表現が適切だということを同感されるのではないだろうか。
村上春樹のファンはもちろん、英語圏における文学や出版というものの実態を知りたい人にとって非常にお勧めできる一冊。
Posted by ブクログ
現代の日本文学/日本語文学が世界、殊に英語圏(アメリカやイギリス)でどのように受容され、位置付けられているのか。翻訳者や編集者、書籍のデザイナーやイヴェント運営者へのインタビューが興味深かった。
読み進めるうちに「この作家/作品も世界に向けて翻訳・紹介してくれたらなぁ」という思いがムラムラと。個人的には有吉佐和子の『華岡青洲の妻』をぜひ!
書名からテーマごとに「文芸ピープル」への取材が章立てられているかと思ったが、ブームやムーヴメントの考察の一環としての色合いが強い。非英語圏についても紹介してほしかつた。
村田沙耶香の『コンビニ人間』について、英題を「Convenience Store Woman」ではなく「Homo Convenience」にすべきだという意見が。私も性別/ジェンダーに注目した前者より、主人公のアイデンティティーを巧みに表した後者こそふさわしいと思う。